2015年3月26日木曜日

6AQ5 Single : 進化した電解コンデンサ

あちこち春の花が咲いています。梅雨になるまではまだしばらくありますが、お出かけの合間に時間のかかることを少しづつ。

 6AQ5シングルアンプ。電源トランスに続いて、どのみち必要になる部品の調達を進めています。今度は電源部のケミコンです。
 アルミシャシーに真空管アンプを組みます。昔風のデザインでは、電源トランスの側には足で立つブロックコンデンサが定番。しかし昔のような耐圧の高いブロックコンデンサはほとんど流通しておらず、あってもたいへん高価です。6CA7アンプでは仕方なしにこれを購入しました。
 耐圧と容量の点だけであれば、普通の基板付け用が無いことは無いのですが、見た目があまりに貧弱です。6SN7-PPアンプでは、苦し紛れに基盤付け用コンデンサの中から耐圧と容量がちょうど良さそうな物を購入しました。昔のコンデンサに比べるとすっご く小さいのですが、小型アンプの大きさに合わせて見ると不釣り合いという程ではありません。そこから思いついて探して、これの直径に合う足(バンド)を購入しまし た。シンデレラの物語ではありませんが、うまく合う足を探すのはたいへんでした。単価は安かったですが、通販でけっこう費用がかかりました。

逆シンデレラ物語 : 足に合うコンデンサを探しました


 その後の6BM8アンプの時には、逆に手持ちの足を使うことを考えました。この逆シンデレラ方式はうまく行きました。ネット通販で探すと直径25mmのコンデンサがいくつかあり、その中から見かけを重視してなるべく背の高い物を選びました。スイッチング電源用の自立型のコンデンサで、あとで規格を見ると昔のケミコンとは比較にならない高性能でした。

 今回も 基板付け用コンデンサを使うことにしました。手持ちの足は使い切ってしまっていますが、ジャンク屋で25mm用の足を入手できました。先に使用した品種ではありませんが、同じぐらいの大きさのコンデンサがちょっぴり安く見つかりました。これはスルーホール実装用ですが、端子に直接部品をハンダ付けして使うのでは無いので問題ありません。
 定格の350V220μは12BH7-PPのシャシーに載っているのと同じですが、大きさはずいぶん違います。そして小さくても性能はこちらが遙かに上。電気的特性で音が良くなることは無いでしょうが、耐熱105度で耐リップル550mAで保証寿命8000時間というのはすごく信頼感があります。

2015年3月9日月曜日

12BH7A PP : アルテック型を子細に見直す

だいぶ春らしくなって来ました。

 本格的に暖かくなる前にと、大物の6CA7-PPアンプに繋ぎ替えて、締め切った部屋でちょっと大きめに鳴らしてみました。お馴染みの曲のほかに、最近はあまり聴かないアルバムもかけてみると、記憶にある曲と感じが違いました。音の粒立ちが良くて小さい高音が鋭く定位して聴こえます。奇妙に感じて他のアンプに繋ぎ替え。
 定番の12BH7-PPに繋ぎ替えると、曲全体の感じは同ですが、この粒つぶした定位感は無くなりました。出力の違いかしら。しかし非力な6SN7-PPでも同様にはっきり粒立ちして聞こえます。6Z-P1シングルアンプでは、(低音の響きは劣りますが)高音は6CA7に近い感じ。つまり、この曲はこういったキラキラ粒つぶな録音のようです。どうしても音像がぼやけがちのバスレフスピーカーでは気づかなかった違いが、硬くくっきり鳴るスピーカーで露わになった感じです。

 そうなると、12BH7-PPアンプに問題があることになります。しっかり聴く と、大きな音と被さると小さな音が溶けて鈍ったようになる感じです。単なる歪みとは違う感じで、混変調のようでもあり、スルーレートが足りないというような感じとも何か違います。

箱入りの新品たち : 中古の管が元気なので今のところは出番なしです。

 設計に勘違いが無いか丁寧に見直しましたが、その過程で気づいたこと。位相反転は普通のP-K分割ですが、思い込みから見落としがありました。出力段の側から見た事ばかり考えていましたが、ドライブ段の側からも見直す必要がありました。12BH7Aの入力容量は大きいですが、6BL8の三極部でじゅうぶんドライブできます。ただ、この時に素でインピーダンスの低いカソード側にはそのまま入力容量を充放電する電流が流れます。この電流がワルサしている気がします。 この問題を減らすため、カソード側が無理に頑張らないように、グリッドへ直列に抵抗を入れることを考えました。

  大型で感度の高い出力管でには、安定性のためにクリッドに数kΩの抵抗を直列に入れることがあります。6BX7-PPアンプには一種のおまじないとして1.5kΩの抵抗を入れましたが、倹約設計の12BH7-PPでは入れずに直結にしていました。この違いが微妙に効いているのかもれしません。
 この抵抗を大きくすればどうでしょうか。5kΩぐらいを入れてやるとドライバがかなり楽になるはずです。直列に抵抗が入ると、出力段から見たインピーダンスは上がりますが、10kΩぐらいでも問題無いでしょう。この抵抗と出力段の入力容量でローパスフィルタになりますが、この程度ではハイ落ちというほどにはならずに済みます。直流的には誤差の程度で全然問題無いです。

 という事で、急遽ハンダごてを起動。手持ちのあった6.8kΩの抵抗を各グリッドに入れました。カソード側だけでも良いのでしょうが、そこは気分の問題です。改修は簡単に済みました。で、鳴らすとあきらかに定位感がくっきりと向上していました。低音の響きも一段豊かになった感じです。長い間、ずいぶん損してきた気がします。P-K分割の3極管アンプにはこの抵抗が有効と思われます。近いうちに、6BX7-PPアンプも手直ししようと思います。