2013年12月10日火曜日

6Z-P1 Single : 回路を再検討してみる

わが家のアンプの利得について、あらためて計算してみました。

 アンプの入力の基準は、どのぐらいが良いのでしょうか。入力レベル0dBで最大出力という考え方もあります。しかしアンプの出力の大小でゲインが違うと、使うアンプによって入力ソース側のボリウムの加減が違ってきます。

 私室で使っているアンプ控えの石アンプと普段居間で使っているアンプ。出力は違いますが、つなぎ替えて使ってもボリウムの位置はほぼ同じです。これは、最初に作った居間のアンプに仕上がりゲインを揃えてあるからです。で、最初に作った時の基準になったのが・・・当時使っていた某メーカー製のアンプ。最初はこれとつなぎ替えて遊んでいたので。
 16Ωで約24倍、8オームで約15倍のゲイン。あらためて計算して見ると、0.7Vで約20Wの出力になります。思い起こせば、たしか元のアンプは20Wだったような。今度のアンプは出力30Wですが、仕上がりゲインをどうするか、ちょっと悩ましいです。

 大出力のアンプは、当然それだけの振幅を得るのに必要なドライブ段を持っています。 逆に苦しくなるのは小出力のアンプ。規模に見合った簡単な回路では裸ゲインがあまり高く取れず、しっかりゲインを稼ごうとするとドライブ段が不釣り合いに大げさになってしまいます。お遊びで作った12BH7Aシングルアンプは10倍ほどのゲインになっていました。12AX7の1段ですから、NFをかける余地を確保するために低く設定したようです。

FETと高耐圧トランジスタをカスコード接続 = 5極管モドキ

で、先日の6ZP-1シングルアンプ。これも仕上がりゲインが低目に設定されています。

 6Z-P1は5極管としては感度が低いです。入力は6V6と大差無いのですが、得られる出力は1/4。ゲインは半分しかありませんから、全体で同じ裸ゲインにするにはドライブ段が2倍頑張らなきゃいけない事になります。前段に12AX7を使ったとしてもNF掛けて仕上がりゲイン15倍は難しいでしょう。2段にするか高増幅率の5極管を使うか、いずれにしても6Z-P1には不似合いっぽい。
 このアンプは真空管のかわりにFETの2SK30Aを使いましたが、ゲインが全然足りなくて仕上がりゲインを抑えてもNFが3dBしかかかってませんでした。定数を微妙に見直してゲインを上げてNFを10dBほどに増やしてみましたが、どう考えてもこれが限界。ゲインを稼ぎつつP-Pで20Vの出力を得ようとすると、電圧が足りません。しかし2SK30Aは高耐圧といっても50V。この点では真空管には全然及びません。古い資料を見ているうちに思い出したカスコード接続。FETの上に高耐圧のトランジスタを積めば高い電圧で使えます。うまくやれば、B電圧でそのままドライブできるのではないかしら。

 という事で、フリーのSPICEソフトを利用して検討してみることにしました。上のトランジスタのバイアスは、電流がほとんど流れないので出力管のカソードから取ることを考えました。回路は簡単です。普通の5極管を使った場合と同じぐらいの定数を入れて走らせてみると、なんとなくいい感じの動作になります。裸で40倍ぐらいのゲインが得られますから、仕上がりを16倍にしてもほど良いぐらいのNFがかかります。振幅もじゅうぶん余裕があって、6AU6あたりよりも使い易そう。
 そうなるとあとはトランジスタ探し。300Vぐらいで1Wぐらいのトランジスタって、けっこういろいろ出回っていた印象なのですが・・・検索してみると、すでにほとんど絶滅状態のようです。 このクラスのトランジスタの代表的な用途はと考えると・・・テレビの映像回路。テレビの回路がだんだんソリッドステート化されて最後に残ったのがブラウン管。ブラウン管も真空管ですが、それもついに液晶になって消滅。そしてその相方となっていたトランジスタも供に消えて行こうとしている感じです。まだ店頭在庫はあるかしら。電気屋街へ行ったら探して見なきゃ。