2024年1月28日日曜日

スマホをつなぐ

 スマホの音をオーディオセットで出したい。ヘッドホン端子と外部入力をコードでつなげば良さそうですが・・・

 発端は部屋で中波ラジオを聴こうとした事。しばらく使ってなかったのでラジオの電池が切れていた。そういえば、スマホにラジコのアプリが入っている。ならばスマホをアンプの外部入力に繋げば良い。使用中のスマホにはヘッドホン端子がある。3極のミニプラグだからコードはある。ラジコで局を選ぶとスマホのスピーカーから音が出る。そのままヘッドホン端子にコードを差し込むと・・・音はスピーカーから出たまま。

 昔のイヤホン端子などはプラグの抜き差しによって物理的に接続が切り替わっていたが、スマホは電気的に切り替えているらしい。アプリが反応してないのか??
 そこで音楽プレーヤーを起動して試す。やはり切り替わらない。かわりにヘッドホンを挿してみると、ちゃんと切り替わる。試しに中継コードを挟んでヘッドホン繋いで、途中で外して断線状態にすると、スマホから音が出る。どうやらオーディオセットの入力インピーダンス(この場合は抵抗)が高いので無接続と判断されているらしい。対策として、負荷になるようにコードのプラグの所で信号とグランドの間に外し物の中から拾い出した抵抗100Ωを付けてみた。すると音が出た。当面はこれで何とかなったけど・・・

この後簡単なカバーを付けました。

 今後も使う事があるかもしれない。時間のあるうちにちゃんとしたコードを作ろう。そうなると、抵抗はどの程度が良いのか。ヘッドホン偽装するならL性の方が良いのだろうか。現用のスマホ以外はどうなのだろうか。そういえば、出力の断続をどうやって検出しているのだろうか。実用上は問題無いけど、DCが出ているぞ。安全性の点ではスマホ側とステレオセットの間を分離した方が良いし。

 思いついたのはトランスを入れる事。直流阻止とグランド分離とインピーダンス整合。コイルが入るという事ではヘッドホンと同等です。手持ちにちょうど良さそうなトランスがあった事を思い出しました。

 手許に残っていたのはST-10とST-12という入力トランス。これは昔はアマチュアの電子工作では定番だったサンスイのSTシリーズのトランスです。しらべるとどちらもまだ現行品のようです。
 ST-12は1次側が100Kで2次側が1KΩ。これを逆向きに使います。本来の2次側の直流抵抗は45Ωですから確実に接続が検知されるはず。巻き数比が10倍ありますから、普段の音量位置ではスマホの出力がちょっと低いのを救済する事にもなります。(ST-10も同様に使用可能と思います。)

 ガラクタ箱をかきまわして、ブラグ付のコードの断片と外し物のラグ板を引っ張りだして簡単工作。スマホを繋ぐとちゃんと音が出ました。まあ音質の方はスマホの音声回路の方の問題でしょう。

2024年1月14日日曜日

ラックス MQ-60/KMQ-60 アンプの修理に関して

ここにアンプの製作の記事を載せるようになってから 、今までに数回相談がありましたので、現況での考えをまとめて置きます。何かの参考になれば。

 私が製作した6CA7-PPアンプはシャシーにラックス製MQ-60アンプの解体品を利用しました。この繋がりでの御相談のようです。
 
私の入手したのはほとんどの部品を外されたシャシー部のみでした。製作したのはまったくのオリジナルの回路です使用したトランスや真空管は元とは異なっています。既存のアンプの改造/修理には該当しないと思います。

 ラックスのMQ-60アンプは微妙に内容の異なるいくつかの仕様があるようですが、基本的にはOY15-5トランスを使用した50C-A10のプッシュプルアンプで、ドライバはカソード結合(ムラード)型で、初段が6267の3結、位相反転が6DT8。最大の問題は出力管の50C-A10が交換困難。次に出力トランスの故障/不良。トランスについては多くの製品に使用されアマチュアの製作にも使われた物ですから、それなりの程度の中古品があるようです。また(それなりの価格ですが)代替に使える製品もいくつかあります。しかし出力管の50C-A10は元々耐久性や寿命の問題があり多くは早期に不良になっています。NECのオリジナルの管で他社製や類似品はありません。使用された製品が少ないので、新品はもちろん程度の良い中古も入手は難しいです。ある程度の期間実用にしようとすると、これは改造置き換えを検討するべきでしょう。

 50C-A10 は回路的には3極管ですがこの規模の3極管は当時も現在も他に存在しません。しかしこれの構造はビーム管を内部で3結にした物ですから、ビーム管(5極管含む)の3結で代用するのは自然でしょう。
 この規模の管で現状で入手が難しくない物でとなると、6L6-GC、6CA7,6550あたりでしょう。

 50C-A10の出自からはカラーテレビの水平偏向管も候補になると思いますが、規格上の耐圧を越える心配とプレートキャップが要る点であまり勧められません。

 いずれもソケット交換が必要です。元の回路部分が動作していたとすると、6CA7に替えるのが簡単そうです。管の外観がだいぶ異なり、出力が少し小さくなりますが、出力トランスとの組み合わせも問題ありません。
 50C-A10はヒーターが50Vで、これを2本直列にして電源の100Vで点火しています。このため搭載の電源トランスには出力管のヒーター用の巻き線がありません。6CA7の場合は4本で6Aの電流になります。電源トランスを載せ替えるか別にヒーター用のトランスを付けるか。前者は費用的に大袈裟になります。後者は筐体には載らないのでケーブル引き出しで別置きする事になります。

 ドライバ回路については、振幅もゲインも問題ありません。バイアス回路は調整範囲を超えるかもしれませんが、抵抗値の変更(追加)で対処できる程度です。裸ゲインが変わるので高域が不安定になるかもしれませんが、位相補償をいじるよりも仕上がりゲインを変えて帰還量を同程度にする方法が簡単でしょう。おそらくこの程度で、元の回路をそのまま保つ事ができると思います。

 なお、3結にする際には、第2グリッドは直接ではなく数百Ω程度の抵抗を介してプレートに結ぶ方が安心です。また、当時のコンデンサは元々耐久性が低くおそらくかなり劣化しているはずなので、積極的に交換すべきです。特に段間の結合コンデンサと位相反転部のグリッドを接地するコンデンサは漏洩電流が怖いですから。そのほか、電解コンデンサも可能なら替えておくべきだと思います。バイアス回路の可変抵抗も交換した方が安心でしょう。あとは・・・入力部の直流阻止は個人的にはぜひ入れたいです。原型尊重という点からもこの程度で済ますのが良いと思います。

2023年12月24日日曜日

トランジスタ・シングルアンプへの考察 その3

  私自身はこの記事に取り上げるようなアンプをは製作するつもりはありません。参考資料として掲載します。 

 ある所で相談を受けたのはだいぶ前。その後もいくつか思う事があり、関連した内容をここに書きます。

[ ここまでの話1 ]  [ ここまでの話2 ]

 トランジスタであっても真空管であっても、普通のスピーカーを鳴らすシングルアンプを作るにはトランスが必要。でも、トランジスタ用として販売されたシングル用のトランスは無い様子。そうなると、真空管用のシングル用トランスを使用することを考えなければなりません。

 一般的な小出力用の真空管は100~250Vの電源で数十mA流して使います。だから小型の真空管用のトランスは数KΩから十数KΩのインピーダンスです。この動作では、真空管のプレートにはOFF側の区間で電源より高い電圧がかかります。真空管のピーク耐圧はかなり余裕があり、これで支障が出る事はまずありません。ところがトランジスタは電圧の制限が厳しく短時間でも超えると破損に繋がります。だから真空管をそのままトランジスタに置き換えるのは難しいです。このピーク電圧は負荷や信号の波形によるので、最悪は3倍ぐらいを見込んでおきたいです。一般的な電力増幅用のトランジスタでは耐圧の高目の品種で120V程度。電源電圧を真空管よりかなり低くしなければなりません。
 電源電圧を40Vとしてみます。小出力用のシングル用トランスでは3KΩという物が比較的安価に入手可能です。これを使うと出力は0.2W程になります。これより出力を得ようとすると、電流を増さねばならず、それにはもっとインピーダンスの低い(数百Ω程度)トランスが要ります。


  市販のトランスを調べてみると、インピーダンスが600Ωや400Ωという物がいくつかありますが、このうち小型の物は重畳電流が書かれていないので、おそらくマッチングトランスでしょう。

 思いついたのは、タップの出ているトランスの巻き線を逆向きに使う事。一般的な0-3K-5k-8KΩのトランスを考えてみます。理想トランスとすると、各巻き線の巻き数は8Ωに対して54.8倍、70.1倍、83.7倍です。タップ間の巻き数は3-5K間が15.3倍、5-7K間が13.6倍、3-7K間が28.9倍。つまり3-5K間を使えば234Ω、5-7K間を使えば185Ω、3-7K間を使えば835Ωのインピーダンスになるはず。このぐらいのインピーダンスなら、20V程度の電源電圧で実用十分な出力が得られます。変則的な使い方ですが、磁気的には問題ないはずです。電流的にも公称の重畳電流内なら問題無く、多少越えても大丈夫と思います。高域特性はいくらか変わるでしょう。

 トランジスタでシングルアンプをつくるなら、この方向が良さそうに思います。

2023年12月23日土曜日

トランジスタ・シングルアンプへの考察 その2

 私自身はこの記事に取り上げるようなアンプをは製作するつもりはありません。参考資料として掲載します。

 ある所で相談を受けたのはだいぶ前。その後もいくつか思う事があり、関連した内容をここに書きます。

[ ここまでの話 ]

 ふつうのスピーカーをふつうに駆動するには、押すと引くの双方向に電流を流す必要がある。これをシングルアンプで果たすには、パワー素子の反対側をどうすれば良いのか。電圧増幅回路CR結合と違ってRで吊るのではダメです。ここで有効に働くのはトランス(あるいはチョークコイル)。リアクタンスによってON期間に蓄えたエネルギーでOFFに向かう期間を駆動する。トランスであればインピーダンスの変換も同時におこなえます。真空管のシングルアンプはこのようにトランスによって成立してるのです。
 そうなると、トランジスタのシングルアンプもトランスを使うのが確実ではないか。トランジスタと真空管の比較という点でも公平な気がします。問題はトランジスタに適したシングル用のトランスがあるのか。

 トランジスタ用のトランスで昔のアマチュア製作の定番だったのが山水のSTシリーズ。当時のカタログを見ると出力トランスはすべてプッシュプル用でシングル用はありません。

 実用オーディオ製品では無くても、トランジスタのシングルでスピーカーを駆動する回路は確かにあったはずです。2石レフレックスラジオとか。という事で手許の初歩向け雑誌を見ると、なんと、どの回路もプッシュプル用のトランスをそのまま(両端を)使っています。プッシュプル用のトランスは直流を流すようには作られていません。このような使い方ではコアが磁化されて飽和するか、そうでなくとも特性はメタメタのはず。無いから仕方ない、あるいは元々音質特性は問題外という事でしょう。

 現行の既製品で、シングル用の、コイルに直流電流を流す前提で作られているトランスは真空管用だけです。では、これはトランジスタで使えるのだろうか。

[ 続きはこちら ]

2023年12月22日金曜日

トランジスタ・シングルアンプへの考察 その1

私自身はこの記事に取り上げるようなアンプをは製作するつもりはありません。参考資料として掲載します。

 ある所で相談を受けたのはだいぶ前。その後もいくつか思う事があり、関連した内容をここに書きます。

 真空管アンプにはシングルとプッシュプルが普通に存在し、近年作られているものはシングルアンプが多いように見えます。揃った真空管が得にくい最近の事情もありますし、シングルの方がそれぞれの管の特徴が出やすいという考えもあるようです。一方、トランジスタを使ったアンプは昔からほとんどがプッシュプルでした。というか、実用向きのトランジスタのアンプでシングルという物を見た事がありません。初期のトランジスタではある程度の出力を得るにはプッシュプルにする必要があったとか、トランジスタは高効率省電力がウリなのでプッシュプルは必然とか、商業的な理由はすぐに思い付きます。しかし、トランジスタと真空管の音を論じる中でもトランジスタ・シングルアンプが登場した記憶はありません。

 あらためてトランジスタでシングルアンプを真面目に作る事を考えます。シングルアンプは当然A級動作で無信号時に大きく発熱します。トランジスタは高温に弱く温度変化に敏感です。しかし小出力のアンプであれば、ある程度放熱と温度補償に配慮すれば扱い困難という事は無いでしょう。6AR5とか6BM8とかシングルで出力数Wの管と比較する物を今作るなら、TO-220ぐらいのトランジスタでも十分なはずです。

 手許の余剰の部品をかきまわすとTO-220のトランジスタがいくつか出て来ました。このようなトランジスタはどにでもあるはずです。これらは小さな放熱器でも数Wは取れます。電流はそこそこ取れますが耐圧は数十V程度。問題はこれでどうやってスピーカーを駆動するか。

 プッシュプルならトランスレスもあるのですが、真空管のシングルアンプには出力トランスがつきものです。実はシングルアンプのトランスは、プッシュプルと違って、インピーダンスの整合以上に重要な働きをしているのです。
 現在一般的なダイナミックスピーカーのコイルには交流が流れ、コイルの磁界が反転する事でコーンを前後に動かしています。コーンを押す時と引く時の両方で対称に電流を流す必要があります。この点でダイナミックスピーカー自体がプッシュプルな素子なのです。したがってプッシュプルアンプとは相性が良いのです。
 問題はシングルアンプ。プレート(コレクタ)へ引くにしろカソード(エミッタ)から流すにしろ、片側しか駆動できない。スピーカーは電力素子ですし、コーンの動きに伴ってコイルには電流が流れます。ダンピングの問題です。ここでトランスのLが効いてきます。真空管(トランジスタ)がOFFに向かう時に、ON 時にコイルを磁化したエネルギーによって電流が流されます。だからこれは(チョークコイルでも良いけれど)普通のCR結合回路のように抵抗で吊るのではダメなのです。所謂アクティブ負荷という物がありますが、この方向に進むとSRPPに至ってしまいシングルとは違って来ます。 

 つまり、トランジスタでも真空管でも、シングルアンプならOFF側で積極的に電流を流す物が要る。そのためのシンプルな方法がリアクタンス。つまりトランスかチョークを直列に入れる。(昔のマグネチックスピーカーは、直流を重畳させて磁化させるように作られていて大きなL性を持ってます。だからトランス無しで繋いで良いのです。)

[ 続きはこちら ]

2022年1月29日土曜日

ハンダゴテの働き場所

長年の積み残しの課題を片付けたあと、残渣の整理かたがた始めた真空管アンプ工作も完全に終了。あとは残った物の始末。

 部品で使えそうな物は譲渡したりオクなどで売ったりしてあらかた片付きました。時代遅れのデジタル物は保守用にもなりそうに無いので、早々に廃棄しました。あとは無駄な抵抗とか半端な物ばかり。希少そうな物もありますが、必要な人に届くような道筋が浮かびません。これらもそのうち、まとめて捨てることになるでしょう。

 立場が微妙なのは工具たち。何かしら作る事はありますから、ドリルやヤスリなど汎用工具はこれからも活用するでしょう。一方、シャシーパンチやニブラーなど専用工具はもうこの先本来のような使い方をする可能性はありません。それでも何か使い道はあるかもしれません。手放したら再度入手するのは難しいです。立場が微妙なのはハンダゴテ。がっつり働く事はなくなっても、ちょこちょこ出番はあります。


反対側も傷んでいるので両方とも交換します。

 私室で使っている床置きのスピーカー。狭い部屋なので、聴く場所に合わせてあちこち移動し、そのあとは片隅に片付ける。床を滑らせて運ぶので、時々コードをひっかけます。たいがいはコードが外れるのですが、時には先がちぎれたり。そして、そのストレスが蓄積して端子自体が傷んでくる。先日、ついに破損。反対側も傷んでるので合わせて交換します。
 以前なら日本橋の部品屋で買うのですが、今回は通販で購入しました。感染症蔓延の事が無くても、ここしばらくあちらへ行く事が無くなっています。百円ほどの物ですからこれだけ買いに行くのは無駄。交通費を考えればそれほど高く無い。そして、今日はしばらくぶりにハンダコテの出番。


2021年6月5日土曜日

BGMにmp3をかける (その3)

しばらく前に作ったmp3プレーヤー。USBにデータ入れて挿すと順次演奏するので、軽い音楽をダラダラ流すには便利。けっこうな曲数入る。でも入れすぎると曲を探せない。

 以前に使用したモジュールは比較的安い物。データをフォルダー 分けして入れても、全部続けて演奏される。もう少し高機能な物ならどうだろうか。ふと思いついてネットで探して、海外通販で購入しました。

 昨年から買い物に出にくい状態が続いています。なるべくお出かけは控えて、最小限の用事だけ手早く済ませるようにしています。人通りの多い所をあちこち歩き回って探すような事は避けたい。電気屋街に行こうとすると、乗降の多い駅で乗り換えることになるので。
 中国からの通販は安いのですが、何時届くか判らない。とにかく日数がかかります。長く待って届いた物が破損だった事もあります。何より、取説らしき物が無かったり、あっても製品と仕様が合ってなかったり。それでもまあ当て物ゲームと思って挑戦するのもアリかもしれません。

 で、しばらく待たされた後で問い合わせると品切れと。そこで代替になる物に注文変更。またしばらく待って封筒が届いたのだけど、今度は中身が違う。発送ミスだとかで交渉の結果返金。あきれて別の店に注文。またしばらく待って、今度は何とか届いた。あれこれ合わせて2か月ほど。この間に、筐体や電源などあれこれ考えました。

 手持ちの材料をやりくりして買い物に行かずに済ませる。余り物や解体部品を活用するパズルゲーム。ローパスフィルタはひと捻りしてオペアンプを反転増幅で使う多重帰還型の回路ができました。

木製の筐体に木ネジ止め

 今回入手したモジュールはパネル面が少し大きく、手許には合う大きさの筐体がありません。アルミケースを新たに買うのは大袈裟。あれこれ考えて、残り物の木の板で箱を作ることにしました。側面と背面は12mmの板で、上面は薄い合板。底蓋も薄い合板。子ども時代にはやらなかったけど、子どもの工作っぽい。電源トランスなどの取り付けは木ネジで。

 モジュールの電源は5Vです。手許に6.3Vのトランスがありました。これをブリッジ整流すると約8V。3端子レギュレータ入れるにはちょうど良いけど、オペアンプには足りない。探すと、うまい具合に5~9V入力で±12Vが出るスイッチングのモジュールがありました。物は試しという感じで、これを使って見ることにしました。ノイズが心配でしたが問題はありませんでした。

2020年9月3日木曜日

抵抗器も熱い

まだまだ暑い日が続いてますが、そろそろ秋が近い感じ。朝晩の風は少し涼しくなって来ました。

 私室ではトランジスタアンプと併用しながら真空管アンプで音楽鳴らしています。気分程度の違いですが、先月は消費電力が最小の6AK6-PPが働いていました。今月は気分を変えて6Z-P1のシングルに。シングルアンプですから、出力の有無にかかわらず電力を消費します。音になっていない分はすべて熱です。

 真空管アンプでは、真空管のヒーターの発熱が目立ちますが、それ以外の部分も発熱しています。大型の管では出力管のプレートからの熱も目立ちます。しかしそれ以外の回路の発熱も要注意なのですが、昔は普通はほぼ完全に意識されていませんでした。

 真空管にかぎらず、電子回路のあちこちに抵抗器が使われています。抵抗に電流が流れると{ 電流 × 電圧=電力 }の分の熱が発生します。この熱は抵抗器自体を加熱します。だから電力の大きな抵抗器は温度に注意が必要です。これはトランジスタ回路でも同様、というか、実装密度が高く温度に敏感な分一層要注意だったのです。
 トランジスタは温度で特性の変わるので発熱とその処理を考えるのは当然の事。そしてその心配は一緒に組み込む抵抗器にも及ぶ。

12G-B3/7シングルアンプ 出力管まわりの抵抗の処理

 昔の真空管用の抵抗器は容量の割に外形が大きかったです。そのため大きな表面積から熱を放散することができるので、定格に近い電力でもあまり高温にはなりません。たとえば1/2Wの抵抗は1/2W近い電力で使っても長時間耐えました。ところが最近の小型の抵抗は、短時間ならその電力に耐えるという設定です。1/2Wの抵抗を1/2Wの熱が発生する所に使うと、数分も経たずに非常な高温になります。つまり、抵抗器からの熱の行方も考えて、容量に余裕のある(表面積が大きい)抵抗を使うか、放熱の処理をしなければならないのです。


 抵抗で発生した熱は、一部はリード線を伝わり、残りはその表面から周囲の空気に伝わります。抵抗の周囲の空気の温度が上がり、この熱は周囲の部品を暖め、最終的には筐体に伝わります。抵抗の周囲に適切な通気が確保できていなければ、筐体内は筐体表面より高い温度になります。発生した熱は最終的に筐体の外面から放熱されるのですから、余分な回り道を辿るよりは、抵抗の熱を効率良く筐体に伝える方が良いはずです。

  アマチュアの製作などで、大きな放熱器を密閉した筐体内に取り付けたものがありますが、これはまったく無意味です。放熱器を外面に付けるか筐体内の通気を確保する、あるいは筐体自体を放熱器として扱って熱の流れを作るべきです。

 写真の12G-B3/7シングルアンプはカーソド抵抗器の発熱が大きいです。低μでバイアスが深く、シングルアンプで電流が大きいです。概算で1.4Wぐらい。通常の炭素皮膜(金属皮膜も同様)は外装の耐熱性が低いので大型の物を使っても長時間の使用では焼け焦げの心配があります。そのため耐熱性が高いセメント抵抗を使用しました。小型であるかわり表面からの放散だけでは温度が高くなるので、リード線からの放熱も利用します。取り付けには磁器製のタイトラグを使用し、熱が筐体に伝わるようにしました。ラグの足に近い側に抵抗を置き、熱が嫌いなコンデンサは少し離してあります。

 G2に直列に入っている抵抗は手持ちの難燃性皮膜の抵抗を使いました。外装の耐圧の不安はありますが、電流が小さいので小型の炭素皮膜で済みます。

2020年8月10日月曜日

真空管アンプは熱い?

暑い日が続いてます。あとしばらく我慢。そんな中でも、今年は真空管アンプで音楽聴いてます。

 真空管は橙色に灯るヒーターがポイント。これは飾りではなく、真空管が熱さに耐えて真面目に働いている証拠。だから、LEDなど仕込んで照らすのは何か違うような気がしています。

 冬は暖かく見えるヒーターの灯りですが、夏は暑苦しく感じてしまいます。とは言ってもこれは気分的な物で、室内で使っている他の電機製品全体から見れば問題になるほどの発熱ではありません。特に最近製作したような小型アンプならばその消費電力自体が小さいので、ホント気分程度の違い。でも、アンプの置き場所は棚の中なので・・・・

 しばらく前に電源1次側で消費電力を測りましたから、これに従って春から夏に向かって、順繰り発熱の多いアンプから少ないアンプへと繋ぎ替えて来ました。そして、先月半ばからは消費電力最少の 6AK6-PP が働いています。
6AK6プッシュプルアンプ

 このアンプは5極管のプッシュプルで効率が良いこと、ドライブがトランジスタという事もありますが、使っている 6AK6 のヒーター電力が小さいことが効いています。.6.3Vで150mAですから、4本でも僅か約.3.8Wです。
 あらためて、他のアンプのヒーターの電力を計算して見ます。最大は当然ながら 12G-B3/B7シングルで約15W。次が12BH7ブッシュブルの約13Wですが、これはドライバの6BL8のヒーター電力が大きいからです。出力管だけなら 6SN7プッシュプルと同じ約7.6Wです。ドライバが真空管だとその分のヒーターが効いてきます。6AQ5のプッシュプルは駆動が半導体ですから450mAが4本で約13W。シングルの方はドライバに使った6AU6の分がかわりに加算されて約9.5W。6BM8は複合管で、その3極部が加わって約9.8W。6BX7はヒーター電力が大きいですが、1本でステレオになっているので、ドライバ込みで約11Wで済んでいます。管は大きいですが、6Z-P1のヒーターは6AR5より小さいです。そのためドライブが半導体という事もあって約4.4Wです。いずれも、普通の電球よりずっと少ない発熱です。つまり気にするほどの事では無いです。

 もっと暑くなると冷房をかける時間が増えるので、そうなれば居直ってラスボスの6CA7-PPを部屋で鳴らすのもアリかもしれません。

2020年4月3日金曜日

BGMにmp3をかける (その2)

作業中とか、だらだら音楽をかけるにはUSBメモリーに入れたデジタルデータが便利。机上用アンプに繋いでる装置の使い勝手が良いので、もうひとつ同じような物を作ることにしました。

 デジタルの音楽データにはいろんな形式があります。いちばん一般的なのはmp3でしょうか。圧縮効率が良いのですが、音質的にはいくつか問題があります。非可逆圧縮であり、その圧縮時のアルゴリズムによって音質がかなり変わるのが困りもの。mp3の他にもいくつかの形式がありますが、総合的に見れば大同小異。結果、単独の音楽用についてはmp3が使われ続けています。一方、まったく非圧縮のwavデータからある程度小さくできる可逆圧縮の形式もいくつかあります。両者を合わせればかなりの種類があります。統一できれば良いのですが、非可逆形式の場合は変換するほどデータとして劣化がおこります。つまり、ある程度一般的な形式については、そのまま再生する方向で考えた方が良いでしょう。

 で、今回入手したモジュールは、以前に入手した物より多くの形式をサポートしています。電源が5V単独なのは同じですが、直接スピーカーを駆動するのではなく、別のパワーアンプに接続する仕様です。つまり出力がグランド基準のラインレベル。これは案外使いやすい??

ケースも含めてすべて余剰部品と解体廃品の活用


 で、とりあえず+5V(USB電源)を繋いで見ました。ちゃんと機能して、音楽が再生されたので、不要装置の解体廃品を利用して実用的な装置にまとめることにしました。トランスは少し電圧が高いですが、必要な電流は少ないですから、5Vの3端子電源ICを通せば問題無い。

 簡単な工作で済ませて、オーディオセットに繋いで聴くと・・・やはり音がガサツな感じ。基板上にはチップ部品がいくつか付いてますが、ちゃんとしたフィルタになっているようには見えません。そこで前作で有効だったCRフィルタを付けてみました。ライン出力でインピーダンスが不明なので、適当に作ったのですが、効果がいまひとつな上に音質に影響が出ました。

 やはりトランジスタでバッファを入れるか。という事を考えていて思い出したのが、オペアンプ使った帰還型のLPF。幸い整流直後の電圧がDC12Vほどありますから、念のため9Vの3端子レギュレータを挟んでも汎用オペアンプを働かせるのに足ります。
 この時期に部品の買い出しには行きたくないです。手持ちをかきまわしたところ、解体部品も活用すれば16KHzのフィルタができることが判りました。という事で急遽追加工作。

 フィルタは昔にオペアンプで作って遊びました。それで甘く考えて、電源まわりの処理をテヌキしたら異常発振が起こり、急遽パスコンを追加。グランドの処理をいいかげんに済ませたのが祟ってハムが出て、レギュレータまわりとか配線をやりなおし。さらには、ケチって使った解体部品の抵抗の1本がノイズ発生器になってたり・・・と、いろいろあって1日遊べました。

2019年10月14日月曜日

アンプの発熱と電源トランス

大出力アンプはそれ相応に熱くなりますが、真空管アンプは小出力でもそこそこ熱くなります。

 A級アンプでは無信号時には出力に回されない分の電力が出力素子で消費されますから、大出力アンプほど発熱する理屈。AB級アンプでもアイドリング電流が流れます。このアイドリングはトランジスタの場合はかなり少なくて良いので、大出力アンプでもあまり熱くならないのです。
 ドライバ回路はA級動作なので無信号時にも電流は流れます。ここは出力の大小よりも回路方式による違いが効いてきます。動作電圧が高い真空管アンプの方が不利ですが、一般的に見るとトランジスタの方が複雑な回路を使う傾向があるので、この部分は案外トランジスタアンプの方が発熱しているかもしれません。
 しかし真空管にはトランジスタには無いヒーターというやっかいな物があります。特別な物を除くと小型の管でもそこそこの大きさがあり、おおまかな傾向としては、大出力用の管ほど大きくなります。

 私室のアンプは棚の中で使うので、あまり発熱が多いと夏場は困ります。真空管を含む信号回路部分は(各部の動作電流の和×B電圧)で求められます。電流の和は、電源部のフィルターの抵抗のドロップから簡単に求められます。これにヒーター電力を加算すると、回路全体の消費電力になります。この値からアンプの発熱の多少を知ることができます。

 ところが、これらは電灯線の電源からそのまま供給されるのではなく、すべて電源トランスを通って来ます。この部分でかならずいくらかのロスが生じます。このロスもアンプを熱くさせる要素になります。つまり、実際のアンプの熱さを考えるなら、トランスも込みで見なければなりません。

 ふと思いついて、揃った私室用小型真空管アンプの実際の消費電力を測ってみることにしました。それには電源トランスの一次側に入る電流を測れば確かです。教科書的には、ここに電流計を入れれば良いのですが、それには交流電流計が必要です。
そこで、『きわめてアマチュア的で野蛮な方法』を使って測定することにしました。

下記の方法は感電や測定機器など破損する危険が高いです。安易におこなってはいけません。


 延長コードを加工して、片方の配線の途中に1Ωの抵抗を直列に入れました。回路全体から見ると1Ωは無視できる値です。この両端の電圧を測ります。ここに生じる電圧を測ればオームの法則から電流が求められます。たとえば 0.3Vであれは 0.3A流れているので、電力は 30Wという事になります。

測定結果は 昇順に
6AK6 プッシュプル13W
6Z-P1 シングル 20W
6SN7 プッシュプル 21W
6BM8 ULシングル 25W
6BX7 シングル 26W
6AQ5 プッシュプル 29W
6AQ5 シングル 30W
12BH7A プッシュプル 32W
12G-B3/B7 三結シングル 36W

 6AK6-PPと6SN7-PPはヒーター電力が4Wほど違いますが、規模的にはほぼ同じですから3極管と5極管の電圧利用率の差が効いているようです。
 6AQ5 シングルと6BM8 ULシングルはほぼ互角のはずなのですが、6AQ5 シングルがずいぶん高いです。このアンプは(定格では容量に余裕があるはずなのに)電源トランスがかなり熱くなるので、ここの損失が大きいのでしよう。

 12BH7A-PPはかなりA級寄りの動作で、プレート損失では6BM8-Sや6BX7-Sと同程度ですが、ドライパが真空管の6BL8というのが不利に働いてます。6AQ5-PPはを12BH7-PPに合わせて製作しました。だいたい近いですが少し小さく出ています。12BH7-PPの方が電源トランスが熱くなるので、能率の差でしよう。
 かなり超過するつもりで作った12G-B3/B7 三結シングルが意外と低く出ました。このアンプは電源トランスがあまり熱くならないので、トランスの能率が良いのかもしれません。

2019年9月29日日曜日

昔に12G-B7の3結に手を出していたとしたら 仮想ゲーム(2)

あらためて見ると、12G-B3/B7の3結って、すくなくとも6G-A4や6R-A8よりは2A3似近い。そこで2A3の代用にしようと思いついた・・・という仮定で思考ゲーム。

 12G-B7が現役だった頃、私はまだ雑誌の記事を見ながら継ぎ接ぎする程度の知恵しか働きませんでした。というか、だいたいあの頃のアマチュアの多くはメーカの動作例か雑誌の作例の動作をなぞるようなやり方が普通だったと思います。

 12G-B3は、定格が10Wですから、これを守るとすると2A3の2/3しかありません。しかし6G-B3Aの事も考えると、おそらオーディオ用では12~13Wぐらいで使えるでしょう。12G-B7であれば2A3の代役になりそうです。 その場合も耐圧をいくらと見るかが問題です。偏向管としての規格ではG2の耐圧が250Vと低いです。G1との絶縁で抑えられていると考えるなら、3結の場合もこの電圧に収めるべきです。しかしこの電圧はパルス回路で使うビーム管として、実用的な電流で使える範囲を示しているという見方もできます。これは12G-B3がは200Vである事からも推測されます。おそらく絶縁の点ではもっと行けるはず。そうならば、3結なら300V以上でも行けるでしょう。
 当時は定格ぎりぎり、むしろ多少超過ぐらいが普通だったので、300Vで使うとすると2A3とほぼ互角(250Vだとひとまわり小出力)になます。 

12G-B7 は大型の管です

 2A3と違って12G-B7は傍熱管ですからヒーターの処理が楽です。これはプッシュプルにする場合には効果絶大です。しかも、グリッド抵抗の制限が緩いので、固定バイアスにする場合も楽です。

 AB級プッシュプルの動作を考えます。この場合はバイアスが40Vを越えるぐらいになりそうです。2A3よりは少し低いですが、6CA7や6L6などよりも高いです。これが6G-A4や6R-A8だと半分ぐらいになるので、P-K分割でも何とかなります。メーカーはこのあたりを狙ったのでしょう。
 当時なら大型アンプでドライブ電圧が欲しい場合はカソード結合型(ムラード型)でしょう。問題はB電圧がだいぶ低いこと。普通に初段と反転段を直結にしようとすると電圧配分に苦労しそうです。2A3の場合はここにもう1段入れて電圧を上げたりしている回路を見掛けます。グリッド抵抗の事を考えてカソードフォロワーを挟んだりしている回路もあります。
 もっとも、自己バイアスだとその分B電圧を高くしますから、位相反転段の電圧はもう少し上がるので、それで何とかなるかもしれません。ここから発想して悪知恵を働かせると、固定バイアスのマイナスが50V以上あるはずなので、この分で下へ引くという手がありそうです。そしてせっかくマイナスに引くのだから、やはり初段から差動回路となると思うのですが、当時は考慮外だったでしょう。
 事の発端の6CA7-PPアンプではドライバを2段差動にしました。この回路ではDC安定性の理由で2段を直結にしなかったので、電圧配分の問題はありません。+250Vと-150Vで働かせていますが、この電圧で振幅40Vを得るのは全然問題無いです・・・・

 って、結局このへんの話に戻って来てしまいました。

2019年9月23日月曜日

昔に12G-B7の3結に手を出していたとしたら 仮想ゲーム(1)

あらためて特性図見ると、12G-B3/B7の3結って、6G-A4や6R-A8よりは2A3似近い。現役当時にも注目されていて良さそうな物だと思うけど、昔の雑誌などで見た記憶はない。

 2A3は古典管。使いにくい要素満載。逆に言えば、改良して使い勝手を良くするポイントはたくさんある訳です。ならば、自称2A3の後継という管、あるいは他薦2A3のリリーフ役がいろいろあっても良さそう。

 どうやら6G-A4や6R-A8がウリにしたかったのは、ドライブの感度。感度が低ければドライブ段のゲインが必要です。同出力で考えれば振幅が要ります。これを低い電源電圧で得なければならない。これは同時にバイアスが深い事にもなり、そうなると、自己バイアスで使った時の電源のロスが大きくなります。6G-A4は2A3の倍以上の感度ですから、アマチュア的にはかなりハードルが低くなります。
 しかし、これによりμが高くなり、プレート電流が少なくなり、内部抵抗が上がる。ヘタすると歪みも増える。なんとなく"2A3が良い"という理由から離れてしまうような。

日本の近代的真空管は欧米メーカの技術を元にしています


 自称2A3の後継が期待ハズレなら、他薦はどうだろうか。おそらくそういう方向の動きはあったはずです。でもほとんどその跡が残っていません。多極管の3結は2A3の代替にはならない、あるいは別物という意識だったのでしょうか。

 3結で使うとして、規模的に2A3ぐらいになる管があるでしょうか。オルソンアンプは6F6の3結をパラで使ってます。調べ直すと6F6の3結は2A3の半分に似ています。しかし6V6や6L6の系統は3結では電流が小さくなって出力が取れません。6BQ5も同様。
 6BM8は案外3結μが低く出力が取れますが、元々が小さいので出力は2A3の半分。この上のクラスだと、6CA7や6G-B8。この6G-B8は水平偏向管の出身です。ならば、アマチュア的には水平偏向管の3結でオーディオアンプは有りだったのではないかしら。

 プレート損失は-B7なら2A3と同等。3結のμは同程度。電流が多く流れて内部抵抗が少し低い。ヒーター電力は少し大きいですが、傍熱なので扱いやすさは段違い。グリッドバイアスの抵抗を高くできるのは大きなメリットと思います。プレートキャップが必要ですが、当時であれば入手は容易。当時の価格は大差なさそうですが、-B7はテレビのジャンクという手もありましたから、アマチュア的には面白そうなのですが。

注意: 記載の数値は"てきとう"です。ちゃんと計算してません。


 12G-B3や-B7が現役だった頃。これらを3結にして有名な2A3の代替に使ってアンプを作る・・・という仮定で思考ゲームです。(あくまで思考ゲームです。)今回製作したアンプは、12G-B3をかなり軽く使って、ドライブは半導体です。これは現代の発想。当時の常識に合わせたな回路を考えます。

 当時を想定していますから、半導体は電源のダイオード以外使いません。-B7を定格一杯の15Wで使います。出力トランスは2A3用が使えそうです。(G2の耐圧を考慮すると)電源電圧は2A3より低目で250V~300Vぐらいでしょう。これで少し多目の60~70mmAほど流して・・・やはりほとんど2A3の置き換えです。

 バイアスが少し浅くて30V程度。当時の使い方を想定すると、適度のNFかけるのに必要なゲインは100倍ぐらい。これを低いB電圧で得る。そのためには6AU6とかgmの高い5極管を使う。しかしこうするとインピーダンスが高くなって、3結の出力管をドライブするのが苦しくなるので、3極管のカソードフォロワーを入れる。これに12AU7の半分を使うのは・・・ならば、5極3極の複合管の方が合理的。6BL8とか6AN8とかちょうど良さそうです。B電圧が(150Vでは厳しいですが)200Vほどあれば必要な振幅は得られそうです。

 って、今回半導体で作った回路と同じような物になりました。これなら、当時のラジオ少年でも製作できたかしら? でも、当時はカソードフォロワーはあまり一般的で無かったですから、12AU7+12AU7で3段アンプにして発振に悩まされたような気がします。

2019年9月16日月曜日

音声出力用3極管

 昔から熱烈な3極管支持者はたくさんいます。使い方にもよるけれど、3極管と多極管は違う音がするのは確か。問題はその差をどう考えるか。

 音声出力用の5極管は純粋なオーディオ用はもちろん、小電力の小型セットから業務用システムまでいろんな所に使われていて、用途に合わせた大小さまざまの音声出力用の管が作られました。
 熱烈な支持者があるのだから、当然3極管には音声出力用に特化した性能の管がいくつも作られていて良いはずです。しかし、いつでも多く出て来る管は 古典管の2A3。それしか無いのか、代え難い何かがあるのか。だから使いにくくても我慢して使う。そのうちに、これを使いこなすのが目標になり現代に至ったという感じかもしれない。

12G-B3 と 6BX7 / 発熱の大きな6BX7の方が管が小さいです。


  あらためて2A3のスペックを見てみます。直熱管でヒーターが2.5Vの2.5Aですから、傍熱管なら6.3Vの1~1.5Aぐらいでしょうか。許容損失は15Wありますが、Ebが300Vです。内部抵抗が0.8Kと低いですがμが4と低いです。それにともなってバイアスがたいへん深くなります。グリッド電流が流れやすいらしく、グリッド抵抗が自己バイアスなら500Kですが固定バイアスなら50KΩとなっています。つまり、ヒーターの事は別にしても、かなり使いにくい管です。

 『和製2A3』と言われる6G-A4をあらためて見直すと、簡単に2A3程度の出力が得られる3極管という感じで、スペック的にはまったく別物。Ppは少し小さい13Wで、Ebが350Vと高いです。しかし、元の6BX7から引き継いで、μが10と高く内部抵抗も1.4Kあります。その分でバイアスが半分ほどで済みます。グリッド抵抗が固定バイアスでも250Kなので、ドライブのしやすさは段違いです。
 これが6R-A8だとPpが15Wで2A3と同じですが、管形を考えると厳しそうです。μが10は6G-A4と同じですが、内部抵抗は少し低い。gmが少し高く、バイアスが低くなってます。最大出力は2A3と互角というのですが、それにはぎりぎり高い電圧をかける必要があります。やはり2A3の後継代替ではなく全くの別物。なにより、この6R-A8はビーム管の6R-B10を内部で3結にして生まれた管。純粋の3極管では無いという意見も。

 有名なオルソンアンプは6F6の3結のパラ。確かに6F6の3結は2A3の半分に似ている。純粋の3極管にこだわらなければ5極管の3結で済む。だから音声出力用三極管の新種は需要が低かった??

 12G-B7を3結にすると、Ppの15Wは2A3と互角(12G-B3は10Wで考えておくべきでしよう)。μは6ぐらいですが、内部抵抗はひとまわり低く0.5KΩぐらい。つまり2A3より低い電圧で電流が流れる管。3結の耐圧は不明ですが、低い電圧で電流が流れますから、プレート損失で先に抑えられます。3結時のグリッド抵抗は不明ですが、出自を考えるとおそらく固定バイアスでも250K以下という事は無いでしょう。バイアスが深い分、ドライブ電圧が要ります。B電圧が低くなる分を考えても、回路的な難しさは2A3より低い感じです。12G-B3/B7が現役だった頃、このような使い方に気付いた人もいたはずです。

2019年8月8日木曜日

12G-B3/B7 三結シングルアンプ 完成

子ども時代に廃品のテレビの中でよく見掛けた管。縁あってこれでオーディオアンプを作ることになりました。長年の電気系工作の締めくくりにふさわしい物になりました。

 ゲルマラジオから始まって、真空管でラジオを作り、アンプに作り替え。それからトランジスタに移り、オペアンプに至る。デジタルの横道に逸れて、そのまましばらくマイコン関係に引きずり回される。それが一段落して、ふたたび真空管でアンプを作ることに。

 手持ち部品を浚って、足りない物を拾い出して日本橋をひと巡り。漏れなく揃えたはずなのに、やはり勘違いがありました。通販という手もあるけど、送料も要るし時間もかかる。 それで今日は日本橋の部品屋へ。交通費がかかって高価な抵抗器になりました。それを取り付けて、あらためて試運転。

 子ども時代には、それこそ最初のゲルマラジオのダイオードからして、廃棄テレビを解体して入手したもの。当時は神戸の片隅に住んでいました。神戸市内に電子部品を扱う店がいくつかありました。しかしそこまで行くのは時間も交通費もかかります。大物はまとめて買うけれど、実験と称してあちこち改造して遊ぶには抵抗やコンデンサがいろいろ要ります。いちばん手軽にこれらを入手する方法が廃品テレビなどの解体。倹約にもなります。しかし、当時はテレビの中の真空管を使おうと思うことはありませんでした。それがぐるっと1周回って風変りなアンプになりました。

外観を整えました。12G-B7を挿してみました。
  振り返れば、真空管とトランジスタの比較論争がありました。そこから派生してOTLからOCLを経てDCアンプとか広帯域という方向も。まだモノラル派が生き残っている中で4チャンネルステレオという物も現れました。そうなると、周波数特性と歪率だけで済ませていたのが、位相特性や混変調も考えなければならなくなる。その折々に過去の亡霊のように現れた『3極管vs5極管』の論争。それはその後の縦型FETやMOSFETの時にも。

 縁でやって来た12G-B7。そこから始まった今回のアンプ製作。結局、3結でシングルアンプになりました。3極管のシングルアンプは 6BX7を片方づつ使ったのがあります。規模的には大差無い物で、設計の基本方針も同じです。使った抵抗やコンデンサはどちらも普通のトランジスタ用。出力トランスも最近の普通クラスの製品。でも、出て来た音は全然違う傾向。どちらが良いとかではなく、それぞれ好みか気分という微妙な違い。

 試運転のあとは、完熟運転。その合間にwebページ用の写真撮影。入手した管は12G-B3と12G-B7で、メーカーはいろいろ。念のため差し替えてチェックします。

2019年8月7日水曜日

12G-B3/B7 三結シングルアンプ 製作ほぼ完了

子ども時代よく見掛けたテレビの水平偏向出力管。これでオーディオアンプを作る。子ども時代には考えもしなかった事。

 けっこう見掛けたけれど使う事など全然考えなかった水平出力管。やはり子ども時代に手を出さなくて良かったです。

 水平偏向管はテレビの中で最大の真空管。プレートキャップまで含めると6CA7より背が高いです。これを10mm下げて取り付けましたが、それでもけっこうな背丈。これが12G-B7になると太さも半端じゃない。使用したトランスも他より大柄なので、ずいぶん存在感のある物になりました。

動作試験中 日立製12G-B3を挿してます

 昨日でシャシーに取り付ける部品は全部付いて、そのあたりの配線もすべて終わってました。そのかわり残ってたのがドライバの基板まわり。
 私室用の小型アンプはドライバ回路が半導体の物がいくつもあります。管を載せるスペース的な事もありますが、発熱低減には効果的です。当然、管が大きくて発熱も多いこのアンプのドライバは半導体。低い電圧で振幅とゲインが必要ですから、真空管で作ろうとするとなかなか難しそうです。
 トランジスタ回路としては簡単な物ですが、ラグ板に架空配線は難しそうです。やはり穴開き基板に盛りつけるのが妥当でしょう。ガラスエポキシのスルーホール基板なんて物もかなり安く買えるようになりましたから。

ドライバ部が基板に載っているので中はすっきりしています。(NF関係が未配線です)

  基板に取り付ける部品はすべてトランジスタ用。このあたりは、パソ関係も含めてあれこれ作って慣れた工作。手もとに使い残った部品をなるべく使うようにしました。電解コンはすべて新しい物ですが、フィルム系コンデンサは使い残りが多いです。結合コンデンサは2個並列にしています。FETは以前に袋買いした残り。トランジスタは6Z-P1シングルの時に念のため余分に買った残り。
 不足部品を買いに行く直前に定数を見直した関係で、 使えると思っていて見間違っていたのがありました。幸いというか、NF用の抵抗なので、とりあえずここは後で取り付けることにして空けてあります。明日でも買いに行く時間が取れるでしょうか。

  という次第で、負帰還無しの状態で、ひととおり動作チェックと音出し。電源電圧が予定より少し低かった事と、出力管の電流が特性図より少し小さいことで、出力管の損失は約7Wになりました。それ以外は想定の範囲内。
 負帰還無しのまま、しばらく音出しを続けました。真空管やシャシーの温度も熱くて困るほどではありません。最初は何ともバランスの悪い音でしたが、1時間ほど経つとけっこう普通の音になりました。裸のシングルアンプとしては意外なほど、低音もしっかり鳴りますし高音も透明感があります。有名な2A3の音は覚えてませんが、12G-B3の3結はけっこうイケるのかも。

 このまましばらく鳴らして、(正規にNFをかけて)外観を仕上げれば完成です。

2019年8月6日火曜日

12G-B3/B7 三結シングルアンプ 製作途中

子ども時代、身近にあったのに使う事なんて全然考えなかった管。これでアンプを作ろうとしてるけど、意外と手強い。

 聴き比べるつもりで私室用のアンプに仕立ててます。当然同じシャシーの上に同じような部品配置。しかし、少しの違いの積み重なりが案外手強い状態になりました。

シャシーに付く部品はひととおり全部載りました。


 真空管が大きいです。プレートキャップが付きますから、その配線も要ります。特に12G-B7はベースも普通のGT管より大きいです。発熱の大きな管なので通気も考えなければなりません。バイアスが深くて電流が大きいですから、カソード抵抗の発熱も大きくなります。電源のフィルタの抵抗も発熱します。既製品で使える物を選んだ関係で、電源トランスはかなり大柄です。出力トランスも大きいです。 あれこれやりくりして、何とかぎりぎりぴっちり納まった感じです。

発熱の大きな抵抗はタイトラグを介して取り付けています。

 狭い部分があるので、部品を取り付けは順番を考えてしなければなりません。後から付けにくい線は先にハンダ付けしておきます。今までにいくつか製作した際の失敗を振り返りながら少しづつ進めますが、やはり何箇所か手戻りが出ます。位置修正が必要な箇所もありました。

 それでも一応シャシーに付く部品は全部付きました。出力管まわりは、すべてサプパネルに載ってます。出力トランスの引き出し線の余りはシールド板の下で処理できています。2次側の線はタイトラグで中継して、ヘッドホンジャックからスピーカー端子へと、このあたりは他のアンプと共通の処理です。電源まわりは、結局1枚のタイトラグに載せるようにしました。

 あとは、ドライバ部の基板を作って、シールド板の上に取り付けるだけ。

2019年8月2日金曜日

12G-B3/B7 三結シングルアンプ 製作開始

子ども時代、身近にあったのに使おうなんて全然考えなかった管。今ごろになってそれでアンプを作るという。

 考えてみれば、長年の電気系工作の締めくくりにふさわしいのかもしれません。急ぐ事はありませんから、あれこれ振り返りながら少しづつ作ります。なんとなく勢いであれこれ作って来た私室用小型アンプもこれで打ち止めですから、それぞれの製作の際の工夫も盛り込みます。

 私室用の小型アンプはすべて最初に作った12BH7A-PPで使ったのと同じシャシーに載せています。前面と背面の配置も同じに揃えています。このアンプもそれにならいます。
 12BH7A-PPを製作する際には、なるべく小型化する意図で部品が載るぎりぎりの大きさのシャシーを選びました。その後製作した物は、部品が小型であったり回路の一部に半導体を使ったりで、このシャシーで余裕がありました。今回製作する 12G-B3/B7アンプもドライバは半導体ですが、管自体が大きくトランスも大きいのでシャシー上は窮屈です。そして真空管の発熱も大きいので、その配慮も要ります。

 シャシーにグラフ用紙を貼って、部品とネジを書き込んで位置を調整しました。前面はあとで文字を印刷した透明ビニルを貼りますから、その原稿を紙に印刷して貼り付けました。 

部品を載せて干渉が無いか位置を再確認します

 重量バランスの点では良くないですが、6Z-P1シングルの経験から管の見栄えを考えて『真空管を前に並べて後ろに出力トランスを置く』配置を考えました。並べてみると、横幅にぎりぎり収まりました。
 この真空管は発熱が大きいですから、管壁が熱くなりすぎないように通気を確保します。そのために、サブパネルを使用して真空管を1段下げて取り付けます。これは背の高い6BM8の見栄えを改善するために使った手法で、6AQ5シングルアンプでは熱対策として使用しました。6BM8はMT管なのでGT管用の30φの穴で済んだのですが、今度使う12G-B7はベースが太いですからだいぶ大きな穴が要ります。左側の真空管は出力トランスの中心より少し右にずれていますが、これはサブパネルがヘッドホンジャックと干渉しないようにするためです。
 電源のケミコンには基板付け用のコンデンサを使います。入手の点から太短い物になったので、廃品のブロックコンの中身を抜いて2個重ねて入れます。つまり昔風の2個入りコンデンサと同じ感じで、電源トランスの前に1個だけ立つ形になります。


穴開け加工したシャシー

 課題は真空管を沈めるための大きな丸穴をどうやって開けるか。このシャシーはアルミが薄いので、力のかかる加工だと歪む心配があります。結局、電動の糸ノコを使うことにしました。そのため、この部分は内側にも位置を書いた紙を貼りました。その流れで、電源トランスの角穴も電動の糸ノコで切りました。ブロックコンの穴は30φで済むのでここはシャシーパンチを使いました。あとは、普通にドリルとヤスリの作業。

 穴開けが済んだら水洗いして、ステンレスたわしでヘアライン状に仕上げ。これは加工時のキズを隠すだけでなく、使用中のキズや汚れが目立ちにくくなる効果もあります。


 次はサブバネルの加工。それから電源まわり?それともドライバ回路の基板か?
 

2019年6月17日月曜日

12G-B3/B7の三結アンプに使うトランス

水平偏向管を使ってアンプを作る。子ども時代に思いついたとしても、大きな難関となったと思われるのはトランス。今ならクリアできそうです。

 12G-B3/B7は3結にすると、低い電圧で大電流が流れる特徴はそのまま、 素直な特性になるようです。3極管で電圧の割に電流が大きいというのは内部抵抗が低いという事。これはそれで有名な2A3以上です。しかしそうなると低インピーダンスで大電流を流せる出力トランスが必要です。2A3用は3.5KΩですが、最適なインピーダンスはこれよりも低くなります。昔のトランスメーカーのカタログには、そんなトランスは載ってませんでした。電源100Vをそのまま半波整流するトランスレスラジオ用の管は2KΩぐらいのトランスを使う物もありましたが、これらでは電流が足りません。

 現在、一般アマチュア向けに販売されている真空管用の出力トランスの定格はネットで調べられます。 ひととおり探してみると、「春日無線変圧器」と「東栄変成器」の製品で2KΩで5Wという仕様の製品がありました。どちらも重畳電流は定格内です(東栄の方が若干大きい)。
 これらは通販可能ですが、秋葉原に実店舗もあります。所用で東京に行ったついでに東栄に寄って見ました。あれば買って帰る程度のつもりでしたが、幸い店頭在庫がありました。型番はOT-23SRで1次側が3Kと2KΩで許容重畳電流が100mAあります。購入の際に聞いた話しでは、やはりあまり売れない製品だそうです。
 
東栄変成器のトランスを使うことになりました

 難関の出力トランスがクリアできたので、検討したプランどおりに進められます。

 電源トランスはいくつかの方法が可能ですが、今回はあまり面倒な事はせずに既製品をそのまま使うことにしました。使えそうな製品は 「春日無線変圧器」と「東栄変成器」にあり、どちらも規格はほぼ同程度です。出力トランスと一緒に購入したので、東栄のPT-22Nを使うことになりました。B電源が140V(CT)で220mA、ヒーターは6.3Vの2Aが2つ。容量的には余裕たっぷりです。

 という具合で、要となるトランスが揃いましたから、あとは少しづつゆっくり進めるだけです。

2019年5月19日日曜日

12G-B3/B7 オーディオアンプにする (2)

多くの家庭用テレビで使われた12G-B7。子ども時代には完全にスルーしてたけど、あらためてアンプにする事にしました。

 しらべてみると、真空管マニュアルに12G-B3の3結の特性図が載っていました。原型と言われる25E5も載っています。見比べると微妙に違う感じもしますが、設計上問題になるほどの差ではありません。おそらく12G-B7も同じような感じでしょう。ここから設計を始めます。25E5のSPICEのデータがありましたから、これも併用してチェックすることにします。

 全体の発熱量を抑える必要もあるので、定格に対して余裕を見てプレート損失を8W程度で考えます。これを基にB電圧を決めます。
 400Ω負荷のOTLアンプにも使われた管です。3結にしても低電圧で大電流が流れます。 P-K間約150Vで60mmAほど。パイアスが約-22Vになります。このあたりの動作で使える出力トランスを探すと、東栄変成器と春日無線の製品にインピーダンス2KΩの物がありました。重畳電流も許容範囲内です。 (子ども時代にこの管でアンプを作ろうとした場合、適した出力トランスを入手が難しかったと思います。)
 電源トランスは、ヒーターの12.6Vは6.3Vの巻き線2つを直列にすれば済みますが、B電圧が低くて電流が大きい物が必要です。12AU7-PPアンプの要領で絶縁トランスを利用することもできそうです。 特注という手もありますが、探すと(容量が少し過大ですが)使える既製品がありました。

水平偏向出力管 12G-B7, 12G-B3, 25E5

 ドライバはなるべくシンプルな回路にします。出力管が大きいのでシャシー上にはほとんど余裕がありませんから、半導体で構成します。ヒーターが無いので発熱を抑える意味でも効果的です。6Z-P1シングルアンプと同様にJ-FETと高耐圧のトランジスタのカスコードを使うことを考えます。

 バイアスが深いという事は入力に大きな振幅が要るという事です。そして、その分感度が低いという事にもなります。出力段のゲインは約1/4倍。適量のNFをかけて、私室用アンプ基準の仕上がりゲイン約15倍にするには、ドライバの裸ゲインは200倍以上要ります。これを低いB電圧で確保しなければなりません。そのためには電流を少な目にして負荷抵抗を大きくするのですが、出力管を3結で使うので(G2の遮蔽効果が効かないので)入力容量が大きくなります。これをカバーするため、エミッタフォロワを挟むことにします。(子ども時代ならば真空管で作ることになる訳で、これはかなり苦しかったと思います。)

 3極管接続する場合、教科書的にはG2をそのままプレートに繋ぐのですが、安全のため直列に抵抗を入れます。大電流の流れる5極管やビーム管では、寄生振動が発生する事があり、G2を焼損するトラブルの原因に挙げられます。直列抵抗はこれを防止するのに有効らしいです。おそらくこれはG2のインピーダンスを上げる効果でしょう。この点では、3結の場合こそ抵抗を入るべきだと思います。6R-A8や6C-A10などは異常発振や異常発熱が起きやすいと言われましたが、これらがビーム管を内部で3結にした構 造であることと関係がありそうです。

 私室用の小型アンプの一員として作るのですから、前面と背面を同じに揃えます。これまでの製作では手持ちを極力活用して来ましたが、すでにほとんど使いきっているので新規購入する物が多くなりそうです。大阪日本橋で揃わなければ秋葉原あるいは通販で購入することになります。
 おそらく難関となるのは、プレートキャップと電源のコンデンサ。これらは外観にも関わるので悩ましいです。