2019年10月14日月曜日

アンプの発熱と電源トランス

大出力アンプはそれ相応に熱くなりますが、真空管アンプは小出力でもそこそこ熱くなります。

 A級アンプでは無信号時には出力に回されない分の電力が出力素子で消費されますから、大出力アンプほど発熱する理屈。AB級アンプでもアイドリング電流が流れます。このアイドリングはトランジスタの場合はかなり少なくて良いので、大出力アンプでもあまり熱くならないのです。
 ドライバ回路はA級動作なので無信号時にも電流は流れます。ここは出力の大小よりも回路方式による違いが効いてきます。動作電圧が高い真空管アンプの方が不利ですが、一般的に見るとトランジスタの方が複雑な回路を使う傾向があるので、この部分は案外トランジスタアンプの方が発熱しているかもしれません。
 しかし真空管にはトランジスタには無いヒーターというやっかいな物があります。特別な物を除くと小型の管でもそこそこの大きさがあり、おおまかな傾向としては、大出力用の管ほど大きくなります。

 私室のアンプは棚の中で使うので、あまり発熱が多いと夏場は困ります。真空管を含む信号回路部分は(各部の動作電流の和×B電圧)で求められます。電流の和は、電源部のフィルターの抵抗のドロップから簡単に求められます。これにヒーター電力を加算すると、回路全体の消費電力になります。この値からアンプの発熱の多少を知ることができます。

 ところが、これらは電灯線の電源からそのまま供給されるのではなく、すべて電源トランスを通って来ます。この部分でかならずいくらかのロスが生じます。このロスもアンプを熱くさせる要素になります。つまり、実際のアンプの熱さを考えるなら、トランスも込みで見なければなりません。

 ふと思いついて、揃った私室用小型真空管アンプの実際の消費電力を測ってみることにしました。それには電源トランスの一次側に入る電流を測れば確かです。教科書的には、ここに電流計を入れれば良いのですが、それには交流電流計が必要です。
そこで、『きわめてアマチュア的で野蛮な方法』を使って測定することにしました。

下記の方法は感電や測定機器など破損する危険が高いです。安易におこなってはいけません。


 延長コードを加工して、片方の配線の途中に1Ωの抵抗を直列に入れました。回路全体から見ると1Ωは無視できる値です。この両端の電圧を測ります。ここに生じる電圧を測ればオームの法則から電流が求められます。たとえば 0.3Vであれは 0.3A流れているので、電力は 30Wという事になります。

測定結果は 昇順に
6AK6 プッシュプル13W
6Z-P1 シングル 20W
6SN7 プッシュプル 21W
6BM8 ULシングル 25W
6BX7 シングル 26W
6AQ5 プッシュプル 29W
6AQ5 シングル 30W
12BH7A プッシュプル 32W
12G-B3/B7 三結シングル 36W

 6AK6-PPと6SN7-PPはヒーター電力が4Wほど違いますが、規模的にはほぼ同じですから3極管と5極管の電圧利用率の差が効いているようです。
 6AQ5 シングルと6BM8 ULシングルはほぼ互角のはずなのですが、6AQ5 シングルがずいぶん高いです。このアンプは(定格では容量に余裕があるはずなのに)電源トランスがかなり熱くなるので、ここの損失が大きいのでしよう。

 12BH7A-PPはかなりA級寄りの動作で、プレート損失では6BM8-Sや6BX7-Sと同程度ですが、ドライパが真空管の6BL8というのが不利に働いてます。6AQ5-PPはを12BH7-PPに合わせて製作しました。だいたい近いですが少し小さく出ています。12BH7-PPの方が電源トランスが熱くなるので、能率の差でしよう。
 かなり超過するつもりで作った12G-B3/B7 三結シングルが意外と低く出ました。このアンプは電源トランスがあまり熱くならないので、トランスの能率が良いのかもしれません。

2019年9月29日日曜日

昔に12G-B7の3結に手を出していたとしたら 仮想ゲーム(2)

あらためて見ると、12G-B3/B7の3結って、すくなくとも6G-A4や6R-A8よりは2A3似近い。そこで2A3の代用にしようと思いついた・・・という仮定で思考ゲーム。

 12G-B7が現役だった頃、私はまだ雑誌の記事を見ながら継ぎ接ぎする程度の知恵しか働きませんでした。というか、だいたいあの頃のアマチュアの多くはメーカの動作例か雑誌の作例の動作をなぞるようなやり方が普通だったと思います。

 12G-B3は、定格が10Wですから、これを守るとすると2A3の2/3しかありません。しかし6G-B3Aの事も考えると、おそらオーディオ用では12~13Wぐらいで使えるでしょう。12G-B7であれば2A3の代役になりそうです。 その場合も耐圧をいくらと見るかが問題です。偏向管としての規格ではG2の耐圧が250Vと低いです。G1との絶縁で抑えられていると考えるなら、3結の場合もこの電圧に収めるべきです。しかしこの電圧はパルス回路で使うビーム管として、実用的な電流で使える範囲を示しているという見方もできます。これは12G-B3がは200Vである事からも推測されます。おそらく絶縁の点ではもっと行けるはず。そうならば、3結なら300V以上でも行けるでしょう。
 当時は定格ぎりぎり、むしろ多少超過ぐらいが普通だったので、300Vで使うとすると2A3とほぼ互角(250Vだとひとまわり小出力)になます。 

12G-B7 は大型の管です

 2A3と違って12G-B7は傍熱管ですからヒーターの処理が楽です。これはプッシュプルにする場合には効果絶大です。しかも、グリッド抵抗の制限が緩いので、固定バイアスにする場合も楽です。

 AB級プッシュプルの動作を考えます。この場合はバイアスが40Vを越えるぐらいになりそうです。2A3よりは少し低いですが、6CA7や6L6などよりも高いです。これが6G-A4や6R-A8だと半分ぐらいになるので、P-K分割でも何とかなります。メーカーはこのあたりを狙ったのでしょう。
 当時なら大型アンプでドライブ電圧が欲しい場合はカソード結合型(ムラード型)でしょう。問題はB電圧がだいぶ低いこと。普通に初段と反転段を直結にしようとすると電圧配分に苦労しそうです。2A3の場合はここにもう1段入れて電圧を上げたりしている回路を見掛けます。グリッド抵抗の事を考えてカソードフォロワーを挟んだりしている回路もあります。
 もっとも、自己バイアスだとその分B電圧を高くしますから、位相反転段の電圧はもう少し上がるので、それで何とかなるかもしれません。ここから発想して悪知恵を働かせると、固定バイアスのマイナスが50V以上あるはずなので、この分で下へ引くという手がありそうです。そしてせっかくマイナスに引くのだから、やはり初段から差動回路となると思うのですが、当時は考慮外だったでしょう。
 事の発端の6CA7-PPアンプではドライバを2段差動にしました。この回路ではDC安定性の理由で2段を直結にしなかったので、電圧配分の問題はありません。+250Vと-150Vで働かせていますが、この電圧で振幅40Vを得るのは全然問題無いです・・・・

 って、結局このへんの話に戻って来てしまいました。

2019年9月23日月曜日

昔に12G-B7の3結に手を出していたとしたら 仮想ゲーム(1)

あらためて特性図見ると、12G-B3/B7の3結って、6G-A4や6R-A8よりは2A3似近い。現役当時にも注目されていて良さそうな物だと思うけど、昔の雑誌などで見た記憶はない。

 2A3は古典管。使いにくい要素満載。逆に言えば、改良して使い勝手を良くするポイントはたくさんある訳です。ならば、自称2A3の後継という管、あるいは他薦2A3のリリーフ役がいろいろあっても良さそう。

 どうやら6G-A4や6R-A8がウリにしたかったのは、ドライブの感度。感度が低ければドライブ段のゲインが必要です。同出力で考えれば振幅が要ります。これを低い電源電圧で得なければならない。これは同時にバイアスが深い事にもなり、そうなると、自己バイアスで使った時の電源のロスが大きくなります。6G-A4は2A3の倍以上の感度ですから、アマチュア的にはかなりハードルが低くなります。
 しかし、これによりμが高くなり、プレート電流が少なくなり、内部抵抗が上がる。ヘタすると歪みも増える。なんとなく"2A3が良い"という理由から離れてしまうような。

日本の近代的真空管は欧米メーカの技術を元にしています


 自称2A3の後継が期待ハズレなら、他薦はどうだろうか。おそらくそういう方向の動きはあったはずです。でもほとんどその跡が残っていません。多極管の3結は2A3の代替にはならない、あるいは別物という意識だったのでしょうか。

 3結で使うとして、規模的に2A3ぐらいになる管があるでしょうか。オルソンアンプは6F6の3結をパラで使ってます。調べ直すと6F6の3結は2A3の半分に似ています。しかし6V6や6L6の系統は3結では電流が小さくなって出力が取れません。6BQ5も同様。
 6BM8は案外3結μが低く出力が取れますが、元々が小さいので出力は2A3の半分。この上のクラスだと、6CA7や6G-B8。この6G-B8は水平偏向管の出身です。ならば、アマチュア的には水平偏向管の3結でオーディオアンプは有りだったのではないかしら。

 プレート損失は-B7なら2A3と同等。3結のμは同程度。電流が多く流れて内部抵抗が少し低い。ヒーター電力は少し大きいですが、傍熱なので扱いやすさは段違い。グリッドバイアスの抵抗を高くできるのは大きなメリットと思います。プレートキャップが必要ですが、当時であれば入手は容易。当時の価格は大差なさそうですが、-B7はテレビのジャンクという手もありましたから、アマチュア的には面白そうなのですが。

注意: 記載の数値は"てきとう"です。ちゃんと計算してません。


 12G-B3や-B7が現役だった頃。これらを3結にして有名な2A3の代替に使ってアンプを作る・・・という仮定で思考ゲームです。(あくまで思考ゲームです。)今回製作したアンプは、12G-B3をかなり軽く使って、ドライブは半導体です。これは現代の発想。当時の常識に合わせたな回路を考えます。

 当時を想定していますから、半導体は電源のダイオード以外使いません。-B7を定格一杯の15Wで使います。出力トランスは2A3用が使えそうです。(G2の耐圧を考慮すると)電源電圧は2A3より低目で250V~300Vぐらいでしょう。これで少し多目の60~70mmAほど流して・・・やはりほとんど2A3の置き換えです。

 バイアスが少し浅くて30V程度。当時の使い方を想定すると、適度のNFかけるのに必要なゲインは100倍ぐらい。これを低いB電圧で得る。そのためには6AU6とかgmの高い5極管を使う。しかしこうするとインピーダンスが高くなって、3結の出力管をドライブするのが苦しくなるので、3極管のカソードフォロワーを入れる。これに12AU7の半分を使うのは・・・ならば、5極3極の複合管の方が合理的。6BL8とか6AN8とかちょうど良さそうです。B電圧が(150Vでは厳しいですが)200Vほどあれば必要な振幅は得られそうです。

 って、今回半導体で作った回路と同じような物になりました。これなら、当時のラジオ少年でも製作できたかしら? でも、当時はカソードフォロワーはあまり一般的で無かったですから、12AU7+12AU7で3段アンプにして発振に悩まされたような気がします。

2019年9月16日月曜日

音声出力用3極管

 昔から熱烈な3極管支持者はたくさんいます。使い方にもよるけれど、3極管と多極管は違う音がするのは確か。問題はその差をどう考えるか。

 音声出力用の5極管は純粋なオーディオ用はもちろん、小電力の小型セットから業務用システムまでいろんな所に使われていて、用途に合わせた大小さまざまの音声出力用の管が作られました。
 熱烈な支持者があるのだから、当然3極管には音声出力用に特化した性能の管がいくつも作られていて良いはずです。しかし、いつでも多く出て来る管は 古典管の2A3。それしか無いのか、代え難い何かがあるのか。だから使いにくくても我慢して使う。そのうちに、これを使いこなすのが目標になり現代に至ったという感じかもしれない。

12G-B3 と 6BX7 / 発熱の大きな6BX7の方が管が小さいです。


  あらためて2A3のスペックを見てみます。直熱管でヒーターが2.5Vの2.5Aですから、傍熱管なら6.3Vの1~1.5Aぐらいでしょうか。許容損失は15Wありますが、Ebが300Vです。内部抵抗が0.8Kと低いですがμが4と低いです。それにともなってバイアスがたいへん深くなります。グリッド電流が流れやすいらしく、グリッド抵抗が自己バイアスなら500Kですが固定バイアスなら50KΩとなっています。つまり、ヒーターの事は別にしても、かなり使いにくい管です。

 『和製2A3』と言われる6G-A4をあらためて見直すと、簡単に2A3程度の出力が得られる3極管という感じで、スペック的にはまったく別物。Ppは少し小さい13Wで、Ebが350Vと高いです。しかし、元の6BX7から引き継いで、μが10と高く内部抵抗も1.4Kあります。その分でバイアスが半分ほどで済みます。グリッド抵抗が固定バイアスでも250Kなので、ドライブのしやすさは段違いです。
 これが6R-A8だとPpが15Wで2A3と同じですが、管形を考えると厳しそうです。μが10は6G-A4と同じですが、内部抵抗は少し低い。gmが少し高く、バイアスが低くなってます。最大出力は2A3と互角というのですが、それにはぎりぎり高い電圧をかける必要があります。やはり2A3の後継代替ではなく全くの別物。なにより、この6R-A8はビーム管の6R-B10を内部で3結にして生まれた管。純粋の3極管では無いという意見も。

 有名なオルソンアンプは6F6の3結のパラ。確かに6F6の3結は2A3の半分に似ている。純粋の3極管にこだわらなければ5極管の3結で済む。だから音声出力用三極管の新種は需要が低かった??

 12G-B7を3結にすると、Ppの15Wは2A3と互角(12G-B3は10Wで考えておくべきでしよう)。μは6ぐらいですが、内部抵抗はひとまわり低く0.5KΩぐらい。つまり2A3より低い電圧で電流が流れる管。3結の耐圧は不明ですが、低い電圧で電流が流れますから、プレート損失で先に抑えられます。3結時のグリッド抵抗は不明ですが、出自を考えるとおそらく固定バイアスでも250K以下という事は無いでしょう。バイアスが深い分、ドライブ電圧が要ります。B電圧が低くなる分を考えても、回路的な難しさは2A3より低い感じです。12G-B3/B7が現役だった頃、このような使い方に気付いた人もいたはずです。

2019年8月8日木曜日

12G-B3/B7 シングルアンプ 完成

子ども時代に廃品のテレビの中でよく見掛けた管。縁あってこれでオーディオアンプを作ることになりました。長年の電気系工作の締めくくりにふさわしい物になりました。

 ゲルマラジオから始まって、真空管でラジオを作り、アンプに作り替え。それからトランジスタに移り、オペアンプに至る。デジタルの横道に逸れて、そのまましばらくマイコン関係に引きずり回される。それが一段落して、ふたたび真空管でアンプを作ることに。

 手持ち部品を浚って、足りない物を拾い出して日本橋をひと巡り。漏れなく揃えたはずなのに、やはり勘違いがありました。通販という手もあるけど、送料も要るし時間もかかる。 それで今日は日本橋の部品屋へ。交通費がかかって高価な抵抗器になりました。それを取り付けて、あらためて試運転。

 子ども時代には、それこそ最初のゲルマラジオのダイオードからして、廃棄テレビを解体して入手したもの。当時は神戸の片隅に住んでいました。神戸市内に電子部品を扱う店がいくつかありました。しかしそこまで行くのは時間も交通費もかかります。大物はまとめて買うけれど、実験と称してあちこち改造して遊ぶには抵抗やコンデンサがいろいろ要ります。いちばん手軽にこれらを入手する方法が廃品テレビなどの解体。倹約にもなります。しかし、当時はテレビの中の真空管を使おうと思うことはありませんでした。それがぐるっと1周回って風変りなアンプになりました。

外観を整えました。12G-B7を挿してみました。
  振り返れば、真空管とトランジスタの比較論争がありました。そこから派生してOTLからOCLを経てDCアンプとか広帯域という方向も。まだモノラル派が生き残っている中で4チャンネルステレオという物も現れました。そうなると、周波数特性と歪率だけで済ませていたのが、位相特性や混変調も考えなければならなくなる。その折々に過去の亡霊のように現れた『3極管vs5極管』の論争。それはその後の縦型FETやMOSFETの時にも。

 縁でやって来た12G-B7。そこから始まった今回のアンプ製作。結局、3結でシングルアンプになりました。3極管のシングルアンプは 6BX7を片方づつ使ったのがあります。規模的には大差無い物で、設計の基本方針も同じです。使った抵抗やコンデンサはどちらも普通のトランジスタ用。出力トランスも最近の普通クラスの製品。でも、出て来た音は全然違う傾向。どちらが良いとかではなく、それぞれ好みか気分という微妙な違い。

 試運転のあとは、完熟運転。その合間にwebページ用の写真撮影。入手した管は12G-B3と12G-B7で、メーカーはいろいろ。念のため差し替えてチェックします。

2019年8月7日水曜日

12G-B3/B7 シングルアンプ 製作ほぼ完了

子ども時代よく見掛けたテレビの水平偏向出力管。これでオーディオアンプを作る。子ども時代には考えもしなかった事。

 けっこう見掛けたけれど使う事など全然考えなかった水平出力管。やはり子ども時代に手を出さなくて良かったです。

 水平偏向管はテレビの中で最大の真空管。プレートキャップまで含めると6CA7より背が高いです。これを10mm下げて取り付けましたが、それでもけっこうな背丈。これが12G-B7になると太さも半端じゃない。使用したトランスも他より大柄なので、ずいぶん存在感のある物になりました。

動作試験中 日立製12G-B3を挿してます

 昨日でシャシーに取り付ける部品は全部付いて、そのあたりの配線もすべて終わってました。そのかわり残ってたのがドライバの基板まわり。
 私室用の小型アンプはドライバ回路が半導体の物がいくつもあります。管を載せるスペース的な事もありますが、発熱低減には効果的です。当然、管が大きくて発熱も多いこのアンプのドライバは半導体。低い電圧で振幅とゲインが必要ですから、真空管で作ろうとするとなかなか難しそうです。
 トランジスタ回路としては簡単な物ですが、ラグ板に架空配線は難しそうです。やはり穴開き基板に盛りつけるのが妥当でしょう。ガラスエポキシのスルーホール基板なんて物もかなり安く買えるようになりましたから。

ドライバ部が基板に載っているので中はすっきりしています。(NF関係が未配線です)

  基板に取り付ける部品はすべてトランジスタ用。このあたりは、パソ関係も含めてあれこれ作って慣れた工作。手もとに使い残った部品をなるべく使うようにしました。電解コンはすべて新しい物ですが、フィルム系コンデンサは使い残りが多いです。結合コンデンサは2個並列にしています。FETは以前に袋買いした残り。トランジスタは6Z-P1シングルの時に念のため余分に買った残り。
 不足部品を買いに行く直前に定数を見直した関係で、 使えると思っていて見間違っていたのがありました。幸いというか、NF用の抵抗なので、とりあえずここは後で取り付けることにして空けてあります。明日でも買いに行く時間が取れるでしょうか。

  という次第で、負帰還無しの状態で、ひととおり動作チェックと音出し。電源電圧が予定より少し低かった事と、出力管の電流が特性図より少し小さいことで、出力管の損失は約7Wになりました。それ以外は想定の範囲内。
 負帰還無しのまま、しばらく音出しを続けました。真空管やシャシーの温度も熱くて困るほどではありません。最初は何ともバランスの悪い音でしたが、1時間ほど経つとけっこう普通の音になりました。裸のシングルアンプとしては意外なほど、低音もしっかり鳴りますし高音も透明感があります。有名な2A3の音は覚えてませんが、12G-B3の3結はけっこうイケるのかも。

 このまましばらく鳴らして、(正規にNFをかけて)外観を仕上げれば完成です。

2019年8月6日火曜日

12G-B3/B7 シングルアンプ 製作途中

子ども時代、身近にあったのに使う事なんて全然考えなかった管。これでアンプを作ろうとしてるけど、意外と手強い。

 聴き比べるつもりで私室用のアンプに仕立ててます。当然同じシャシーの上に同じような部品配置。しかし、少しの違いの積み重なりが案外手強い状態になりました。

シャシーに付く部品はひととおり全部載りました。


 真空管が大きいです。プレートキャップが付きますから、その配線も要ります。特に12G-B7はベースも普通のGT管より大きいです。発熱の大きな管なので通気も考えなければなりません。バイアスが深くて電流が大きいですから、カソード抵抗の発熱も大きくなります。電源のフィルタの抵抗も発熱します。既製品で使える物を選んだ関係で、電源トランスはかなり大柄です。出力トランスも大きいです。 あれこれやりくりして、何とかぎりぎりぴっちり納まった感じです。

発熱の大きな抵抗はタイトラグを介して取り付けています。

 狭い部分があるので、部品を取り付けは順番を考えてしなければなりません。後から付けにくい線は先にハンダ付けしておきます。今までにいくつか製作した際の失敗を振り返りながら少しづつ進めますが、やはり何箇所か手戻りが出ます。位置修正が必要な箇所もありました。

 それでも一応シャシーに付く部品は全部付きました。出力管まわりは、すべてサプパネルに載ってます。出力トランスの引き出し線の余りはシールド板の下で処理できています。2次側の線はタイトラグで中継して、ヘッドホンジャックからスピーカー端子へと、このあたりは他のアンプと共通の処理です。電源まわりは、結局1枚のタイトラグに載せるようにしました。

 あとは、ドライバ部の基板を作って、シールド板の上に取り付けるだけ。