2015年6月23日火曜日

6AQ5 PP : 製作 ~ シャシー加工

6AQ5プッシュプルアンプ。部品が集まったのそろそろ製作開始。

第一段階はシャシー加工。昔ながらのアルミ板製のシャシー。部品を組み付けるために大小の丸穴と角穴を開けます。穴加工はいろいろ工夫が要ります。

  ここしばらく続けて製作して来た私室の小型アンプの最後。子ども時代から馴染んで来たアルミシャシーに盛り付ける製作も、おそらくこれが最後です。今度は急がずにゆっくり少しづつ丁寧に進めます。買いそろえた道具や身につけたいろんなやり方をたくさん使うつもりです。 

紙を貼って加工する位置を記入しました

 通称弁当箱って、アルミの薄板を曲げて作られた箱状のシャシー。昔は弁当箱はアルミ製が多かったからです。部品の大きさとかネジ穴の位置とか印を付けて加工します。簡単に済ますなら油性ペンなどで直接書く方法がありますが、今回は丁寧にやります。
 紙を貼り付けて、部品の大きさと位置をエンピツで書きます。何度も書いて消して、微妙な位置調節ができます。紙の上からドリルを立てれば、先が滑るのを防げます。

ドリルで穴開けした後、リーマーでシャシーパンチ用に穴を拡げます
 
 シャシーのアルミ板は薄いです。板の厚さの3倍以上の直径の穴は綺麗にあきません。まずすべて3.2mmで穴開けして、その後で太いドリルで開けなおします。
 ドリルより大きい丸穴はテーパリーマーで拡げますが、リーマーで拡げた穴は返りが多くて汚いので、ヤスリで仕上げる必要があります。真空管や電源のコンデンサの大きな丸穴はシャシーパンチで抜きます。シャシーパンチの軸は太いので、この穴もリーマーで拡げておく必要があります。

 切削くずが出ますから、アルミシャシーの加工は一気に進めます。6mm以下の穴はドリルで穴をあけて、それ以上はリーマーで拡げます。ドリルの穴の返りは太いドリルで削ります。リーマーで拡げた穴の酷い返りはヤスリで綺麗に仕上げます。

シャシーパンチはネジのちからで刃を食い込ませて板を抜きます

 シャシーパンチは刃の大きさの穴が開きます。手持ちのシャシーパンチではMT管とST/GT管の穴が開きます。今回使用する電源のケミコンは直径25mmですから、MT管用の21mmの刃で穴を開けます。シャシーパンチは厚い板には使えません。2mmではかなりしんどいですが、このシャシーは1mmなので軽く開きます。返りは少なくて綺麗ですが、穴の縁に少し歪みが出ます。
 
アルミ板は糸のこで切れます。

  面倒なのは大きな穴。アンプのシャシーでいちばん大きな穴は電源トランスです。いろんな加工方法がありますが、今回は糸のこで切ることにしました。電動の糸のこ盤もありますが、これを使うのは大袈裟です。 板の厚さが薄いので手のこぎりを使いました。
 糸のこは直線も曲線も切れます。急カーブを曲がるには幅の細い刃が要りますが、細い刃は折れやすいです。電源トランスの穴は角穴ですから、直線に切れば済みます。幅の広い刃を使えるので手持ちの弓のこでも刃が折れる心配が少ないです。

 角の部分にドリルで穴を開けておいてここへ刃を通して切り進めます。仕上がり線より少し内側を切って、ヤスリできれいに仕上げます。

 前面や背面とか角に近い部分とか、工具が入りにくい所もあります。工具の向きや加工の方法に工夫が要ります。
    このシャシーは深さが薄いです。前面や背面の部分には糸のこが入りません。ここは別の方法が要ります。

ハンドニブラーは角穴を開ける道具

 ハンドニブラーは縁から小さな四角に板を噛みちぎるようにして板を切る工具です。刃の幅で直線状に切り進むことができますが、切断面はあまり綺麗ではありません。厚い板は切れませんし、薄い板は歪みが出ます。少し内側を切ってヤスリで仕上げる方が良いです。
 背面のスピーカー端子は長方形の角穴です。ニブラーの刃はけがき線の側に出したいのですが、シャシーの内側に手を入れて加工するのはほとんど無理なので、外側から加工しています。内側にケガキ線を入れる方法もありますが、どのみちヤスリかけますし、スピーカー端子は外側から嵌めるので多少形が崩れても問題はありません。

穴加工が済みました

 穴加工が済んだら、ケガキした紙をはがします。貼り付けるのにスティック糊を使用したので、シャシーごと水洗いするときれいにとれます。加工した後の返りをヤスリで削って仕上げます。
 私は加工後にステンレスたわしで磨いてヘアライン状に仕上げています。美観の向上と加工の際のキズを隠す効果があり、使用中の汚れ防止にもなります。

 ここまででほぼ半日の作業。シャシーの加工が終わったら、部品をネジ止めしてゆきます。