2024年1月28日日曜日

スマホをつなぐ

 スマホの音をオーディオセットで出したい。ヘッドホン端子と外部入力をコードでつなげば良さそうですが・・・

 発端は部屋で中波ラジオを聴こうとした事。しばらく使ってなかったのでラジオの電池が切れていた。そういえば、スマホにラジコのアプリが入っている。ならばスマホをアンプの外部入力に繋げば良い。使用中のスマホにはヘッドホン端子がある。3極のミニプラグだからコードはある。ラジコで局を選ぶとスマホのスピーカーから音が出る。そのままヘッドホン端子にコードを差し込むと・・・音はスピーカーから出たまま。
 昔のイヤホン端子などはプラグの抜き差しによって物理的に接続が切り替わっていたが、スマホは電気的に切り替えているらしい。アプリが何かしてる??
 そこで音楽プレーヤーを起動して試す。やはり切り替わらない。かわりにヘッドホンを挿してみると、ちゃんと切り替わる。どうやらヘッドホン端子にコードが挿さったのが検出されてない。試しに中継コードを挟んでヘッドホン繋いで、途中で外して断線状態にすると、スマホから音が出る。オーディオセットの入力インピーダンス(この場合は抵抗)が高くて無接続と判断されているらしい。対策として、負荷になるようにコードのプラグの所で信号とグランドの間に外し物の中から拾い出した抵抗100Ωを付けてみた。すると音が出た。当面はこれで何とかなったけど・・・

 今後も使う事があるかもしれない。時間のあるうちにちゃんとしたコードを作ろう。そうなると、抵抗はどの程度が良いのだろうか。ヘッドホン偽装するならL性の方が良いのか。現用のスマホ以外はどうなのだろうか。そういえば、出力の断続をどうやって検出しているのだろうか。実用上の問題は無いのだけど、安全性の点ではスマホ側とステレオセットの間を分離したい。
 思いついたのはトランスを入れる事。直流阻止とグランド分離とインピーダンス整合。コイルが入るという事ではヘッドホンと同等です。手持ちにちょうど良さそうなトランスがあった事を思い出しました。

 これは昔はアマチュアの電子工作では定番だったサンスイのSTシリーズのトランスです。手許に残っていたのはST-12という入力トランス。しらべるとまだ現行品のようです。1次側が100Kで2次側が1KΩ。これを逆向きに使います。本来の2次側の直流抵抗は45Ωですから確実に接続が検知されるはず。巻き数比が10倍ありますから、普段の音量位置ではスマホの出力がちょっと低いのを救済する事にもなります。

 ガラクタ箱をかきまわして、ブラグ付のコードの断片と外し物のラグ板を引っ張りだして簡単工作。スマホを繋ぐとちゃんと音が出ました。まあ音質の方はスマホの音声回路の方の問題でしょう。 (この後簡単なカバーを付けました。)

2024年1月14日日曜日

ラックス MQ-60/KMQ-60 アンプの修理に関して

ここにアンプの製作の記事を載せるようになってから 、今までに数回相談がありましたので、現況での考えをまとめて置きます。何かの参考になれば。

 私が製作した6CA7-PPアンプはシャシーにラックス製MQ-60アンプの解体品を利用しました。この繋がりでの御相談のようです。
 
これはまったくのオリジナルの回路です入手したのはほとんどの部品を外されたシャシー部のみでした。使用したトランスや真空管は元とは異なっています。既存のアンプの改造/修理には該当しないと思います。

 ラックスのMQ-60アンプは微妙に内容の異なるいくつかの仕様があるようですが、基本的にはOY15-5トランスを使用した50C-A10のプッシュプルアンプで、ドライバはカソード結合(ムラード)型で、初段が6267の3結、位相反転が6DT8。最大の問題は出力管の50C-A10が交換困難。次に出力トランスの故障/不良。トランスについては多くの製品に使用されアマチュアの製作にも使われた物ですから、それなりの程度の中古品があるようです。また(それなりの価格ですが)代替に使える製品もいくつかあります。しかし出力管の50C-A10は元々耐久性や寿命の問題があり多くは早期に不良になっています。NECのオリジナルの管で他社製や類似品はありません。使用された製品が少ないので、新品はもちろん程度の良い中古も入手は難しいです。ある程度の期間実用にしようとすると、これは改造置き換えを検討するべきでしょう。

 50C-A10 は回路的には3極管ですがこの規模の3極管は当時も現在も他に存在しません。そしてこれの構造はビーム管を内部で3結にした物ですから、ビーム管(5極管含む)の3結で代用するのは自然でしょう。
 この規模の管で現状で入手が難しくない物でとなると、6L6-GC、6CA7,6550あたりでしょう。

 50C-A10の出自からはカラーテレビの水平偏向管も候補になると思いますが、規格上の耐圧を越える心配とプレートキャップが要る点であまり勧められません。

 いずれもソケット交換が必要です。元の回路部分が動作していたとすると、6CA7に替えるのが簡単そうです。管の外観がだいぶ異なり、出力が少し小さくなりますが、出力トランスとの組み合わせも問題ありません。
 50C-A10はヒーターが50Vで、これを2本直列にして電源の100Vで点火しています。このため搭載の電源トランスには出力管のヒーター用の巻き線がありません。6CA7の場合は4本で6Aの電流になります。電源トランスを載せ替えるか別にヒーター用のトランスを付けるか。前者は費用的に大袈裟になります。後者は筐体には載らないのでケーブル引き出しで別置きする事になります。

 ドライバ回路については、振幅もゲインも問題ありません。バイアス回路は調整範囲を超えるかもしれませんが、抵抗値の変更(追加)で対処できる程度です。裸ゲインが変わるので高域が不安定になるかもしれませんが、位相補償をいじるよりも仕上がりゲインを変えて帰還量を同程度にする方法が簡単でしょう。おそらくこの程度で、元の回路をそのまま保つ事ができると思います。

 なお、3結にする際には、第2グリッドは直接ではなく数百Ω程度の抵抗を介してプレートに結ぶ方が安心です。また、当時のコンデンサは元々耐久性が低くおそらくかなり劣化しているはずなので、積極的に交換すべきです。特に段間の結合コンデンサと位相反転部のグリッドを接地するコンデンサは漏洩電流が怖いですから。そのほか、電解コンデンサも可能なら替えておくべきだと思います。バイアス回路の可変抵抗も交換した方が安心でしょう。あとは・・・入力部の直流阻止は個人的にはぜひ入れたいです。原型尊重という点からもこの程度で済ますのが良いと思います。

2023年12月24日日曜日

トランジスタ・シングルアンプへの考察 その3

  私自身はこの記事に取り上げるようなアンプをは製作するつもりはありません。参考資料として掲載します。 

 ある所で相談を受けたのはだいぶ前。その後もいくつか思う事があり、関連した内容をここに書きます。

[ ここまでの話1 ]  [ ここまでの話2 ]

 トランジスタであっても真空管であっても、普通のスピーカーを鳴らすシングルアンプを作るにはトランスが必要。でも、トランジスタ用として販売されたシングル用のトランスは無い様子。そうなると、真空管用のシングル用トランスを使用することを考えなければなりません。

 一般的な小出力用の真空管は100~250Vの電源で数十mA流して使います。だから小型の真空管用のトランスは数KΩから十数KΩのインピーダンスです。この動作では、真空管のプレートにはOFF側の区間で電源より高い電圧がかかります。真空管のピーク耐圧はかなり余裕があり、これで支障が出る事はまずありません。ところがトランジスタは電圧の制限が厳しく短時間でも超えると破損に繋がります。だから真空管をそのままトランジスタに置き換えるのは難しいです。このピーク電圧は負荷や信号の波形によるので、最悪は3倍ぐらいを見込んでおきたいです。一般的な電力増幅用のトランジスタでは耐圧の高目の品種で120V程度。電源電圧を真空管よりかなり低くしなければなりません。
 電源電圧を40Vとしてみます。小出力用のシングル用トランスでは3KΩという物が比較的安価に入手可能です。これを使うと出力は0.2W程になります。これより出力を得ようとすると、電流を増さねばならず、それにはもっとインピーダンスの低い(数百Ω程度)トランスが要ります。


  市販のトランスを調べてみると、インピーダンスが600Ωや400Ωという物がいくつかありますが、このうち小型の物は重畳電流が書かれていないので、おそらくマッチングトランスでしょう。

 思いついたのは、タップの出ているトランスの巻き線を逆向きに使う事。一般的な0-3K-5k-8KΩのトランスを考えてみます。理想トランスとすると、各巻き線の巻き数は8Ωに対して54.8倍、70.1倍、83.7倍です。タップ間の巻き数は3-5K間が15.3倍、5-7K間が13.6倍、3-7K間が28.9倍。つまり3-5K間を使えば234Ω、5-7K間を使えば185Ω、3-7K間を使えば835Ωのインピーダンスになるはず。このぐらいのインピーダンスなら、20V程度の電源電圧で実用十分な出力が得られます。変則的な使い方ですが、磁気的には問題ないはずです。電流的にも公称の重畳電流内なら問題無く、多少越えても大丈夫と思います。高域特性はいくらか変わるでしょう。

 トランジスタでシングルアンプをつくるなら、この方向が良さそうに思います。

2023年12月23日土曜日

トランジスタ・シングルアンプへの考察 その2

 私自身はこの記事に取り上げるようなアンプをは製作するつもりはありません。参考資料として掲載します。

 ある所で相談を受けたのはだいぶ前。その後もいくつか思う事があり、関連した内容をここに書きます。

[ ここまでの話 ]

 ふつうのスピーカーをふつうに駆動するには、押すと引くの双方向に電流を流す必要がある。これをシングルアンプで果たすには、パワー素子の反対側をどうすれば良いのか。電圧増幅回路CR結合と違ってRで吊るのではダメです。ここで有効に働くのはトランス(あるいはチョークコイル)。リアクタンスによってON期間に蓄えたエネルギーでOFFに向かう期間を駆動する。トランスであればインピーダンスの変換も同時におこなえます。真空管のシングルアンプはこのようにトランスによって成立してるのです。
 そうなると、トランジスタのシングルアンプもトランスを使うのが確実ではないか。トランジスタと真空管の比較という点でも公平な気がします。問題はトランジスタに適したシングル用のトランスがあるのか。

 トランジスタ用のトランスで昔のアマチュア製作の定番だったのが山水のSTシリーズ。当時のカタログを見ると出力トランスはすべてプッシュプル用でシングル用はありません。
 実用オーディオ製品では無くても、トランジスタのシングルでスピーカーを駆動する回路は確かにあったはずです。2石レフレックスラジオとか。という事で手許の初歩向け雑誌を見ると、なんと、どの回路もプッシュプル用のトランスをそのまま(両端を)使っています。プッシュプル用のトランスは直流を流すようには作られていません。このような使い方ではコアが磁化されて飽和するか、そうでなくとも特性はメタメタのはず。無いから仕方ない、あるいは元々音質特性は問題外という事でしょう。

 現行の既製品で、シングル用の、コイルに直流電流を流す前提で作られているトランスは真空管用だけです。で、これはトランジスタで使えるのだろうか。

[ 続きはこちら ]

2023年12月22日金曜日

トランジスタ・シングルアンプへの考察 その1

私自身はこの記事に取り上げるようなアンプをは製作するつもりはありません。参考資料として掲載します。

 ある所で相談を受けたのはだいぶ前。その後もいくつか思う事があり、関連した内容をここに書きます。

 真空管アンプにはシングルとプッシュプルが普通に存在し、近年作られているものはシングルアンプが多いように見えます。揃った真空管が得にくい最近の事情もありますし、シングルの方がそれぞれの管の特徴が出やすいという考えもあるようです。一方、トランジスタを使ったアンプは昔からほとんどがプッシュプルでした。というか、実用向きのトランジスタのアンプでシングルという物を見た事がありません。初期のトランジスタではある程度の出力を得るにはプッシュプルにする必要があったとか、トランジスタは高効率省電力がウリなのでプッシュプルは必然とか、商業的な理由はすぐに思い付きます。しかし、トランジスタと真空管の音を論じる中でもトランジスタ・シングルアンプが登場した記憶はありません。

 あらためてトランジスタでシングルアンプを真面目に作る事を考えます。シングルアンプは当然A級動作で無信号時に大きく発熱します。トランジスタは高温に弱く温度変化に敏感です。しかし小出力のアンプであれば、ある程度放熱と温度補償に配慮すれば扱い困難という事は無いでしょう。6AR5とか6BM8とかシングルで出力数Wの管と比較する物を今作るなら、TO-220ぐらいのトランジスタでも十分なはずです。

 手許の余剰の部品をかきまわすとTO-220のトランジスタがいくつか出て来ました。このようなトランジスタはどにでもあるはずです。これらは小さな放熱器でも数Wは取れます。電流はそこそこ取れますが耐圧は数十V程度。問題はこれでどうやってスピーカーを駆動するか。

 プッシュプルならトランスレスもあるのですが、真空管のシングルアンプには出力トランスがつきものです。実はシングルアンプのトランスは、プッシュプルと違って、インピーダンスの整合以上に重要な働きをしているのです。
 現在一般的なダイナミックスピーカーのコイルには交流が流れ、コイルの磁界が反転する事でコーンを前後に動かしています。コーンを押す時と引く時の両方で対称に電流を流す必要があります。この点でダイナミックスピーカー自体がプッシュプルな素子なのです。したがってプッシュプルアンプとは相性が良いのです。
 問題はシングルアンプ。プレート(コレクタ)へ引くにしろカソード(エミッタ)から流すにしろ、片側しか駆動できない。スピーカーは電力素子ですし、コーンの動きに伴ってコイルには電流が流れます。ダンピングの問題です。ここでトランスのLが効いてきます。真空管(トランジスタ)がOFFに向かう時に、ON 時にコイルを磁化したエネルギーによって電流が流されます。だからこれはチョークコイルでも良いけれど、普通のCR結合回路のように抵抗で吊るのではダメなのです。所謂アクティブ負荷という物がありますが、この方向に進むとSRPPに至ってしまいシングルとは違って来ます。 

 つまり、トランジスタでも真空管でも、シングルアンプならOFF側で積極的に電流を流す物が要る。そのためのシンプルな方法がリアクタンス。つまりトランスかチョークを直列に入れる。(昔のマグネチックスピーカーは、直流を重畳させて磁化させるように作られていて大きなL性を持ってます。だからトランス無しで繋いで良いのです。)

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2022年1月29日土曜日

ハンダゴテの働き場所

長年の積み残しの課題を片付けたあと、残渣の整理かたがた始めた真空管アンプ工作も完全に終了。あとは残った物の始末。

 部品で使えそうな物は譲渡したりオクなどで売ったりしてあらかた片付きました。時代遅れのデジタル物は保守用にもなりそうに無いので、早々に廃棄しました。あとは無駄な抵抗とか半端な物ばかり。希少そうな物もありますが、必要な人に届くような道筋が浮かびません。これらもそのうち、まとめて捨てることになるでしょう。

 立場が微妙なのは工具たち。何かしら作る事はありますから、ドリルやヤスリなど汎用工具はこれからも活用するでしょう。一方、シャシーパンチやニブラーなど専用工具はもうこの先本来のような使い方をする可能性はありません。それでも何か使い道はあるかもしれません。手放したら再度入手するのは難しいです。立場が微妙なのはハンダゴテ。がっつり働く事はなくなっても、ちょこちょこ出番はあります。


反対側も傷んでいるので両方とも交換します。

 私室で使っている床置きのスピーカー。狭い部屋なので、聴く場所に合わせてあちこち移動し、そのあとは片隅に片付ける。床を滑らせて運ぶので、時々コードをひっかけます。たいがいはコードが外れるのですが、時には先がちぎれたり。そして、そのストレスが蓄積して端子自体が傷んでくる。先日、ついに破損。反対側も傷んでるので合わせて交換します。
 以前なら日本橋の部品屋で買うのですが、今回は通販で購入しました。感染症蔓延の事が無くても、ここしばらくあちらへ行く事が無くなっています。百円ほどの物ですからこれだけ買いに行くのは無駄。交通費を考えればそれほど高く無い。そして、今日はしばらくぶりにハンダコテの出番。


2021年6月5日土曜日

BGMにmp3をかける (その3)

しばらく前に作ったmp3プレーヤー。USBにデータ入れて挿すと順次演奏するので、軽い音楽をダラダラ流すには便利。けっこうな曲数入る。でも入れすぎると曲を探せない。

 以前に使用したモジュールは比較的安い物。データをフォルダー 分けして入れても、全部続けて演奏される。もう少し高機能な物ならどうだろうか。ふと思いついてネットで探して、海外通販で購入しました。

 昨年から買い物に出にくい状態が続いています。なるべくお出かけは控えて、最小限の用事だけ手早く済ませるようにしています。人通りの多い所をあちこち歩き回って探すような事は避けたい。電気屋街に行こうとすると、乗降の多い駅で乗り換えることになるので。
 中国からの通販は安いのですが、何時届くか判らない。とにかく日数がかかります。長く待って届いた物が破損だった事もあります。何より、取説らしき物が無かったり、あっても製品と仕様が合ってなかったり。それでもまあ当て物ゲームと思って挑戦するのもアリかもしれません。

 で、しばらく待たされた後で問い合わせると品切れと。そこで代替になる物に注文変更。またしばらく待って封筒が届いたのだけど、今度は中身が違う。発送ミスだとかで交渉の結果返金。あきれて別の店に注文。またしばらく待って、今度は何とか届いた。あれこれ合わせて2か月ほど。この間に、筐体や電源などあれこれ考えました。

 手持ちの材料をやりくりして買い物に行かずに済ませる。余り物や解体部品を活用するパズルゲーム。ローパスフィルタはひと捻りしてオペアンプを反転増幅で使う多重帰還型の回路ができました。

木製の筐体に木ネジ止め

 今回入手したモジュールはパネル面が少し大きく、手許には合う大きさの筐体がありません。アルミケースを新たに買うのは大袈裟。あれこれ考えて、残り物の木の板で箱を作ることにしました。側面と背面は12mmの板で、上面は薄い合板。底蓋も薄い合板。子ども時代にはやらなかったけど、子どもの工作っぽい。電源トランスなどの取り付けは木ネジで。

 モジュールの電源は5Vです。手許に6.3Vのトランスがありました。これをブリッジ整流すると約8V。3端子レギュレータ入れるにはちょうど良いけど、オペアンプには足りない。探すと、うまい具合に5~9V入力で±12Vが出るスイッチングのモジュールがありました。物は試しという感じで、これを使って見ることにしました。ノイズが心配でしたが問題はありませんでした。