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2019年9月23日月曜日

昔に12G-B7の3結に手を出していたとしたら 仮想ゲーム(1)

あらためて特性図見ると、12G-B3/B7の3結って、6G-A4や6R-A8よりは2A3似近い。現役当時にも注目されていて良さそうな物だと思うけど、昔の雑誌などで見た記憶はない。

 2A3は古典管。使いにくい要素満載。逆に言えば、改良して使い勝手を良くするポイントはたくさんある訳です。ならば、自称2A3の後継という管、あるいは他薦2A3のリリーフ役がいろいろあっても良さそう。

 どうやら6G-A4や6R-A8がウリにしたかったのは、ドライブの感度。感度が低ければドライブ段のゲインが必要です。同出力で考えれば振幅が要ります。これを低い電源電圧で得なければならない。これは同時にバイアスが深い事にもなり、そうなると、自己バイアスで使った時の電源のロスが大きくなります。6G-A4は2A3の倍以上の感度ですから、アマチュア的にはかなりハードルが低くなります。
 しかし、これによりμが高くなり、プレート電流が少なくなり、内部抵抗が上がる。ヘタすると歪みも増える。なんとなく"2A3が良い"という理由から離れてしまうような。

日本の近代的真空管は欧米メーカの技術を元にしています


 自称2A3の後継が期待ハズレなら、他薦はどうだろうか。おそらくそういう方向の動きはあったはずです。でもほとんどその跡が残っていません。多極管の3結は2A3の代替にはならない、あるいは別物という意識だったのでしょうか。

 3結で使うとして、規模的に2A3ぐらいになる管があるでしょうか。オルソンアンプは6F6の3結をパラで使ってます。調べ直すと6F6の3結は2A3の半分に似ています。しかし6V6や6L6の系統は3結では電流が小さくなって出力が取れません。6BQ5も同様。
 6BM8は案外3結μが低く出力が取れますが、元々が小さいので出力は2A3の半分。この上のクラスだと、6CA7や6G-B8。この6G-B8は水平偏向管の出身です。ならば、アマチュア的には水平偏向管の3結でオーディオアンプは有りだったのではないかしら。

 プレート損失は-B7なら2A3と同等。3結のμは同程度。電流が多く流れて内部抵抗が少し低い。ヒーター電力は少し大きいですが、傍熱なので扱いやすさは段違い。グリッドバイアスの抵抗を高くできるのは大きなメリットと思います。プレートキャップが必要ですが、当時であれば入手は容易。当時の価格は大差なさそうですが、-B7はテレビのジャンクという手もありましたから、アマチュア的には面白そうなのですが。

注意: 記載の数値は"てきとう"です。ちゃんと計算してません。


 12G-B3や-B7が現役だった頃。これらを3結にして有名な2A3の代替に使ってアンプを作る・・・という仮定で思考ゲームです。(あくまで思考ゲームです。)今回製作したアンプは、12G-B3をかなり軽く使って、ドライブは半導体です。これは現代の発想。当時の常識に合わせたな回路を考えます。

 当時を想定していますから、半導体は電源のダイオード以外使いません。-B7を定格一杯の15Wで使います。出力トランスは2A3用が使えそうです。(G2の耐圧を考慮すると)電源電圧は2A3より低目で250V~300Vぐらいでしょう。これで少し多目の60~70mmAほど流して・・・やはりほとんど2A3の置き換えです。

 バイアスが少し浅くて30V程度。当時の使い方を想定すると、適度のNFかけるのに必要なゲインは100倍ぐらい。これを低いB電圧で得る。そのためには6AU6とかgmの高い5極管を使う。しかしこうするとインピーダンスが高くなって、3結の出力管をドライブするのが苦しくなるので、3極管のカソードフォロワーを入れる。これに12AU7の半分を使うのは・・・ならば、5極3極の複合管の方が合理的。6BL8とか6AN8とかちょうど良さそうです。B電圧が(150Vでは厳しいですが)200Vほどあれば必要な振幅は得られそうです。

 って、今回半導体で作った回路と同じような物になりました。これなら、当時のラジオ少年でも製作できたかしら? でも、当時はカソードフォロワーはあまり一般的で無かったですから、12AU7+12AU7で3段アンプにして発振に悩まされたような気がします。

2019年9月16日月曜日

音声出力用3極管

 昔から熱烈な3極管支持者はたくさんいます。使い方にもよるけれど、3極管と多極管は違う音がするのは確か。問題はその差をどう考えるか。

 音声出力用の5極管は純粋なオーディオ用はもちろん、小電力の小型セットから業務用システムまでいろんな所に使われていて、用途に合わせた大小さまざまの音声出力用の管が作られました。
 熱烈な支持者があるのだから、当然3極管には音声出力用に特化した性能の管がいくつも作られていて良いはずです。しかし、いつでも多く出て来る管は 古典管の2A3。それしか無いのか、代え難い何かがあるのか。だから使いにくくても我慢して使う。そのうちに、これを使いこなすのが目標になり現代に至ったという感じかもしれない。

12G-B3 と 6BX7 / 発熱の大きな6BX7の方が管が小さいです。


  あらためて2A3のスペックを見てみます。直熱管でヒーターが2.5Vの2.5Aですから、傍熱管なら6.3Vの1~1.5Aぐらいでしょうか。許容損失は15Wありますが、Ebが300Vです。内部抵抗が0.8Kと低いですがμが4と低いです。それにともなってバイアスがたいへん深くなります。グリッド電流が流れやすいらしく、グリッド抵抗が自己バイアスなら500Kですが固定バイアスなら50KΩとなっています。つまり、ヒーターの事は別にしても、かなり使いにくい管です。

 『和製2A3』と言われる6G-A4をあらためて見直すと、簡単に2A3程度の出力が得られる3極管という感じで、スペック的にはまったく別物。Ppは少し小さい13Wで、Ebが350Vと高いです。しかし、元の6BX7から引き継いで、μが10と高く内部抵抗も1.4Kあります。その分でバイアスが半分ほどで済みます。グリッド抵抗が固定バイアスでも250Kなので、ドライブのしやすさは段違いです。
 これが6R-A8だとPpが15Wで2A3と同じですが、管形を考えると厳しそうです。μが10は6G-A4と同じですが、内部抵抗は少し低い。gmが少し高く、バイアスが低くなってます。最大出力は2A3と互角というのですが、それにはぎりぎり高い電圧をかける必要があります。やはり2A3の後継代替ではなく全くの別物。なにより、この6R-A8はビーム管の6R-B10を内部で3結にして生まれた管。純粋の3極管では無いという意見も。

 有名なオルソンアンプは6F6の3結のパラ。確かに6F6の3結は2A3の半分に似ている。純粋の3極管にこだわらなければ5極管の3結で済む。だから音声出力用三極管の新種は需要が低かった??

 12G-B7を3結にすると、Ppの15Wは2A3と互角(12G-B3は10Wで考えておくべきでしよう)。μは6ぐらいですが、内部抵抗はひとまわり低く0.5KΩぐらい。つまり2A3より低い電圧で電流が流れる管。3結の耐圧は不明ですが、低い電圧で電流が流れますから、プレート損失で先に抑えられます。3結時のグリッド抵抗は不明ですが、出自を考えるとおそらく固定バイアスでも250K以下という事は無いでしょう。バイアスが深い分、ドライブ電圧が要ります。B電圧が低くなる分を考えても、回路的な難しさは2A3より低い感じです。12G-B3/B7が現役だった頃、このような使い方に気付いた人もいたはずです。

2015年3月9日月曜日

12BH7A PP : アルテック型を子細に見直す

だいぶ春らしくなって来ました。

 本格的に暖かくなる前にと、大物の6CA7-PPアンプに繋ぎ替えて、締め切った部屋でちょっと大きめに鳴らしてみました。お馴染みの曲のほかに、最近はあまり聴かないアルバムもかけてみると、記憶にある曲と感じが違いました。音の粒立ちが良くて小さい高音が鋭く定位して聴こえます。奇妙に感じて他のアンプに繋ぎ替え。
 定番の12BH7-PPに繋ぎ替えると、曲全体の感じは同ですが、この粒つぶした定位感は無くなりました。出力の違いかしら。しかし非力な6SN7-PPでも同様にはっきり粒立ちして聞こえます。6Z-P1シングルアンプでは、(低音の響きは劣りますが)高音は6CA7に近い感じ。つまり、この曲はこういったキラキラ粒つぶな録音のようです。どうしても音像がぼやけがちのバスレフスピーカーでは気づかなかった違いが、硬くくっきり鳴るスピーカーで露わになった感じです。

 そうなると、12BH7-PPアンプに問題があることになります。しっかり聴く と、大きな音と被さると小さな音が溶けて鈍ったようになる感じです。単なる歪みとは違う感じで、混変調のようでもあり、スルーレートが足りないというような感じとも何か違います。

箱入りの新品たち : 中古の管が元気なので今のところは出番なしです。

 設計に勘違いが無いか丁寧に見直しましたが、その過程で気づいたこと。位相反転は普通のP-K分割ですが、思い込みから見落としがありました。出力段の側から見た事ばかり考えていましたが、ドライブ段の側からも見直す必要がありました。12BH7Aの入力容量は大きいですが、6BL8の三極部でじゅうぶんドライブできます。ただ、この時に素でインピーダンスの低いカソード側にはそのまま入力容量を充放電する電流が流れます。この電流がワルサしている気がします。 この問題を減らすため、カソード側が無理に頑張らないように、グリッドへ直列に抵抗を入れることを考えました。

  大型で感度の高い出力管でには、安定性のためにクリッドに数kΩの抵抗を直列に入れることがあります。6BX7-PPアンプには一種のおまじないとして1.5kΩの抵抗を入れましたが、倹約設計の12BH7-PPでは入れずに直結にしていました。この違いが微妙に効いているのかもれしません。
 この抵抗を大きくすればどうでしょうか。5kΩぐらいを入れてやるとドライバがかなり楽になるはずです。直列に抵抗が入ると、出力段から見たインピーダンスは上がりますが、10kΩぐらいでも問題無いでしょう。この抵抗と出力段の入力容量でローパスフィルタになりますが、この程度ではハイ落ちというほどにはならずに済みます。直流的には誤差の程度で全然問題無いです。

 という事で、急遽ハンダごてを起動。手持ちのあった6.8kΩの抵抗を各グリッドに入れました。カソード側だけでも良いのでしょうが、そこは気分の問題です。改修は簡単に済みました。で、鳴らすとあきらかに定位感がくっきりと向上していました。低音の響きも一段豊かになった感じです。長い間、ずいぶん損してきた気がします。P-K分割の3極管アンプにはこの抵抗が有効と思われます。近いうちに、6BX7-PPアンプも手直ししようと思います。

2014年7月12日土曜日

6BX7 PP : 抵抗コンデンサを交換

真空管もトランスも無理な使い方をしなければけっこう長寿なもの。劣化した部品をうまく交換してやれれば、アンプ自体はずいぶん長く使えます。

 古い真空管を使って新しいアンプをいくつか作りました。真空管アンプの製作はしばらくぶりで、手もとに主要部品はほとんど無し。出力トランスは6CA7用に持ち置いていた物以外は新規購入。抵抗器や一部のコンデンサに手持ちを利用しましたが、主なものはやはり新しく買うことになりました。
 数十年の時間を挟んで見ると、コンデンサの進化が激しいです。小型化して特性が良くなり信頼性も向上しました。その進化は一様ではなく、波状に何度も起こりました。

 私室の常用アンプは1990年代の製作。すでに真空管は特殊な趣味の世界でした。テレビなどはトランジスタから機能ICに移行する時期、電源もシリーズからスイッチングへ替わり、インバータも増えて来ていました。デジタルもマイコンからパソコンへと一気に規模と速度が増大したのもこの頃。だから中身は当時の普通の半導体機器用。今回の手直しでは、(出力トランスの交換という大事もありましたが) 回路の見直しに関連した抵抗値の変更のほかは電解コンデンサを交換した程度。

タイトラグを利用したハシゴ状の配線は部品交換が楽です

 ひと続きのアンプ製作の締めくくりという気持ちで、居間の常用アンプも部品更新しました。このアンプは、真空管の終焉の時期の製作。真空管時代の思い出の意味もあって、内部はタイトラグを使って梯子状の配線にしました。抵抗やコンデンサは、トランジスタテレビなどの部品を中心に、新しい世代の金属皮膜抵抗やフィルム系コンデンサと古い真空管世代のMPコンデンサとか巻線抵抗とかが混用されていました。その後10年ほどのうちに、コンデンサや抵抗の多くを交換しました。金属皮膜抵抗が一気に安価になり、フィルム系コンデンサの種類が増えたのを受けて、古い世代の部品をほとんど排除されました。
 それからしばらく経ちました。この間、電気系の製作からほぼ完全に遠ざかっていたので最近の部品事情にはすっかり疎くなっていました。あらためて調べてみると、電解コンデンサが驚くほど進化していました。フィルム系コンデンサも一段小型化して信頼性が上がったようです。
 前回交換した部品のうち、信頼性が劣ったり耐圧に余裕が無かったコンデンサは交換しました。ブロックコンデンサは前回に交換していますが、残っていた電解コンザンサは今回105度の物に交換しました。残っていた初期のフィルムコンデンサも交換しました。これによって、最初の製作時部品はほとんど無くなりました

 タイトラグを使った梯子型配線の利点で、部品の交換は簡単に済みます。チューブラ型のケミコンが立型になったので取り付けが少し不自然になりましたが、サイズがぐっと小さくなったので、その分で他の部品の配置が楽になりました。次の部品交換があるかどうか判りませんが、劣化が予想されそうな部品が交換しやすいように一応配慮しました。
 作業は数時間で完了。念のため各部の電圧を測って動作チェック。その後はスピーカと入力を繋いで私室で聴き慣れた音楽をかけてしばらく様子見。音質には微妙な違いが感じられますが、差はごく僅か。初段の動作を少し変えたことによるものか信号が通るコンデンサが変わったことによる影響でしょうか。もうしばらく鳴らしてから居間へ戻します。

2014年6月29日日曜日

6BX7 Single : 製作しました

ひと区切りの区切りまで一気に進みました。若干の不手際はありましたが、おおむね順調な航海。このあとはゆっくり休息。

 筐体加工から内部の配線と部品の取り付けと、ほぼ2日で一気に進みました。通電して各部の電圧を測って、とりあえず信号を入れて出力を確認。今回は何のヒネリも無い回路で、NFかけても安定動作。そのまま馴らし運転。[このアンプの詳細はこちら]

 同じシャシーの加工が4台続きました。部品配置はそれぞれ大幅に違いますが、いろいろ知恵が働くものです。今回のがいちばん手間な加工なのですが、それでも半日ほどでできました。部品の配置とか、休止の間にぽちぽち考えていたのも効いています。やはり走り出す前の準備が大切です。
 出力管の6BX7は熱くなることで知られた管。ソケットの周囲に通気穴を開けました。シャシーが薄いので、この部分は裏側に2tの板を重ねて加工。手間がかかりましたが、けっこう丈夫になりました。それ以外は特別な加工は無しです。

大小の管が1本づつ

 トランスはすべて新品ですが、あちこちに手持ちの余剰部品や外し物の部品を活用しています。この後はおそらく電気ものの大物の製作は無いでしょうから、ここで使ってやらなきゃ、結局廃棄されることになるでしょう。
 内部の配線は、今回はタイトラグを利用した架空配線。昔はメーカー製の通信機や計測器に使われていた方式です。本来は部品交換のしやすさが特徴の方法で、配線のひきまわしとか先にきちんと計画しなければなりません。学生時代に6BX7-PPアンプを作る際にこの方式を採りました。その時の事など思いだしながら、さらにひと工夫加えました。

 6BX7-PPアンプは、一部の部品交換だけで長く活躍しています。当時は真空管が終焉を迎える時期。予備のつもりで何本か買い込んで、さらにジャンクの管も数本。若干余裕のある動作にした事と、私室用の小型アンプができてからは稼働時間が減ったこともあって、今でも最初にセットした管が健在です。この分だと買い置きの真空管たちに出番が来るかしら。
 6BX7は双3極管で、1本でプッシュプルなのですが、2ユニットの特性が揃っていて、ステレオなら2本あるのが望ましいです。ジャンクで片ユニットがへたりぎみの管とか、1本だけとか、シングルアンプでなければ出番が巡って来ないところでした。


2014年6月25日水曜日

6BX7 Single : トランスを購入しました

昨年から真空管アンプをいくつか作って来ました。予定した物があとひとつ。そろそろまた作業再開です。


 春からお花の時期はあちこちお出かけする所があります。でもそれも一段落。夏の旅の時期までしばらくまたお部屋でごそごそします。まずは、準備しかかって中断していた真空管アンプ製作のつづきです。
 順番的には6BM8シングルより先に作るべきだと思ったけど、部品の揃い具合で後回しになってしまっていた6BX7のシングルアンプ。やっと部品が揃いました。

部品が揃いました


 最後になったのは電源トランス。電圧と電流がちょうど良さそうで小型であまり高価でない物という規準で探して、選択したのは「東栄変成器」のP-70という物。ヒーターが3Aと2AでB巻線が220Vの70mA。 6SN7-PPアンプに使っている物と定格は同じですが、縦横高さともひとまわり大きく、これなら容量いっぱい取り出しても大丈夫そうです。
 入手が遅くなったのは、東京のお店へ行って買ったから。ネット時代の恩恵で商品情報は簡単に得られても、実体物の入手はまた別。ネットショップでカード払いだと簡単なのですが、そうでない所もあります。特にこの東栄変成器は実店舗販売が中心で、通販は電話で問い合わせとかなり面倒。送金料と送料も考えて、東京へ行く用事のついでに買って帰ることにしたのです。ちなみに、出力トランスはイチカワ製ですが、こちらは店舗販売は無しで通販のみのようです。

※ その後東栄変成器もネットから通販できるようになりました。

※ イチカワは真空管用トランスの製造販売を2022年1月で終了しました。

2014年2月24日月曜日

6BX7 Single : 電源とコンデンサ

もうひと航海する前にできる準備は少しづつやっておきましょう。

 6BX7のシングルアンプを作るつもりで、ゆっくり部品の準備です。押し入れの片付けは終わりました。修理や保守に使用しそうな物は残して、アンプか関連小物でも作るのに使えそうな物も残して、たぶん使わないような部品は思い切って廃棄処分。
 6BX7アンプに関して、必要そうな部品はひととおり拾い出しました。多少不似合いだったり過不足があっても使える物は活用するつもりで検討しました。あとは見つけた時が縁でぼちぼち揃えるつもりです。 

 ネットで見つけて通販したコンデンサが届きました。直径25mmの中から背の高さで選びました。ひと昔前なら220μなんてけっこう大きかったのですが、これはMT管よりひとまわり大きいぐらい。それでも手持ちの足(コンデンサバンド)を付けて見るとけっこういい感じに見えます。

手持ちのバンドに合う 直径25mmのコンデンサ

  6BX7のシングルアンプを作るとなると、確かめておく事があります。比較的安価な既成のトランスを使う場合、オペアンプの電源をヒーター用の6.3V巻線から作らなければなりません。半波の倍電圧整流を上下に重ねれば、±15Vぐらいが得られるはずです。原理的には問題無いはずですが、やはり先に確認。電流は小さいですが、リップルが逆相になりますから、念のため12Vの3端子レギュレータを入れます。
 
 という事で、前置アンプと合わせて基板に組みました。電源部もアンプ部も手持ちの部品をやりくりして済ませました。
  手持ちのヒータートランスを繋いで電圧を加えると、ちゃんと倍電圧の直流が出ます。そこで手持ちのオペアンプのひとつ挿して動作チェック。音声信号を入力して、出力をアンプへ入れると、ちゃんと普通の音が出ました。どうやら、このコースで進んで大丈夫そうです。

2014年2月4日火曜日

3極管シングルアンプ

こだわりも大切だけど柔軟さも大切。思いつきを小ネタにするにはパソは便利です。

 6SN7-GTのアンプは製作途中だけど、カラクタ整理は継続中。このアンプが完成すると、3極管のプッシュプルアンプが3台になります。出力はそれぞれ2倍づつの関係ですが、どれも実用的でちゃんと聴けるアンプ(になる予定)。そうなると手薄?なのが3極管のシングルアンプ。小ネタではなくちゃんとした物を作れるかしら。

 1W程度以上のステレオアンプが目標。条件として、実用的な感度と音質。管や部品に無理をかけないこと。安定重視。手持ちで候補となる管は、12BH7Aのパラレル、6BX7を片方づつ。意表を突いて6BM8か6AQ5の3結か。
 手持ちの6BX7の中には、新品で購入した物のほか中古を買い込んだ物もあります。中古の中にはへたり具合で2ユニットの特性に違いが目立つ物があります。これらはプッシュプルのステレオアンプでは使いにくいです。片ユニットづつシングルアンプにすればこれらも活躍できるのではないかしら。という事で、またパズルゲームの始まり。

 あらためて6BX7の特性図を眺めてみました。6SN7とは対照的です。電流はドバっと流れますが、電流の少ない所ではカーブしています。このへん、12BH7Aよりも癖が悪いです。しかしたっぷり電流を流そうとするとプレート損失を越えてしまいます。このあたりも6SN7とは対照的。電圧を下げて低く寝たロードラインを引くと、出力は減りますが、歪みが減って案外いい感じになりそうです。

 200Vで27mA。負荷が7KΩぐらいで、P-P24Vほどの入力で出力は0.7Wぐらいでしょうか。これは8ΩでP-P6.6Vぐらい。電圧利得は0.27ほどです。出力重視だと、250Vで負荷が5KΩ。入力約30Vで出力が約1.1W。8ΩでP-P8.3Vで利得はやはり0.27ぐらいでしょう。やはり感度が低いです。ほど良くNFをかけて仕上がりを16倍ほどにするにはドライバ段の裸利得が200倍ほど必要です。3極管の1段では無理。一方、6BX7は入力容量の大きな3極管。高インピーダンスでは苦しいです。
Dual Operational Amplifiers / 2回路入りオペアンプたち

 これはパズルです。とりあえず難しい条件をひとつ外してみます。メインアンプの感度が足りなければ前のアンプが頑張れば良いのです。真空管全盛の頃のメインアンプには感度が低い物もありました。それを補うためかプリアンプの最大出力も高く設計されていた気がします。居間で常用している真空管プリには、NF量を減らしてゲインを+6dBするスイッ チを付けてあります。1つの増幅回路ではなく、ゲインが低いパワーアンプとゲインのあるフラットアンプの2つに分けて考えます。

 パワーアンプはシンプルな真空管アンプ。これをフルスイングするには±3Vほどの入力が必要です。この程度なら汎用のオペアンプでも簡単です。この方式は案外うまく行くんじゃないかしら。

2014年1月19日日曜日

6CA7 PP : 慣熟運転中

しばらく鳴らして、真空管も部品もすっかり馴染んだようですが・・・

 最初は高音も低音もバラバラの印象でしたが、しばらく鳴らしているうちになんとなく落ち着いた感じになってきました。本当は定格ぐらいの音量で鳴らしてみたいのですが、狭い家では当然無理。dしかし、毎日この新しいアンプの音を聴いているのだから、こっちの耳の方が馴染んだという事もあり得ます。あらためて私室で常用している12BH7Aプッシュのアンプに繋ぎ替えました。
 やはりかなり音楽の印象が違って聞こえます。長く聴き慣れたアンプは(当時の製作意図でもあったのですが)ごく普通でぼんやり聴いてちょうど良いぐらいのの音。まったり癒し系とも言えるれど、新しいアンプの気合いの入ったの音と比べるとずいぶん「もっさり」して聞こえます。
 思いついて、先日作った6Z-P1のアンプも引っ張り出しました。意外なことに、小さな音ではいちばん貧弱な6Z-P1のアンプと大型の6CA7アンプの音が良く似ています。どちらも5極管ですが、それ以外は全然似てもにつかないアンプ。あと共通点があるとすれば、回路の設計の詰めにSPICEを使った事ぐらい。そこで、物は試しと、12BH7Aアンプのドライバ段までの回路をSPICEに入れてみることにしました。幸い6BL8のパラメータもありました。グラフを描かせて見ると、あまり良くない動作になっていました。このアンプを作ったのはもう20年以上前。その時には、前に6BX7アンプを作った時の計算書きを基に適当に値を加減した(テヌキした!)ように記憶しています。当時はまだマイコンがパソコンになったばかりの頃で、シミュレータはアマチュアが使えるようなものではありませんでした。そして、その6BX7アンプを作った70年代半ばは電卓の時代。
 アンプの設計と言っても昔はけっこういいかげんでした。アマチュアの製作では、メーカ公表の動作例そのままとか、略算式で計算したままというのが普通でした。理屈は抜きでここは○倍とか×Ωぐらいという慣習も多く、雑誌の製作記事でもそういった手法が解説されていました。入出力の容量やインピーダンスとかは都合良く忘れて、時定数はとんぶり勘定。さすがにトランジスタの時代になるとこの手は通じなくなりました。オペアンプなんて癖の悪い物も出て来て、丁寧に計算して確認しなければいけなくなりました。一時の徒花に終わりましたが、4chステレオなんてのもありました。先の6BX7アンプ製作の際には、当時の手法で真空管回路を見直そうとしました。今ならパソのSPICEで数秒もかかりませんが、計算尺(まだ関数電卓は持っていなかった)と集計用紙を使って夜な夜な計算を繰り返しました。

 という事で、居間のアンプも持って来ました。繋ぎ替えて、同様にちょっと大き目の音で鳴らし比べ。やはり設計した時代からでしょうか、帯域の取り方が狭い感じで、低音や高音の響きが少し物足りないですが、気になっいた「もっさり」感はありません。中域は新しい6CA7アンプと良く似ていますが、ボーカルの生々しさでは若干こっちが上。何事も細部まで気配りして丁寧にやらなきゃダメという事のようです。
 SPICEに入れた回路の定数をあちこち加減して、それなりにバランスの良さそうな値が求められました。計算も速いし、画面で波形を見ながら電圧配分とか考えられるのはたいへん楽です。回路はそのままで、抵抗やコンデンサをいくつか交換すればかなり改善しそうです。はたしてSPICEの効き目がどのぐらいなのか、やってみなきゃいけなくなりました。