2015年2月3日火曜日

6AQ5 Single : 回路とゲインの検討

先を急ぐ航海ではありません。ゆっくりまわりを見回すことも大切。遊べるところでは遊ばなきゃ。まずは始動。

 使用するトランスの大きさなども関係しますが、ミニアンプのシャシー上にはMT管なら4本載ります。B案は、出力管を4本載せてプッシユプルにするかわりにドライバは半導体というプラン。対してA案は、出力管2本でシングルアンプにして、ドライバに双3極管を1本使って3球というプラン。
 双3極管を使ったのは、こういった小型のシングルアンプは3極管をアタマにした2段アンプという思いこみがあったからです。シングルの3段アンプは、安定性や歪みの点で不利ですから、素直に考えれば2段アンプなのですが、アタマが3極管でなければいけないことは無いのです。

 私室のミニアンプは出力は小さくてもゲインが必要です。3極管の1段ではどうしてもゲインが足りません。6BM8シングルアンプ6BX7シングルアンプでは、前にフラットアンプを置いてゲインを補いました。6BM8は複合管ですから、μ70の3極部を使わなければいけませんでした。6BX7アンプは その製作のきっかけから3極管でドライブするのは必然でした。

 昔のラジオ少年のアンプ製作では、単純で安くて出力が大きいことが大事。仕上がりゲインとかNF量とかはまったく適当でした。昔の製作記事を見直してみると、出力管は定格いっぱいで使って、前段もゲインを高くとり、その上で不安定でない程度に少しNFがかけられたら良いというような設計が多いように感じます。
 トーンコントロールとかを前に置けばここでゲインを取れますから、出力アンプ部の感度は低くて済みます。高価で面倒な5極管よりも単純な3極管。12AX7は2個入りなのでステレオにちょうど良いし、1個で良ければラジオ用でおなじみの6AV6がある。
 入力容量の大きな3極管をドライブするなら3極管という意味もあったかもしれませんが、6AR5や6BQ5ならその心配はありません。だいたい、高抵抗高μの3極管で無理にゲインを稼ぐようではむしろ逆効果のはずなのですが。
6AU6:高周波用なので外側の円筒はシールドです

 実用ラジオはスーパーヘテロダインで、音声増幅の初段は6AV6が普通でした。しかし初歩のラジオ製作の定番は並3や並4。出力管の前は検波増幅の5極管で、古くは6C6が、MT管では6AU6が多く使われていました。6AU6は本来は高周波用ですが、オーディオにも使われた管です。6AU6はちびっこい7ピンMT管で、デザイン的にも不都合は無いです。昔ラジオ少年のアンプ製作としては、前が6AU6というのもアリではないかしら。中古ですが何本か手持ちがありますから、これを使うことを考えてみます。

 6AU6は高gmの5極管です。電圧を上げてしっかり電流を流して使えば高い増幅率が得られますが、今回はそれほどのゲインは要りません。ほど良いゲインになる動作を選べます。出力管のG2の電圧を下げて使いますから、初段の電圧はこれより低くする方が回路が簡単で済みます。そうすると、ほど良いぐらいのゲインになるのではないかしら。とりあえずSPICEで遊ぶネタができました。