2018年5月27日日曜日

電源のコンデンサ (12BH7A PPの場合)

真空管からトランジスタの時代になり、アナログからデジタルの時代になり。新しい回路技術が出て来て、それが周辺部品の進化を促す。

 1970年代か80年代になる頃、抵抗器は大きく進化しましたが、その後はあまり目立つ変化はありません。ところがコンデンサは10年ごとぐらいの感じで何段階も進化を繰り返しています。
 フィルム系コンデンサは90年代頃からあまり大きな変化は無いのですが、そのかわり電解コンデンサは大幅に性能が向上しました。いちばんこれを必要としたのは、スイッチング電源の一般化とデジタル回路の高速化。 長時間高速で充放電を繰り返し続ける。過酷な条件下で長寿命で、さらに小型化も求められる。


 一般的な電気回路の部品で劣化が心配される物の筆頭が電解コンデンサ。そして、ここ20年ほどの間でいちばん性能や信頼性が向上したのも電解コンデンサ。

基板付け用のコンデンサは高性能でも小型です。
 12BH7A-PPアンプは1990年頃に簡易なBGM用として製作した物。その後私室のBGM用としてずいぶん長時間稼働してきました。最近になって、全体を見直してあれこれ改修した結果、信号系のコンデンサのほとんど全部と抵抗器の一部は新しい物になっています。
 ところが電源のブロックコンデンサは最初に製作した時の物です。幸いまだ容量抜けにはなっていませんが、今後も長く使う事を考えると、どこかで交換する必要があります。

 先日捜し物のついでに部品屋を覗くと、ちょうど良さそうなコンデンサが安価で出てました。

 最新の基板取り付け用の電解コンデンサは、電気的特性が優れていて信頼性が高く長寿命です。そのかわり外形がずいぶん小型になっていて、そのまま付け替えはできません。
 昔からのブロックコンは直径35mm。この基板付けコンデンサは直径30mmで高さは約半分。そこで、ジャンク箱に残っていた古いプロックコンデンサを切断して中身を抜いて、この中に組み込みました。高さは元のブロックコンに合わせましたが、色は黒から灰色に変わりました。
 
 付け替えて鳴らしてみると、低音の安定感が大幅に向上しています。この影響でしょうか、高音も明るく硬い感じに変わりました。回路的には何も変わっていません。電源のコンデンサだけでこんなに変わるとは予想以上。
 このコンデンサの実働時間はかなり長いです。無理の無い使い方なので容量抜けはしていませんが、長く使っている間に何か特性が劣化していたのかもしれません。そうだとすると、古いアンプなどのプロックコンの交換時期の判断が難しくなります。
 元のコンデンサは当時の一般的な物です。この間に2回ほど、電解コンデンサには大きな進歩がありました。この世代の差が音の違いになっているとしたら、使用時間の長短にかかわらず、古い世代のプロックコンは交換した方が良いという事になるのかもしれません。
 いずれにしても、たいへん悩ましいことです。

2019年02月17日追記
 同様の手法で6BX7-PPアンプもブロックコンデンサを更新しました。こちらも容量は抜けてなかったのですが、交換すると低音も高音もすっきり感が増しました。やはり古い電解コンデンサは替えた方が良さそうです。