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2018年3月26日月曜日

品不足になれば

物の値段は需要と供給で決まる。供給は価格により増減するけれど、これには在庫の過多も関係する。量産前提の製品であれば、製品のほか、素材や中間製品の在庫も影響する。

 6BM8は現役当時はテレビ用のレス管も含めれば世界中の多くのメーカーによって作られた管です。そして大手が製造を止めたあとも、東欧などで製造が続けられ、つい最近までは比較的安い価格で流通していました。しかし、しばらくぶりに見た6BM8の価格は驚くほど高くなっていました。
(製作した6BM8アンプについてはこちら)

 すでに真空管は過去の遺物。真空管は手作りのイメージもあるけれど、それは一部の工程。特に近代真空管は機械化によって大量に作られる部品の集合体。
  製造する機械が壊れれば、それを新たに作れるかどうか。使用する素材も製造が途絶えた物は在庫限り。代替素材があるかどうか。
  
JJはスロバキア製 松下製とは頭の丸みが違います


 大手メーカーが真空管の製造を止めたあとも、いくつかの国で真空管が作られ続けています。元々大手の下請けだった所や、古い製造設備などを移転して生産を始めたところ。そこで作られた品種はかなり偏りがあります。

 知名度が高く人気の品種なのは当然ですが、技術的に少量生産向きかどうかというのもあると思います。そしておそらく、手持ちの素材や部品を利用して作れる品種で、需要が多くて利益が上がる物を作っているのでしょう。確保していた素材や半製品を使い尽くした、あるいは金型や治具が破損した。そうなれば人気があっても製造を続けるのは無理です。

 つい最近まで製造が続いていて新品が普通に流通していた品種でも、突然製造が終了する。おそらくそのメーカーでは今後の製造は無い。今後の供給に不安が生じれば、その途端に市場価格が高騰する。

 このように、最近まで世界のあちこちで生産されていて、今はまだ新品が豊富に流通しているように見える品種でも、この先はどうなるか判りません。需給のバランスが崩れれば一気に高騰するでしょう。

6CA7-PPアンプ は EL34-PPアンプ になりました


 子ども時代からの懸案だった6CA7-PPアンプの製作。取り込んだ中古の管は松下製が合計9本。ヘタリ具合は多少違いますが、個人の趣味の道具としてならまだしばらく使える程度の物。製作したアンプ自体も管を定格よりだいぶ控え目に使っていますから、にわかに劣化することも無いでしょう。さらにロシア製の新品をひと揃い確保しています。
 それでもその先が気がかりです。あるうちと思って、ネットで安く出ていたJJ製のペア管をひと替え分購入しました。 これで、替えの真空管が無くなってアンプが使えなくなる心配はしなくて済むはずです。


2017年1月18日水曜日

ロシアから来た真空管

全盛期には世界のあちこちの国で真空管が作られていました。真空管は消耗品で簡単に差し替えてメンテナンスするイメージでした。そのため、オリジナルのメーカー以外で製造された物も多く流通していました。

 真空管の規格化とそれによる互換品の製造は米国が進んでいました。その後、欧州でも独自の規格が規定されました。これらの真空管の中にはほぼ同じ規格の物もあり、その多くは実質的に同じ(名称違い程度)物で相互に差し替え可能でした。米国型番の管は、6AQ5や6AK6などまだ米国に未使用在庫が多くある物もあります。6CA7/EL34のように欧州型番を持った管の場合、欧州型番で検索した方が多く見つかる場合もあります。

 日本も独自の真空管の規格が作られましたが、日本の真空管メーカーは米国系の型番の真空管を多く作りました。 どちらかと言うと、前者はテレビ用など特定の用途以外にはあまり使われず、一般に多く使われたのは後者でした。結果、日本規格の管は今日ではだいたい入手困難になっています。

旧ソ連製真空管 6BM8,6AU6,6SN7の互換管


 旧東側諸国でも真空管は作られていて、それらは独自の型番を持っています。 その中には欧州と米国の管の関係と同様に、欧州の管とほぼ同じ規格の管もありました。ソビエト崩壊後、これらは比較的容易に入手できるようになりました。現状では価格も安く在庫量も多いです。

 私室用に作った小型アンプの使っている真空管の中には、 かなりくたびれた管が多いものもあります。ふと思いついてこれらの未使用品を入手を検討してみました。その中で、6BM8(ECL82)と6AU6(EF94)は旧ソ連製の相当管があることを知りました。同じ所に6SN7-GTの相当管もありました。

 今回ネット通販で購入したのは、
   EF94 (6AU6) の相当管 6J4P
   ECL82 (6BM8) の相当管   6F3P
   ECC32 (6SN7-GT,) の相当管 6N8S

注意: 6J4Pは6AU6より少し背が高いです。

 まず、6BM8のアンプに 6F3Pを差して鳴らしてみました。3極部のゲインが上がったのでしょうか、交換前のくたびれた管より少しクリアな音がする気がします。

2017/01/21 追記 
 6N8Sを6SN7-PPに差してみました。動作の点でも音質の点でもまったく問題ありません。
 6J4Pを6AQ5-Sアンプの初段の6AU6と差し替えました。使用していた6AU6がだいぶくたびれた中古でgmが低下ぎみだった事もあるのでしょう。全体にこちらの方がすっきり聞こえます。
 これらの旧ソ連規格の管については、実用上差し替えて問題無く使えるものと思います。

2019/02/09 追記
 旧ソ連製の6F1Pを入手しました。規格表で比較しましたが、これはECF80/6BL8の相当管のようです。差し替えて鳴らしてみましたが、支障無く使えました。

2014年10月5日日曜日

6BM8 Single : 真空管の背丈

アンプづくりにはいろんな作業が要ります。普通は金属製のシャシーに組みますから、金属加工は避けにくいもの。

 特別な道具を出して来たり、屑が散らかるような作業はまとめてやる方が能率的です。アルミ板を加工するついでに少し前から考えていた作業を実施。
 春に作った6BM8シングルアンプ。回路はひとひねりしましたが、部品配置はごく普通。外観は完全に「初歩のラジオの制作」という感じになりましたが、美観という点ではいまふたつぐらいバランスが良く無いです。問題は6BM8の背が高いこと。太さは普通の9ピンMTなのですが背丈が1cmほど高く、広いシャシーの上に2本だけ立つと余計にひょろっとして見えます。

真空管を1cm下げました

 6BX7ほどではありませんが、6BM8もけっこう熱くなる管です。熱対策には通気が有効。6BX7アンプでは管のまわりに通気穴をあけましたが、真空管ソケットを別パネルに取り付けてシャシーとの間に隙間を設ける方法もあります。後者の場合、段差の分だけ管が低くなります。熱対策とあわせて、管を低くすることを考えました。
 管を下げると、その分だけ内部は窮屈になります。全体の部品配置はあまりいじれないので、真空管まわりの部品の取り付けだけでカバーしなければなりません。ソケットと重なる位置に平ラグ板を置いていましたが、当然これは無理。ソケットの両脇にラグを立てるしか無さそうです。スペースの節約と作業効率の点ではラグもパネルに立てるのがよさそう。手もとには昔にジャンク屋で入手したタイトラグがあります。その中で比較的背の低い物を利用することにしました。パネルは1cm下げられます。
 パネルは残材を活用しました。厚さ1.2mmの黒色アルマイト。アンプは真空管まわりだけ解体して、元のMT管ソケットの位置にGT管サイズの穴をシャシーパンチで開けました。元のネジ穴が見えてしまうのは仕方無いです。回路自体は同じなので部品はすべて再利用です。

 管が1cm下がると電源トランスとほぼ同じ高さになりました。管の周囲の穴も見た目のアクセントになっています。 手間はかかりましたが、それ以上の効果がありました。捨てずに残してあったタイトラグも活用できましたし。

2014年5月12日月曜日

真空管のウォームアップ

真空管の動作は熱電子によるもの。だから熱くならなきゃ動作しない。スイッチを入れて暖まるまでの時間は真空管らしいひととき。

  真空管にはウォームアップタイムというものがあります。スイッチを入れてヒーターが点灯して、カソードが暖まって電子が出る。それまでの時間がウォームアップタイム。
 オーディオアンプの場合、スイッチを入れて少し待つと、微かに音が出だして、だんだんそれが大きく聞こえだします。逆にスイッチを切ると、しだいに音が弱まってかすれて消えてゆきます。 真空管時代のテレビでは、暗い絵が出て、だんだん明るくなるとか、真ん中に小さく(あるいは細長く)絵が出て、これが画面いっぱいに拡がるとか。

注意:トランスレス用でない真空管のヒーターを直列にしてはいけません。起動時の温度のばらつきでヒーター断線の危険が増します。

 真空管式のテレビでは、(磁界で輝線が揺れるのを嫌って)トランスレスが普通でした。ヒーターは直列にして100Vで点火します。直列にするのでトランスレス用の真空管は暖まり方が規定されていました。普通のレス用は11秒となっています。正確にはヒーターの温度が上がるまでの時間で、定常動作に至る時間ではありません。

 うちのアンプの真空管たちはと見ると、12BH7Aがテレビ用です。12BH7のウォームアップタイムを調節したのが12BH7Aです。ドライバの6BL8は元々は欧州のテレビ用の管で、姉妹の4BL8や9A8はレス用です。6BM8も原型はテレビ用のレス管です(6BM8はレス用ではない)。
  6SN7-GTに対して6SN7-GTBはウォームアップタイムが規定されていますが、名前程度の違いしか無いのかもしれません。差し替えて比べてみるとどちらも大差無い時間で音が出てきます。

石アンプ : アンプ部と保護回路部

  トランジスタアンプはヒーターがありませんから、スイッチを入れるとすぐに動作を始めます。前段が安定動作する前にいきなり出力段がオンになった場合、スピーカーからボコっと音がでる事があります。逆に電源が切れた瞬間に不安定になる事もあります。アンプが大出力になるほどこの問題は深刻になります。ひとつの解決方法が「保護回路」。スイッチ・オン後しばらくたってからスピーカーをつなぎ、電源喪失時にはすみやかに切り離す。
 出力回路自体の工夫でこの働きをさせる方法もありますが、いちばん簡単確実なのは電磁リレーで物理的に切断すること。自作の石アンプでは異常動作で出力にDCが漏れるような場合も切断するようにしてあります。アンプ部はオペアンプICのμA749を使っていますが、保護回路はすべてディスクリートで作りました。まだこの頃はICを信用していなかったためです。

2014年3月17日月曜日

6BM8 Single : 慣熟運転中

出発点へ戻る航海。当初の思惑と順序は逆になりましたが、第一行程は順風の中で終了。残りはまた潮時を待ってから。

6BM8のアンプは無事に完成。聴き慣れた音楽をかけながら慣らし運転を継続中。中古の真空管もひととおり動作チェック。かなり酷使されたのか、足のあたりが黒ずんだ管もありますが、全部支障なく動作しています。

 やや控え目の動作ですが真空管はかなり熱くなります。電源トランスは余裕があるので、暖かくなるという程度。出力トランスがカバー無しなので漏洩磁束の影響を心配したのですが、ハムもノイズも出ずに済みました。外観の問題だけです。しばらく鳴らしているうちに新品のトランスも馴染んできたようです。全体としては普通の真空管アンプという感じの音に落ち着いて来ました。けっこう音量感のある鳴り方で、ゆったり雰囲気で聴くにはいい感じです。

古いオペアンプたち 8ピン1回路入り


 オペアンプもいろいろ差し替えてみました。特性に差はありますが、ゲインは低いし振幅も小さいです。いずれも出力アンプ部よりも広帯域で、最終的な出力では全然差がありません。低雑音でない品種でもノイズが聞こえることは無いです。上の写真は手元に残っていたオペアンプたち。それぞれ数個あります。

 左側の缶入りとその下の3個は汎用オペアンプの元祖フェアチャイルドのμA741とその互換品。日本のメーカーも互換品を作っていました。NPNのエミッタフォロワでインピーダンスを稼いで、カスコードにカレントミラーと縦積みにしてゲインを稼ぐ構成。
 LM307はLM301に位相補正コンデンサを内蔵して741に対抗したような品種。これはモトローラ製の互換品。入力部は良く似た構成ですが、出力段は準コンプリという変則構成。
 これらの次の世代は入力部がPNPになっています。上右のNE5534は低雑音広帯域を謳っていますが、用途が難しいです(要位相補償)。これはテキサス製の互換品。
 その下は入力部がJ-FETになったテキサスのシリーズのひとつ。用途を選ばない使い易いICと思っていましたが、今回の使用で意外とドライブ力が無いことが判明。
 CA3140はRCAの製品で入力部はMOS-FETです。次段以降も変な回路で、出力部はSEPPですら無いというユニークさ。RCAの製品ではCMOS出力のCA3130も持っているのですが、残念ながらこれは耐圧の問題で使えません。

2014年3月14日金曜日

6BM8 Single : 製作開始

主要部品が揃ったので、上げ潮に乗って進むことにしました。6BM8シングルアンプの製作を開始。ふりだしに戻る航海です。

 子ども時代の事とか考えると、これを最後に持ってくるべきだとは思うけれど、なりゆきでトランスが先に揃ってしまったので、6BM8のアンプの製作を開始しました。
 子ども時代は廃棄物のテレビなどの解体部品でずいぶん遊びました。レスの管を活用する知恵は無かったので、真空管は新品を買いました。トランス類などジャンク屋で外し物も買いました。今度は、管は中古ですがその他は新品です。
 おそらく、まとまった電気ものの製作はこれが最後。出番が無かったものや試作に使った物、短期間で解体した残渣など、手もとに残った部品をなるべく多く使うことにしました。適材適所とは行かなくても、そのまま捨てられるよりは良いでしょう。そのつもりで回路の方も微調整。

ケミコン シャシーに立つ
  ラグ板配線の良い所は、少しづつ作業ができること。筐体がらみの部品は全部揃いました。中身の抵抗やコンデンサはいくつかが欠けていますが、大きさの取り合いが必要な物は無いので、時間のあるうちにシャシー加工をやってしまうことにしました。シャシー加工をすると、アルミの削りクズが散らかりますから、この工程は一気にやってしまうのが吉。
 部品配置は先にいろいろ検討しましたから、作業は一気に進みます。大物の穴を開けたら仮組みして確認し、ラグ板などの位置を微調整してネジ穴開け。そのままネジ止めまでやってしまいました。中身はカラですが、外側はすっかりそれらしい雰囲気。真空管を挿してみました。
 6BM8は背丈が高い分細く見えます。真空管はこの2本だけですから、シャシー上面は広々として見えます。ちょっとボリュームのある電源トランスの前にはケミコンが2本並びました。昔からの馴染みの光景。これが無いと全然サマになりません。本来は基板付け用のコンデンサですが、こうして足を付けるといい感じです。
 

2014年3月9日日曜日

6BM8 Single : 出力段の検討

実際の物作りはまとまった時間が必要。でも、準備は合間に少しづつ進めておくのが良いです。

 大物の6CA7-PPアンプが意外とすんなり出来たのも、振り返って見れば、構想を長い間暖めてきたのが大きかったように思えます。まあ、ちょっと以上に長すぎましたが。

 今回の一件のからみでやり残したような感じなのがもうひとつ。なんとなく集まった中古の6BM8を活用すること。本数はあってもあまり状態の良くない中古ばかり。プッシュプルにするのは無理。大出力も要らないので、やはりシングルでしょう・・・・・という事で、いろいろ考えてみました。
 回路は教科書的なシンプルな2段増幅を考えます。3極部はμ=70ですから、5結にしてもNFをかけると微妙にゲインが足りません。 無理にゲインを稼ごうとせずに、前置アンプで補うことにします。そうすると(感度が低くても良いので)ULやK-NFにする余裕が出て来ます。6BM8は子ども時代に使った管です。最初はラジオを作り、ひととおり遊んだあとはアンプに作り替えて、NFをかけたり3結にしたりしました。しかし出力トランスが怪しいジャンク物で、ULはできませんでした。今度作るならULをやってみたいです。

 そこで、6BM8に合いそうでULタップが出ているトランスを探しました。あまり高価で無いのが好ましいです。選んだのは、ノグチトランスの PFM-5WSという物。カバー無しのバンド止めの廉価タイプ。リード線が下出しなので、感電の心配は無いですが、漏洩磁束の影響はどうでしょうか。

 6BM8の原型のPCL82は元々は欧州のトランスレステレビ用です。250V以上かけている作例が多いですが、本来はあまり高い電圧で使う物では無さそうです。特性図を眺めていると、200Vぐらいが良さそうです。そうなると電源トランスが問題。必要な電流を取れそうなトランスで電圧の低い物は既製品には見あたりませんでした。無ければ作る??
 6CA7-PPアンプの電源トランスを特注した春日無線に頼むとして、試しに容量を計算してみると、既製品の2割増しぐらいの価格になりました。高圧巻線はブリッジ整流にし、後での使い回しも考慮して普通程度の電圧の端子も設けました。オペアンプの電源用に使うため、ヒーター巻線のひとつは12.6V(CT付き)にしました。

 これで大物はだいたい揃いました。 実際の作業は梅雨の頃かしら。それまで、まだしばらく考える時間はあります。

2014年2月6日木曜日

真空管と整流回路

今回の主役の6CA7アンプ。回路上のかなめは電源です。正負あわせて3つの整流回路。

 安くて丈夫で扱い易いシリコンダイオードのおかげです。この電源部を真空管で作らなければならないとしたら、すごく面倒な事になっていたでしょう。昔の一般的なアンプは、単一の整流回路で、出力管から前へと次々電圧を下げながら供給する。あとは固定バイアス用に負の電圧を作るぐらい。
 この伝統的な回路構成は、長い間アンプ設計の標準的手法であったと思います。トランジスタ時代になっても、初期には同様の考え方の回路がけっこうありました。

 標準的なデジタルICの電圧は5Vです。初期のCPUの8080は面倒な仕様で、+5,+12,-5Vの3種類の電圧が必要でした。-5Vは電流が小さかった(1mA)ので、なんとか他の電圧から作ろうとする工夫がされました。後継の8085や機能的に上位互換のZ80は5V単一動作になったので、ロジック部の電源は5Vひとつで済むようになったのですが、周辺回路などで仕様上別の電圧が必要な部分は存在しました。その筆頭がモデムなどのシリアル通信。 RS232Cは(できれば)±12Vが欲しいです。メモリ関係はかなり後まで+12が必要な物が残っていました。これらのために電源回路を複雑にするのを避けたいので(電池で動かしたい事もありますし) +5からなんとかして作る工夫がありました。最後にはそのためのICまで登場しました。(これらがアナログ回路に使えるかは不明です。)

デュアル 倍電圧整流回路 オペアンプに良さそうです


 トランジスタと真空管のコンボを考えると電源がポイントになります。製作中の6SN7-GTアンプは差動段を下へ引くマイナスとバイアス用のプラスが要ります。これをどこから作るか。電流は数mAですから、B電源の巻線から取れますが、高い耐圧の部品が要りましすし、電圧のほとんどを無駄に捨ててしまうことになります。幸いどちらも電圧は5~10V程度あれば良いので、ひとつ余ったヒーター巻線 6.3Vを正負に半派整流して得ることにしました。π型にフィルタを入れても電圧は足ります。

 前置するフラットアンプにオペアンプを使おうとすると、このための電源が要ります。中点から吊って単一電源で済ませる手もありますが、できれば正負の電圧が欲しいです。振幅が要りますから、あまり低い電圧では困ります。
 電圧が足りなければ、倍電圧整流という手があります。真空管時代のテレビは、電源トランスを使用せず(磁界で輝線が揺れるのを避けられる)電灯線の100Vを倍電圧整流してB電圧にしていました。電源ラインが宙に浮く(ヒーターの電位が揺れる)のを嫌って片側を接地した半波倍電圧整流です。
 この回路を利用します。ヒーター巻線の6.3Vを半波倍電圧整流。これを上下に積み重ねて正負を作る。リップルが気になるのできちんとフィルターを入るとして、これなら±12Vぐらいは確保できます。(半派を上下で使うので、トランスから見ると両派になります。)

2014年2月5日水曜日

真空管と出力トランス

そろそろ季節が春になって来ました。暖かくなって、その後は暑くなる。

 しかし真夏に大型管のヒータの熱はけっこううっとおしいでが、寒い部屋では赤いヒーターの灯りの暖かさが気持ちよいです。暖房をかけた部屋で真空管アンプで音楽を聴き、春のお出かけの予定とか考えながら、引き続きパズルゲーム。

 手もちの6BM8はすべて中古です。来歴もさまざまでプッシュプルでは使いにくいです。6BM8で遊ぶことを考えました。6BM8は私が子ども時代に作っていじって遊んだもの。あらためてアンプを作ってもいいんじゃないか。3結でも良いけど、子ども時代にはULはやっていませんでした。K-NFといった知恵も無かったです。やりたくても使えるトランスがありませんでした。しかし今なら小型で良質なトランスが新品購入できます。再来した真空管人気がいつまで続くか判りません。作るなら、今でしょ?
6BM8 いろいろ

  当時の6BM8は定番の6AR5よりは高性能で立派(価格も高かった)でしたが、6BQ5とかに比べると格下扱いでした。メーカー製アンプ等にも使われていましたが、システムアンプとかレシーバーとか電蓄とかやや価格を抑えた家庭用が主でした。6BM8の元々の用途から考えれば、電圧200Vぐらいで使うのが良さそうです。軽く使って2Wぐらいの出力。できればULかK-NFにしてみたい。ほど良いトランスが見つかるか。

 トランジスタ以前の時代、アンプには出力トランスが必須でした。当時のラジオ少年の知る上物のトランスは「タムラ」を筆頭に「ラックス」「サンスイ」「タンゴ」といったところ。雑誌の作例はこれらを使っていました。SEL(菅野電機)やATOM(浅川電機)も雑誌広告に載っていました。部品屋へ行くと INSTANT(大阪高波)とか格下っぽい銘柄もありました。そして無銘のおそらくテレビか電蓄かの余剰品。子どもが小遣いで買えたのはちょっと怪しい安物だけ。

 家庭用のラジオがトランジスタになり、電蓄やステレオもトランジスタになり、最後にテレビがトランジスタになって。真空管が使われなくなればトランスも不要になります。気づけばほとんどのメーカーが(特別な高級品や大型の物を除いて) 製造を止めていました。在庫品が売り尽くされジャンク物もじきに枯渇しました。しかし、その真空管用のトランスが最近また新しく作られています。
 トランスという物自体は電源用とか需要がありますし、材料や基本的な技術は共通です。もう少し空白期間が長ければ(すでに適した機械など廃棄されたり経験ある技術者が退職された会社も多いようです。)難しかったかもしれませんが、細くて高圧のかかる線を巻く機械と技術を持った人材があれば(適切な設計が必要ですが)少量生産が可能です。

 幸い今はネット情報の時代です。量販するほどの需要は無くても、少量づつ作って通販や直販で売れば求める人はいます。6Z-P1アンプで使ったのは「春日無線変圧器」製、今度の6SN7-GTのは「(株)イチカワ」製です。このほか、「ノグチトランス」とか、「東栄変成器」とか比較的小型の出力トランスを出しています。かっては専業中堅メーカーが得意にしていた分野ですが、今は一種の隙間市場です。(もっとも、これらがいつまで続くかは判りません。)

追記:ノグチランスは2018年9月で廃業。販売は「ゼネラルトランス」で継続されていますが、この後は不透明です。

メモ : 6BM8のヒーターはグランドに落とすなら4ピン側と書かれた資料がありました。理由は書かれていませんでしたが、グリッドへの管内の配線が4ピン側に近いからでしょう。

2014年1月27日月曜日

6BM8で遊ぶ計画

片付けをすると、そのうち使いそうと取り込んであった物がいろいろ出て来ます。

 昔に取り込んであった真空管がいろいろ出て来ました。何かに使えそうとか、ちょっと面白そうとか、単に出会った縁とか。

 特性的に面白そうな管でも本数が半端だと使いにくいです。手間をかけてしっかりした物を作っても消耗が怖いと実用にできません。ステレオにして片方が切れてしまったりしたら・・・・ しかしある程度まとまった本数が出てきた真空管もあります。

 6BM8は私が最初に使った管。最初はラジオを作ってアンプに改造して。

 6BM8は元々は欧州のテレビ用の管で、μ70の3極部と5 極出力部の複合管。ラジオに使えば1本で音声回路を構成できます。電蓄ぐらいなら2本でステレオに。出力部は、昔のラジオ少年の標準の6AR5と比べて低い電圧で高い出力が得られます。内部抵抗も低くて感度も高いです。3極部はオーディオ用としては中途半端です。電流は取れますが、少し感度を高くしようとしたり多目にNFをかけようとするとゲインが微妙に足りません。

 まず、プッシュプルにする場合を考えてみました。いちばん簡単に済ますならアルテック型でしょう。ステレオで4球。しかし3極部のμは70。1段ではどうやっても単体のアンプとしてはゲイン不足。前に1段置くならばミュラード型という手があります。初段に双3極管を片方づつ使ってステレオで5球になります。半導体とのコラボなら・・・と考えながらSPICEで遊んでいるうちに、2段差動回路ができました。

図中の数値は適当です

 2段目でけっこうゲインを取れますから、初段で振幅を稼ぐ必要がありません。FETに高い電圧をかける必要がなくなります。この程度なら出力管のバイアス回路用巻線から作れるでしょう。2段目は(差動入力なので)自己バイアスで済ませました。管にかかる電圧が低くなりますが、振幅が足りなくなるほどではありません。差動入力なのでそれほど深く下に引かなくてもバランスします。部品点数も少なくて簡単に作れそうな回路です。

 しかし6BM8をプッシュプルで使うと7~9Wの出力が出ます。普段使うには大きすぎです。やはりシングルで使って3Wぐらいが手頃でしょう。その場合3極部をどう使うか。このゲームはけっこう難しいです。