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2024年1月28日日曜日

スマホをつなぐ

 スマホの音をオーディオセットで出したい。ヘッドホン端子と外部入力をコードでつなげば良さそうですが・・・

 発端は部屋で中波ラジオを聴こうとした事。しばらく使ってなかったのでラジオの電池が切れていた。そういえば、スマホにラジコのアプリが入っている。ならばスマホをアンプの外部入力に繋げば良い。使用中のスマホにはヘッドホン端子がある。3極のミニプラグだからコードはある。ラジコで局を選ぶとスマホのスピーカーから音が出る。そのままヘッドホン端子にコードを差し込むと・・・音はスピーカーから出たまま。
 昔のイヤホン端子などはプラグの抜き差しによって物理的に接続が切り替わっていたが、スマホは電気的に切り替えているらしい。アプリが何かしてる??
 そこで音楽プレーヤーを起動して試す。やはり切り替わらない。かわりにヘッドホンを挿してみると、ちゃんと切り替わる。どうやらヘッドホン端子にコードが挿さったのが検出されてない。試しに中継コードを挟んでヘッドホン繋いで、途中で外して断線状態にすると、スマホから音が出る。オーディオセットの入力インピーダンス(この場合は抵抗)が高くて無接続と判断されているらしい。対策として、負荷になるようにコードのプラグの所で信号とグランドの間に外し物の中から拾い出した抵抗100Ωを付けてみた。すると音が出た。当面はこれで何とかなったけど・・・

 今後も使う事があるかもしれない。時間のあるうちにちゃんとしたコードを作ろう。そうなると、抵抗はどの程度が良いのだろうか。ヘッドホン偽装するならL性の方が良いのか。現用のスマホ以外はどうなのだろうか。そういえば、出力の断続をどうやって検出しているのだろうか。実用上の問題は無いのだけど、安全性の点ではスマホ側とステレオセットの間を分離したい。
 思いついたのはトランスを入れる事。直流阻止とグランド分離とインピーダンス整合。コイルが入るという事ではヘッドホンと同等です。手持ちにちょうど良さそうなトランスがあった事を思い出しました。

 これは昔はアマチュアの電子工作では定番だったサンスイのSTシリーズのトランスです。手許に残っていたのはST-12という入力トランス。しらべるとまだ現行品のようです。1次側が100Kで2次側が1KΩ。これを逆向きに使います。本来の2次側の直流抵抗は45Ωですから確実に接続が検知されるはず。巻き数比が10倍ありますから、普段の音量位置ではスマホの出力がちょっと低いのを救済する事にもなります。

 ガラクタ箱をかきまわして、ブラグ付のコードの断片と外し物のラグ板を引っ張りだして簡単工作。スマホを繋ぐとちゃんと音が出ました。まあ音質の方はスマホの音声回路の方の問題でしょう。 (この後簡単なカバーを付けました。)

2024年1月14日日曜日

ラックス MQ-60/KMQ-60 アンプの修理に関して

ここにアンプの製作の記事を載せるようになってから 、今までに数回相談がありましたので、現況での考えをまとめて置きます。何かの参考になれば。

 私が製作した6CA7-PPアンプはシャシーにラックス製MQ-60アンプの解体品を利用しました。この繋がりでの御相談のようです。
 
これはまったくのオリジナルの回路です入手したのはほとんどの部品を外されたシャシー部のみでした。使用したトランスや真空管は元とは異なっています。既存のアンプの改造/修理には該当しないと思います。

 ラックスのMQ-60アンプは微妙に内容の異なるいくつかの仕様があるようですが、基本的にはOY15-5トランスを使用した50C-A10のプッシュプルアンプで、ドライバはカソード結合(ムラード)型で、初段が6267の3結、位相反転が6DT8。最大の問題は出力管の50C-A10が交換困難。次に出力トランスの故障/不良。トランスについては多くの製品に使用されアマチュアの製作にも使われた物ですから、それなりの程度の中古品があるようです。また(それなりの価格ですが)代替に使える製品もいくつかあります。しかし出力管の50C-A10は元々耐久性や寿命の問題があり多くは早期に不良になっています。NECのオリジナルの管で他社製や類似品はありません。使用された製品が少ないので、新品はもちろん程度の良い中古も入手は難しいです。ある程度の期間実用にしようとすると、これは改造置き換えを検討するべきでしょう。

 50C-A10 は回路的には3極管ですがこの規模の3極管は当時も現在も他に存在しません。そしてこれの構造はビーム管を内部で3結にした物ですから、ビーム管(5極管含む)の3結で代用するのは自然でしょう。
 この規模の管で現状で入手が難しくない物でとなると、6L6-GC、6CA7,6550あたりでしょう。

 50C-A10の出自からはカラーテレビの水平偏向管も候補になると思いますが、規格上の耐圧を越える心配とプレートキャップが要る点であまり勧められません。

 いずれもソケット交換が必要です。元の回路部分が動作していたとすると、6CA7に替えるのが簡単そうです。管の外観がだいぶ異なり、出力が少し小さくなりますが、出力トランスとの組み合わせも問題ありません。
 50C-A10はヒーターが50Vで、これを2本直列にして電源の100Vで点火しています。このため搭載の電源トランスには出力管のヒーター用の巻き線がありません。6CA7の場合は4本で6Aの電流になります。電源トランスを載せ替えるか別にヒーター用のトランスを付けるか。前者は費用的に大袈裟になります。後者は筐体には載らないのでケーブル引き出しで別置きする事になります。

 ドライバ回路については、振幅もゲインも問題ありません。バイアス回路は調整範囲を超えるかもしれませんが、抵抗値の変更(追加)で対処できる程度です。裸ゲインが変わるので高域が不安定になるかもしれませんが、位相補償をいじるよりも仕上がりゲインを変えて帰還量を同程度にする方法が簡単でしょう。おそらくこの程度で、元の回路をそのまま保つ事ができると思います。

 なお、3結にする際には、第2グリッドは直接ではなく数百Ω程度の抵抗を介してプレートに結ぶ方が安心です。また、当時のコンデンサは元々耐久性が低くおそらくかなり劣化しているはずなので、積極的に交換すべきです。特に段間の結合コンデンサと位相反転部のグリッドを接地するコンデンサは漏洩電流が怖いですから。そのほか、電解コンデンサも可能なら替えておくべきだと思います。バイアス回路の可変抵抗も交換した方が安心でしょう。あとは・・・入力部の直流阻止は個人的にはぜひ入れたいです。原型尊重という点からもこの程度で済ますのが良いと思います。

2022年1月29日土曜日

ハンダゴテの働き場所

長年の積み残しの課題を片付けたあと、残渣の整理かたがた始めた真空管アンプ工作も完全に終了。あとは残った物の始末。

 部品で使えそうな物は譲渡したりオクなどで売ったりしてあらかた片付きました。時代遅れのデジタル物は保守用にもなりそうに無いので、早々に廃棄しました。あとは無駄な抵抗とか半端な物ばかり。希少そうな物もありますが、必要な人に届くような道筋が浮かびません。これらもそのうち、まとめて捨てることになるでしょう。

 立場が微妙なのは工具たち。何かしら作る事はありますから、ドリルやヤスリなど汎用工具はこれからも活用するでしょう。一方、シャシーパンチやニブラーなど専用工具はもうこの先本来のような使い方をする可能性はありません。それでも何か使い道はあるかもしれません。手放したら再度入手するのは難しいです。立場が微妙なのはハンダゴテ。がっつり働く事はなくなっても、ちょこちょこ出番はあります。


反対側も傷んでいるので両方とも交換します。

 私室で使っている床置きのスピーカー。狭い部屋なので、聴く場所に合わせてあちこち移動し、そのあとは片隅に片付ける。床を滑らせて運ぶので、時々コードをひっかけます。たいがいはコードが外れるのですが、時には先がちぎれたり。そして、そのストレスが蓄積して端子自体が傷んでくる。先日、ついに破損。反対側も傷んでるので合わせて交換します。
 以前なら日本橋の部品屋で買うのですが、今回は通販で購入しました。感染症蔓延の事が無くても、ここしばらくあちらへ行く事が無くなっています。百円ほどの物ですからこれだけ買いに行くのは無駄。交通費を考えればそれほど高く無い。そして、今日はしばらくぶりにハンダコテの出番。


2021年6月5日土曜日

BGMにmp3をかける (その3)

しばらく前に作ったmp3プレーヤー。USBにデータ入れて挿すと順次演奏するので、軽い音楽をダラダラ流すには便利。けっこうな曲数入る。でも入れすぎると曲を探せない。

 以前に使用したモジュールは比較的安い物。データをフォルダー 分けして入れても、全部続けて演奏される。もう少し高機能な物ならどうだろうか。ふと思いついてネットで探して、海外通販で購入しました。

 昨年から買い物に出にくい状態が続いています。なるべくお出かけは控えて、最小限の用事だけ手早く済ませるようにしています。人通りの多い所をあちこち歩き回って探すような事は避けたい。電気屋街に行こうとすると、乗降の多い駅で乗り換えることになるので。
 中国からの通販は安いのですが、何時届くか判らない。とにかく日数がかかります。長く待って届いた物が破損だった事もあります。何より、取説らしき物が無かったり、あっても製品と仕様が合ってなかったり。それでもまあ当て物ゲームと思って挑戦するのもアリかもしれません。

 で、しばらく待たされた後で問い合わせると品切れと。そこで代替になる物に注文変更。またしばらく待って封筒が届いたのだけど、今度は中身が違う。発送ミスだとかで交渉の結果返金。あきれて別の店に注文。またしばらく待って、今度は何とか届いた。あれこれ合わせて2か月ほど。この間に、筐体や電源などあれこれ考えました。

 手持ちの材料をやりくりして買い物に行かずに済ませる。余り物や解体部品を活用するパズルゲーム。ローパスフィルタはひと捻りしてオペアンプを反転増幅で使う多重帰還型の回路ができました。

木製の筐体に木ネジ止め

 今回入手したモジュールはパネル面が少し大きく、手許には合う大きさの筐体がありません。アルミケースを新たに買うのは大袈裟。あれこれ考えて、残り物の木の板で箱を作ることにしました。側面と背面は12mmの板で、上面は薄い合板。底蓋も薄い合板。子ども時代にはやらなかったけど、子どもの工作っぽい。電源トランスなどの取り付けは木ネジで。

 モジュールの電源は5Vです。手許に6.3Vのトランスがありました。これをブリッジ整流すると約8V。3端子レギュレータ入れるにはちょうど良いけど、オペアンプには足りない。探すと、うまい具合に5~9V入力で±12Vが出るスイッチングのモジュールがありました。物は試しという感じで、これを使って見ることにしました。ノイズが心配でしたが問題はありませんでした。

2020年9月3日木曜日

抵抗器も熱い

まだまだ暑い日が続いてますが、そろそろ秋が近い感じ。朝晩の風は少し涼しくなって来ました。

 私室ではトランジスタアンプと併用しながら真空管アンプで音楽鳴らしています。気分程度の違いですが、先月は消費電力が最小の6AK6-PPが働いていました。今月は気分を変えて6Z-P1のシングルに。シングルアンプですから、出力の有無にかかわらず電力を消費します。音になっていない分はすべて熱です。

 真空管アンプでは、真空管のヒーターの発熱が目立ちますが、それ以外の部分も発熱しています。大型の管では出力管のプレートからの熱も目立ちます。しかしそれ以外の回路の発熱も要注意なのですが、昔は普通はほぼ完全に意識されていませんでした。

 真空管にかぎらず、電子回路のあちこちに抵抗器が使われています。抵抗に電流が流れると{ 電流 × 電圧=電力 }の分の熱が発生します。この熱は抵抗器自体を加熱します。だから電力の大きな抵抗器は温度に注意が必要です。これはトランジスタ回路でも同様、というか、実装密度が高く温度に敏感な分一層要注意だったのです。
 トランジスタは温度で特性の変わるので発熱とその処理を考えるのは当然の事。そしてその心配は一緒に組み込む抵抗器にも及ぶ。

12G-B3/7シングルアンプ 出力管まわりの抵抗の処理

 昔の真空管用の抵抗器は容量の割に外形が大きかったです。そのため大きな表面積から熱を放散することができるので、定格に近い電力でもあまり高温にはなりません。たとえば1/2Wの抵抗は1/2W近い電力で使っても長時間耐えました。ところが最近の小型の抵抗は、短時間ならその電力に耐えるという設定です。1/2Wの抵抗を1/2Wの熱が発生する所に使うと、数分も経たずに非常な高温になります。つまり、抵抗器からの熱の行方も考えて、容量に余裕のある(表面積が大きい)抵抗を使うか、放熱の処理をしなければならないのです。


 抵抗で発生した熱は、一部はリード線を伝わり、残りはその表面から周囲の空気に伝わります。抵抗の周囲の空気の温度が上がり、この熱は周囲の部品を暖め、最終的には筐体に伝わります。抵抗の周囲に適切な通気が確保できていなければ、筐体内は筐体表面より高い温度になります。発生した熱は最終的に筐体の外面から放熱されるのですから、余分な回り道を辿るよりは、抵抗の熱を効率良く筐体に伝える方が良いはずです。

  アマチュアの製作などで、大きな放熱器を密閉した筐体内に取り付けたものがありますが、これはまったく無意味です。放熱器を外面に付けるか筐体内の通気を確保する、あるいは筐体自体を放熱器として扱って熱の流れを作るべきです。

 写真の12G-B3/7シングルアンプはカーソド抵抗器の発熱が大きいです。低μでバイアスが深く、シングルアンプで電流が大きいです。概算で1.4Wぐらい。通常の炭素皮膜(金属皮膜も同様)は外装の耐熱性が低いので大型の物を使っても長時間の使用では焼け焦げの心配があります。そのため耐熱性が高いセメント抵抗を使用しました。小型であるかわり表面からの放散だけでは温度が高くなるので、リード線からの放熱も利用します。取り付けには磁器製のタイトラグを使用し、熱が筐体に伝わるようにしました。ラグの足に近い側に抵抗を置き、熱が嫌いなコンデンサは少し離してあります。

 G2に直列に入っている抵抗は手持ちの難燃性皮膜の抵抗を使いました。外装の耐圧の不安はありますが、電流が小さいので小型の炭素皮膜で済みます。

2020年8月10日月曜日

真空管アンプは熱い?

暑い日が続いてます。あとしばらく我慢。そんな中でも、今年は真空管アンプで音楽聴いてます。

 真空管は橙色に灯るヒーターがポイント。これは飾りではなく、真空管が熱さに耐えて真面目に働いている証拠。だから、LEDなど仕込んで照らすのは何か違うような気がしています。

 冬は暖かく見えるヒーターの灯りですが、夏は暑苦しく感じてしまいます。とは言ってもこれは気分的な物で、室内で使っている他の電機製品全体から見れば問題になるほどの発熱ではありません。特に最近製作したような小型アンプならばその消費電力自体が小さいので、ホント気分程度の違い。でも、アンプの置き場所は棚の中なので・・・・

 しばらく前に電源1次側で消費電力を測りましたから、これに従って春から夏に向かって、順繰り発熱の多いアンプから少ないアンプへと繋ぎ替えて来ました。そして、先月半ばからは消費電力最少の 6AK6-PP が働いています。
6AK6プッシュプルアンプ

 このアンプは5極管のプッシュプルで効率が良いこと、ドライブがトランジスタという事もありますが、使っている 6AK6 のヒーター電力が小さいことが効いています。.6.3Vで150mAですから、4本でも僅か約.3.8Wです。
 あらためて、他のアンプのヒーターの電力を計算して見ます。最大は当然ながら 12G-B3/B7シングルで約15W。次が12BH7ブッシュブルの約13Wですが、これはドライバの6BL8のヒーター電力が大きいからです。出力管だけなら 6SN7プッシュプルと同じ約7.6Wです。ドライバが真空管だとその分のヒーターが効いてきます。6AQ5のプッシュプルは駆動が半導体ですから450mAが4本で約13W。シングルの方はドライバに使った6AU6の分がかわりに加算されて約9.5W。6BM8は複合管で、その3極部が加わって約9.8W。6BX7はヒーター電力が大きいですが、1本でステレオになっているので、ドライバ込みで約11Wで済んでいます。管は大きいですが、6Z-P1のヒーターは6AR5より小さいです。そのためドライブが半導体という事もあって約4.4Wです。いずれも、普通の電球よりずっと少ない発熱です。つまり気にするほどの事では無いです。

 もっと暑くなると冷房をかける時間が増えるので、そうなれば居直ってラスボスの6CA7-PPを部屋で鳴らすのもアリかもしれません。

2020年4月3日金曜日

BGMにmp3をかける (その2)

作業中とか、だらだら音楽をかけるにはUSBメモリーに入れたデジタルデータが便利。机上用アンプに繋いでる装置の使い勝手が良いので、もうひとつ同じような物を作ることにしました。

 デジタルの音楽データにはいろんな形式があります。いちばん一般的なのはmp3でしょうか。圧縮効率が良いのですが、音質的にはいくつか問題があります。非可逆圧縮であり、その圧縮時のアルゴリズムによって音質がかなり変わるのが困りもの。mp3の他にもいくつかの形式がありますが、総合的に見れば大同小異。結果、単独の音楽用についてはmp3が使われ続けています。一方、まったく非圧縮のwavデータからある程度小さくできる可逆圧縮の形式もいくつかあります。両者を合わせればかなりの種類があります。統一できれば良いのですが、非可逆形式の場合は変換するほどデータとして劣化がおこります。つまり、ある程度一般的な形式については、そのまま再生する方向で考えた方が良いでしょう。

 で、今回入手したモジュールは、以前に入手した物より多くの形式をサポートしています。電源が5V単独なのは同じですが、直接スピーカーを駆動するのではなく、別のパワーアンプに接続する仕様です。つまり出力がグランド基準のラインレベル。これは案外使いやすい??

ケースも含めてすべて余剰部品と解体廃品の活用


 で、とりあえず+5V(USB電源)を繋いで見ました。ちゃんと機能して、音楽が再生されたので、不要装置の解体廃品を利用して実用的な装置にまとめることにしました。トランスは少し電圧が高いですが、必要な電流は少ないですから、5Vの3端子電源ICを通せば問題無い。

 簡単な工作で済ませて、オーディオセットに繋いで聴くと・・・やはり音がガサツな感じ。基板上にはチップ部品がいくつか付いてますが、ちゃんとしたフィルタになっているようには見えません。そこで前作で有効だったCRフィルタを付けてみました。ライン出力でインピーダンスが不明なので、適当に作ったのですが、効果がいまひとつな上に音質に影響が出ました。

 やはりトランジスタでバッファを入れるか。という事を考えていて思い出したのが、オペアンプ使った帰還型のLPF。幸い整流直後の電圧がDC12Vほどありますから、念のため9Vの3端子レギュレータを挟んでも汎用オペアンプを働かせるのに足ります。
 この時期に部品の買い出しには行きたくないです。手持ちをかきまわしたところ、解体部品も活用すれば16KHzのフィルタができることが判りました。という事で急遽追加工作。

 フィルタは昔にオペアンプで作って遊びました。それで甘く考えて、電源まわりの処理をテヌキしたら異常発振が起こり、急遽パスコンを追加。グランドの処理をいいかげんに済ませたのが祟ってハムが出て、レギュレータまわりとか配線をやりなおし。さらには、ケチって使った解体部品の抵抗の1本がノイズ発生器になってたり・・・と、いろいろあって1日遊べました。

2019年10月14日月曜日

アンプの発熱と電源トランス

大出力アンプはそれ相応に熱くなりますが、真空管アンプは小出力でもそこそこ熱くなります。

 A級アンプでは無信号時には出力に回されない分の電力が出力素子で消費されますから、大出力アンプほど発熱する理屈。AB級アンプでもアイドリング電流が流れます。このアイドリングはトランジスタの場合はかなり少なくて良いので、大出力アンプでもあまり熱くならないのです。
 ドライバ回路はA級動作なので無信号時にも電流は流れます。ここは出力の大小よりも回路方式による違いが効いてきます。動作電圧が高い真空管アンプの方が不利ですが、一般的に見るとトランジスタの方が複雑な回路を使う傾向があるので、この部分は案外トランジスタアンプの方が発熱しているかもしれません。
 しかし真空管にはトランジスタには無いヒーターというやっかいな物があります。特別な物を除くと小型の管でもそこそこの大きさがあり、おおまかな傾向としては、大出力用の管ほど大きくなります。

 私室のアンプは棚の中で使うので、あまり発熱が多いと夏場は困ります。真空管を含む信号回路部分は(各部の動作電流の和×B電圧)で求められます。電流の和は、電源部のフィルターの抵抗のドロップから簡単に求められます。これにヒーター電力を加算すると、回路全体の消費電力になります。この値からアンプの発熱の多少を知ることができます。

 ところが、これらは電灯線の電源からそのまま供給されるのではなく、すべて電源トランスを通って来ます。この部分でかならずいくらかのロスが生じます。このロスもアンプを熱くさせる要素になります。つまり、実際のアンプの熱さを考えるなら、トランスも込みで見なければなりません。

 ふと思いついて、揃った私室用小型真空管アンプの実際の消費電力を測ってみることにしました。それには電源トランスの一次側に入る電流を測れば確かです。教科書的には、ここに電流計を入れれば良いのですが、それには交流電流計が必要です。
そこで、『きわめてアマチュア的で野蛮な方法』を使って測定することにしました。

下記の方法は感電や測定機器など破損する危険が高いです。安易におこなってはいけません。


 延長コードを加工して、片方の配線の途中に1Ωの抵抗を直列に入れました。回路全体から見ると1Ωは無視できる値です。この両端の電圧を測ります。ここに生じる電圧を測ればオームの法則から電流が求められます。たとえば 0.3Vであれは 0.3A流れているので、電力は 30Wという事になります。

測定結果は 昇順に
6AK6 プッシュプル13W
6Z-P1 シングル 20W
6SN7 プッシュプル 21W
6BM8 ULシングル 25W
6BX7 シングル 26W
6AQ5 プッシュプル 29W
6AQ5 シングル 30W
12BH7A プッシュプル 32W
12G-B3/B7 三結シングル 36W

 6AK6-PPと6SN7-PPはヒーター電力が4Wほど違いますが、規模的にはほぼ同じですから3極管と5極管の電圧利用率の差が効いているようです。
 6AQ5 シングルと6BM8 ULシングルはほぼ互角のはずなのですが、6AQ5 シングルがずいぶん高いです。このアンプは(定格では容量に余裕があるはずなのに)電源トランスがかなり熱くなるので、ここの損失が大きいのでしよう。

 12BH7A-PPはかなりA級寄りの動作で、プレート損失では6BM8-Sや6BX7-Sと同程度ですが、ドライパが真空管の6BL8というのが不利に働いてます。6AQ5-PPはを12BH7-PPに合わせて製作しました。だいたい近いですが少し小さく出ています。12BH7-PPの方が電源トランスが熱くなるので、能率の差でしよう。
 かなり超過するつもりで作った12G-B3/B7 三結シングルが意外と低く出ました。このアンプは電源トランスがあまり熱くならないので、トランスの能率が良いのかもしれません。

2019年4月22日月曜日

リアクタンス負荷

普通のオーディオアンプの設計では、便宜的に出力に接続する負荷を抵抗として扱います。しかし、実際に接続されるスピーカーは単純な抵抗ではありません。


 古い雑誌を見ていると面白い記事がありました。記事の内容は、当時登場したばかりの縦型FET(静電誘導トランジスター)の特性と現実の動作に関する考察でした。この素子は普通のトランジスタや接合型FETとは全く異なる静特性を持っていました。一見すると真空管の三極管と似ているので、ここから昔の三極管vs五極管の論議が持ち出されました。とは言っても、昔の真空管のように出力トランスを使うのではありません。真空管では不可能な逆極性のペアを使ったプッシュプル。真空管と同じように考えて良い訳はありません。あらためて見直します。

 トランジスタを使ったアンプの出力部は、最初こそトランス結合でしたが、コンデンサ結合のSEPPになり、すぐにコンプリメンタリーSEPPになり、出力コンデンサも不要のDCアンプ構成になりました。抵抗負荷なら、これらは単純に等値なのですが、実際のスピーカーを考えると、本当に等値なのだろうかという疑問が生じます。

実際のスピーカーはけっこう複雑な動きをします
  
 通常のスピーカーは細い導線を巻いたコイルを磁界の中に置いた構造です。コイルにはコーンが取り付けられています。純抵抗なら、アンプの出力電圧と電流は、電圧に関しても周波数に関しても比例する関係になるはずです。しかし、コイルですから、周波数的には直線ではありません。コイルの動きは物理的にコーンなどに抑えられるので、この分がインピーダンスに影響して来ます。動いたコーンは元に戻る時に逆に電流を生じますし、低域の共振点あたりでは振動によって生じる電流がアンプに流れ込んで来ます。

 前述の雑誌記事の要点は、現実のスピーカーを考えるならば、純抵抗から純リアクタンスの間にあるはずで、アンプの動作を考えるならば、抵抗負荷で考えたのでは不十分なのではないかという内容でした。(スピーカーの共振や外乱による電流まで考えるともっと面倒になりますが。)
 リアクタンス負荷では、電圧と電流は位相が90度ずれますから、静特性の図では直線ではなくリサージュのような円になります。記事はSEPPプッシュプルのAB級の領域とB級の領域の遷移についての考察でしたが、この問題はプッシュプルよりも(出力トランスを使用した)シングルで影響しそうです。リアクタンスが大きい場合は、静特性の図の上で抵抗負荷で引いた直線の右上や左下の領域が問題になります。

 このあたり、三極管vs五極管の論議やシングルとプッシュプルの(抵抗負荷で計測した)数値に表れない違いと何か関係がありそうです。そして、スピーカーの箱の形式やシングル/マルチの論議にも関わっているような気がします。

2019年2月16日土曜日

BGMにmp3をかける

先日作った12AU7-PPアンプに小型スピーカーを繋いで、作業中のBGMをかけています。

 しっかり聴くのではなく、だらだらと音楽を流すとなると、いちいち交換する手間のかかるCDとかは不都合。多少音質が低下するけど、この点ではパソでmp3を鳴らすのが簡単。しかし、しっかり聴くのでなければパソから送り出すほどの事は無い。スマホとかでも良さそうだけど、いちいち繋ぐのも面倒。

 あれこれ考えているうちに見つけたのは、ちょっと怪しげなmp3プレーヤーのモジュール。何かの組み込み用らしいです。USBかSDメモリーを挿入すれば、中のmp3を連続して再生するらしい。電源は5Vで、出力は直接スピーカーを繋ぐらしい。でもどうやら出力はグランド基準では無さそう。これを何とかして、アンプに繋げるかしら。安かったので、とりあえず試して見ることにしました。

基板に付いているコネクタは電源と左右のスピーカー用です

 まず、電源に5Vを接続して出力端子の電圧を測ると、どちらも+2.5V。差動出力らしい。どこかからグランド基準の出力が取れるだろうか。
 基板の載っているICを見ると、8002と書かれています。検索したら、それらしい製品の資料が出てきました。基板のパターンを追ってみると、資料の推奨回路とピン接続と合致すます。どうやら、コレでアタリらしい。(下の写真)

8002はちょっと面白い構成のICです。

 資料の解説には小電力のBTLオーディオアンプと書かれていますが、内部構成が独特です。というか、これはBTL(負荷ブリッジ接続)というのとは違うような・・・
 内部は2個のパワー・オペアンプのようです。第一ユニットは普通に正負の入力(4と3ピン)が出ていて、推奨回路では反転アンプとして使っています。第二ユニットは内部で-1倍の反転アンプとなるように構成され、この入力は第一ユニットの出力に結ばれています。IC内部で基準の1/2Vccが作られていて(2ピン)、第二ユニットの+入力は内部でここに結ばれています。推奨回路では第一ユニットの+をここに結んでいます。このように、2つのユニットは電力的には独立しているので、片側からのみ出力を取っても問題無さそうです。

 そこで、第一ユニットの出力(5ピン)から引きだして、コンデンサを通してアンプに繋いでみました。けっこういい感じで音が出ます。心配だった耳障りなノイズは問題無さそうですが・・・何か音がザラついています。基板上にフィルタらしい物が無いですから、デジタルのノイズが素通しで出ているのでしょう。そこで簡単なフィルタを付けてみることにしました。
 手もとにある使い残しの抵抗とコンデンサを組み合わせて2段のCRローパスフィルタを作りました。8002はスピーカーを鳴らせるICですから、フィルタのインピーターンスは低目にして、後続のバッファは無しで済ませました。(上の写真奥側の小基板)

 簡単なフィルタですが、それなりに効果があるようです。常用のシステムに繋いでしっかり聴くとやはりガサツな音ですが、音量控え目でぼんやり聴くならあまり支障無いぐらいで、BGM用ならじゅうぶん使えます。(片出力で使っているので電源ON/OFF時のポップノイズは出ます。)

 合板の端材でケースのような物を作りました。バネル面の電源スイッチは操作しにくいので、小型のスナップスイッチを並列に付けました。

2019年2月7日木曜日

小型密閉式スピーカーを鳴らす

強力なユニットを極小の密閉箱に入れると、フツウではない鳴り方をします。しかしこのスピーカーはアンプを選びます。

 [製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

 常識はずれのスピーカー。当然のように低音は絶対的に不足します。しかし(それほど大きくない音で鳴らす限り)ダラダラとレベルは低下しながらも、ずいぶん低い音までしっかり鳴っているのが判ります。ただ、このスピーカーは駆動する側から見るとたいへんしんどいはずです。

 そこで、あれこれ揃った私室のアンプに加えて居室用のアンプなども動員して、繋ぎ替えて鳴らしてみました。その結果、やはりたいへんアンプを選ぶことが判りました。プッシュプルであればそれほど問題無いのですが、どちらかというと3極管が適していて、シングルは3極管でも5極管でも全然ダメでした。いずれもNFがかかっていて、数値的なダンピングファクタはそこそこ低いはずなのですが。(おそらくNFの少ないアンプだと破綻する。)

 低音は物足りないですが、小音量であれば、自然で聞きやすい音です。そして、レベルが下がる低域をイコライザで少し持ち上げると、小さなスピーカーとは思えない音になります。
 ほとんどバッフルが無い形状のためでしょうか、このスピーカーは指向性も奇妙です。軸をはずれても音に違いが少ないです。これは片隅に置いてBGM用に鳴らすには好都合です。

12AU7-PPアンプには 低域を持ち上げるスイッチを付けました

 ほとんどネタで作った変則的なスピーカーと、ネタを固めた小出力アンプの計画が交錯しました。まず3極管のプッシュプルというのはこの性悪なスピーカーには似合いの相手。12AU7は、特性的には12BH7Aと6SN7の中間ぐらい。机上BGM用ならば出力が小ささくても問題無さそう。ヒーター電力が小さく、ドライブにオペアンプを使うので全体の消費電力は小さい。長時間連続で使うBGM用には好都合。
 そこで、このアンプには「バスブースト」機能を付けることにしました。これは昔あったラウドネスとは違って、小型のスピーカーでカットオフ付近以下の低音が不足するのを電気的に補うとことを意図したものです。メインの負帰還ループにコンデンサを挟んで低域の帰還量を減らす簡単な方式にしました。

 製作したアンプにスピーカーを繋いで鳴らし、バスブーストを入り切りしてみます。普通にBGMをかけている状態ではあまり違いが判りませんが、意識して聴けばベースラインがしっかり辿れるようになります。意図したとおりの効果が出ています。

2019年1月31日木曜日

小型密閉式スピーカーという物

先日作った12AU7-PP机上用アンプに関連して、小型のスピーカーの話を。


 ずいぶん前に作ったスピーカーの事を想いだしたのは去年の今ころ、。当時の知人の発案に従って作った物で、普通のスピーカーボックスの設計から見ると全くの異端。

 低音をきちんと出すにはある程度以上の大きさの板に付けるか箱に入れる必要があります。平面の板は、大きくなければ背面の振動が回り込みます。遮音するために背面を閉じると、箱の中の空気がバネのように振舞って、スピーカーの動きに影響します。
 バスレフは、背面から出る音を共振を利用して位相反転して出すという発想です。これによって低音を増強して、小型の箱でも低音を出せるのですが、それより低い音が急激にカットされたような感じになります。また、小容量の箱では特有の癖のある音になり、音像がぼやけて隠った音になりがちで、個人的にはあまり好みではありません。

100φの塩ビ管の曲がりとキャップ。使用ユニットは8cm。


 彼の発案は『小型で強力なユニットをごく小容量の箱に入れて、その中に綿などを空所が無いほどに詰める』という物。これでは当然のように低音は絶対的に不足します。しかし(それほど大きくない音で鳴らす限り)ダラダラとレベルは低下しながらも、ずいぶん低い音までしっかり鳴っているように聞こえるのです。

 どうやら、このような聞こえ方をするにはいくつか条件がある事がわかりました。
  • 大きさの割に大出力の、磁気回路が強力なユニットを使う。
  • 内容積が極端に小さくなければならない。箱の共振点はスピーカ自体よりかなり高いところ。
  • 箱内にほとんど空所が無いぐらいに綿など軽い物を入れる。(吸音よりも空気バネとしての共振を鈍らせる、ダンパのように働くのではないかと思われます。)
  • これらと関係するので、使用するユニットが大口径ではうまく行かない。
  • ユニットはしっかり取り付けて、空気漏れしないように隙間を塞ぐ。
  • 箱自体が丈夫で振動しにくくなければならない。
ネットであれこれ見ているうちに、これに合った感じのユニットが安く出ているのを見つけ、昨年春に東京へ出かけた際に購入して帰りました。これを使っていろいろ検証した後、塩ビ管を使用してスピーカーに仕立てました。

 昔に実験した時の物よりひとまわり大きいですが、出てくる音の傾向は同じ感じになりました。全体には完全にハイ寄りなのですが、中域からなだらかに下がってゆき、レベルは低いものの重低音まで綺麗に出ています。
 全体に制動がかかる感じなのでしょうか、スピーカの能率は低くなります。それでも(大音量が必要ではないので)ボリウムのツマミを少し余分に回せばカバーできる程度。
 一方、このスピーカーは逆起電力が大きくインピーダンスがでこぼこなはずです。おそらくこのためでしょうか、たいへんアンプを選ぶことが判りました。プッシュプルであればそれほど問題無いのですが、どちらかというと3極管が適していて、シングルは3極管でも5極管でも全然ダメでした。いずれもNFがかかっていて、数値的なダンピングファクタはそこそこ低いはずなのですが。(おそらくNFの少ないアンプだと破綻するでしょう。)

 妙に音の粒立ちが良く、ステレオにするときっちり分離します。ほとんどバッフルが無い形状のためでしょうか、スピーカーの軸をはずれても音に違いが少ないです。音量を上げすぎなければ、たいへんすっきり聴きやすい音です。 そして、レベルが下がる低域をイコライザで少し持ち上げると、小さなスピーカーとは思えない音になります。

2015年11月29日日曜日

ヘッドホンたち

最近は出番が減っていますが、ヘッドホンもあります。それも古い物ばかりいつくも。某所でのネタで手もとのヘッドホンを見直しました。

 まわりに音を散らさずにちょっと大きな音で聴きたい時、まわりに影響されずに微妙な音をしっかり聴きたい時、やはりヘッドホンは効果的です。私室のアンプはパーソナルな用途であり、以前はDTMのモニタとしても働いていました。だから私室用の小型アンプにはヘッドホンジャックが付いています。
 ここしばらくアンプを製作しています。後者のためのヘッドホンは、その際のチェックにも参加しました。前者のためのヘッドホンもいくつかあります。比較的長時間の電車通勤だった頃はカセット再生機で音楽を聴いたりしていましたが、それはずいぶん昔の事。デジタル音楽プレーヤーを経て、最近はたまに携帯で音楽を聴く程度です。そうなると音質よりも携帯性。耳穴式のイヤホンばかりで、頭から被るヘッドホンは出番が無くなっていました。


昭和の日本製品 YS-11とウォークマン
ネタ話のついでに昔のヘッドホンを引っ張り出しました。微妙ないきさつでソニー製の軽量ヘッドホンは3個持っています。1つはカセットプレーヤーの付属品。片方が鳴らなくなり、そのまま袋に入っていましたが、 今回あらためてチェックして、コードを交換修理しました。2個目は、確かソニーのモニタに応募して貰った物で、携帯用ではなく長いコードと太い標準プラグが付いています。3個目は、元々は全日空の機内で使用していた物らしく、空の日のイベントで購入しました。どれも古い物で、弱点の耳当てのスポンジがへたっていました。それでも探すとこれと合う大きさのスポンジがありました。あまり高価ではないので、おもいきって全部交換。
 いずれもよく似た外観で、大きさはほとんど同じですが、弦のあたりとか構造が違います。最近製作したアンプに繋いでしっかり聞き比べると、それぞれ音は微妙に違います。デジタル音楽プレーヤーやタプレットにも繋いで鳴らしてみました。気合いを入れて聴くにはへろい音ですが、携帯機器で鳴らすと不思議といいい感じです。やはりそういった音づくりのようです。

 写真は、元ANAのヘッドホン。昔に伊丹空港で撮影したYS-11の写真をパソのモニタに映して、それを背景に撮りました。糸で吊って撮影して、レタッチで糸を消す。昭和の日本の特撮の手法です。

2014年11月2日日曜日

レコードをかける

私室のアンプは雑食です。CDは当然、TVや映画のDVDの音声もありますし、パソからはMP3とかも。でも普段はレコードをかけることはありません。

 というのは、私室にはレコードプレーヤーが居着く場所が無いから。レコードプレーヤーは居間に常駐しているのですが、それがこの連休中は私室へ出張しています。作業机の上を片付けて、そこに載っています。プリアンプを通してパソの1台に繋げて、古いLPのデジタル化作業です。
 レコード盤は接触読み出し。何度も再生するうちに音質が低下しますし、取り扱いに際してキズを付けるリスクもあります。レコード針のこととかもありますから、いわゆる愛聴盤から少しづつパソに取り込んでCD-Rに焼いてきました。それでも、まだ少し残っています。古いアルバムの場合、有名歌手の主な曲はベストアルバムとかで聴くことができる場合もありますし、有名な盤はCDで出ることがあります。しかし古いアルバムの中には聴き覚えた収録曲があります。マイナーで終わった歌手の場合は余程何かなければCD化は期待できません。こういうものこそ、オンデマンドで販売して欲しいのですが、DRMがらみでかえって難しくなってしまったように感じています。

カートリッジたち
という事で、レコードをきれいに拭いて、ターンテーブルに載せて、パソのソフトを起動して。レコードプレーヤーが所謂フルオートなので、スタートはレバーを引くだけ。トーンアームが自動的に動いて針が盤に降ります。片面づつ取り込んで、ソフトで1曲づつ切り出して、wavファイルにします。
 作業の合間にカメラを出して、レコードプレーヤーとカートリッジの写真を撮りました。カートリッジはいずれも古い物ですが、ぎりぎり現役の頃に予備の交換針を買っていた物があり、作業にはそれらを使います。 ついでに押し入れの中に残っていた他のカートリッジも取り出ししまた。長く使っていない物。今でも使えるかしら? 写真は私自身のオーディオ歴の記録の意味で、webページにしました。

[追記]
 再生音と録音の確認のため、普通に聴く場合よりもかなり音量を上げます。普段はあまりかけないようなジャンルのレコード盤もあります。最初は"なりゆき"で出たままの6SN7プッシュプルアンプで鳴らしていたのですが、ピアノとかバーカッションとかアタックでアタマが詰まったように感じることが何度か。やはり出力不足かと思って、とりあえず6BM8シングルに繋ぎ替えてみました。どうやら、この1Wと2Wの僅かの(聴感上は)差が微妙なところで効くようです。逆に言えば、音量をガンガン上げて鳴らすのでなければ、1Wクラスでも全然問題無い(もっと少なくても支障無いかも)ことが確認できたことになります。私室で働くミニアンプは結局5台になりましたがもうち3台が1Wクラスで2台が2Wクラスです。

2014年2月11日火曜日

古い部品と設計の手法

長年の懸案だった6CA7プッシュプルアンプは当初の予想よりもすんなり完成しました。その課程でいろいろ振り返って考えることがありしまた。

 すんなり進んだのは、今までに身につけた知識や技術もあるけれど、大仕事と思っていろいろ検討して用心深く進めたから。まあ、その用心深さこそが経験の賜物なんだろうけど。
 いろいろ振り返って見るあいだに考えたこと。その中に微妙にし残したような物もあります。まあ、これも急ぐことではなし。時期が来たらゆっくりやればよし。


 真空管以上に無駄にたくさん残っていた古い半導体。初期にはたいへん高価だったけど、すぐに値崩れ状態になりました。真空管は数を少なくうまく使うのが工夫のしどころだったのですが、トランジスタは数個をうまく組み合わせて使うのが工夫。
 今回の6CA7プッシュプルアンプは出力管も含めて8球。双3極管を使っているので、ユニットとしては12ユニットです。これは真空管アンプとしては比較的多い方です。しかしトランジスタアンプなら、簡単な物でももっと多いのが普通。そのうえ小物とか作ると同じ物を何本も使いますから、使い易い物は多少多目に買っていたりしました。部品屋もお徳用の袋入りで売ってましたし。今回もミスなどで破損する事も見越してトランジスタ類は余分に買いました。幸いすべて無事に作動したので、余分の分はそのままストックになりました。

8本足の缶入りオペアンプ 登場時は火星人襲来のような衝撃でした

 初期には真空管に似た感じだったのが集積回路。特にオペアンプは単独の素子というよりも機能部品。○○用○○管という雰囲気。高性能の物は価格も高くて入手も難しくて、汎用の物でも安くはなかったです。それでもジャンクを解体したり特売を買ったりしてあれこれ入手して、いろいろ遊びました。709は制約が多くて使いにくかったです。301は(当時としては)高性能ですが、ひと癖ありました。741はぐっと使い易くなって値段も下がりました。この741や741の類似品はどれも比較的安定していて、オーディオ用や小物製作に気軽に使える物でした。
 初期のオペアンプの多くはこの写真のような金属のケース入りでした。セラミックのDIPに封止された物もありました。種々の機能のアナログICはプラパッケージが普通だったのですから、考えてみるとちょっと不思議です。しかしプラ封止のデジタルICが普通になると、いつまでも缶入りでは不便。だんだんオペアンプもプラ製DIPが普通になりました。 今は面実装が多くなってちびっこくふぺったんこのパッケージが多くなっています。

2014年2月9日日曜日

ハンダごてと工具

アンプ製作もひと区切り。ちょっと大き目の音で音楽を聴きながら、使った道具はお片付け。

 実際に物作りするには道具が要ります。部品は当然ですが、必要な道具を買いそろえる所からやるとなると大ごとになるでしょう。ネジ回しとかドリルとかもともと汎用の工具もありますし、ヤスリとか金ノコとかいろいろ使い道のある物もありますが、シャシーパンチとかニブラーとかけっこう専用っぽい物もあります。これら、長い間に集まった物たち。しばらくぶりの出番だったのが多いです。

今回使用した道具たち ハンダ付け関係

  実はハンダごてはけっこう持っています。さすがに子ども時代の物は残っていませんが、ここに写っている物はかなりの古参です。30Wの方は確か70年代から使っている物。なりゆきで同じ物をもう1本持っています。簡素な構造ですがすごく丈夫です。ちょっと容量の大きなハンダ付けにも使えるので重宝しています。わが家の真空管アンプのすべてと関わっています。今回のアンプたちの製作でもこれが主役を務めました。コテ台も(さすがにスポンジは何回か買い換えましたが)この頃からの物。ずいぶん長い縁です。
 このコテはトランジスタ物の製作にも活躍したのですが、さすがにICピッチのハンダ付けには大きすぎで、かわりに購入したのがもう1本の方。マイコン関係の製作をしていた頃はこちらが主役でした。朝から晩まで通電しっぱなしという事も多かったですが、ここ数年はまったく出番がありませんでした。今回の6SN7アンプの穴開き基板の作業ではひさしぶりの活躍。これも丈夫な物のようで、全然支障無く使えました。
 この他板金工作用に150Wのでっかいのが1本と少し前に閉店処分で買った60Wのが1本ありますが、これらは今回のアンプ製作には使っていません。

 ハンダ吸い取り機はこれが3本目。やはり軽くて反動が少なくて吸引量が多いのはプラスチック製。そのかわり繰り返しの力と衝撃で傷むらしく、突然パキっと折れたり。実はこれも今回の使用中にバネを掛ける部分が折れてしまいました。しかしこれから新しく買い直してもどれだけ使うか判らないので、なんとか応急修理しました。

 ラジペンとニッパーもけっこう古参です。昔はけっこう無理な使い方もしたからでしょうか、けっこう傷んで買い換えていましたが、これらは80年頃から使い続けている物。手に馴染んでいます。鉗子は3本持っています。部品の足を保持したり、狭い所で配線を整えたり、ビニル紐を括ったり。2本は電気とは無関係の工作用に買ったのですが、1本は70年代から使っている物。もちろん、電気もの以外の工作にも大活躍しています。

 ハンダは一応は消耗品なんだろうけど、けっこう長く持っています。子ども時代はもう少し太い物(1.2mm?)を使っていましたが、その小さな巻きを使い切るまでにけっこうかかりました。太すぎると感じて70年代半ばに買ったのが0.8mmの巻き。特売に釣られて1Kg巻きを買ったのですが、まだまだたくさん残っています。おそらく一生使い切れないでしょう。IC関係なら良いのですが、端子まわりとか少し太い配線には0.8mmではハンダの量が足りません。そこで買ったのが1.0mmの巻き。反省の意味で500g巻きにしましたが、やはりけっこう残っています。今回のアンプ製作では(穴開き基板の部分を除いて)これを使いましたが、ほとんど減ったように見えません。世間は鉛離れしているようですが、これだけあれば無くなって困ることは無さそう。

2014年1月18日土曜日

余剰部品の始末

目的の6CA7アンプ製作は一段落しましたが、勢いが残っているうちにもう少し遊びます。

 このあと、修理などを除くと、おそらく電子系の工作をすることはほとんど無くなるでしょう。今までに溜まった半端物の部品がいろいろ出て来ましたが、おそらくほとんど使い道が無くなりそう。そして、なんとなく使うつもりで買い置きした真空管も。

あらためて部品箱とか残り物入れとかひっぱり出して整理。6CA7アンプ計画では基本的に受動部品は新規調達するつもりでしたから、このあたりはほとんど手を付けていませんでした。思い出してみると、今までにいろんな物に手を出したこと。それらの残渣がたくさん。古いトランジスタ、古いリニアIC、古いオペアンプ、古いTTL、古いマイコン周辺LSI。振り返ってみると、デジタル時代以降は特に変化が早かった気がします。能動素子は当然だけど、それらとのからみで存在意義があった部品群。トランジスタソケットやICソケットって、今では真空管ソケットよりも存在意義が薄い感じ。DINコネクタとかアンフェノールとかD-SUBコネクタとか、今後復活して何かに使われる可能性はほとんど皆無でしょう。今までにかなり廃棄して来たけれど、探すとまだあちこち隙間から沸いて出て来ます。

いわゆる「無駄な抵抗」というやつ

 抵抗器は、作る物によっては同時に同じ値を何本か使います。ステレオならたいていは2本単位。厳密な値が欲しい事もありますが、数倍違っても大差無い箇所も。その時々で適当そうな値を使ってます。SPICEで遊んでいる時もたいていはおおまかななカンでE24から選んで入れ替えてます。途中の計画変更もありますが、使いそうな値だと余分目に買っていたりもしました。あらためて集めてみると、けっこうな本数です。ただし、あらためて見るといずれもトランジスタやICで遊んでいた頃の物で、値の範囲がかなり偏ってます。残念ながら真空管モノには使えそうにないのが多いです。

 冬の部屋では暖かく感じますが、やはり大きなアンプは夏向きではありません。部屋で常用するにはちびっこいアンプでじゅうぶん。手持ちの出力管は6AQ5と6BM8がありますが、どちらもプッシュプルで使うとけっこう立派なアンプになってしまいます。電圧増幅管ですが、6SN7ならうまく使えば1Wあまりの出力になり、6Z-P1のシングルアンプと同格になります。残り物の半端部品がいくらかでも活用されるかしら。幸い都合の良さそうな出力トランスが現行品にあります。これは追い風? 買い足す部品がけっこうありそうですが、今度はきちんと拾い出して、余分な買い物はなるべく控えなきゃ。