2013年12月29日日曜日

6CA7 PP : シャシーを加工しました

シャシー加工を完了。次は内部の配線を少しづつ進めます。

 使うのは解体品のMQ-60のシャシーです。 真空管の穴は開いてます。トランスの位置は変えられませんが、ネジ穴は開け直しです。余地にうまく嵌るように微調整。プロックコンの1本とチョークコイルの位置を置き換えて、コンデンサの置き場所を確保し、チョークを出力トランスから離します。
 このシャシーは鉄板の箱の上に厚いアルミの板が載ってます。トランスなどの取り付けネジで供締めで固定される構造です。あまり物のボルトナットで固定して重ねた状態で穴開け加工。元のMQ-60はシャーシー上面にはほとんどネジが出ない構造です。これはそのまま引き継いで、元のラグ板の止めネジや真空管ソケットのネジなど使ってラグ板を固定する予定です。

部品を載せてみました ブロックコンが1本欠けてます

 穴加工が済んだので、部品を載せてみました。ブロックコンデンサは、元のMQ60の物を代用したので1本足りていません。電源トランスの背が高いです。チョークコイルはこの後ろ側に隠れています。
 ネジ穴位置の確認のつもりでネジを締めようとして、電源トランスのネジに問題があることが判明。アルミのバネルが厚いので、鉄板と合わせると 長さが足りないのです。もう5mm長いネジを使っておいて欲しかったです。年明けにネジ屋に買い出しに行かなきゃ。あ、ラグ板とかも買わなきゃ足りない。

2013年12月25日水曜日

6Z-P1 Single : 作り直しました

ハラハラドキドキというのは未熟な証拠。でもトキメキが無いと面白くありません。

 先日から進めて来た 6Z-P1アンプの作り直し。大目標6CA7プッシュ製作の前の練習試合のような意味もあります。何度かやって慣れているはずでも、しばらくやってないとすっかり忘れていることもあります。余所での経験が役立ちそうなも箇所もあります。そしてまったく新しい工夫を試すことも大切です。

 平ラグ板の使い方の工夫は、もう少し改良が必要ですが、簡単にCRの値を変更したり追加できる(後述)利点がみとめられました。抵抗のまわりを整頓できるので、被覆の耐圧の心配が軽減されます。
半導体カスコードの初段は予想以上にすんなり機能しました。音も問題無いです。
 シャーシー加工と部品配置は、中途半端に余裕があるので甘く考えてしまって、まったく検討不足でした。部品が干渉してしまい穴を開け直したので、余分なネジ穴ができてしまいました。
 配線は使い慣れたビニル被覆の単線を使いました。耐圧の点で、細い物と太い物を使い分けました。高圧のかかる所は被覆が厚い方が使用中の黒ずみが少ないです。配線後系統別に束ねてビニル紐でくくるのはいつもと同じ処理です。

ひとまず完成という状態


 ひととおり完成したあと、しばらく音出ししましたが、音楽ソースによって高音が妙にキラキラ響いて聴こえました。方形波を入れてオシロで見ると、無帰還でも角がとんがって見えます。おそらく出力トランスの高域に暴れがあり、ドライブ段は無駄に高域が伸びているのと合わせて入力の高調波が悪さしているのでしょう。

後日談:高域の暴れの原因は出力トランス2次側の引き出し線からの電界の漏洩でした。シールド取り付けで解決しました。

 安定増強のおまじないにトランスの2次側にCRを入れて、ドライブ段の負荷抵抗にCRを抱かせて高域を制限。どちらが効いたのか、すんなり聞きやすい音になりました。高域が落ち着くと中域がしっかり聴こえてきます。そのままNFをかけても安定しています。中低域が少しだぶついた感じがしますが、低音もちゃんと鳴っています。私室のヌシの12BH7プッシュのアンプとは微妙に違う雰囲気ですが、非力な5極管のシングルとは思えない音。出力が半分ぐらいだけど発熱も半分ぐらい。夏場には良いかもしれません。このまましばらく鳴らしてみるつもりです。

 

2013年12月23日月曜日

6Z-P1 Single : 作り直しています

なにごとも予習と復習が大切と言いますが、その間に挟まるフィードバックが最大のポイント。
 

  一応部品も揃ったので、6Z-P1シングルアンプの組み立て。まずは腕慣らしと新しい試みの検証という事です。

 SPICEを使うと各部の電流と電圧を簡単にグラフ化して比較できます。交流を入れれば山と谷の関係が一目瞭然。抵抗値を変えて良さそうな動作に落とし込むのも簡単。昔風のカットアンドトライですが、ハンダこては不要で費用は全然かかりません。なんとなくそれらしい回路が出来てしまった感じですが、使った部品のモデルがおおざっぱですから、実際に組んでみるとどうなるか。

  新規購入した出力トランスは春日のKA-1220です。電源トランスは中古ですが、サンスイ製です。目標の6CA7アンプは出力トランスがサンスイで電源トランスが春日ですから、ちょうど逆の関係となりました。
 シャーシー加工なんて何年ぶりかしら。薄いアルミ板なので加工自体は楽です。部品配置で見落としがあって、ネジ穴を開け直す事になり、余分な穴が開いてしまいました。それ以外は何とかできました。前面と背面のレイアウトは、現用の12BH7Aプッシュのアンプと揃えました。うまく出来たら、時々交替で使おうという目論見です。
 新しい試みのひとつが平ラグ板の使い方。組み立て後の部品の交換が予想されますから、ラグの穴を配線に使ってCRはラグ片の方に付けます。タイトラグの使い方に近い感じです。

まずは各部の電圧を測定

  まずは管無しで電源ON。手早く電源部をチェック。次は管を差して、あちこち電圧チェック。この段階がいちばん緊張します。しかしSGが予定よりも少し高目ぐらいで、あとはすべて予定の範囲内。いちばん心配だった半導体カスコードのドライブ段もSPICEが出した電圧とほぼ同じ。面白いです。
 入力に信号を入れて見ると、出力に電圧が出ます。増幅もしています。実験用の小スピーカーを付けて、音声信号を入れてみると・・・すんなりと鳴ってしまいました。低音も案外ちゃんと出ています。
 そこで出力トランス2次側を配線してNFをかけて・・・NFは12dBぐらいかかっているはずなのですが、特に異常発振も無いようです。ノイズもハムも無し。音声信号を入れてしばらく様子見。

 どうも高音が変です。妙にキラキラキンキンと。発振しかかり? NFの抵抗を外すと、かなり軽くなりますが、やはりキンキンと。我慢してしばらく鳴らしてみても変化なし。どうやら出力トランスの高域に暴れがあるようです。これと半導体のドライブ段が高域まで伸びすぎているのが重なってワルサしているのでしょう。
 NF抵抗に小コンデンサを抱かせてみましたが、(裸でも暴れているのだから当然)あまり改善せず。高域のゲイン自体を減らす必要があります。手持ちの部品にはちょうど良い物が無いので、また買い出しです。

後日談:出力トランス2次側の引き出し線からの電界の漏洩がドライバ段の回路に干渉していました。シールド取り付けで解決しました。

2013年12月21日土曜日

6Z-P1 Single : 作り直します

走り出す前にはウォーミングアップが大切。思い切って6Z-P1のシングルアンプを作り直すことにしました。

 探すと12KΩのトランスを作っている所がありしまた。買い忘れていたチョークコイルと合わせて、これを購入しました。黒色塗装のカバー付きの立派な姿ですが、ずいぶん小さいです。定格3Wは、おそらくぎりぎりの3Wでしょう。それでも、今付いているトランスよりはだいぶ大きいです。
 トランスだけ交換では面白くありません。本来の目的の6CA7アンプ作りに向けてのウォーミングアップという意味で、回路部分も作り直すことにしました。SPICEで設計した回路の検証も兼ねています。

6Z-P1 Single 作り直し 新規購入した部品

 小信号用の抵抗は安いです。中にははずして再利用できる物もありますが、手間と信頼性を考えて新しく買い直すことにしました。電気店の現状把握も兼ねて、日本橋へ。
 電気の街といっても、元々日本橋は家電が中心で部品専門店は少なかったです。元々の店の生き残りと後から来た店と合わせて、一般的な部品小売りの店は現在は4店。かなり得手不得手があり、微妙に価格差があります。部品メーカーの消長もあって、在庫限りということでしょうか、値によって欠品があったり。
 メーカーの消長という点で感慨深いのは半導体。汎用のトランジスタなどごっそり廃品種になっていて、真空管時代の終わりの頃を思わせる状態。 どこも在庫の品種が少なくなっていて、価格差も大きいです。お馴染みの2SK30はまだ在庫がありました。しかし高耐圧のトランジスタは見事に消滅している感じ。探して見つけた物は、2SC2621。テレビのクロマアンプ用で、製造した三洋はテレビ製造でも知られた会社ですが、メーカー自体すでに消滅しています。
 元のアンプ自体、作ったままほとんど使っていなかったので、大半の部品は綺麗なままです。電源トランス(これは中古)など、大物の部品はそのまま転用します。シャーシーは、私室で現用のアンプと揃えて、薄いアルミシャーシー(通称弁当箱)にします。まずは初歩のラジオ工作です。

2013年12月12日木曜日

6CA7 PP : ドライバ段の設計 SPICEで

物は試しとSPICEを入れたので、ついつい遊んでしまいました。

 シミュレーターを使うにはパーツのデータが必要です。基本的な抵抗やコンデンサは入っていますから、微妙な特性が影響するような動作でなければ、ある程度の受動回路は組めます。汎用のロジック部品なども入ってますが、困るのはトランジスタなどの能動部品。先のシミュレートの際には、ネットで探して必要なデータを入手できました。ついでに探すと、主な真空管のデータもありました。うまく働くでしょうか。という事で、真空管の回路を描いてみました。トランスのデータが無いので、ドライブ段のみのですが、おおまかな電圧配分と振幅やゲインを確認できるでしょう。

2段差動 ドライブ部の検討
  初段と2段目は直流的に分離しているので、それぞれ別々に定数をいじれます。シミュレータでは異常動作しても危険は無いので、抵抗の値を少し変えて動作のバランスを崩してみるとか。
 まず、先の計算値をそのまま入れて走らせてみます。一度目は見事に異常動作しましたが・・・配線ミスでした。繋ぎ直すと、ちゃんと出力が出て来ました。
 6FQ7の2段目は、ほぼ予定どおり動作になりました。実用上ばらつきの程度でしょう。かなり謎だった1段目は 、シミュレーターでは予定とちょっと違う動作点になりましたが、だいたいマージンの内に入っていて問題無い程度。この段はゲインが高目に出て、トータルでは300倍ぐらいのゲインになりました。振幅にも余裕があります。仕上がりゲインをちょっと高目にしても20dBぐらい負帰還がかけられそうです。真空管には2~3割のばらつきがあります。実際に組んでみるとどうなるか判りませんが、けっこういい具合に進んでいるのではないかしら。

2013年12月10日火曜日

6Z-P1 Single : 回路を再検討してみる

わが家のアンプの利得について、あらためて計算してみました。

 アンプの入力の基準は、どのぐらいが良いのでしょうか。入力レベル0dBで最大出力という考え方もあります。しかしアンプの出力の大小でゲインが違うと、使うアンプによって入力ソース側のボリウムの加減が違ってきます。

 私室で使っているアンプ控えの石アンプと普段居間で使っているアンプ。出力は違いますが、つなぎ替えて使ってもボリウムの位置はほぼ同じです。これは、最初に作った居間のアンプに仕上がりゲインを揃えてあるからです。で、最初に作った時の基準になったのが・・・当時使っていた某メーカー製のアンプ。最初はこれとつなぎ替えて遊んでいたので。
 16Ωで約24倍、8オームで約15倍のゲイン。あらためて計算して見ると、0.7Vで約20Wの出力になります。思い起こせば、たしか元のアンプは20Wだったような。今度のアンプは出力30Wですが、仕上がりゲインをどうするか、ちょっと悩ましいです。

 大出力のアンプは、当然それだけの振幅を得るのに必要なドライブ段を持っています。 逆に苦しくなるのは小出力のアンプ。規模に見合った簡単な回路では裸ゲインがあまり高く取れず、しっかりゲインを稼ごうとするとドライブ段が不釣り合いに大げさになってしまいます。お遊びで作った12BH7Aシングルアンプは10倍ほどのゲインになっていました。12AX7の1段ですから、NFをかける余地を確保するために低く設定したようです。

FETと高耐圧トランジスタをカスコード接続 = 5極管モドキ

で、先日の6ZP-1シングルアンプ。これも仕上がりゲインが低目に設定されています。

 6Z-P1は5極管としては感度が低いです。入力は6V6と大差無いのですが、得られる出力は1/4。ゲインは半分しかありませんから、全体で同じ裸ゲインにするにはドライブ段が2倍頑張らなきゃいけない事になります。前段に12AX7を使ったとしてもNF掛けて仕上がりゲイン15倍は難しいでしょう。2段にするか高増幅率の5極管を使うか、いずれにしても6Z-P1には不似合いっぽい。
 このアンプは真空管のかわりにFETの2SK30Aを使いましたが、ゲインが全然足りなくて仕上がりゲインを抑えてもNFが3dBしかかかってませんでした。定数を微妙に見直してゲインを上げてNFを10dBほどに増やしてみましたが、どう考えてもこれが限界。ゲインを稼ぎつつP-Pで20Vの出力を得ようとすると、電圧が足りません。しかし2SK30Aは高耐圧といっても50V。この点では真空管には全然及びません。古い資料を見ているうちに思い出したカスコード接続。FETの上に高耐圧のトランジスタを積めば高い電圧で使えます。うまくやれば、B電圧でそのままドライブできるのではないかしら。

 という事で、フリーのSPICEソフトを利用して検討してみることにしました。上のトランジスタのバイアスは、電流がほとんど流れないので出力管のカソードから取ることを考えました。回路は簡単です。普通の5極管を使った場合と同じぐらいの定数を入れて走らせてみると、なんとなくいい感じの動作になります。裸で40倍ぐらいのゲインが得られますから、仕上がりを16倍にしてもほど良いぐらいのNFがかかります。振幅もじゅうぶん余裕があって、6AU6あたりよりも使い易そう。
 そうなるとあとはトランジスタ探し。300Vぐらいで1Wぐらいのトランジスタって、けっこういろいろ出回っていた印象なのですが・・・検索してみると、すでにほとんど絶滅状態のようです。 このクラスのトランジスタの代表的な用途はと考えると・・・テレビの映像回路。テレビの回路がだんだんソリッドステート化されて最後に残ったのがブラウン管。ブラウン管も真空管ですが、それもついに液晶になって消滅。そしてその相方となっていたトランジスタも供に消えて行こうとしている感じです。まだ店頭在庫はあるかしら。電気屋街へ行ったら探して見なきゃ。