2016年6月15日水曜日

サンスイのSTトランス

サンスイは高級オーディオメーカーとしても有名ですが、昔のラジオ少年のイメージではやはり『トランス』。特にSTシリーズの小型トランスのお世話になった者は多いはずです。

 最初はゲルマニウムラジオから始まる初歩のラジオ工作。次はどっちへ行く。私の時代は「1石レフレックス」が定番でした。トランジスタでイヤホンを鳴らすところにトランスがひとつ。スピーカーを繋ぐにはもう一つトランスとトランジスタを足して・・・

 部屋の棚の中を片付けていると、ずいぶん前に役目を終えた装置が出て来ました。ヘッドホン用のインピーダンス整合器。中にはトランスが入っています。思いついて解体しました。
 中に入っていたトランスはサンスイのトランジスタ用トランス ST-84 。プッシュプル用の出力トランスで、1次側が150Ωで2次側は4Ωと8Ωで容量は0.7W。

サンスイ ST-84


 現代でも真空管アンプでは出力トランスを使うのが普通。しかし現代のトランジスタアンプには出力トランスは使われません。トランジスタも出始めの頃はトランスを使うのが普通でした。電池式の小型ラジオなどはかなり後までトランスを使っていました。真空管でも出力トランスを使用しないアンプも作られました。
 いろいろ難点のある出力トランスをなんとか排除したい。トランジスタも真空管も、そのためにいろいろ工夫されました。結局、トランジスタではトランスレスにする都合の良い「コンプリメンタリー」回路が作れたのに対して、真空管ではそういった都合の良い回路が無かった。

 で、出て来たトランジスタ用の出力トランス。合間の時間を利用して使い道を考えてみることにしました。といっても、このトランスをちゃんと働かせるのだから、出力段はトランス式のAB級プッシュプル以外あり得ません。あとは、これをどうやってドライブするか。
 手持ちの部品を活用して面白い回路ができるでしょうか。トランスのインピーダンスから逆に追ってゆくと、電圧12Vでほど良い出力のアンプができそうです。