2018年3月26日月曜日

品不足になれば

物の値段は需要と供給で決まる。供給は価格により増減するけれど、これには在庫の過多も関係する。量産前提の製品であれば、製品のほか、素材や中間製品の在庫も影響する。

 6BM8は現役当時はテレビ用のレス管も含めれば世界中の多くのメーカーによって作られた管です。そして大手が製造を止めたあとも、東欧などで製造が続けられ、つい最近までは比較的安い価格で流通していました。しかし、しばらくぶりに見た6BM8の価格は驚くほど高くなっていました。
(製作した6BM8アンプについてはこちら)

 すでに真空管は過去の遺物。真空管は手作りのイメージもあるけれど、それは一部の工程。特に近代真空管は機械化によって大量に作られる部品の集合体。
  製造する機械が壊れれば、それを新たに作れるかどうか。使用する素材も製造が途絶えた物は在庫限り。代替素材があるかどうか。
  
JJはスロバキア製 松下製とは頭の丸みが違います


 大手メーカーが真空管の製造を止めたあとも、いくつかの国で真空管が作られ続けています。元々大手の下請けだった所や、古い製造設備などを移転して生産を始めたところ。そこで作られた品種はかなり偏りがあります。

 知名度が高く人気の品種なのは当然ですが、技術的に少量生産向きかどうかというのもあると思います。そしておそらく、手持ちの素材や部品を利用して作れる品種で、需要が多くて利益が上がる物を作っているのでしょう。確保していた素材や半製品を使い尽くした、あるいは金型や治具が破損した。そうなれば人気があっても製造を続けるのは無理です。

 つい最近まで製造が続いていて新品が普通に流通していた品種でも、突然製造が終了する。おそらくそのメーカーでは今後の製造は無い。今後の供給に不安が生じれば、その途端に市場価格が高騰する。

 このように、最近まで世界のあちこちで生産されていて、今はまだ新品が豊富に流通しているように見える品種でも、この先はどうなるか判りません。需給のバランスが崩れれば一気に高騰するでしょう。

6CA7-PPアンプ は EL34-PPアンプ になりました


 子ども時代からの懸案だった6CA7-PPアンプの製作。取り込んだ中古の管は松下製が合計9本。ヘタリ具合は多少違いますが、個人の趣味の道具としてならまだしばらく使える程度の物。製作したアンプ自体も管を定格よりだいぶ控え目に使っていますから、にわかに劣化することも無いでしょう。さらにロシア製の新品をひと揃い確保しています。
 それでもその先が気がかりです。あるうちと思って、ネットで安く出ていたJJ製のペア管をひと替え分購入しました。 これで、替えの真空管が無くなってアンプが使えなくなる心配はしなくて済むはずです。