2015年6月26日金曜日

6AQ5 PP : 製作 ~ 配線作業 1

一連の私室の小型アンプ群の最終となる6AQ5プッシュプルアンプ。今までの電子工作の総まとめという気持ちで製作しています。

[ 完成したアンプの詳細はこちら ]

 このアンプは出力段は真空管をごく普通の回路で使っています。ドライバ部の回路は真空管ではなくFETを使っていますが何のひねりもない普通のミュラード型です。製作の工程は真空管アンプの部分とトランジスタアンプの部分に分けられます。

シャシー内の配線


 外観は真空管アンプそのものですから、シャシーに取り付ける部品の周辺は昔ながらの真空管アンプの手法で製作します。電源スイッチもサイズが小さいだけで昔のスナップスイッチと同じです。
 電源部は平ラグに盛り付けます。コンパクトにまとめられ、部品交換も簡単です。発熱の多い抵抗を電解コンデンサから離す意味もあります。回路の接地点はこの平ラグの下です。
 出力管まわりは立ラグを使った昔風の配線です。使用した立ラグはすべて買い置きの活用です。
真空管ソケットのセンターを結ぶようにアース母線を引いています。カソード抵抗とバイパスのケミコンは真空管ソケットに直接ハンダ付けせずに立ラグで中継しています。真空管の熱が伝わるのを軽減しようという考えです。SGには安全のため直列抵抗を入れました。これも立ラグで中継しています。物理的ストレスで破損することを避けるため、抵抗の足は少し曲げてゆとりを持たせてあります。

 出力トランスはバンド型で、下は広くあいています。ここにドライバ部の基板を取り付けますが、トランズのリード線がここを通るので電界の影響を避けるためにシールド板を設けます。

ドライバ部の基板


 ドライバ部はすべてICピッチの穴開き基板に載せます。今回はちょっと贅沢してスルーホール基板を新規購入しました。スルーホール基板はランドがはがれる心配が無く丈夫です。部品の足を穴にまっすぐ入れて裏からハンダ付けして、先は少し残してすべて切っていまい、細いメッキ線でこの部品の足の先を繋ぐように配線しています。ICを使った回路で良く使う方法で、回路の変更や部品の交換が容易です。
 穴あき基板の配線では、部品の足を折り曲げて回路を作る方法がありますが、この方法では後から部品交換するのが困難になります。


 抵抗は基板から少し浮かせて取り付けてあります。基板と接触してショートする事を防ぐ意味と基板が反った時に破損するのを避けるためです。
 中央の列は電源部です。ここを挟んで左右の回路が対称に載っています。使用したフィルムコンデンサは手持ちの活用です。積層フィルムコンデンサには熱収縮チューブをかけました。FETは直接ハンダ付けせずにソケットを使用しました。

2015年6月25日木曜日

6AQ5 PP : 製作 ~ 部品組み付け

一連の私室の小型アンプ群の最終となる6AQ5プッシュプルアンプ。今までの総まとめとしてゆっくり作業しています。

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 穴加工が終わったシャシーに部品をねじ止めします。電源スイッチ、ヘッドホンジャック、ボリウムは自身がネジで締め付けて固定する構造です。電源のコード止めははめ合わせです。それ以外はビスナットで止め付けます。
 ひととおり部品を付けて見て、位置を確認し、必要ならば修正するのですが、今回は特に問題はありませんでした。その上で真空管ソケットの脇の立ラグの位置を決め、出力トランスの下のシールド板(兼基板取り付け部)の形を微調整しました。

まずシャシーにネジ止めしてみました。
 
 この中では電源トランスは4mmネジによる固定です。下面にネジの先が出ていて、これをシャシー下側からナットで締め付けます。ナットと平ワッシャは付属していましたが、これに手持ちのスプリングワッシャを挟みました。
 それ以外の部品は3mmのネジを使います。平ラグ板や内部のシールド板はスペーサーを介して取り付けますが、この部分も3mmのネジです。平ワッシャと内歯ワッシャを挟んでいます。ケミコンの足と出力トランスのの取り付け部にはプラワッシャも挟んでいます。ネジやワッシャなどは大阪市内のネジ屋で購入しています。ひと袋50個か100個入りなので、いつのまにか使い残しが溜まります。そして、あれこれ解体した際に発生した使用済みのネジがあります。今回は過去に製作して用途を終えた物たちへのオマージュという意味も含めて、解体品のネジの中から綺麗な物を選って使うことにしました。

経路とかさなりを考えて順に配線してゆきます。


 このシャシーは薄いので、取り付けてからでは配線しにくい部品もあります。後からハンダこてを入れにくい場所の配線は、長さを見て片側だけハンダ付けてしておきます。前面や背面に付く部品は一旦取り外して先に配線をハンダ付けします。逆に真空管ソケットのヒーターなど、部品を付けてからでなければ配線できない所もあります。
 出力トランスの下にドライバ段の基板が付きます。ここには基板の取り付け部材を兼ねたシールド板が被さります。1次側は揃えて真空管ソケットに導きます。2次側の配線は横に引き出して平ラグ板で中継します。

 シヤシーに取り付けた部品の間の配線が一段落したら、ラグ板まわりの配線です。計画性が要りますが、進み出したら早いです。

2015年6月23日火曜日

6AQ5 PP : 製作 ~ シャシー加工

6AQ5プッシュプルアンプ。部品が集まったのそろそろ製作開始。

第一段階はシャシー加工。昔ながらのアルミ板製のシャシー。部品を組み付けるために大小の丸穴と角穴を開けます。穴加工はいろいろ工夫が要ります。

  ここしばらく続けて製作して来た私室の小型アンプの最後。子ども時代から馴染んで来たアルミシャシーに盛り付ける製作も、おそらくこれが最後です。今度は急がずにゆっくり少しづつ丁寧に進めます。買いそろえた道具や身につけたいろんなやり方をたくさん使うつもりです。 

紙を貼って加工する位置を記入しました

 通称弁当箱って、アルミの薄板を曲げて作られた箱状のシャシー。昔は弁当箱はアルミ製が多かったからです。部品の大きさとかネジ穴の位置とか印を付けて加工します。簡単に済ますなら油性ペンなどで直接書く方法がありますが、今回は丁寧にやります。
 紙を貼り付けて、部品の大きさと位置をエンピツで書きます。何度も書いて消して、微妙な位置調節ができます。紙の上からドリルを立てれば、先が滑るのを防げます。

ドリルで穴開けした後、リーマーでシャシーパンチ用に穴を拡げます
 
 シャシーのアルミ板は薄いです。板の厚さの3倍以上の直径の穴は綺麗にあきません。まずすべて3.2mmで穴開けして、その後で太いドリルで開けなおします。
 ドリルより大きい丸穴はテーパリーマーで拡げますが、リーマーで拡げた穴は返りが多くて汚いので、ヤスリで仕上げる必要があります。真空管や電源のコンデンサの大きな丸穴はシャシーパンチで抜きます。シャシーパンチの軸は太いので、この穴もリーマーで拡げておく必要があります。

 切削くずが出ますから、アルミシャシーの加工は一気に進めます。6mm以下の穴はドリルで穴をあけて、それ以上はリーマーで拡げます。ドリルの穴の返りは太いドリルで削ります。リーマーで拡げた穴の酷い返りはヤスリで綺麗に仕上げます。

シャシーパンチはネジのちからで刃を食い込ませて板を抜きます

 シャシーパンチは刃の大きさの穴が開きます。手持ちのシャシーパンチではMT管とST/GT管の穴が開きます。今回使用する電源のケミコンは直径25mmですから、MT管用の21mmの刃で穴を開けます。シャシーパンチは厚い板には使えません。2mmではかなりしんどいですが、このシャシーは1mmなので軽く開きます。返りは少なくて綺麗ですが、穴の縁に少し歪みが出ます。
 
アルミ板は糸のこで切れます。

  面倒なのは大きな穴。アンプのシャシーでいちばん大きな穴は電源トランスです。いろんな加工方法がありますが、今回は糸のこで切ることにしました。電動の糸のこ盤もありますが、これを使うのは大袈裟です。 板の厚さが薄いので手のこぎりを使いました。
 糸のこは直線も曲線も切れます。急カーブを曲がるには幅の細い刃が要りますが、細い刃は折れやすいです。電源トランスの穴は角穴ですから、直線に切れば済みます。幅の広い刃を使えるので手持ちの弓のこでも刃が折れる心配が少ないです。

 角の部分にドリルで穴を開けておいてここへ刃を通して切り進めます。仕上がり線より少し内側を切って、ヤスリできれいに仕上げます。

 前面や背面とか角に近い部分とか、工具が入りにくい所もあります。工具の向きや加工の方法に工夫が要ります。
    このシャシーは深さが薄いです。前面や背面の部分には糸のこが入りません。ここは別の方法が要ります。

ハンドニブラーは角穴を開ける道具

 ハンドニブラーは縁から小さな四角に板を噛みちぎるようにして板を切る工具です。刃の幅で直線状に切り進むことができますが、切断面はあまり綺麗ではありません。厚い板は切れませんし、薄い板は歪みが出ます。少し内側を切ってヤスリで仕上げる方が良いです。
 背面のスピーカー端子は長方形の角穴です。ニブラーの刃はけがき線の側に出したいのですが、シャシーの内側に手を入れて加工するのはほとんど無理なので、外側から加工しています。内側にケガキ線を入れる方法もありますが、どのみちヤスリかけますし、スピーカー端子は外側から嵌めるので多少形が崩れても問題はありません。

穴加工が済みました

 穴加工が済んだら、ケガキした紙をはがします。貼り付けるのにスティック糊を使用したので、シャシーごと水洗いするときれいにとれます。加工した後の返りをヤスリで削って仕上げます。
 私は加工後にステンレスたわしで磨いてヘアライン状に仕上げています。美観の向上と加工の際のキズを隠す効果があり、使用中の汚れ防止にもなります。

 ここまででほぼ半日の作業。シャシーの加工が終わったら、部品をネジ止めしてゆきます。

2015年6月17日水曜日

6AQ5 PP : 部品あつめ

そろそろ梅雨のようです。外出できない日を工作に使えば具合が良いです。それには下準備が要ります。

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 先週末は東京へ行きました。2日間のイベント参加で東京で1泊。夕方の時間を利用して秋葉原へひとまわり。休日の夕刻で開いていない店もあります。街は人出も多いです。短時間ではあちこち探し歩くことはできません。大阪で入手が難しい部品に絞って購入することにしました。

大物の部品

 回路の設計は完了しています。外観も機能も私室の小型アンプと揃えますから、スイッチとか端子とかは決まっています。回路図から使用する部品を拾い出して、手持ちと照らし合わせ。今までに手持ちの中で使えそうな物から使ってしまいましたから、新たに購入しなければならない物がいろいろあります。目立つものからぽちぽち購入して少しづつ揃えました。
 電源スイッチは未使用の買い置きが見つかりました。ボリウムのツマミも使えそうな物がありました。コンデンサのバンド(足)はジャンク屋で購入しました。入力端子は解体部品を利用しますが、出力端子は新品を購入しました。困ったのはヘッドホンジャック。欲しいタイプは大阪にはありませんでした。電源回路のコンデンサも具合の良い65Vとか35Vの耐圧の物は置いていません。単価は安い物ですから、通販は最後の手段として東京で探します。

 大阪では入手できない部品の筆頭がトランス。今回の6AQ5のプッシュプルアンプに使うトランスはどちらも春日の製品。通販もやってますが、せっ かく東京へ行くのだから店頭で購入することにしました。出発前にメールで在庫を確認し、取り置きを頼みました。
 出力トランスは12BH7A-PPアンプの改造の際に使用した物の姉妹品です。電源トランスは6BM8シングルアンプ用に特注した物とはヒーター巻線が違う程度の良く似た物で、外形も大きさもまったく同じです。

 今度は時間の都合を見て日本橋の部品屋巡りです。必要なのは普通の抵抗とコンデンサだけですから、必要な値が欠品していなければ簡単に済みそうです。

2015年5月7日木曜日

6AQ5 PP : トランスの選定

オーディオアンプは音が第一ですが、ルックスも大事。真空管のヒーターの光が橙色に点れば音もなんとなく暖かく感じます。



 銀色のアルミシャシーにあれこれ部品がネジ止めされている姿は昔の電蓄やラジオそのまま。市販品はこの外側を木製かプラ製の箱が覆っていましたが、アマチュア工作ではカバーも何も無しで、ガラスの真空管もむき出しのままというのはあたりまえでした。その点ではこのアンプは伝統的なラジオ少年の工作らしい姿と言えそうです。
 アマチュア工作でいちばん困るのがパネル面の文字入れ。自分で使う物だから、機能が判れば良いという考えもありますが、ちょっとぐらい綺麗に見せたい気もします。手間をかけて中身を作ったならば外観もきちんと仕上げたい。外観がきちんとしていると中身もきちんとしているように見えますから。

 文字入れにはいろいろなやり方がありましたが、12BH7Aアンプは1文字づつインレタを貼り込んでいました。しかし今ではインレタは入手不能です。その後に作った小型アンプたちはパソで刷ったラベルを小プレート状に切って貼りました。その後、対になっている入力セレクタの文字入れの際に、プラシートにパソのプリンターで裏刷りして、スプレー糊で貼る方法を試したところ、 たいへんすっきりした物になりました。これ合わせる形で、小型アンプ群の前面の体裁を揃えました。今回製作した6AQ5シングルアンプもこれと同じ方式で仕上げました。外観で音が変わる訳は無いですが、きっちり文字が入ると一段しっかりした物になった気がします。 

セレクタと合わせてお化粧しました

 6AQ5をプッシュプルにして全体の発熱を常用の12BH7Aアンプと同程度に抑えるには、さらに電流を絞った使い方になります。まず使えそうな出力トランスを探しました。イチカワのITPP-3W型に16KΩの物があり、これは6SN7-PPアンプで使ってたいへん良い感じでしたが、ちょっとインピーダンスが高すぎで容量的にぎりぎりの感じです。春日にKA-14-54という製品があり、これは14KΩで容量の余裕もじゅうぶんあり、姉妹品のKA-8-54P2は12BH7Aアンプに使っています。

 微妙に悩ましいのが電源トランス。B電圧が200Vほどですから、シリコンダイオードでブリッジ整流するとACで170~180Vぐらいでしょう。このぐらいの電圧のトランスは少ないです。昔の整流管なみの抵抗を入れれば電圧が下がりますが、その分発熱します。6BM8シングルアンプでは特注しました。あちこちの製品を調べなおすと、春日の KmB150Fがありました。AC170VでDC95mAとB巻線はちょうど良いのですが、ヒーターは0.9Aの巻線がひとつだけ。
 6AQ5は450mAですから、4本で1.8A。しかし巻線の電圧を子細に見ているうちに解決策を見つけました。ヒーター巻線は0-6.3V-12.6V-14.5V-16Vと多くのタップが出ています。6.3Vのタップを中心に、0V端子と12.6V端子との間を使うとそれぞれ6.3Vの電圧です。6AQ5を2本づつ並列に繋げばそれぞれちょうど0.9A。余裕は全然ありませんが、6CA7アンプで使っている感じから見ると春日の電源トランスは定格いっぱいでも大丈夫そうです。

注意:トランスレス用でない真空管のヒーターを直列にして使ってはいけません。起動特性のばらつきのためにヒーター断線のリスクが大きくなります。

2015年5月2日土曜日

6AQ5 PP : J-FETを測定してペアをつくる

頭も手も冷えて固まってしまうとやっかい。急ぐ予定は無いけれど、時間の余裕を見て少しづつ動かします。

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 シングルアンプを作ったけれど、6AQ5はまだ残っています。プッシュプルアンプも作るつもりで調査開始。手持ちで出番の無さそうな部品をなるべく活用してやりたいです。

 私室の小型アンプの一員として作ります。シャシーの上にはMT管なら4本載りますが、プッシュプルの出力管4本で目一杯。必然的にドライバは半導体になります。所要ゲインは120~150倍で振幅はP-Pで20Vぐらい。いろんな回路が考えられますが、小型アンプらしく電源部も含めてなるべく簡単な回路にしたいです。

 手もとにあるアンプにはP-K分割(いわゆるアルテック型)が多いです。この回路もそのまま半導体に置き換えできますが、ゲインと振幅を考えるとあまり旨みは無さそう。
 ボスキャラの6CA7-PPアンプは差動2段回路です。6SN7-PPアンプでは高gmのFETをカスコードで使って差動を1段で済ませた回路を使いました。差動増幅回路はシンプルで高性能ですが、電源が面倒です。
 わが家にはミュラード型の回路のアンプはありませんから、これを半導体で作ることを考えてみました。この回路は振幅も比較的大きくとれ、増幅が2段になるのでゲインも高くなります。手持ちの2SK30Aを使うつもりで回路を組んでみました。

 2SK30Aの耐圧は50Vですから、安全を見て電源電圧45Vで考えます。差動の下へ引く分を電源の約1/3としても、P-Pで20Vの振幅はなんとかなります。この電圧では1段ではゲインが不足しますが、2段目のゲインを合わせるとじゅうぶん足ります。FETに流す電流は小さくて済みます。
 電源の45Vは、真空管の回路から抵抗とツェナーダイオードで落とすことにします。ここに流れる電流は出力管のSGの電圧の変動を(僅かですが)抑える効果があります。

FETを測定してペアを作ります

 ミュラード型の説明はいろいろありますが、私は2段目は差動アンプの一種と考えています。差動アンプを1段で安定してバランス良い動作をさせるには2個の電流の差が小さいことが重要。特に今回は電源電圧に対して出力振幅を大きく取る必要がありますから、この点でもばらつきが大きいと困ります。 手もとには2SK30AのYランクの物が14個ありますが、ここから2組のペアが作れるでしょうか。

 FETを選別してペアを作る場合、普通はIDSSを測ります。同種のFETの場合、IDSSの分だけ平行移動した感じで特性のカーブがだいたい重なります。そのため、(特性を外れていなければ)IDSSが同じ個体は同程度のバイアス電圧になるはずです。
 差動アンプの場合は2個を流れる電流は共通抵抗で決まります。この電流の1/2を流すバイアス電圧が揃っていると具合が良いです。IDSSを測るかわりに、一定の電流が流れる時のゲートの電圧を測ることにしました。手持ちの余剰部品や解体部品を使って測定治具を即席バラックで作りました。

  実験用の12Vの電源があります。ゲートをマイナスにしなければならないので、ダイオードを直列に入れてソースを嵩上げします。ボリウムでゲートの電圧を加減します。ドレインに入れた抵抗の電圧からFETを流れる電流が判ります。所定の電流になるようにボリウムを加減して、その時のゲート電圧を測ってペアを作れば、差動アンプに組んだ時にも良く揃うはずです。
 測定すると、14個のうち2個は上下に大はずれで、その他もけっこうバラついていました。それでも中ほどの値で2組のペアが得られました。これで長年寝ていたFETも活躍できそうです。ほかの部品も少しづつ準備を進めます。

2015年4月12日日曜日

6AQ5 Single : 製作しました

ゆっくり準備して来たアンプの製作。おおまかに見れば昔の初歩のラジオ製作っぽいです。動き出せば早いです。

 始動した6AQ5シングルアンプ製作。主要部品は揃いました。回路もじっくり検討しました。そろそろ頃合い。雑事が一段落したのを機会に行動開始。まずは市内に出るついでに、回路図から拾った買い出しリストを持って日本橋へ。もう終着点が近いですから、余分な物は買いません。
 コンデンサは余分に買った物や余りものをかなり活用できましたが、抵抗は数本を除いて新規購入です。今回は入手しやすそうな部品ばかりですが、日本橋の部品屋もわずか4軒だけになって、種類によっては値が揃っていなかったりすることもあります。最悪は数軒ハシゴも覚悟したのですが、幸い1軒目ですべて揃いました。部品の値段よりも交通費がかかり、探して店を巡る時間がかかるというのは子ども時代と同じです。

6AU6 と 6AQ5

 ここしばらくの間に同じようなアンプをいくつか作りました。その中でも今回はごく普通の造りです。前面と背面の部品配置は同じですし、上面も位置の調整ぐらいです。筐体加工はスムーズにできました。入出力端子とかトランスとかネジ止め組み立てまで半日ぐらいの作業。
 内部の部品の取り付けと配線の引き回しについては、実作業の前にゆっくり図上演習しています。じっくり見直したので、組み立て後に回路を変更することはまずないでしょうが、抵抗などを変更しなければならい事はあり得ます。入力部と出力段は立ラグで中継するようにしました。その間の部品は平ラグ板に集中させます。配線を引き回して、部品を盛りつけてと、ちまちま進めて半日ぐらい。

 今回は全体に素直な回路です。気になるのは各部の電圧ぐらい。まずは管を挿さずに通電。真空管モノではこの段階がいちばん緊張します。その後、真空管を挿して各部の電圧チェック。高圧が少し低いですが、おおむね予定の値でした。試しに入力を入れてみると、ちゃんと音が出ました。
 電源トランスは、定格に対してやや軽い使い方ですが、200Vの端子をブリッジ整流して230Vぐらいしか出ません。どうやらこのトランスは電圧降下が大きいようです。

 そのまましばらく音出し。6AQ5は古い新品で、6AU6は長く寝ていた中古。最初は何か発振しているのかと思うほど妙にキンキンした音でしたが、30分ほど鳴らしているうちに落ち着いて来ました。

 今日は少し大き目の音で馴染みの音楽をいろいろかけました。しばらくは低音がだぶついて中音がダンゴになっていましたが、数時間するとなんとなく馴染んで来たようです。まだ本調子では無いでしょうけど、響きが綺麗で音量感もほどよい感じです。このまましばらく鳴らすつもりです。