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2024年1月14日日曜日

ラックス MQ-60/KMQ-60 アンプの修理に関して

ここにアンプの製作の記事を載せるようになってから 、今までに数回相談がありましたので、現況での考えをまとめて置きます。何かの参考になれば。

 私が製作した6CA7-PPアンプはシャシーにラックス製MQ-60アンプの解体品を利用しました。この繋がりでの御相談のようです。
 
これはまったくのオリジナルの回路です入手したのはほとんどの部品を外されたシャシー部のみでした。使用したトランスや真空管は元とは異なっています。既存のアンプの改造/修理には該当しないと思います。

 ラックスのMQ-60アンプは微妙に内容の異なるいくつかの仕様があるようですが、基本的にはOY15-5トランスを使用した50C-A10のプッシュプルアンプで、ドライバはカソード結合(ムラード)型で、初段が6267の3結、位相反転が6DT8。最大の問題は出力管の50C-A10が交換困難。次に出力トランスの故障/不良。トランスについては多くの製品に使用されアマチュアの製作にも使われた物ですから、それなりの程度の中古品があるようです。また(それなりの価格ですが)代替に使える製品もいくつかあります。しかし出力管の50C-A10は元々耐久性や寿命の問題があり多くは早期に不良になっています。NECのオリジナルの管で他社製や類似品はありません。使用された製品が少ないので、新品はもちろん程度の良い中古も入手は難しいです。ある程度の期間実用にしようとすると、これは改造置き換えを検討するべきでしょう。

 50C-A10 は回路的には3極管ですがこの規模の3極管は当時も現在も他に存在しません。そしてこれの構造はビーム管を内部で3結にした物ですから、ビーム管(5極管含む)の3結で代用するのは自然でしょう。
 この規模の管で現状で入手が難しくない物でとなると、6L6-GC、6CA7,6550あたりでしょう。

 50C-A10の出自からはカラーテレビの水平偏向管も候補になると思いますが、規格上の耐圧を越える心配とプレートキャップが要る点であまり勧められません。

 いずれもソケット交換が必要です。元の回路部分が動作していたとすると、6CA7に替えるのが簡単そうです。管の外観がだいぶ異なり、出力が少し小さくなりますが、出力トランスとの組み合わせも問題ありません。
 50C-A10はヒーターが50Vで、これを2本直列にして電源の100Vで点火しています。このため搭載の電源トランスには出力管のヒーター用の巻き線がありません。6CA7の場合は4本で6Aの電流になります。電源トランスを載せ替えるか別にヒーター用のトランスを付けるか。前者は費用的に大袈裟になります。後者は筐体には載らないのでケーブル引き出しで別置きする事になります。

 ドライバ回路については、振幅もゲインも問題ありません。バイアス回路は調整範囲を超えるかもしれませんが、抵抗値の変更(追加)で対処できる程度です。裸ゲインが変わるので高域が不安定になるかもしれませんが、位相補償をいじるよりも仕上がりゲインを変えて帰還量を同程度にする方法が簡単でしょう。おそらくこの程度で、元の回路をそのまま保つ事ができると思います。

 なお、3結にする際には、第2グリッドは直接ではなく数百Ω程度の抵抗を介してプレートに結ぶ方が安心です。また、当時のコンデンサは元々耐久性が低くおそらくかなり劣化しているはずなので、積極的に交換すべきです。特に段間の結合コンデンサと位相反転部のグリッドを接地するコンデンサは漏洩電流が怖いですから。そのほか、電解コンデンサも可能なら替えておくべきだと思います。バイアス回路の可変抵抗も交換した方が安心でしょう。あとは・・・入力部の直流阻止は個人的にはぜひ入れたいです。原型尊重という点からもこの程度で済ますのが良いと思います。

2018年11月29日木曜日

真空管の名前

真空管の名前には、一定のルールがあることになってますが・・・

 日本で一般的に使われていた真空管は米国系。これに日本独自規格の管が加わります。元々は欧州系の管も、日本では米国での名を名乗っていました。

 米国系の管名は、ヒーター電圧を表す数字+英字1または2文字+電極数を示す数字 という構成。英字は登録順に付くのが基本なので、電圧違いの相当管でも違うことが多く判りにくいです。末尾の数字も、複合管の構成はわかりませんし、シールドの扱いなど不統一もあります。この点、欧州の型番は判り良いです。最初の英文字はヒーターを表し、レス管の場合は電流が示されます。続く英文字は内部ユニットを表し、複合管は複数文字になって構成がわかります。その次の数字1文字は管形、その後は追番です。

元のシャシーの印刷には間違いがありました

 日本の管名は、米国と欧州の混合という感じです。最初の数字がヒータ電圧なのは米式と同じ。次の英字は管形で、ハイフンを挟んで、その次に欧州式のように内部ユニットの種類を示す英字が来て、最後はそのユニットについての通し番号。ヒーター違いや管形違いでも後半部が同じになるのが工夫されている点のように感じます。

 寒くなって来たので、発熱の多いアンプでもメンタル的に使いやすくなりました。大物の6CA7-PPアンプを出しました。これはラックスのMQ-60の解体シャシーを利用しています。上面には元々使用していた管名が印刷されています。回路が変わって載る真空管も変わりました。ドライバ段の管の所は(間違いを防ぐ意味で)新しい管名のラベルを貼りました。出力管は間違いようが無いのと、使用する6CA7と似た名前が書かれていたので、そのままにしてありました。
 ここに使われていたのは日本生まれの3極管で、6C-A10のヒーターを50Vにした管。50CA10と書かれていますが、日本式の型番なので 50C-A10とまんなかにハイフンが入るのが正しいです。
 という事を考えているうちに、ふと気づいたこと。6CA7は普通の5極管です。米国式の基準に従えば末尾の数字は5か6です。末尾7は絶対に変です。

[製作した6CA7-PPアンプの詳細は→こちら]

2018年3月26日月曜日

品不足になれば

物の値段は需要と供給で決まる。供給は価格により増減するけれど、これには在庫の過多も関係する。量産前提の製品であれば、製品のほか、素材や中間製品の在庫も影響する。

 6BM8は現役当時はテレビ用のレス管も含めれば世界中の多くのメーカーによって作られた管です。そして大手が製造を止めたあとも、東欧などで製造が続けられ、つい最近までは比較的安い価格で流通していました。しかし、しばらくぶりに見た6BM8の価格は驚くほど高くなっていました。
(製作した6BM8アンプについてはこちら)

 すでに真空管は過去の遺物。真空管は手作りのイメージもあるけれど、それは一部の工程。特に近代真空管は機械化によって大量に作られる部品の集合体。
  製造する機械が壊れれば、それを新たに作れるかどうか。使用する素材も製造が途絶えた物は在庫限り。代替素材があるかどうか。
  
JJはスロバキア製 松下製とは頭の丸みが違います


 大手メーカーが真空管の製造を止めたあとも、いくつかの国で真空管が作られ続けています。元々大手の下請けだった所や、古い製造設備などを移転して生産を始めたところ。そこで作られた品種はかなり偏りがあります。

 知名度が高く人気の品種なのは当然ですが、技術的に少量生産向きかどうかというのもあると思います。そしておそらく、手持ちの素材や部品を利用して作れる品種で、需要が多くて利益が上がる物を作っているのでしょう。確保していた素材や半製品を使い尽くした、あるいは金型や治具が破損した。そうなれば人気があっても製造を続けるのは無理です。

 つい最近まで製造が続いていて新品が普通に流通していた品種でも、突然製造が終了する。おそらくそのメーカーでは今後の製造は無い。今後の供給に不安が生じれば、その途端に市場価格が高騰する。

 このように、最近まで世界のあちこちで生産されていて、今はまだ新品が豊富に流通しているように見える品種でも、この先はどうなるか判りません。需給のバランスが崩れれば一気に高騰するでしょう。

6CA7-PPアンプ は EL34-PPアンプ になりました


 子ども時代からの懸案だった6CA7-PPアンプの製作。取り込んだ中古の管は松下製が合計9本。ヘタリ具合は多少違いますが、個人の趣味の道具としてならまだしばらく使える程度の物。製作したアンプ自体も管を定格よりだいぶ控え目に使っていますから、にわかに劣化することも無いでしょう。さらにロシア製の新品をひと揃い確保しています。
 それでもその先が気がかりです。あるうちと思って、ネットで安く出ていたJJ製のペア管をひと替え分購入しました。 これで、替えの真空管が無くなってアンプが使えなくなる心配はしなくて済むはずです。


2017年4月25日火曜日

代用ブロックコンデンサ ( 6CA7-PP 用 )

無いを有るに替える工夫は有るか? 実際ひと手間かければ何とかなることもあります。

 しばらくぶりに電気ものの製作を再開したのは、長年の懸案「6CA7-PP」アンプの製作が機会。昔に確保した部品はあれこれありましたが、足りない物はあちこち探して購入しました。昔と大差無い部品もあれば、特性的に大幅に向上した物もありました。しかし入手困難な物も。
 最近はまた真空管アンプが作られているようですが、真空管からトランジスタに移行して、それが行ききった先で折り返して来たような 感じでしょうか。問題は、電気部品の多くは大きな工場のラインで量産される物ということ。良く売れる物はどんどん改良されて優れた物が作られるけれど、売れない物は停滞して消滅して行きます。

 最近の受動部品は、電気的な特性以上に信頼性が高くなっています。小型化も進んでいるので、容量的に余裕のある物を使用すれば、さらに安心感が増します。趣味的な市場向けに昔の技術で少量製造されている高価な部品もありますが、ノスタルジー的な意味を除けばこれらに拘る必要はほとんど無いでしょう。

最近のコンデンサは性能が向上して小型化しています。余裕で入ります。

 信号系のコンデンサについては、現代のコンデンサの方が特性も信頼性も段違いに優っています。昔のコンデンサは(現役当時でも)劣化が心配な部品でしたから、古いジャンク品は論外、たとえ未使用でも古い在庫品を使用するべきでは無いと思っています。


 ところが悩ましいのがプロックコンデンサ。昔の真空管アンプには必須だったけれど、今では高耐圧の品は事実上絶滅しています。電気的には優れた代替品がありますが外観に影響します。

 6CA7-PPアンプ製作の際には、プレート回路のプロックコンデンサは海外製の新品を使用しましたが、他は『とりあえず』手持ちのジャンクを使いました。電解コンデンサは未使用でも古くなると劣化します。使用前に測定してあまり劣化していない物を選んだのですが、今後も長く使うには不安要素です。
 その後にアンプを製作する際には、入手不能なブロックコンの代用に最近の技術で作られた「基板自立型コンデンサ」を使いました。太くて短い物ならば入手容易で価格も比較的安いですが、背が高くブロックコンのようにシャーシ上に立てて見栄えする物はあまり出回っておらず、価格も高目でした。


 先日ふと思い付いたこと。昔のブロックコンの直径は約35mm。入手容易な基板自立型コンデンサの外径は25~30mm。背が低いので、縦に積んだら古いブロックコンの円筒の中に2個入ります。つまり、代替困難な2個入りブロックコンデンサの代用品として使えるはず。


 容量が抜けた古いブロックコンを切断して内部を抜いてその中に新しいコンデンサを入れました。端子部分は元の物を接着しました。見た目は昔のブロックコンデンサのままですが、電気的な性能も信頼性も格段に高くなります。こうすれば現在は入手困難な複数入ったタイプのプロックコンを代替できます。

2014年1月20日月曜日

6CA7 PP : ドライバ段の回路

昔よく聴いた曲とかかけながら使った資料など片付けています。

 製作した6CA7アンプのドライバの2段差動はかなり初期から考えていたものです。出力トランスを譲り受けた頃の回路案の走り書きが出てきました。一応は計算したらしく、抵抗値が入っています。選球は常識的?に12AX7と12AU7です。深いマイナスを使うのではなく、1段目は-40Vと中途半端な電圧から引いていますが、バイアス回路用のマイナスを流用しようと考えたようです。直結は避けて2段目は自己バイアスにしています。
 2段目に300Vがかかっていましたから、出力段は350V程度加えて約40Wぐらいの出力という普通の動作を考えていたようです。この時のドライブは片側30Vぐらい(60VP-P)になるはずです。(この動作ではSW30-6は使えません。)
初期に考えていた差動2段ドライブ回路 2段目が自己バイアス

 トランジスタアンプでは当時でも差動回路はほとんど常識でした。しかし真空管アンプの回路としては特殊な部類で、初段に双3極管を使っても2ユニットをパラというのが一般的でした。2段差動は位相反転回路としては理想的で、全体では部品点数も多くないのに、あまりにももったいない。深いマイナス電源が要るから? それなら自己バイアスという手もあります。(2段目は差動入力なので自己バイアスでも影響は少ない)

 遊びついでにSPICEに入れてみました。組んだまま電源を入れる感じで、そのまま実行。あっさり動いてしまいました。ゲインは約250倍。振幅もじゅうぶん取れています。抵抗値を見ると、ゲインが高くなりすぎるのを抑えようとしたようです。意外としっかり考えていたようです。もっとも、この回路は裸では歪みが多い感じです。動作点もゲイン配分も詰めがあまいですが、初段をあまりマイナスに引けていないので、初段の平衡度が低くて歪みの打ち消しが効いてません。

 (注:ムラード型の原型は段間が直結でなかったらしいです。)

2014年1月19日日曜日

6CA7 PP : 慣熟運転中

しばらく鳴らして、真空管も部品もすっかり馴染んだようですが・・・

 最初は高音も低音もバラバラの印象でしたが、しばらく鳴らしているうちになんとなく落ち着いた感じになってきました。本当は定格ぐらいの音量で鳴らしてみたいのですが、狭い家では当然無理。dしかし、毎日この新しいアンプの音を聴いているのだから、こっちの耳の方が馴染んだという事もあり得ます。あらためて私室で常用している12BH7Aプッシュのアンプに繋ぎ替えました。
 やはりかなり音楽の印象が違って聞こえます。長く聴き慣れたアンプは(当時の製作意図でもあったのですが)ごく普通でぼんやり聴いてちょうど良いぐらいのの音。まったり癒し系とも言えるれど、新しいアンプの気合いの入ったの音と比べるとずいぶん「もっさり」して聞こえます。
 思いついて、先日作った6Z-P1のアンプも引っ張り出しました。意外なことに、小さな音ではいちばん貧弱な6Z-P1のアンプと大型の6CA7アンプの音が良く似ています。どちらも5極管ですが、それ以外は全然似てもにつかないアンプ。あと共通点があるとすれば、回路の設計の詰めにSPICEを使った事ぐらい。そこで、物は試しと、12BH7Aアンプのドライバ段までの回路をSPICEに入れてみることにしました。幸い6BL8のパラメータもありました。グラフを描かせて見ると、あまり良くない動作になっていました。このアンプを作ったのはもう20年以上前。その時には、前に6BX7アンプを作った時の計算書きを基に適当に値を加減した(テヌキした!)ように記憶しています。当時はまだマイコンがパソコンになったばかりの頃で、シミュレータはアマチュアが使えるようなものではありませんでした。そして、その6BX7アンプを作った70年代半ばは電卓の時代。
 アンプの設計と言っても昔はけっこういいかげんでした。アマチュアの製作では、メーカ公表の動作例そのままとか、略算式で計算したままというのが普通でした。理屈は抜きでここは○倍とか×Ωぐらいという慣習も多く、雑誌の製作記事でもそういった手法が解説されていました。入出力の容量やインピーダンスとかは都合良く忘れて、時定数はとんぶり勘定。さすがにトランジスタの時代になるとこの手は通じなくなりました。オペアンプなんて癖の悪い物も出て来て、丁寧に計算して確認しなければいけなくなりました。一時の徒花に終わりましたが、4chステレオなんてのもありました。先の6BX7アンプ製作の際には、当時の手法で真空管回路を見直そうとしました。今ならパソのSPICEで数秒もかかりませんが、計算尺(まだ関数電卓は持っていなかった)と集計用紙を使って夜な夜な計算を繰り返しました。

 という事で、居間のアンプも持って来ました。繋ぎ替えて、同様にちょっと大き目の音で鳴らし比べ。やはり設計した時代からでしょうか、帯域の取り方が狭い感じで、低音や高音の響きが少し物足りないですが、気になっいた「もっさり」感はありません。中域は新しい6CA7アンプと良く似ていますが、ボーカルの生々しさでは若干こっちが上。何事も細部まで気配りして丁寧にやらなきゃダメという事のようです。
 SPICEに入れた回路の定数をあちこち加減して、それなりにバランスの良さそうな値が求められました。計算も速いし、画面で波形を見ながら電圧配分とか考えられるのはたいへん楽です。回路はそのままで、抵抗やコンデンサをいくつか交換すればかなり改善しそうです。はたしてSPICEの効き目がどのぐらいなのか、やってみなきゃいけなくなりました。


2014年1月17日金曜日

6CA7 PP : 試運転とネジの交換


組み上がったアンプは安定して動作しているようです。しばらく部屋で鳴らしています。

 ちょっと大き目の音で聴き慣れた音楽を次々とかけながら、その合間に動作チェックしたりしながら webページ用の写真を撮ったりしています。
 シャシーに付いてきた部品のうちのいくつかは再利用しています。入力のピンジャックも元の物を使いました。清掃してチェックして支障無いと判断したのですが、やはり接触不良が起きるようです。若干加工するだけで嵌る物があったので、これに交換しました。その際にシールド板を供締め固定していた出力トランスの止めネジを緩めました。すると、ちょっと回すだけでポロっと外れました。ネジが短すぎで、やはりこれはマズい。

 で、いろいろ用事をしがてら日本橋へ。日本橋には老舗のネジ屋さんがあります。今回のお目当てはここ『ナニワネジ』。たいへんたくさんの種類のネジを小袋で売ってます。太さや長さの違うネジが材質ごとに区分して陳列されています。ナットや座金とかも形や材質がいろいろ揃っています。小ネジの類はひと袋50本とか100本ですが、単価で見ればかなり割安。ホームセンターで20本買うならナニワネジで100本買うという具合で、昔からこちらのお世話になってます。まあ、その結果使い残しのネジが膨大な量溜まっているのですが。(今回の使用した小ネジはすべてこういった買い置きです) 

真空管の灯り / 6CA7の中が高温なので青白く見えてます

 ネジって悩ましいです。規格品で太さが合えば締め合わせできます。一般的な径と長さならホームセンターとかでも売ってますが、材質や頭の形とかちょっと条件が付くと揃わなかったりしますし、もうひといき長い物とかもありません。御近所で少量か買えるのは便利ですが、大物の製作などで小ネジがたくさん要る場合は案外高く付きます。ネジ会社へ行くといろいろあって単価は安いのですが、キロ単位で量り売りとか。最近は少量か購入できる通販もありますが、一度に何種類も頼むのでなければ送金料と送料が代金の数倍にもなってしまいます。この点、小袋販売してくれるネジ専門店というのはたいへん有り難いです。

 使用したMQ-60のシャシーは鉄板の上にアルミ板が重ねてあって、普通のシャシーより厚さがあります。電源トランスの取り付けの際には、上下にワッシャを入れるとネジが届きませんでした。しかたなく、少し長いネジに交換しました。ごく一般的な4mmのネジなのですが、5cmを越えると置いている店は限られます。やはり御近所のホームセンターを回っても無くて、結局ネジ屋さんへ行くことになりました。
 ネジは規格品ですが、過去に規格が変更されています。このため古い製品を修理したり古い部品を利用したりしようとすると古い規格のネジが必要になる事があります。今回使用した部品のうち、出力トランスはこの切り替わりの時期の直前頃の製品で旧JISネジが使われています。取り付けネジの径は4mmですが、現行のISOネジとはピッチが違います。元々のトランスに付いてきたネジがあったので、これを使って取り付けたのですが、長さが微妙に足りていませんでした。前述のシールド板を供締めしているネジはその分余計に長さ不足が影響したようです。
 旧ネジなんて、絶対にホームセンターなんかには置いていません。最悪はネット通販も考えて、とりあえず日本橋のネジ屋へ。さすがに専門店です。材質はユニクロしかありませんでしたが、いろいろな長さの旧ネジがありました。使用量が少ないのに合わせたのでしょう。1袋10本入りですから、所要本数の8本にちょうど良かったです。(単価で見ると現行ネジよりかなりお高いですが。)

2014年1月16日木曜日

6CA7 PP : 試運転中

最後は一気に進んで予定よりもすんなり完成しました。

 ここ毎晩聴き慣れた音楽をかけています。最初は妙に低音と高音が目立って聴こえてしましたが、だんだん落ち着いてきました。低音は柔らかく響く感じですが、高音はくっきりちょっと硬く聞こえます。パソからmp3を再生すると、同じデータでもパソによって音に違いがありす。以前から気になっていたのですが、このアンプではその差が目立って感じられます。そして、大出力アンプの余裕という事なのか、多少ボリウムを上げてもあまり音量が増した感じがしません。
 各部の電圧を再確認しました。ドライバ段の真空管はすべて取り置きしてあった中古から適当に選んだ物ですが、支障なく作動しています。出力管も安定して動いているようです。バイアス電流を正規に調整しなおしました。バイアス電圧の調整範囲がかなり偏っていたので、抵抗1本を交換して修正しました。その後、内部の配線を整理してビニル紐で括り直しました。これでひとまず完成です。中古部品を使った電源部のブロックコンも支障なく使えています。これは適当な物に巡り会ったら交換したいと思います。

配線を整理して括りなおしました

 シャシーの通気が良いうえに定格からかなり抑えた動作という事もありますが、真空管まわりはあまり熱くならずにすんでます。冬に部屋で使うにはほどよい程度。大きくて重いので扱いが大変ですが、しばらくの間このまま鳴らそうと思います。まあ、押し入れを整理しないと片付けるスペースが無いという問題もあるのですが。

2014年1月13日月曜日

6CA7 PP : 動作チェック

部品を盛り付けたラグ板を配線。ラグ板配線は仕上がりが速いです。

 狭い中で配線のとりまわしに苦労しました。ラジペンとニッパーをてこのように使って被覆を剥くという昔会得した技を駆使して作業。使い慣れた鉗子も大活躍。引き回してあった線のうち、長さが足りなかったのがありましたが、まあだいたい予定どおり。

 念のため、あちこち抵抗とか測って確認。どうやら致命的な間違いは無さそう。という事で、(管は挿さずに)おそるおそる電源を入れました。火花も煙も無し。大急ぎで各部の電圧を確認。なんせ、電源まわりが大がかりですから。ひととおりそれらしい電圧が出ているので、ドライバ段の管を挿しました。直結段が無いので1段づつ確認できます。プレートもカソードもほぼ予定の電圧。ちゃんと動いている? 思い切って初段の管も挿してみます。やはり電圧は予定の範囲内。ACを確認すると・・・何か拾っているのか電圧が出ています。発振か?? 今回は「オシロ」という武器があります。押し入れから引っ張り出して波形を見ると、60Hzの交流波形。ハムを疑ったけど、どうも違うみたい。どうやらどっかから誘導を拾っているらしいです。グリッド付近の線を整理してみると少しレベルが下がります。やはり電源トランスと管が近いのが問題のようです。間のあたりに金属物を入れるとレベルが下がります。シールド板追加も検討。

裸ゲインは約200倍

 とりあえずそのまま発振器を入力に繋いで、レベルを上げてゆくと・・・ドライバの出力に波形が出ます。上下でちゃんと逆相になっています。当たり前なのかもしれ ないけど、拍子抜けするぐらいアッサリと。振幅もじゅうぶん振れます。いきなり動かれると、なんとも不思議な感じです。入力と出力のレベルをオシロの目盛りの読みで比較すると約200倍。SPICEが出した裸ゲインどおり。しかし、SPICEってたいした物です。

 出力段のバイアス電圧が出ていることは確認済み。あとは出力段の動作だけです。その前に、製作したアンプ自体を利用して出力管の選別をおこないました。手元には中古の6CA7が合計9本あります。これに電圧をかけて、電流がちょうど良くなるグリッド電圧を測ります。1本だけ変な値が出ましたが、他はほぼ似た値。その中からほぼ同じ値のペアを作りました。

 イザ、出力管を挿して動作チェック。波は出ています。発振しているような様子はありません。このままいける?? いちど周囲を片付けて、入力に音楽ソースを繋ぎ、用心のため実験用のスピーカーを繋いで、スイッチオン。微かにブーンとザーが聞こえます。ボリウムをゆっくり上げるとちゃんと音が出ます。少しノイジーな感じですが、ちゃんと鳴ってます。ここまで来たらあとは最後の仕上げ。NFの線を繋ぎます。ノイズがすっと消えて静かになりました。念のためDC電圧とAC電圧を確認。発振もしていません。ボリウムを上げると当たり前のように音楽が聞こえます。一応用心のつもりでバイアスを少し深目に調整しました。馴染んでから再調整するのが良いでしょう。

 しばらく様子を見ても異常が無いので、常用のスピーカーにつなぎ替えました。古い真空管がまだ馴染んでないからでしょう。低音も高音もちゃんと鳴っているけど、何かバラバラの感じ。しばらく様子見です。

2014年1月3日金曜日

6CA7 PP : ボンネット

内部の作業が進む間に新しい展開が。

 ひと昔前の市販の真空管アンプのほとんどは通気性の良いカバーで上面が覆われていました。自作用にボンネットカバー付きのシャシーも売られていました。しかし最近の真空管アンプにはボンネットカバーが無いです。飾って真空管の灯りを眺めるにはそれで良いでしょうけど、部屋で実用しようとすると、万一の事故が怖いです。やはり何かカバーが必要。そう思って探しても現在市販のシャシーでカバー付きというのほとんど無いです。

 ナマのシャシーを買う替わりに入手したLUXのMQ-60のジャンクのシャシー。故障品を解体して使えそうなトランス類など外した残りらしいですが、ボンネットカバーがありませんでした。 MQ-60のシャシーはコンパクトなOY-15トランスにぎりぎり合わせたようなサイズ。ひとまわり大きなトランスなどを載せてボンネットを被せられるか、正直ほとんど無理と思っていました。だから後で管の部分を覆うカバーのような物を自作するしか無いと思っていました。
 実際にシャシーにトランスなどをあてがって見ているうちに、なんとかある程度の余地を取ることができました。内側の支障する部分を削れば、本来のMQ-60用のボンネットを使えそうです。シャシーのジャンクがあるなら、ボンネットのジャンクもあるのではないかしら。パンチング板など使って製作するにしてもそれなりに費用がかかります。思いついて探すと、都合良くボンネットのジャンクも出ていました。

ボンネット被せました 後ろ側の様子

 ボンネットはシャシーの穴に嵌るだけでしっかり固定される構造ではありません。出力トランスと干渉する内側の部分を削りました。外観はまったく変えずにうまく被さるようにできました。しかし微妙な歪みからガタツキがありますし、ボンネットがシャーシー上面に直接当たるのも気分的に良くないので、 薄いゴム片を挟んで少し浮くようにしました。

 背面の部品はほとんど元のまま使っています。電源コードは傷みがあったので新品交換しています。スピーカー端子は、元の物が使いにくいので、手持ちの物と交換しました。30Wを連続で使うには頼りない物ですが、どうせそんな使い方はしませんから使い勝手優先です。この点ではスピーカーのインピーダンス切り替えスイッチはあきらかに容量不足。こちらは交換を考えたのですが、そうすると元のツマミが使えなくなるので当面はこのままです。
 ボンネットは背の高いOY-15(95mm)を覆う高さがあります。本来の6C-A10はずんぐり太短い(高さ83mm)のに対して6CA7は背が高い(98mm)ですが、支障無く収まります。ちなみにSW-30の高さは85mmで、新しい電源トランス(90mm)よりも低いです。

6CA7 PP : 電源回路の配線

電源が真ん中に左右対称の配置。配線の引き回しもこれに従って左右対称。

 出力管のプレートとG2は別電源です。これに差動段のマイナスが加わって、電源回路は3組あります。バイアス回路の電圧はマイナス回路から分圧して作ってます。そしてヒーターバイアスはプラス電源から分圧して。差動段が2段ですから、これに行くプラスが2本とマイナスが2本。繋がる線の数はたいへん多いです。往復で変なループができないように、電源部からアース母線に沿わせて左右へ。
 真空管はドライブ段と出力段が変な形に折れ曲がった配置になっています。このあたりも混み合っています。とにかく狭いです。引き通した線を仮に括ってまとめて、また解いてくくり直して。
(完成後に写真と入れ替えました)

 電源部を配線したので、管は無しで試しに通電。火花も煙も無しでひとまずこの段階はクリア。真空管のソケットまわりを配線。半分ソケットに被さる位置に部品を盛り付けた平ラグ板が付きますから、最後はかなり狭い所での配線作業になります。
 部品配置が左右対称なので、平ラグ板の盛り付けも左右対称になります。これがたいへん面倒。片側を先に作って、それを見ながら反対側を組み立てる。その過程で、頭の中で左右を反転させるのですが、油断するとここで間違えてしまって付け直したり。

 今回は詳細な部品表は作りませんでした。SPICEで試した回路から値を拾って買い出しメモを作ったのですが、やはりいくつか見落としがありました。足りない部品を買いに行くまで、しばらくの間はたいした事はできません。

2014年1月1日水曜日

6CA7 PP : 組み立て開始

配線に必要なラグ板とかネジ類とか揃ったので、組み立て開始です。

 重いトランスなどは後にしたいけれど、これらの止めネジをラグなどの固定に使ってますし、位置関係が決まらないと配線の引き回しも定まりません。利用したMQ-60のシャーシーは、あきらかに見掛け重視の配置です。電源スイッチは出力管の配線と干渉する位置ですし、入力端子とボリウムは出力トランスや出力端子まわりの配線と近すぎます。空所はありますがどうも使いにくい場所。とにかく中が狭いです。
 
 年末に電源トランス取り付けネジを調達するのと併せて部品屋を4軒ハシゴ。1/8Wや1/4Wの抵抗は揃っていても、1/2Wや1W以上の抵抗は値によって無かったりします。熱的な余裕と耐圧の点で、物理的にあまり小さな物は不都合です。1/2Wや1WとかもE24で揃っていて欲しいです。
 探して見つからなかったのが電源部のブロック・ケミコン。出力段用の500V耐圧の物はなんとか見つかりましたが、ドライブ段用の方は適当な物がありませんでした。あとでまたゆっくり探すことにして、とりあえず手持ちの中古品と元のMQ-60のジャンクに付いていた物を使っておくことにしました。念のため容量をチェックしました。

 まず電源の1次側、出力部と配線。真空管ソケットの取り付けネジにタイト端子を付けて、ここを足場にグランド母線を張りました。トランスの取り付けネジを利用して入力端子部分を遮蔽するようにシールド板を設けました。電源トランスの取り付けネジに高ナットを重ねて、ここにバイアス調整用のボリウムを付けました。6CA7のヒーターは1本が1.5Aです。ここは太い線を使いました。

電源の1次側とヒーターの配線をしたので、真空管を挿してテストしました。

 このアンプは電源まわりが複雑なかわり、一部づつチェックしやすいです。電源の1次側も配線したので、まずは無負荷で通電して電圧チェック。異常無しなので、テストかたがた真空管をさし込んでヒーターを点灯してみました。数分間点灯しましたが、それほど熱くはなっていません。

2013年12月29日日曜日

6CA7 PP : シャシーを加工しました

シャシー加工を完了。次は内部の配線を少しづつ進めます。

 使うのは解体品のMQ-60のシャシーです。 真空管の穴は開いてます。トランスの位置は変えられませんが、ネジ穴は開け直しです。余地にうまく嵌るように微調整。プロックコンの1本とチョークコイルの位置を置き換えて、コンデンサの置き場所を確保し、チョークを出力トランスから離します。
 このシャシーは鉄板の箱の上に厚いアルミの板が載ってます。トランスなどの取り付けネジで供締めで固定される構造です。あまり物のボルトナットで固定して重ねた状態で穴開け加工。元のMQ-60はシャーシー上面にはほとんどネジが出ない構造です。これはそのまま引き継いで、元のラグ板の止めネジや真空管ソケットのネジなど使ってラグ板を固定する予定です。

部品を載せてみました ブロックコンが1本欠けてます

 穴加工が済んだので、部品を載せてみました。ブロックコンデンサは、元のMQ60の物を代用したので1本足りていません。電源トランスの背が高いです。チョークコイルはこの後ろ側に隠れています。
 ネジ穴位置の確認のつもりでネジを締めようとして、電源トランスのネジに問題があることが判明。アルミのバネルが厚いので、鉄板と合わせると 長さが足りないのです。もう5mm長いネジを使っておいて欲しかったです。年明けにネジ屋に買い出しに行かなきゃ。あ、ラグ板とかも買わなきゃ足りない。

2013年12月12日木曜日

6CA7 PP : ドライバ段の設計 SPICEで

物は試しとSPICEを入れたので、ついつい遊んでしまいました。

 シミュレーターを使うにはパーツのデータが必要です。基本的な抵抗やコンデンサは入っていますから、微妙な特性が影響するような動作でなければ、ある程度の受動回路は組めます。汎用のロジック部品なども入ってますが、困るのはトランジスタなどの能動部品。先のシミュレートの際には、ネットで探して必要なデータを入手できました。ついでに探すと、主な真空管のデータもありました。うまく働くでしょうか。という事で、真空管の回路を描いてみました。トランスのデータが無いので、ドライブ段のみのですが、おおまかな電圧配分と振幅やゲインを確認できるでしょう。

2段差動 ドライブ部の検討
  初段と2段目は直流的に分離しているので、それぞれ別々に定数をいじれます。シミュレータでは異常動作しても危険は無いので、抵抗の値を少し変えて動作のバランスを崩してみるとか。
 まず、先の計算値をそのまま入れて走らせてみます。一度目は見事に異常動作しましたが・・・配線ミスでした。繋ぎ直すと、ちゃんと出力が出て来ました。
 6FQ7の2段目は、ほぼ予定どおり動作になりました。実用上ばらつきの程度でしょう。かなり謎だった1段目は 、シミュレーターでは予定とちょっと違う動作点になりましたが、だいたいマージンの内に入っていて問題無い程度。この段はゲインが高目に出て、トータルでは300倍ぐらいのゲインになりました。振幅にも余裕があります。仕上がりゲインをちょっと高目にしても20dBぐらい負帰還がかけられそうです。真空管には2~3割のばらつきがあります。実際に組んでみるとどうなるか判りませんが、けっこういい具合に進んでいるのではないかしら。

2013年12月10日火曜日

6Z-P1 Single : 回路を再検討してみる

わが家のアンプの利得について、あらためて計算してみました。

 アンプの入力の基準は、どのぐらいが良いのでしょうか。入力レベル0dBで最大出力という考え方もあります。しかしアンプの出力の大小でゲインが違うと、使うアンプによって入力ソース側のボリウムの加減が違ってきます。

 私室で使っているアンプ控えの石アンプと普段居間で使っているアンプ。出力は違いますが、つなぎ替えて使ってもボリウムの位置はほぼ同じです。これは、最初に作った居間のアンプに仕上がりゲインを揃えてあるからです。で、最初に作った時の基準になったのが・・・当時使っていた某メーカー製のアンプ。最初はこれとつなぎ替えて遊んでいたので。
 16Ωで約24倍、8オームで約15倍のゲイン。あらためて計算して見ると、0.7Vで約20Wの出力になります。思い起こせば、たしか元のアンプは20Wだったような。今度のアンプは出力30Wですが、仕上がりゲインをどうするか、ちょっと悩ましいです。

 大出力のアンプは、当然それだけの振幅を得るのに必要なドライブ段を持っています。 逆に苦しくなるのは小出力のアンプ。規模に見合った簡単な回路では裸ゲインがあまり高く取れず、しっかりゲインを稼ごうとするとドライブ段が不釣り合いに大げさになってしまいます。お遊びで作った12BH7Aシングルアンプは10倍ほどのゲインになっていました。12AX7の1段ですから、NFをかける余地を確保するために低く設定したようです。

FETと高耐圧トランジスタをカスコード接続 = 5極管モドキ

で、先日の6ZP-1シングルアンプ。これも仕上がりゲインが低目に設定されています。

 6Z-P1は5極管としては感度が低いです。入力は6V6と大差無いのですが、得られる出力は1/4。ゲインは半分しかありませんから、全体で同じ裸ゲインにするにはドライブ段が2倍頑張らなきゃいけない事になります。前段に12AX7を使ったとしてもNF掛けて仕上がりゲイン15倍は難しいでしょう。2段にするか高増幅率の5極管を使うか、いずれにしても6Z-P1には不似合いっぽい。
 このアンプは真空管のかわりにFETの2SK30Aを使いましたが、ゲインが全然足りなくて仕上がりゲインを抑えてもNFが3dBしかかかってませんでした。定数を微妙に見直してゲインを上げてNFを10dBほどに増やしてみましたが、どう考えてもこれが限界。ゲインを稼ぎつつP-Pで20Vの出力を得ようとすると、電圧が足りません。しかし2SK30Aは高耐圧といっても50V。この点では真空管には全然及びません。古い資料を見ているうちに思い出したカスコード接続。FETの上に高耐圧のトランジスタを積めば高い電圧で使えます。うまくやれば、B電圧でそのままドライブできるのではないかしら。

 という事で、フリーのSPICEソフトを利用して検討してみることにしました。上のトランジスタのバイアスは、電流がほとんど流れないので出力管のカソードから取ることを考えました。回路は簡単です。普通の5極管を使った場合と同じぐらいの定数を入れて走らせてみると、なんとなくいい感じの動作になります。裸で40倍ぐらいのゲインが得られますから、仕上がりを16倍にしてもほど良いぐらいのNFがかかります。振幅もじゅうぶん余裕があって、6AU6あたりよりも使い易そう。
 そうなるとあとはトランジスタ探し。300Vぐらいで1Wぐらいのトランジスタって、けっこういろいろ出回っていた印象なのですが・・・検索してみると、すでにほとんど絶滅状態のようです。 このクラスのトランジスタの代表的な用途はと考えると・・・テレビの映像回路。テレビの回路がだんだんソリッドステート化されて最後に残ったのがブラウン管。ブラウン管も真空管ですが、それもついに液晶になって消滅。そしてその相方となっていたトランジスタも供に消えて行こうとしている感じです。まだ店頭在庫はあるかしら。電気屋街へ行ったら探して見なきゃ。

2013年11月30日土曜日

6CA7 PP : 電源トランスが届きました

注文していた電源トランスが届きました。あとは少しづつ慎重に進むだけです。

 予想よりちょっびり早く届きました。ネジ穴を開け直さなきゃいけませんが、とりあえずそのままシャシーに載せてみました。底面積の割に高さがあります。背の高い真空管と似合いそうです。うまく組み上がったらスマートな姿になるでしょうけど、部品の配置に全然余裕がありません。静電シールドを付けてもらったのですが、初段管と近いのが心配です。

春日無線変圧器 O-BS700型
電源トランスばかり気にしていたのですが、チョークコイルの事をすっかり忘れていました。外観の良い物はたいへん高価です、ネット情報をひととおり浚えると、使えそうなチョークが電源トランスと同じ所から出ているのを見つけました。バンドカバー型で小型で低価格で無理なく載る大きさ。インダクタンスはもう少し欲しいけど電流には余裕があります。一緒に送ってもらえば送料の分安く付いたのですが。まあ、ブロックコンデンサとか日本橋で調達しきれなければ、秋葉原へ遠征しなきゃいけなくなるかもしれませんし。

 真空管アンプ用のトランス類は一時期ほぼ絶滅していたのですが、最近はポチポチ作られているようです。この6CA7のアンプが完成したら、手持ちの真空管で何か作って遊ぶのも良さそう。6BM8と6AQ5がまとまった本数あります。

2013年11月22日金曜日

6CA7 PP : ドライバ部の利得

そろそろ部品の調達にかかります。しばらく部品屋から遠ざかってましたから、どんな物がどんな値段なのか調べながらです。

 回路の構成はすでに決まってますが、定数を拾ってなかった部分がありました。初段のまわりを再確認。
 初段の管には12AT7を考えています。ゲイン優先だと12AX7なんだろうけど、2段目である程度稼げますし、ここであまり高ろうとするとミラー効果の影響が大きくなりますから。
 12AT7はECC81の番号を持つ欧州系の管。本来は高周波用で、続番のECC82/12AU7、ECC83/12AX7に比べるとオーディオ用ではマイナーな存在。抵抗結合で音声増幅のデータは少ないです。浅いバイアスである程度電流を流して使う事を想定しているような感じの特性です。真空管のバラツキは2~3割ぐらいありますから、余裕見ておく必要もあります。ある程度詰めて組んだ上で、実測値を見て修正することになるでしょう。

6Z-P1シングルアンプ 実測して動作を確認中
 初段も差動アンプですが、負帰還も含めて見るとコモンモードでの使用になります。2段目とはC結合しますからプレート電圧の縛りはありません。μが60なので、プレート負荷を2倍弱の100kΩにして見ます。電源電圧は前段の220Vから1割ほど抵抗で落として200V供給するとして、プレート電流1.2mAほど。カソードが-1.4Vぐらい。入力がP-Pで1.5Vで出力がP-Pで80Vほどだからゲインは30倍ぐらい。差動で見ると半分になって15倍ぐらい。出力が10VP-Pになる入力は0.67Vで、この分はカソードが揺れます。この時のプレートの引き残りは75Vで支障無し。カソードを-100Vから引くとして、共通の抵抗が42KΩぐらい。けっこう良い値ではないかしら。
 全体のゲインを見ると、15×12×1.5で270倍。仕上がりが26倍の予定ですから、ちょうど良い感じです。

2013年11月19日火曜日

6CA7 PP : 電源トランスを特注で

一応は進路が定まったので、少しづつ先へ進むことにします。

 電源トランスを発注しました。この先は大きな変針はできません。
 MQ60の古シャシーを使う場合、管などの穴が開いていますから、それに合わせて部品を盛り付けなければなりません。回路が決まったので、これに従って部品配置と配線のとりまわしを考えてみました。けっこう窮屈なのと、若干強引な引き回しが出そうですが、このシャシーでどうにかなりそうです。そうなると、ここに載るトランスの大きさが決まってきます。
 先の回路の検討から、必要な電圧は決まっています。出力管のSGをプレートより低く取るので、この電圧が必要で、差動のカソードをマイナスに引くのにもうひとつタップを出してと。巻線を共用してセンタータップ整流にすると、端子数が7個。
 1次側に110Vも設けると残りの端子は4個。ヒーター巻線は2組しか設けられません。使用する管が決まっているのでヒーターの電流は自動的に決まってしまいます。 Hバイアスをかけるものとして、出力管とドライバ段に分けることにしました。6Aの巻線って思い切り太いです。
 B巻線の電流は 200-(12.6+37.8)÷(290×2)=0.255 となりました。もう少し欲しいけど我慢です。


1次側に110Vを設けたのは、場合によっては少し電圧を下げる使い方もあるのではないかと考えたからです。この場合、ヒーターの電圧も下がりますが、全体に軽い動作なのでエミッションが足りなくなる心配はありません。むしろ、寿命の点では好ましいような気もします。

 トランスができるのに合わせてぼちぼち部品の調達を考えなければなりません。さて、メイドさんの街になってしまった日本橋に必要な部品があるのかしら。

2013年11月15日金曜日

6CA7 PP : 筐体関連の作業開始

今回は私が今までにやった事の無い手順での製作。良く見て考えながら、少しづつ進めるつもりです。

 回路が決まって、出力段もドライブ段も電圧と電流がほぼ決まって来ました。電源トランスは、基本的には以前に考えた物で行けることになりました。端子数が制約されるので、ヒーター巻線を左右に分けるのは断念して、ドライブ段も中点タップは無しに。
 居間の6BX7のアンプは、当初は静かな部屋で使うサブアンプの構想で、ヘッドホンジャックも設けてあります。ドライブ段の6BL8はノイズやハム対策の点では普通の真空管です。トランスに余裕があったのでドライブ段を直流点火しました。現在私室で常用しているアンプも構想段階からヘッドホンでの使用を考えていました。ヒーターは交流点火ですが、カソードに対して+のバイアスをかけています。幸いこの対策が効いたらしく、深夜にヘッドボンかけていてもハムが気になることはありません。レストアしたKMQ7は普通に中点接地で、スピーカに耳を付けると(ヘッドホンジャックは無い)僅かにハム音が聞こえる程度。
 現用のアンプは出力は小さいけれどゲインは普通にあります。今度のアンプは大出力ですが、仕上がりゲインは同じですから、ハムやノイズに関しては(正常動作時は)ほぼ同じ条件となります。とりあえず、片側をCで落として+のバアイスをかけるようにしてみる予定です。

トランスの大きさを確認 : 出力トランスがきりぎりです
トランスが決まったので、シャーシー加工を始められます。穴を開けてしまうと後戻りができません。鉄シャシーにアルミを重ねた構造は美しいてすが、組み立て開始後の追加や修正が困難です。ネジ位置とかもきちんとチェックしておく必要があります。
 ケミコンは大きな物が3本載ります。元のチョークコイルの位置はケミコンに転用して、元のバイアス回路用の小さなケミコンの位置にチョークを置くことにすると、ネジ穴の加工だけで済ませられそうです。
 使用予定のSW-30に比べてOY-15の小ささが実感されます。ケミコンの取り付けネジの頭はぎりぎりかわせました。後ろ側ぎりぎりまで後退させると真空管との間もなんと確保できます。内部のCR等の支持には平ラグを使う方式を考えています。部品の盛り付け具合も考えると、微妙に窮屈です。
 本来のMQ-60はボンネットカバーがあるのですが、入手したこのシャシーには付いてしませんでした。もっとも、トランスの大きさを見ると、元のカバーをそのまま使うのはあきらかに無理。しかし、落下物など不意の事態を考えるとやはり何か保護になる物が欲しいです。上面と前面だけ覆うような物を作る事を考えています。

2013年11月13日水曜日

6CA7 PP : 出力トランス SW-30について

急いで作らなきゃいけない訳は無いです。せっかくだから、いろいろ楽しみたいです。

 古い雑誌とかひっばりだして見ると、製作記事とか広告とか、けっこう面白いです。ネットも漁って資料探して、古い回路とか眺めたり。

 SW30-6の資料は見つかりませんでしたが、ラックスのOY-15の資料は出て来ました。推奨容量34Wで、やはり本来は30W級のトランスです。-5について見ると、許容電流が120mA(片側)で不平衡が1.9mAと。インダクタンスを高く取ってコンパクトにまとめた反面デリケートで余裕の無い物になっているように思います。用途の欄には6CA7も書かれていますが、これはある程度軽く使った場合の想定でしょう。A3500のように40W取り出す動作は定格オーバー。MQ60でも全然余裕がありません。
 そう思って考えて見ると、学校放送用のアンプにはごっついトランスが載っていました。もっとも規格は規格で、実際の限界に対してある程度余裕があるのが普通です。自社製品のトランスだから、このへんのマージンも見込んで製品化したのでしょう。高級オーディオメーカーのアンプと出力がクリップするような負荷で働かされる業務用のアンプでは考え方自体大きく違うのは判りますが、少しの異常動作でも大きな事故の引き金になりかねません。ラックスのアンプについて、回路を追ってみると、真空管も耐圧とか定格オーバーで使っているのが見あたります。メーカーとしてテストして確認したり選別品を使ったりしていたと思うのですが、保守状況が悪い中で長く使われる事を想定すると、やはり無理は禁物だったと思うのです。

6CA7の大きさ
  私は6CA7って格好良い管だと思っています。特に松下の管は、ガラス管がステムの径ぎりぎりまで拡大されていて、頂部が平らで、他には無い手間のかかる作りです。規格の寸法の中で最大の容積を確保しようという誠実な努力。
 一緒に写真に写っているのは6BX7で、これはごく普通のGT管。ヒーターは2ユニットで1.5Aですから、1ユニットあたりでは6CA7の半分。その上の12BH7は0.6Aですからさらにその半分以下。プッシユプルで比較すると、6CA7は3結で20Wほど出るのに対して、12BH7で2.5Wほど、6BX7で6Wほど。垂直出力用の管は働きの割に大飯ぐらいのようです。