2019年2月11日月曜日

カソードNFをかける改造 6AQ5-S

5極管と3極管の優劣。特性的な事もあり、製造上の事もある。そしてなにより、使いやすく安い3極管があるのか。

 思い切った方法としては、5極管の3極管接続というのがあります。静特性の上では3極管と同じになりますが、たいがいは大幅な感度低下あるいは出力低下となります。

 UL接続は5結と3結の中間のように説明されます。良いとこ取りという見方もあり、中途半端という意見もあります。G2はその名のようにグリッドであって制御能力がありますから、ここへ帰還しているという考え方が正しいように思います。出力トランスがからんでいるので、実際の動作は解析困難ですが、たいがいは5結とも3結とも異なる雰囲気の音になります。

 6AQ5は背丈は12BH7と同じですが細身です。


 出力トランスがらみで出力段の特性を改善するアイディアは他にもあります。その中で良く知られてるのがカソードNF。トランスの2次側から出力管のカソードに帰還します。このための巻き線を持った出力トランスもあります。

 カソードに戻してNFになるためには、出力管のカソードと同相の電圧が必要です。プッシュプルならば、2次側の4Ωが16Ωの中点である事を利用する方法もありますが、普通のシングル用のトランスを普通に使えば、2次側の出力はプレートと同相ですから、カソードに対しては逆相になります。このためシングルアンプの場合はNF用巻線を持ったトランスを使用します。

 6BM8シングルアンプに使用したトランスは2次側に16Ω端子がありました。製作の際にこれを利用してカソードNFをかける方法を思いつきました、出力トランス全体を上下逆にして、8Ω端子を接地すると16Ω端子には出力と逆相の電圧が(少し)出ます。これを利用(逆相の逆相は同相)してNFをかけたところ、ある程度の効果が確認できました。(最終的には、このアンプは当初の構想どおりUL接続にしました。)
 これをもとに、キャラクタ的に使いにくいと感じていた6AQ5シングルアンプの音質改善を試みました。これはかなり無理やりな方法だったためか、多少改善した面もありましたが、全体としては失敗でした。結局短期間で元に戻してしまいました。

 しかし、カソードNF自体には魅かれるものがあります。あらためて見直しているうちに、出力トランスは普通の使い方をして、きちんとカソードNFをかける方法を思いつきました。