2019年1月11日金曜日

12AU7-PP 上カバーを作る

机上でパソコン使用時のBGM用に使います。真空管がむき出しではまずいです。

 [製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

 棚の中に収まっているアンプと違って不用意に何かがあたる危険が多いです。上部のカバーは必須です。置き場所を考慮すると長手を奥行き方向にして、スイッチとボリウムが前に付きます。少ないとは言え、真空管の発熱がありますから、上蓋に通気穴が無いといけません。この条件でケースを探したのですが、良い物がありませんでした。そこで、汎用のアルミシャシーにパネルを付けて、カバーを製作して被せることにしました。

 全体の発熱が多くないので、適度の通気が確保できれば、ボンネットケースのような物でなくても済みます。昔のラジオやテレビは木製のキャビネットでした。このイメージで、上部カバーは合板を接着して作り、ニスで塗りました。側面に通気のための穴を開けました。 背面上部は開いています。底面はアルミのパンチングです。

合板を張り合わせて作りました
 
 ボリウムとスイッチを付ける前パネルは残材のカラーアルミ板で作りました。文字入れは、透明ビニルシートにパソコンで裏刷りした物を貼り付けました。裏刷りなので手で擦れて消えることはありません。 ツマミは、ずいぶん前に買い込んであった処分品。やっと使ってやれました。

2019年1月9日水曜日

試運転 12AU7-PP

ドライバ段の試験をするには電源が必要。電源部を作るためにシャシーなどを加工して。結局ほとんどの作業が進んでしまいました。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

 置き場所を考えたら、奥行きを長手方向に使うことになります。縦横の大きさを基準に選んだシャシーは、深さが5cmもあります。そこでこれを利用して、シャシーの上下に部品を盛り分けることにしました。上にカバーを被せて前面にパネルを付けますから、上面の部品に触れてしまう心配はありません。

 出力トランスも電源トランスもバンド型で、特に電源トランスはカバー無しです。ハム防止のためには鉄心の軸方向を直交させたいです。それには電源トランスを横倒しに取り付けるのが良い。そのためにL字型の金具を作る。
  通気の点で、真空管はサブパネルに付けることにしました。シャシーの深さが大きいのでかなり深く沈めることになり、これに合わせるためにドライバ段の基板も高いスペーサを介して取り付けます。
 スイッチは前パネルに付けるので、パネルの加工が必要です。スイッチの位置がシャシーと中途半端に重なるので、その部分はシャシーを切り欠きます。

 結局、筐体はずいぶん複雑な構造になりました。
 
一応回路部分は完成 シャシー下面
  ヒーターとオペアンプ用と、真空管用に、電源トランスが2個に分かれています。シャシー自体をシールドに使うように、上下で高圧と低圧に分けます。
 ドライバに関係する部分はすべてシャシー下面で完結しています。動作チェックをするには、ここの部分を完成さるのが早道。しかしそれには筐体加工を完了させておかなきゃ。

一応回路部分は完成 シャシー上面
  ここまで来ると、出力段関係を作ればほとんど完成してしまいます。高圧側の電源回路は簡単です。これに出力トランスの1次側を通してプレートに繋ぐだけ。この配線の引き回しは、シャシー自体をシールドのように使って、上面を這わせています。

 入力に発振機の信号を入れて、出力波形を確認。それらしい波形は出たけれど、NFをかけようとすると・・・何か変。ていねいにチェックすると、左右チャンネルの配線の一部を取り違えるという恥ずかしいミスでした。修正してあらためてチェック。
 問題無さそうなので、出力にスピーカを繋いでみると、ちゃんとピーと音が出ます。そこで今度は音楽を入力に。予想以上にすっきり聴きやすい音です。高音はけっこう硬く鳴り、低音はゆったり伸びやかに響きます。

 買い忘れて、代用品でしのいでる部品が数個。これを正規の部品に交換して、上部カバーを製作したら完成です。このまましばらく慣熟運転です。

2019年1月7日月曜日

位相反転回路のチェック 12AU7-PP

ドライバ段の試験をするには、電源が必要。電源部を作るにはシャシー加工が必要・・・
 
 電源は仮組でも良かったのだけど、どうせ作らなきゃいけない物。スボラして後で手戻りするのは得にならない。この際だから、ちゃんと作っておこう。
 工程を途中で止めておくのは無駄だし、後から加工する部分が多ければそれだけ手間が増える。最低シャシーの背面の加工は必要。トランスを付ける金具を作って、トランスの位置を決めなければ。スイッチを付けるんだから、前パネルも作ってしまおう。
 ここまで進めると真空管の位置が決まってきます。切削屑が散りますから、金属加工はまとめてやるのが吉です。あれこれ考えて、結局筐体関係の加工はすべてやってしまう事になりました。

低圧電源とドライバ段までを配線した状態


 スイッチはパネルの前側からの取り付けです。だからスイッチに配線してから取り付ける方が楽です。ボリウムもパネルと一緒に取り付けますから、先に配線しておくのが楽です。 結局、シャシー内側に関係した配線はほんんどを済ませてしまいました。

 まずは、電源の確認。なんと、マイナスの電圧が出ていない。3端子レギギユレータまわりの問題かと思ったのですが、古い買い置きのダイオードが1個不良でした。未使用だったのですが。これを交換したら、あとは問題なし。オペアンプを差し込んで、いちばん心配だったオフセット電圧の確認。数個で差し替えてチェックしたけれど、いずれも支障無い程度でした。

位相反転回路の出力を確認

 そこで入力に発振器を、出力にシンクロを繋いで、出力のレベルと波形の確認。ちゃんと逆位相で同じレベルの信号が出ています。信号レベルを上げて振幅も確認しました。オペアンプ使った位相反転回路はちゃんと動作しています。


2019年1月2日水曜日

オペアンプで位相反転回路 12AU7-PP

 部品がだいたい揃った(はずの)12AU7-PPアンプ。ぼちぼち製作開始。

 おそらく私自身の最後の新規製作になる物。初心に返ってゆっくりやってます。まずは、オペアンプによる位相反転回路の部分。これを盛りつける基板は、用途廃止したデジタル物の基板の余りの部分を活用。

手持ちの余剰部品の活用のため、彩りが賑やかです

 オペアンプ以外にも、今回は特に手もとの余剰部品の使用を意識しています。ここで使われなければ廃棄される可能性が高い物たち。

 抵抗は、いわゆる「無駄な抵抗」をなるべく多く使えるように値を決めました。そのためメーカーなどまちまちです。コンデンサも、けっこう昔に取り込んだ物が混じってます。オペアンプを差し替えて遊べるようにソケットにしました。

 抵抗は立実装にしました。デジタル物の手法で、部品の足は基板面から少し出して切断し、導線で繋ぎました。ここには余り物のラッピングワイヤーを剥いて利用。配線は無理に裏面で引き回さずに表にジャンパを飛ばしました。

 このあと電源回路を作って、ちゃんと動作するか実験しなきゃ。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

2018年12月5日水曜日

電源トランス 12AU7-PP

真空管装置の大物部品は穴を開けた箱形シャシーにの上面に取り付けて、下側で配線するのが普通。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

  真空管は熱くなります。垂直で使うのが基本で、シャシーに付けたソケットに上から挿すのが普通(横倒しは配慮すれば可能、倒立はダメ。)です。そうすると、真空管まわりの受動部品はシャシーの下面に付くのが自然。シャシー自体をシールドとして利用しやすいです。
 シャシーのシールド効果を利用しつつ、空間を有効利用するためには、電解コンデンサやトランスなど大物部品は上面に置きたいです。ブロックコンデンサや伏型のトランスはこの使い方に便利なように進化した結果のように思います。

汎用の電源トランスはたいへん安価です
逆に言えば、シャシーの上下に部品と回路を付ける構造でなければ、これらの形状は必要がない。特に伏型のトランスなど、他の実装方法ではたいへん使いにくいです。このため、現在では真空管用以外の普通のトランスで伏型は無いです。

 真空管用は今では特殊なトランスで、品種が限られていて、値段も他に比べると高いです。汎用のトランスが使用できれば安くすみます。 予定している12AU7-PPアンプでは、汎用のトランスを使うことを考えました。安くすむかわり、当然普通のバンド型です。
 高圧電源はAC110V~120Vで足りますから、ACライン用の絶縁トランスが利用できます。ヒータはトランジスタ回路用のAC12Vのトランスを使用します。定格より5%低くなりますがこの程度なら支障は少ないでしょう。ドライバ回路は整流後安定化して±15Vを得るためにはAC12Vでは微妙に足りませんから、もう少し高い巻線が必要です。巻線の片側が接地になりますが、この2つは一つの巻線から取ることが可能です。

 まず大阪で探したのですが、残念ながら適当な物がありませんでした。そこで、東京へ行く用事があったついでに、秋葉原の東栄トランスで購入しました。

※バンド型の出力トランスと電源トランスを普通に取り付けると磁芯の方向が平行になってしまいます。取り付けに工夫が必要です。

2018年11月29日木曜日

真空管の名前

真空管の名前には、一定のルールがあることになってますが・・・

 日本で一般的に使われていた真空管は米国系。これに日本独自規格の管が加わります。元々は欧州系の管も、日本では米国での名を名乗っていました。

 米国系の管名は、ヒーター電圧を表す数字+英字1または2文字+電極数を示す数字 という構成。英字は登録順に付くのが基本なので、電圧違いの相当管でも違うことが多く判りにくいです。末尾の数字も、複合管の構成はわかりませんし、シールドの扱いなど不統一もあります。この点、欧州の型番は判り良いです。最初の英文字はヒーターを表し、レス管の場合は電流が示されます。続く英文字は内部ユニットを表し、複合管は複数文字になって構成がわかります。その次の数字1文字は管形、その後は追番です。

元のシャシーの印刷には間違いがありました

 日本の管名は、米国と欧州の混合という感じです。最初の数字がヒータ電圧なのは米式と同じ。次の英字は管形で、ハイフンを挟んで、その次に欧州式のように内部ユニットの種類を示す英字が来て、最後はそのユニットについての通し番号。ヒーター違いや管形違いでも後半部が同じになるのが工夫されている点のように感じます。

 寒くなって来たので、発熱の多いアンプでもメンタル的に使いやすくなりました。大物の6CA7-PPアンプを出しました。これはラックスのMQ-60の解体シャシーを利用しています。上面には元々使用していた管名が印刷されています。回路が変わって載る真空管も変わりました。ドライバ段の管の所は(間違いを防ぐ意味で)新しい管名のラベルを貼りました。出力管は間違いようが無いのと、使用する6CA7と似た名前が書かれていたので、そのままにしてありました。
 ここに使われていたのは日本生まれの3極管で、6C-A10のヒーターを50Vにした管。50CA10と書かれていますが、日本式の型番なので 50C-A10とまんなかにハイフンが入るのが正しいです。
 という事を考えているうちに、ふと気づいたこと。6CA7は普通の5極管です。米国式の基準に従えば末尾の数字は5か6です。末尾7は絶対に変です。

[製作した6CA7-PPアンプの詳細は→こちら]

2018年10月11日木曜日

オペアンプで真空管を駆動する

手もとにたくささんある真空管を活用する。そのために、やはり手もとにたくさんあるオペアンプをつかおうというプラン。

[製作した12AU7-PPアンプの詳細はこちら]

 あらためて見直して、想定される使用量をあきらかに超えている12AU7。小型テレビの垂直出力に使われたこともありますが、元々は普通の電圧増幅管です。これを音声出力用に使えば・・・普通に考えればオーディオ用としては全然問題外の低出力なのだけど、実際の私室のアンプの働き具合を考えると、プッシュブルなら使えないような物では無さそう。というか、6SN7-PPの事を考えるとけっこう良さそうな感じ。小型の机用アンプを作る計画がゆっくり動きだしました。

 6Z-P1シングルアンプに使用した出力トランスについて、ふと思いついて実験をおこないました。 どうやら、このKA-1220型はプッシュプルで使えるみたい。ならば、12AU7-PPアンプに使ってみよう。
  そうなると、次はドライブをどうするか。小型で消費電力の小さい12AU7を使うのだから、ドライブ回路も小電力でコンパクトなもの。私室のアンプの中には、同様の意図で真空管アンプの回路を半導体で置き換えたドライブ回路を持つ物があります。

 手もとにはあれこれ買い集めたオペアンプICがけっこう残ってます。オペアンプは、最初の頃はそこそこ高価でしたから、安い出物を買い込んでいました。でもすぐに性能の良い物が安く出回るようになりました。そうなれば、ひと世代前の物は出番を失います。一方、安くなったので所要数以上に買ってしまった物もあります。
 これらは、今後おそらく出番が無いでしょう。これらを使って真空管をドライブできるか。プッシュプルアンプなので位相反転回路が必要です。そうなると・・・ 結局、古典的な自己平衡型の回路になりました。スルーレートの点でちょっと厳しいですが、12AU7を振ることができそうです。(12AU7は三極管としては入力容量があまり大きくないです。)
 ただ、心配なのはDCオフセット。これは実際に組んで測ってみるのが早道のようです。