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2019年2月7日木曜日

小型密閉式スピーカーを鳴らす

強力なユニットを極小の密閉箱に入れると、フツウではない鳴り方をします。しかしこのスピーカーはアンプを選びます。

 [製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

 常識はずれのスピーカー。当然のように低音は絶対的に不足します。しかし(それほど大きくない音で鳴らす限り)ダラダラとレベルは低下しながらも、ずいぶん低い音までしっかり鳴っているのが判ります。ただ、このスピーカーは駆動する側から見るとたいへんしんどいはずです。

 そこで、あれこれ揃った私室のアンプに加えて居室用のアンプなども動員して、繋ぎ替えて鳴らしてみました。その結果、やはりたいへんアンプを選ぶことが判りました。プッシュプルであればそれほど問題無いのですが、どちらかというと3極管が適していて、シングルは3極管でも5極管でも全然ダメでした。いずれもNFがかかっていて、数値的なダンピングファクタはそこそこ低いはずなのですが。(おそらくNFの少ないアンプだと破綻する。)

 低音は物足りないですが、小音量であれば、自然で聞きやすい音です。そして、レベルが下がる低域をイコライザで少し持ち上げると、小さなスピーカーとは思えない音になります。
 ほとんどバッフルが無い形状のためでしょうか、このスピーカーは指向性も奇妙です。軸をはずれても音に違いが少ないです。これは片隅に置いてBGM用に鳴らすには好都合です。

12AU7-PPアンプには 低域を持ち上げるスイッチを付けました

 ほとんどネタで作った変則的なスピーカーと、ネタを固めた小出力アンプの計画が交錯しました。まず3極管のプッシュプルというのはこの性悪なスピーカーには似合いの相手。12AU7は、特性的には12BH7Aと6SN7の中間ぐらい。机上BGM用ならば出力が小ささくても問題無さそう。ヒーター電力が小さく、ドライブにオペアンプを使うので全体の消費電力は小さい。長時間連続で使うBGM用には好都合。
 そこで、このアンプには「バスブースト」機能を付けることにしました。これは昔あったラウドネスとは違って、小型のスピーカーでカットオフ付近以下の低音が不足するのを電気的に補うとことを意図したものです。メインの負帰還ループにコンデンサを挟んで低域の帰還量を減らす簡単な方式にしました。

 製作したアンプにスピーカーを繋いで鳴らし、バスブーストを入り切りしてみます。普通にBGMをかけている状態ではあまり違いが判りませんが、意識して聴けばベースラインがしっかり辿れるようになります。意図したとおりの効果が出ています。

2019年1月31日木曜日

小型密閉式スピーカーという物

先日作った12AU7-PP机上用アンプに関連して、小型のスピーカーの話を。


 ずいぶん前に作ったスピーカーの事を想いだしたのは去年の今ころ、。当時の知人の発案に従って作った物で、普通のスピーカーボックスの設計から見ると全くの異端。

 低音をきちんと出すにはある程度以上の大きさの板に付けるか箱に入れる必要があります。平面の板は、大きくなければ背面の振動が回り込みます。遮音するために背面を閉じると、箱の中の空気がバネのように振舞って、スピーカーの動きに影響します。
 バスレフは、背面から出る音を共振を利用して位相反転して出すという発想です。これによって低音を増強して、小型の箱でも低音を出せるのですが、それより低い音が急激にカットされたような感じになります。また、小容量の箱では特有の癖のある音になり、音像がぼやけて隠った音になりがちで、個人的にはあまり好みではありません。

100φの塩ビ管の曲がりとキャップ。使用ユニットは8cm。


 彼の発案は『小型で強力なユニットをごく小容量の箱に入れて、その中に綿などを空所が無いほどに詰める』という物。これでは当然のように低音は絶対的に不足します。しかし(それほど大きくない音で鳴らす限り)ダラダラとレベルは低下しながらも、ずいぶん低い音までしっかり鳴っているように聞こえるのです。

 どうやら、このような聞こえ方をするにはいくつか条件がある事がわかりました。
  • 大きさの割に大出力の、磁気回路が強力なユニットを使う。
  • 内容積が極端に小さくなければならない。箱の共振点はスピーカ自体よりかなり高いところ。
  • 箱内にほとんど空所が無いぐらいに綿など軽い物を入れる。(吸音よりも空気バネとしての共振を鈍らせる、ダンパのように働くのではないかと思われます。)
  • これらと関係するので、使用するユニットが大口径ではうまく行かない。
  • ユニットはしっかり取り付けて、空気漏れしないように隙間を塞ぐ。
  • 箱自体が丈夫で振動しにくくなければならない。
ネットであれこれ見ているうちに、これに合った感じのユニットが安く出ているのを見つけ、昨年春に東京へ出かけた際に購入して帰りました。これを使っていろいろ検証した後、塩ビ管を使用してスピーカーに仕立てました。

 昔に実験した時の物よりひとまわり大きいですが、出てくる音の傾向は同じ感じになりました。全体には完全にハイ寄りなのですが、中域からなだらかに下がってゆき、レベルは低いものの重低音まで綺麗に出ています。
 全体に制動がかかる感じなのでしょうか、スピーカの能率は低くなります。それでも(大音量が必要ではないので)ボリウムのツマミを少し余分に回せばカバーできる程度。
 一方、このスピーカーは逆起電力が大きくインピーダンスがでこぼこなはずです。おそらくこのためでしょうか、たいへんアンプを選ぶことが判りました。プッシュプルであればそれほど問題無いのですが、どちらかというと3極管が適していて、シングルは3極管でも5極管でも全然ダメでした。いずれもNFがかかっていて、数値的なダンピングファクタはそこそこ低いはずなのですが。(おそらくNFの少ないアンプだと破綻するでしょう。)

 妙に音の粒立ちが良く、ステレオにするときっちり分離します。ほとんどバッフルが無い形状のためでしょうか、スピーカーの軸をはずれても音に違いが少ないです。音量を上げすぎなければ、たいへんすっきり聴きやすい音です。 そして、レベルが下がる低域をイコライザで少し持ち上げると、小さなスピーカーとは思えない音になります。

2019年1月11日金曜日

12AU7-PP 上カバーを作る

机上でパソコン使用時のBGM用に使います。真空管がむき出しではまずいです。

 [製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

 棚の中に収まっているアンプと違って不用意に何かがあたる危険が多いです。上部のカバーは必須です。置き場所を考慮すると長手を奥行き方向にして、スイッチとボリウムが前に付きます。少ないとは言え、真空管の発熱がありますから、上蓋に通気穴が無いといけません。この条件でケースを探したのですが、良い物がありませんでした。そこで、汎用のアルミシャシーにパネルを付けて、カバーを製作して被せることにしました。

 全体の発熱が多くないので、適度の通気が確保できれば、ボンネットケースのような物でなくても済みます。昔のラジオやテレビは木製のキャビネットでした。このイメージで、上部カバーは合板を接着して作り、ニスで塗りました。側面に通気のための穴を開けました。 背面上部は開いています。底面はアルミのパンチングです。

合板を張り合わせて作りました
 
 ボリウムとスイッチを付ける前パネルは残材のカラーアルミ板で作りました。文字入れは、透明ビニルシートにパソコンで裏刷りした物を貼り付けました。裏刷りなので手で擦れて消えることはありません。 ツマミは、ずいぶん前に買い込んであった処分品。やっと使ってやれました。

2019年1月9日水曜日

試運転 12AU7-PP

ドライバ段の試験をするには電源が必要。電源部を作るためにシャシーなどを加工して。結局ほとんどの作業が進んでしまいました。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

 置き場所を考えたら、奥行きを長手方向に使うことになります。縦横の大きさを基準に選んだシャシーは、深さが5cmもあります。そこでこれを利用して、シャシーの上下に部品を盛り分けることにしました。上にカバーを被せて前面にパネルを付けますから、上面の部品に触れてしまう心配はありません。

 出力トランスも電源トランスもバンド型で、特に電源トランスはカバー無しです。ハム防止のためには鉄心の軸方向を直交させたいです。それには電源トランスを横倒しに取り付けるのが良い。そのためにL字型の金具を作る。
  通気の点で、真空管はサブパネルに付けることにしました。シャシーの深さが大きいのでかなり深く沈めることになり、これに合わせるためにドライバ段の基板も高いスペーサを介して取り付けます。
 スイッチは前パネルに付けるので、パネルの加工が必要です。スイッチの位置がシャシーと中途半端に重なるので、その部分はシャシーを切り欠きます。

 結局、筐体はずいぶん複雑な構造になりました。
 
一応回路部分は完成 シャシー下面
  ヒーターとオペアンプ用と、真空管用に、電源トランスが2個に分かれています。シャシー自体をシールドに使うように、上下で高圧と低圧に分けます。
 ドライバに関係する部分はすべてシャシー下面で完結しています。動作チェックをするには、ここの部分を完成さるのが早道。しかしそれには筐体加工を完了させておかなきゃ。

一応回路部分は完成 シャシー上面
  ここまで来ると、出力段関係を作ればほとんど完成してしまいます。高圧側の電源回路は簡単です。これに出力トランスの1次側を通してプレートに繋ぐだけ。この配線の引き回しは、シャシー自体をシールドのように使って、上面を這わせています。

 入力に発振機の信号を入れて、出力波形を確認。それらしい波形は出たけれど、NFをかけようとすると・・・何か変。ていねいにチェックすると、左右チャンネルの配線の一部を取り違えるという恥ずかしいミスでした。修正してあらためてチェック。
 問題無さそうなので、出力にスピーカを繋いでみると、ちゃんとピーと音が出ます。そこで今度は音楽を入力に。予想以上にすっきり聴きやすい音です。高音はけっこう硬く鳴り、低音はゆったり伸びやかに響きます。

 買い忘れて、代用品でしのいでる部品が数個。これを正規の部品に交換して、上部カバーを製作したら完成です。このまましばらく慣熟運転です。

2019年1月7日月曜日

位相反転回路のチェック 12AU7-PP

ドライバ段の試験をするには、電源が必要。電源部を作るにはシャシー加工が必要・・・
 
 電源は仮組でも良かったのだけど、どうせ作らなきゃいけない物。スボラして後で手戻りするのは得にならない。この際だから、ちゃんと作っておこう。
 工程を途中で止めておくのは無駄だし、後から加工する部分が多ければそれだけ手間が増える。最低シャシーの背面の加工は必要。トランスを付ける金具を作って、トランスの位置を決めなければ。スイッチを付けるんだから、前パネルも作ってしまおう。
 ここまで進めると真空管の位置が決まってきます。切削屑が散りますから、金属加工はまとめてやるのが吉です。あれこれ考えて、結局筐体関係の加工はすべてやってしまう事になりました。

低圧電源とドライバ段までを配線した状態


 スイッチはパネルの前側からの取り付けです。だからスイッチに配線してから取り付ける方が楽です。ボリウムもパネルと一緒に取り付けますから、先に配線しておくのが楽です。 結局、シャシー内側に関係した配線はほんんどを済ませてしまいました。

 まずは、電源の確認。なんと、マイナスの電圧が出ていない。3端子レギギユレータまわりの問題かと思ったのですが、古い買い置きのダイオードが1個不良でした。未使用だったのですが。これを交換したら、あとは問題なし。オペアンプを差し込んで、いちばん心配だったオフセット電圧の確認。数個で差し替えてチェックしたけれど、いずれも支障無い程度でした。

位相反転回路の出力を確認

 そこで入力に発振器を、出力にシンクロを繋いで、出力のレベルと波形の確認。ちゃんと逆位相で同じレベルの信号が出ています。信号レベルを上げて振幅も確認しました。オペアンプ使った位相反転回路はちゃんと動作しています。


2019年1月2日水曜日

オペアンプで位相反転回路 12AU7-PP

 部品がだいたい揃った(はずの)12AU7-PPアンプ。ぼちぼち製作開始。

 おそらく私自身の最後の新規製作になる物。初心に返ってゆっくりやってます。まずは、オペアンプによる位相反転回路の部分。これを盛りつける基板は、用途廃止したデジタル物の基板の余りの部分を活用。

手持ちの余剰部品の活用のため、彩りが賑やかです

 オペアンプ以外にも、今回は特に手もとの余剰部品の使用を意識しています。ここで使われなければ廃棄される可能性が高い物たち。

 抵抗は、いわゆる「無駄な抵抗」をなるべく多く使えるように値を決めました。そのためメーカーなどまちまちです。コンデンサも、けっこう昔に取り込んだ物が混じってます。オペアンプを差し替えて遊べるようにソケットにしました。

 抵抗は立実装にしました。デジタル物の手法で、部品の足は基板面から少し出して切断し、導線で繋ぎました。ここには余り物のラッピングワイヤーを剥いて利用。配線は無理に裏面で引き回さずに表にジャンパを飛ばしました。

 このあと電源回路を作って、ちゃんと動作するか実験しなきゃ。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

2018年12月5日水曜日

電源トランス 12AU7-PP

真空管装置の大物部品は穴を開けた箱形シャシーにの上面に取り付けて、下側で配線するのが普通。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

  真空管は熱くなります。垂直で使うのが基本で、シャシーに付けたソケットに上から挿すのが普通(横倒しは配慮すれば可能、倒立はダメ。)です。そうすると、真空管まわりの受動部品はシャシーの下面に付くのが自然。シャシー自体をシールドとして利用しやすいです。
 シャシーのシールド効果を利用しつつ、空間を有効利用するためには、電解コンデンサやトランスなど大物部品は上面に置きたいです。ブロックコンデンサや伏型のトランスはこの使い方に便利なように進化した結果のように思います。

汎用の電源トランスはたいへん安価です
逆に言えば、シャシーの上下に部品と回路を付ける構造でなければ、これらの形状は必要がない。特に伏型のトランスなど、他の実装方法ではたいへん使いにくいです。このため、現在では真空管用以外の普通のトランスで伏型は無いです。

 真空管用は今では特殊なトランスで、品種が限られていて、値段も他に比べると高いです。汎用のトランスが使用できれば安くすみます。 予定している12AU7-PPアンプでは、汎用のトランスを使うことを考えました。安くすむかわり、当然普通のバンド型です。
 高圧電源はAC110V~120Vで足りますから、ACライン用の絶縁トランスが利用できます。ヒータはトランジスタ回路用のAC12Vのトランスを使用します。定格より5%低くなりますがこの程度なら支障は少ないでしょう。ドライバ回路は整流後安定化して±15Vを得るためにはAC12Vでは微妙に足りませんから、もう少し高い巻線が必要です。巻線の片側が接地になりますが、この2つは一つの巻線から取ることが可能です。

 まず大阪で探したのですが、残念ながら適当な物がありませんでした。そこで、東京へ行く用事があったついでに、秋葉原の東栄トランスで購入しました。

※バンド型の出力トランスと電源トランスを普通に取り付けると磁芯の方向が平行になってしまいます。取り付けに工夫が必要です。

2018年10月11日木曜日

オペアンプで真空管を駆動する

手もとにたくささんある真空管を活用する。そのために、やはり手もとにたくさんあるオペアンプをつかおうというプラン。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

 あらためて見直して、想定される使用量をあきらかに超えている12AU7。小型テレビの垂直出力に使われたこともありますが、元々は普通の電圧増幅管です。これを音声出力用に使えば・・・普通に考えればオーディオ用としては全然問題外の低出力なのだけど、実際の私室のアンプの働き具合を考えると、プッシュブルなら使えないような物では無さそう。というか、6SN7-PPの事を考えるとけっこう良さそうな感じ。小型の机用アンプを作る計画がゆっくり動きだしました。

 6Z-P1シングルアンプに使用した出力トランスについて、ふと思いついて実験をおこないました。 どうやら、このKA-1220型はプッシュプルで使えるみたい。ならば、12AU7-PPアンプに使ってみよう。
  そうなると、次はドライブをどうするか。小型で消費電力の小さい12AU7を使うのだから、ドライブ回路も小電力でコンパクトなもの。私室のアンプの中には、同様の意図で真空管アンプの回路を半導体で置き換えたドライブ回路を持つ物があります。

 手もとにはあれこれ買い集めたオペアンプICがけっこう残ってます。オペアンプは、最初の頃はそこそこ高価でしたから、安い出物を買い込んでいました。でもすぐに性能の良い物が安く出回るようになりました。そうなれば、ひと世代前の物は出番を失います。一方、安くなったので所要数以上に買ってしまった物もあります。
 これらは、今後おそらく出番が無いでしょう。これらを使って真空管をドライブできるか。プッシュプルアンプなので位相反転回路が必要です。そうなると・・・ 結局、古典的な自己平衡型の回路になりました。スルーレートの点でちょっと厳しいですが、12AU7を振ることができそうです。(12AU7は三極管としては入力容量があまり大きくないです。)
 ただ、心配なのはDCオフセット。これは実際に組んで測ってみるのが早道のようです。

2018年6月18日月曜日

プッシュプル用の出力トランス

無信号時にも出力トランスの内部を直流電流が流れています。このためトランスの磁芯には常に磁化されます。

 シングルアンプではトランスを通る電流は真空管の動作範囲の半分の電流を中心に増減します。 だから鉄芯には常時直流磁界が通ります。シングル用のトランスはこの磁界で飽和しないように作られています。プッシュプル用では、上下の巻き線で直流磁界の打ち消しが起こるので、飽和に対する許容量はあまり大きくないのが普通です。

 この直流磁界による飽和の問題から、プッシュプル用のトランスをシングルで使うのは無理ですが、シングル用のトランスをプッシュプルに使うのは(磁力の点では)問題無いはずです。

 一方、プッシュプル用のトランスは2つの巻き線のバランスが必要です。シングル用のトランスでちょうど1/2の位置にタップが出た物があればプッシュプル用になる?? そうだったら、小出力のアンプを作るのに使えるのがあるのではないだろうかしら。

 6Z-P1のシングルアンプに使った春日のKA-1220型は1次が12KΩで、ここに3KΩのタップが出ています。このクラスのトランスなら、タップは5KΩとか8KΩだと思うのですが、それよりだいぶ低い3KΩというのが謎でした。
 ふと気付いたこと。3Kは12Kの1/4ですから、巻数では1/2。そうなると、これはUL接続用のタップとして使うためかもしれません。そして思いついたことは、ここが巻線の中点(からあまりズレていない点)だったら、これはプッシュプル用に使えるのではないか。そうならば、検討中の12AU7-PPアンプに良さそうです。

春日の KA-2110 シングル用12kΩ


 このトランスが使えるかどうか、実物を測ってみるのが早道。6Z-P1アンプを解体するという方法も無い訳ではありませんが、東京へ行ったついでに買って来てしまいました。どのみち使うとなれば新たに購入することになりますから。


 まず、巻き線の直流抵抗。これはVOMで測定。
  0-3K は 290Ω, 3K-12K は 310Ωと320Ω それほど違いはありません。

 次は自作のブリッジで、1次側のインピーダンスを測定。自作なので絶対精度は怪しいけれど、比較にはなります。2次側に8Ωの抵抗を付けて、1KHzで測定。
 0-3K は 3.5KΩ, 3k-12Kも3.5kΩ 2個とも同じ。
 3Kのタップはインピーダンス的にちゃんと中点になっています。
 規格の3KΩより大きいですが、0-12K を測ると 14Kになりましたから計算は合います。

 そこで、12KΩの抵抗を1次側の両端に繋いで、発振機の信号をトランジスタアンプを通して、2次側から 1KHzの0.1 Vを入れてみました。
 0-3K には 2.1V, 3-12K にも 2.1V が出て来ました。これも2個とも同じ。巻数的にも中点のようです。
 電圧が約21倍なので、1次2次の巻数が21倍とすると、インピーダンスでは8Ωの441倍で3.5KΩとなります。上で測ったインピーダンスと合います。つまりこのトランスは、実は14KΩなのかもしれません。


 直流電流が重畳しなない状態で小信号の測定ですから、本来の使用条件とは異なる値が出て当然ですが、それでも3KΩのタップはじゅうぶん巻き線の中点として使えるようです。6Z-P1でシングルアンプに使って、なかなか良い音がしているトランスです。プッシュプルで使っても良い音が期待できそうです。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

2018年3月19日月曜日

使い残し

何かのついでに取り込んで手元に残った真空管。手持ち機器の交換に使う品種は残して、たぶん使うことは無さそうな物はしばらく前に手放しました。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

 事故はあり得ますが、無理なく使えば真空管は案外長く使えるような気がします。保守用に必要そうな数を考えると、どう考えても過剰な数を保有している管があります。

12AU7は欧州名 ECC82です。ECC83の12AX7と並んでオーディオアンプのあちこちに使われる管です。中μで内部抵抗が低く出力電圧も大きく取れます。直線性も良いです。小型でヒータ電力が小さい割に損失が大きく電流も流せるので、テレビでは発振や同期回路のほか、小型テレビの垂直出力にも使われました。
 手持ちの装置では、プリアンプの出力に使っているので、取り込んだ管が新品と中古と合わせてそこそこあります。しかし居間でレコードを聴く頻度が低下していることもあって、どう見ても使いきることは有り得ない数です。

各社製12AU7

 12AU7は許容損失が1ユニットあたり2.75W。12BH7Aの3/4程度。Rpが6.5KΩですから12BH7Aと大差無いです。テレビの垂直回路に使われていたのですから、ピーク耐圧は問題無いでしょう。これでヒータ電力が半分ですから小型のアンプにできれば面白そうです。うまく使ってやれば出力0.5W~1Wぐらいになりそう。それにはトランスに適当な物があるかどうか。
 手持ちのアンプでは、最近増殖した私室の小型アンプが1W程度の出力ですが、私室はもちろん居間に持ち込んで鳴らしても不足を感じる事はあまり無いです。パソ用のLM386使用アンプと小ネタで作成したトランジスタアンプが約0.5Wの出力ですが、私室で聴くならこれらでも出力不足を感じる事はほとんど無いです。そうなると、12AU7を使ってコンパクトなアンプが作れるなら、けっこう使えそうな気がします。

 そうなれば、なるべくネタ要素を盛り込む方向で思考ゲームです。