2013年11月30日土曜日

6CA7 PP : 電源トランスが届きました

注文していた電源トランスが届きました。あとは少しづつ慎重に進むだけです。

 予想よりちょっびり早く届きました。ネジ穴を開け直さなきゃいけませんが、とりあえずそのままシャシーに載せてみました。底面積の割に高さがあります。背の高い真空管と似合いそうです。うまく組み上がったらスマートな姿になるでしょうけど、部品の配置に全然余裕がありません。静電シールドを付けてもらったのですが、初段管と近いのが心配です。

春日無線変圧器 O-BS700型
電源トランスばかり気にしていたのですが、チョークコイルの事をすっかり忘れていました。外観の良い物はたいへん高価です、ネット情報をひととおり浚えると、使えそうなチョークが電源トランスと同じ所から出ているのを見つけました。バンドカバー型で小型で低価格で無理なく載る大きさ。インダクタンスはもう少し欲しいけど電流には余裕があります。一緒に送ってもらえば送料の分安く付いたのですが。まあ、ブロックコンデンサとか日本橋で調達しきれなければ、秋葉原へ遠征しなきゃいけなくなるかもしれませんし。

 真空管アンプ用のトランス類は一時期ほぼ絶滅していたのですが、最近はポチポチ作られているようです。この6CA7のアンプが完成したら、手持ちの真空管で何か作って遊ぶのも良さそう。6BM8と6AQ5がまとまった本数あります。

2013年11月24日日曜日

6Z-P1 Single : 昔作った物を見直す 2

金曜日は日本橋を偵察に。噂によるとかなり「めいど」に浸食されているらしいですから、土日は避けた方が良さそうという判断。

 アンプはもちろん電気系の製作から完全に遠ざかっています。大阪で必要な物が入手可能か、どんな物がどのぐらいの値段なのか、だいいち、部品屋が健在なのかも判りません。まあ、普通の抵抗はあるだろうけど、高耐圧のコンデンサとか、最近はどんな物があるのか下調べしておかないと。ラグ板とか端子台とか、価格とか入手性とかによって、筐体内の配線の引き回しとか考えなければなりません。

古い6Z-P1 綺麗なグローが出ている管もあります
  で、部品屋をまわりながら、どのみち必要になりそうな物から調達。ラグ板とかシャシーにあてがって配置とか考えたいですから、試しにいくつか購入。電子回路も今はデジが主流で、基板もスルーホール実装から面実装へ。受動部品も小さくなってチップ部品が増えています。それでも普通の抵抗器はちゃんと揃うようです。数ワットぐらいの酸化金属抵抗も入手可能。コンデンサは、しばらく見ない間に種類がずいぶん変わっています。やはり耐圧の高い物は少ないですが、探せばなんとかなりそうです。
 ついでに、先日チェックした6Z-P1シングルアンプを手直しするための部品を調達。手直しといっても、一部の抵抗を交換して初段のゲインを上げてみるという程度。真空管より耐圧が低いので、電源電圧を上げる技が使えません。FETを別品種に交換すれば良いのでしょうけど、最近の品種は全然判らないので。
 裸ゲインをいくらか上げられたので、3dBほどしかかかっていなかったNFが10dBほどになりました。試聴すると、すっかり音色の感じが違っています。中域はずいぶん聞きやすくなりましたが、低音が全然出ていないし、音色も変。やはり出力トランスがへろへろなのが効いているようです。中高域が改善した分、アラが丸見えになったのでしょう。
 試しにあり物で適当に作った植木鉢スピーカーにつなぎ替えて見ると、 意外とそれらしく聞こえるのが不思議。元々低音は出なくて高域も全然伸びていない安物ラジオ並のスピーカー。うまく誤魔化されてしまうのでしょう。やはりトランス交換でしょうか。そうなるとシャシーも替えなきゃならないです。悩ましいです。

2013年11月22日金曜日

6CA7 PP : ドライバ部の利得

そろそろ部品の調達にかかります。しばらく部品屋から遠ざかってましたから、どんな物がどんな値段なのか調べながらです。

 回路の構成はすでに決まってますが、定数を拾ってなかった部分がありました。初段のまわりを再確認。
 初段の管には12AT7を考えています。ゲイン優先だと12AX7なんだろうけど、2段目である程度稼げますし、ここであまり高ろうとするとミラー効果の影響が大きくなりますから。
 12AT7はECC81の番号を持つ欧州系の管。本来は高周波用で、続番のECC82/12AU7、ECC83/12AX7に比べるとオーディオ用ではマイナーな存在。抵抗結合で音声増幅のデータは少ないです。浅いバイアスである程度電流を流して使う事を想定しているような感じの特性です。真空管のバラツキは2~3割ぐらいありますから、余裕見ておく必要もあります。ある程度詰めて組んだ上で、実測値を見て修正することになるでしょう。

6Z-P1シングルアンプ 実測して動作を確認中
 初段も差動アンプですが、負帰還も含めて見るとコモンモードでの使用になります。2段目とはC結合しますからプレート電圧の縛りはありません。μが60なので、プレート負荷を2倍弱の100kΩにして見ます。電源電圧は前段の220Vから1割ほど抵抗で落として200V供給するとして、プレート電流1.2mAほど。カソードが-1.4Vぐらい。入力がP-Pで1.5Vで出力がP-Pで80Vほどだからゲインは30倍ぐらい。差動で見ると半分になって15倍ぐらい。出力が10VP-Pになる入力は0.67Vで、この分はカソードが揺れます。この時のプレートの引き残りは75Vで支障無し。カソードを-100Vから引くとして、共通の抵抗が42KΩぐらい。けっこう良い値ではないかしら。
 全体のゲインを見ると、15×12×1.5で270倍。仕上がりが26倍の予定ですから、ちょうど良い感じです。

2013年11月21日木曜日

6Z-P1 Single : 昔に作った物を見直す

ゆっくり潮は流れはじめていますが、もう少し寄り道を。

 注意:12Z-P1のヒーターは12.0Vです。12.6Vではありません。

 居間の本気アンプ私室の常用アンプも本来は音声用では無い管。でも本職の音声出力管を使ったアンプもあります。そのひとつが6Z-P1のシングル。ただ、これは実用品ではなく装飾品。
 音声出力用と言っても、6Z-P1はラジオ用。それも、元は戦時中の倹約設計ラジオ用の『国民球』12-ZP1。47の劣化コピーという評もあるような管。ラジオ少年の標準の6AR5と比べても格下。だから作ったアンプから出る音が良くなくてもそんな物と変に納得していました。しかしあらためて見直すとけっこういいかげんな作りです。ちゃんと作ってやればちゃんとした音が出るんじゃないかしら。

 ネット時代ってありがたいです。探すとちゃんと特性図も出てきました。定格を確認すると、プレートが250VでG2が180V。プレート損失が4Wとあるのですが、1枚の特性図には3.5Wの所に点線が描かれています。当初は3.5Wであったのかもしれません。
 元々の用途が電灯線を双2極管で倍電圧整流したトランスレスラジオ用。プレートもG2も180Vの動作がこの条件でしょう。 この場合は1Wちょっとの出力。、定格いっぱいの電圧で使って出力が1.5W。ただしこの動作だと4Wには収まりますが3.5Wは超過しますし、歪みも多いです。あらためて特性図に12kΩで線を引いてみます。少し電圧を下げて220Vぐらいで使った方が良さそうです。出力が少し低下しますが歪みは減ります。
 フルスイングするにはP-Pで20Vぐらい必要です。これで出力が1.5Wですから、終段のゲインはなんと0.5倍しか無いです。プレート電流が15mmAでG2電流が2.5mmA~4.5mAですが、G2の許容損失が0.6Wですからけっこうぎりぎりです。

昔から使っている電子電圧計 デジタルよりも直感的で使い易いです

 作った際にはあまりきちんと測った記憶がありません。昔から使っている電子電圧計を出したので、アンプを実測してみることにしました。終段のプレートは250VでG2が180Vで、カソード電圧は10Vで規格どおり。NFを外して、発振器の信号を入れてみると、グリッドを5Vで振ると出力トランスの2次側に約1.5V出ますから辻褄は合っています。
 このアンプのドライブ段は、デザイン的な理由もあって、FETを普通の5極管のように使っていますが、ありものの石をおおざっぱに使ったのであまりゲインが取れていません。仕上がりゲインを普通ぐらいに設定したので、実測するとNFが約3dbしかかかっていませんでした。もっとゲインを取ってNFに回してやらなきゃダメですね。しかしそうなると、超貧弱な出力トランスを何とかしなきゃいけなくなりそうです。


2013年11月19日火曜日

6CA7 PP : 電源トランスを特注で

一応は進路が定まったので、少しづつ先へ進むことにします。

 電源トランスを発注しました。この先は大きな変針はできません。
 MQ60の古シャシーを使う場合、管などの穴が開いていますから、それに合わせて部品を盛り付けなければなりません。回路が決まったので、これに従って部品配置と配線のとりまわしを考えてみました。けっこう窮屈なのと、若干強引な引き回しが出そうですが、このシャシーでどうにかなりそうです。そうなると、ここに載るトランスの大きさが決まってきます。
 先の回路の検討から、必要な電圧は決まっています。出力管のSGをプレートより低く取るので、この電圧が必要で、差動のカソードをマイナスに引くのにもうひとつタップを出してと。巻線を共用してセンタータップ整流にすると、端子数が7個。
 1次側に110Vも設けると残りの端子は4個。ヒーター巻線は2組しか設けられません。使用する管が決まっているのでヒーターの電流は自動的に決まってしまいます。 Hバイアスをかけるものとして、出力管とドライバ段に分けることにしました。6Aの巻線って思い切り太いです。
 B巻線の電流は 200-(12.6+37.8)÷(290×2)=0.255 となりました。もう少し欲しいけど我慢です。


1次側に110Vを設けたのは、場合によっては少し電圧を下げる使い方もあるのではないかと考えたからです。この場合、ヒーターの電圧も下がりますが、全体に軽い動作なのでエミッションが足りなくなる心配はありません。むしろ、寿命の点では好ましいような気もします。

 トランスができるのに合わせてぼちぼち部品の調達を考えなければなりません。さて、メイドさんの街になってしまった日本橋に必要な部品があるのかしら。

2013年11月15日金曜日

6CA7 PP : 筐体関連の作業開始

今回は私が今までにやった事の無い手順での製作。良く見て考えながら、少しづつ進めるつもりです。

 回路が決まって、出力段もドライブ段も電圧と電流がほぼ決まって来ました。電源トランスは、基本的には以前に考えた物で行けることになりました。端子数が制約されるので、ヒーター巻線を左右に分けるのは断念して、ドライブ段も中点タップは無しに。
 居間の6BX7のアンプは、当初は静かな部屋で使うサブアンプの構想で、ヘッドホンジャックも設けてあります。ドライブ段の6BL8はノイズやハム対策の点では普通の真空管です。トランスに余裕があったのでドライブ段を直流点火しました。現在私室で常用しているアンプも構想段階からヘッドホンでの使用を考えていました。ヒーターは交流点火ですが、カソードに対して+のバイアスをかけています。幸いこの対策が効いたらしく、深夜にヘッドボンかけていてもハムが気になることはありません。レストアしたKMQ7は普通に中点接地で、スピーカに耳を付けると(ヘッドホンジャックは無い)僅かにハム音が聞こえる程度。
 現用のアンプは出力は小さいけれどゲインは普通にあります。今度のアンプは大出力ですが、仕上がりゲインは同じですから、ハムやノイズに関しては(正常動作時は)ほぼ同じ条件となります。とりあえず、片側をCで落として+のバアイスをかけるようにしてみる予定です。

トランスの大きさを確認 : 出力トランスがきりぎりです
トランスが決まったので、シャーシー加工を始められます。穴を開けてしまうと後戻りができません。鉄シャシーにアルミを重ねた構造は美しいてすが、組み立て開始後の追加や修正が困難です。ネジ位置とかもきちんとチェックしておく必要があります。
 ケミコンは大きな物が3本載ります。元のチョークコイルの位置はケミコンに転用して、元のバイアス回路用の小さなケミコンの位置にチョークを置くことにすると、ネジ穴の加工だけで済ませられそうです。
 使用予定のSW-30に比べてOY-15の小ささが実感されます。ケミコンの取り付けネジの頭はぎりぎりかわせました。後ろ側ぎりぎりまで後退させると真空管との間もなんと確保できます。内部のCR等の支持には平ラグを使う方式を考えています。部品の盛り付け具合も考えると、微妙に窮屈です。
 本来のMQ-60はボンネットカバーがあるのですが、入手したこのシャシーには付いてしませんでした。もっとも、トランスの大きさを見ると、元のカバーをそのまま使うのはあきらかに無理。しかし、落下物など不意の事態を考えるとやはり何か保護になる物が欲しいです。上面と前面だけ覆うような物を作る事を考えています。

2013年11月13日水曜日

6CA7 PP : 出力トランス SW-30について

急いで作らなきゃいけない訳は無いです。せっかくだから、いろいろ楽しみたいです。

 古い雑誌とかひっばりだして見ると、製作記事とか広告とか、けっこう面白いです。ネットも漁って資料探して、古い回路とか眺めたり。

 SW30-6の資料は見つかりませんでしたが、ラックスのOY-15の資料は出て来ました。推奨容量34Wで、やはり本来は30W級のトランスです。-5について見ると、許容電流が120mA(片側)で不平衡が1.9mAと。インダクタンスを高く取ってコンパクトにまとめた反面デリケートで余裕の無い物になっているように思います。用途の欄には6CA7も書かれていますが、これはある程度軽く使った場合の想定でしょう。A3500のように40W取り出す動作は定格オーバー。MQ60でも全然余裕がありません。
 そう思って考えて見ると、学校放送用のアンプにはごっついトランスが載っていました。もっとも規格は規格で、実際の限界に対してある程度余裕があるのが普通です。自社製品のトランスだから、このへんのマージンも見込んで製品化したのでしょう。高級オーディオメーカーのアンプと出力がクリップするような負荷で働かされる業務用のアンプでは考え方自体大きく違うのは判りますが、少しの異常動作でも大きな事故の引き金になりかねません。ラックスのアンプについて、回路を追ってみると、真空管も耐圧とか定格オーバーで使っているのが見あたります。メーカーとしてテストして確認したり選別品を使ったりしていたと思うのですが、保守状況が悪い中で長く使われる事を想定すると、やはり無理は禁物だったと思うのです。

6CA7の大きさ
  私は6CA7って格好良い管だと思っています。特に松下の管は、ガラス管がステムの径ぎりぎりまで拡大されていて、頂部が平らで、他には無い手間のかかる作りです。規格の寸法の中で最大の容積を確保しようという誠実な努力。
 一緒に写真に写っているのは6BX7で、これはごく普通のGT管。ヒーターは2ユニットで1.5Aですから、1ユニットあたりでは6CA7の半分。その上の12BH7は0.6Aですからさらにその半分以下。プッシユプルで比較すると、6CA7は3結で20Wほど出るのに対して、12BH7で2.5Wほど、6BX7で6Wほど。垂直出力用の管は働きの割に大飯ぐらいのようです。

2013年11月10日日曜日

6CA7 PP : ドライバ部について

先を急ぐ訳ではないので、調べ物から脱線して寄り道

今度のアンプのドライブの回路は差動2段と決めています。
 真空管アンプで悩ましいのが位相反転。現代のトランジスタアンプでは常識のコンプリメンタリが使えないので、プッシュプルの両側は逆相で駆動する必要があります。

いちばん単純明快なのがP-K分割回路。
 トランジスタの場合はベース電流が微妙に気になるのですが、真空管のグリッド電流はごく僅かです。3極管のカソードとプレートに流れる電流は同じ。等しい値の抵抗には同じ電圧で逆相の電圧が生じます。考え方はシンプルですが、大出力が尊ばれる?高級オーディオアンプではあまり好まれない感じです。インピーダンス的に不均衡と言われますが、実際の影響は無視できる(多量の負帰還がかかっているのと同じ)ほどです。前段が5極管ならゲイン不足の心配も少ないでしょう。欠点は振幅が半分(以下)になる事と、カソードフォロワーと同様に発振の心配があるぐらい。

ミュラード型の反転回路の説明はいろいろありますが、私は(不完全な)差動アンプと考えています。
 逆相の信号が得られる回路のひとつが差動増幅器。平衡入力を増幅して平衡で送り出す。入力が不均衡ならば、その差が出力に平衡で出るので、片側づつみれば逆位相の信号が得られます。平衡度が十分であれば、片側入力を接地すると位相反転回路になります。しかし真空管の1段では(次段を考えると)平衡度を高くできません。そこで上下のゲインを変えて小細工する。昔からなんとなく怪しいく感じていました。今でも好きになれません。

 最大の問題はこの段が片入力だという事。片入力なので裸ゲインが半減します。もし入力が平衡であれば、この段では前段の不平衡の分だけを相手にすれば良くなり、μの低い球でも平衡度が取れてゲインも取れる。それには前段で位相反転させて来る。前段にP-K分割を置けばウィリアムソンアンプに似た感じ(なぜウィリアムソンアンプは差動にしなかったのか不思議です)になります。前段も差動にするともっと簡単になり、差動の片側に負帰還をかけることができます。この場合の注意点は前段が同相入力(ただし振幅も電流も小さい)で動くことぐらいでしょうか。

 トランジスタアンプでは差動増幅が普通ですが、これは負帰還をうまくかけて安定させるのが主目的。コンプリメンタリーの出力回路には差動のドライブは不要(入力は同相ですから)でなので、片側からのみ出力を取っていて、反対側は遊んでいます。


 私室のアンプは、普通のオーディオアンプとはずいぶん違う入力を与えられています。部屋で聴く程度の音量ならば、アンプのゲインで十分という事で、普段はプリアンプがわりにセレクターが繋がっています。セレクターの入力は5つ。パソが2台とCD/DVDプレーヤーとFMラジオが繋がっています。パソではmp3やAVIやいろいろ再生しますし、CDやDVDをかける事もあります。
 絶対にプリアンプが必要になるのは、レコードの再生。盤の減りと針の減りが気になるので、そうそう気楽に使えないのが現状。プレーヤー自体の定位置は居間なのですが、しばらく前にレコード盤の何枚かをCD化する際に持って来たまま居着いていました。部屋の片付けでこれを居間に戻すので、その前に少しの間鳴らしてみました。

調べ物のついでに見つけた事のメモ
12AT7のヒーターに関して、片側を接地する場合は、12V点火の場合は5ピンを接地、6V点火の場合は4・5ピンを接地すると。理由は不明です。

2013年11月4日月曜日

私室の常用アンプ 12BH7A-PP

趣味ですることだから、いろいろ思案するのも楽しみのひとつ。たっぷり楽しむつもりです。

 ここしばらく、家じゅうのアンプをつなぎ替えて鳴らしてみています。それもそろそろ一巡しました。

 鳴らし比べが一巡して、常用の12BH7A-PPアンプに戻りました。回路自体は6BX7-PPアンプと似ているのですが、各部が倹約設計になっています。いちばん倹約なのが出力トランスで、特注品なのですが・・・200V:5V1Aの電源トランスにタップを出してもらったという物。普通にアンプに使えているあたり、カットコアの威力でしょうか。(その後普通の出力トランスに交換しました。)

 
 12BH7は、本来はテレビの偏向回路用です。パルス回路用として電流は取れますが、オーディオ出力用としてはプレート損失で制約されます。このあたり、テレビでも設計上の注意点だったみたいですが。定格は1ユニットあたり3.5Wですが、元々はパラでの動作を想定していないらしく、同時使用では5Wという資料もありました。これに従うならば、A級アンプの場合は片側2.5Wで設計しておく必要があり、きちんと守るとあまり出力が取れません。AB級の場合はいくらか緩和されますが、それでも合計5Wを越えないようにするとかなり辛いです。このアンプの設計はこれを越えていますが、管はずいぶん長持ちしています。昔に見たテレビセットでは1ユニットで5Wを越えるような物もありましたから、もう少しは無理が利くのかもしれません。古い時代の管と末期の管を見比べると微妙に違っていますから、定格オーバーの使用に対して真空管メーカー側が対策したのかもしれません。いずれにしろ、オーディオ出力用で使う場合は配慮が必要だと思います。


   今度の6CA7-PPアンプで使用するつもりの6CG7/6FQ7も本来はテレビ用の管です。12BH7が垂直偏向回路向きなのに対してこちらは水平偏向回路。 おそらく無理が少ないからでしょうか、この6CG7はカットオフ付近まで良く特性が揃っている事で知られていました。
 この管はA級出力用に使うと損失よりも電流で制約されてしまいます。元々の6SN7はGT管で、ある程度高い電圧で使う設計のようです。これをMT管にしたらしいすが、その際にプレート電圧の定格が低く規定されました。テレビセットではそれほど高い電圧で使う事は無いので、定格を下げたのでしょう。カソードのエミッションには余裕がある(元々パルス回路用だ!)はずなのですが、やはり出力用ではないから仕方ないです。