2014年11月2日日曜日

レコードをかける

私室のアンプは雑食です。CDは当然、TVや映画のDVDの音声もありますし、パソからはMP3とかも。でも普段はレコードをかけることはありません。

 というのは、私室にはレコードプレーヤーが居着く場所が無いから。レコードプレーヤーは居間に常駐しているのですが、それがこの連休中は私室へ出張しています。作業机の上を片付けて、そこに載っています。プリアンプを通してパソの1台に繋げて、古いLPのデジタル化作業です。
 レコード盤は接触読み出し。何度も再生するうちに音質が低下しますし、取り扱いに際してキズを付けるリスクもあります。レコード針のこととかもありますから、いわゆる愛聴盤から少しづつパソに取り込んでCD-Rに焼いてきました。それでも、まだ少し残っています。古いアルバムの場合、有名歌手の主な曲はベストアルバムとかで聴くことができる場合もありますし、有名な盤はCDで出ることがあります。しかし古いアルバムの中には聴き覚えた収録曲があります。マイナーで終わった歌手の場合は余程何かなければCD化は期待できません。こういうものこそ、オンデマンドで販売して欲しいのですが、DRMがらみでかえって難しくなってしまったように感じています。

カートリッジたち
という事で、レコードをきれいに拭いて、ターンテーブルに載せて、パソのソフトを起動して。レコードプレーヤーが所謂フルオートなので、スタートはレバーを引くだけ。トーンアームが自動的に動いて針が盤に降ります。片面づつ取り込んで、ソフトで1曲づつ切り出して、wavファイルにします。
 作業の合間にカメラを出して、レコードプレーヤーとカートリッジの写真を撮りました。カートリッジはいずれも古い物ですが、ぎりぎり現役の頃に予備の交換針を買っていた物があり、作業にはそれらを使います。 ついでに押し入れの中に残っていた他のカートリッジも取り出ししまた。長く使っていない物。今でも使えるかしら? 写真は私自身のオーディオ歴の記録の意味で、webページにしました。

[追記]
 再生音と録音の確認のため、普通に聴く場合よりもかなり音量を上げます。普段はあまりかけないようなジャンルのレコード盤もあります。最初は"なりゆき"で出たままの6SN7プッシュプルアンプで鳴らしていたのですが、ピアノとかバーカッションとかアタックでアタマが詰まったように感じることが何度か。やはり出力不足かと思って、とりあえず6BM8シングルに繋ぎ替えてみました。どうやら、この1Wと2Wの僅かの(聴感上は)差が微妙なところで効くようです。逆に言えば、音量をガンガン上げて鳴らすのでなければ、1Wクラスでも全然問題無い(もっと少なくても支障無いかも)ことが確認できたことになります。私室で働くミニアンプは結局5台になりましたがもうち3台が1Wクラスで2台が2Wクラスです。

2014年10月5日日曜日

6BM8 Single : 真空管の背丈

アンプづくりにはいろんな作業が要ります。普通は金属製のシャシーに組みますから、金属加工は避けにくいもの。

 特別な道具を出して来たり、屑が散らかるような作業はまとめてやる方が能率的です。アルミ板を加工するついでに少し前から考えていた作業を実施。
 春に作った6BM8シングルアンプ。回路はひとひねりしましたが、部品配置はごく普通。外観は完全に「初歩のラジオの制作」という感じになりましたが、美観という点ではいまふたつぐらいバランスが良く無いです。問題は6BM8の背が高いこと。太さは普通の9ピンMTなのですが背丈が1cmほど高く、広いシャシーの上に2本だけ立つと余計にひょろっとして見えます。

真空管を1cm下げました

 6BX7ほどではありませんが、6BM8もけっこう熱くなる管です。熱対策には通気が有効。6BX7アンプでは管のまわりに通気穴をあけましたが、真空管ソケットを別パネルに取り付けてシャシーとの間に隙間を設ける方法もあります。後者の場合、段差の分だけ管が低くなります。熱対策とあわせて、管を低くすることを考えました。
 管を下げると、その分だけ内部は窮屈になります。全体の部品配置はあまりいじれないので、真空管まわりの部品の取り付けだけでカバーしなければなりません。ソケットと重なる位置に平ラグ板を置いていましたが、当然これは無理。ソケットの両脇にラグを立てるしか無さそうです。スペースの節約と作業効率の点ではラグもパネルに立てるのがよさそう。手もとには昔にジャンク屋で入手したタイトラグがあります。その中で比較的背の低い物を利用することにしました。パネルは1cm下げられます。
 パネルは残材を活用しました。厚さ1.2mmの黒色アルマイト。アンプは真空管まわりだけ解体して、元のMT管ソケットの位置にGT管サイズの穴をシャシーパンチで開けました。元のネジ穴が見えてしまうのは仕方無いです。回路自体は同じなので部品はすべて再利用です。

 管が1cm下がると電源トランスとほぼ同じ高さになりました。管の周囲の穴も見た目のアクセントになっています。 手間はかかりましたが、それ以上の効果がありました。捨てずに残してあったタイトラグも活用できましたし。

2014年7月12日土曜日

6BX7 PP : 抵抗コンデンサを交換

真空管もトランスも無理な使い方をしなければけっこう長寿なもの。劣化した部品をうまく交換してやれれば、アンプ自体はずいぶん長く使えます。

 古い真空管を使って新しいアンプをいくつか作りました。真空管アンプの製作はしばらくぶりで、手もとに主要部品はほとんど無し。出力トランスは6CA7用に持ち置いていた物以外は新規購入。抵抗器や一部のコンデンサに手持ちを利用しましたが、主なものはやはり新しく買うことになりました。
 数十年の時間を挟んで見ると、コンデンサの進化が激しいです。小型化して特性が良くなり信頼性も向上しました。その進化は一様ではなく、波状に何度も起こりました。

 私室の常用アンプは1990年代の製作。すでに真空管は特殊な趣味の世界でした。テレビなどはトランジスタから機能ICに移行する時期、電源もシリーズからスイッチングへ替わり、インバータも増えて来ていました。デジタルもマイコンからパソコンへと一気に規模と速度が増大したのもこの頃。だから中身は当時の普通の半導体機器用。今回の手直しでは、(出力トランスの交換という大事もありましたが) 回路の見直しに関連した抵抗値の変更のほかは電解コンデンサを交換した程度。

タイトラグを利用したハシゴ状の配線は部品交換が楽です

 ひと続きのアンプ製作の締めくくりという気持ちで、居間の常用アンプも部品更新しました。このアンプは、真空管の終焉の時期の製作。真空管時代の思い出の意味もあって、内部はタイトラグを使って梯子状の配線にしました。抵抗やコンデンサは、トランジスタテレビなどの部品を中心に、新しい世代の金属皮膜抵抗やフィルム系コンデンサと古い真空管世代のMPコンデンサとか巻線抵抗とかが混用されていました。その後10年ほどのうちに、コンデンサや抵抗の多くを交換しました。金属皮膜抵抗が一気に安価になり、フィルム系コンデンサの種類が増えたのを受けて、古い世代の部品をほとんど排除されました。
 それからしばらく経ちました。この間、電気系の製作からほぼ完全に遠ざかっていたので最近の部品事情にはすっかり疎くなっていました。あらためて調べてみると、電解コンデンサが驚くほど進化していました。フィルム系コンデンサも一段小型化して信頼性が上がったようです。
 前回交換した部品のうち、信頼性が劣ったり耐圧に余裕が無かったコンデンサは交換しました。ブロックコンデンサは前回に交換していますが、残っていた電解コンザンサは今回105度の物に交換しました。残っていた初期のフィルムコンデンサも交換しました。これによって、最初の製作時部品はほとんど無くなりました

 タイトラグを使った梯子型配線の利点で、部品の交換は簡単に済みます。チューブラ型のケミコンが立型になったので取り付けが少し不自然になりましたが、サイズがぐっと小さくなったので、その分で他の部品の配置が楽になりました。次の部品交換があるかどうか判りませんが、劣化が予想されそうな部品が交換しやすいように一応配慮しました。
 作業は数時間で完了。念のため各部の電圧を測って動作チェック。その後はスピーカと入力を繋いで私室で聴き慣れた音楽をかけてしばらく様子見。音質には微妙な違いが感じられますが、差はごく僅か。初段の動作を少し変えたことによるものか信号が通るコンデンサが変わったことによる影響でしょうか。もうしばらく鳴らしてから居間へ戻します。

2014年6月29日日曜日

6BX7 Single : 製作しました

ひと区切りの区切りまで一気に進みました。若干の不手際はありましたが、おおむね順調な航海。このあとはゆっくり休息。

 筐体加工から内部の配線と部品の取り付けと、ほぼ2日で一気に進みました。通電して各部の電圧を測って、とりあえず信号を入れて出力を確認。今回は何のヒネリも無い回路で、NFかけても安定動作。そのまま馴らし運転。[このアンプの詳細はこちら]

 同じシャシーの加工が4台続きました。部品配置はそれぞれ大幅に違いますが、いろいろ知恵が働くものです。今回のがいちばん手間な加工なのですが、それでも半日ほどでできました。部品の配置とか、休止の間にぽちぽち考えていたのも効いています。やはり走り出す前の準備が大切です。
 出力管の6BX7は熱くなることで知られた管。ソケットの周囲に通気穴を開けました。シャシーが薄いので、この部分は裏側に2tの板を重ねて加工。手間がかかりましたが、けっこう丈夫になりました。それ以外は特別な加工は無しです。

大小の管が1本づつ

 トランスはすべて新品ですが、あちこちに手持ちの余剰部品や外し物の部品を活用しています。この後はおそらく電気ものの大物の製作は無いでしょうから、ここで使ってやらなきゃ、結局廃棄されることになるでしょう。
 内部の配線は、今回はタイトラグを利用した架空配線。昔はメーカー製の通信機や計測器に使われていた方式です。本来は部品交換のしやすさが特徴の方法で、配線のひきまわしとか先にきちんと計画しなければなりません。学生時代に6BX7-PPアンプを作る際にこの方式を採りました。その時の事など思いだしながら、さらにひと工夫加えました。

 6BX7-PPアンプは、一部の部品交換だけで長く活躍しています。当時は真空管が終焉を迎える時期。予備のつもりで何本か買い込んで、さらにジャンクの管も数本。若干余裕のある動作にした事と、私室用の小型アンプができてからは稼働時間が減ったこともあって、今でも最初にセットした管が健在です。この分だと買い置きの真空管たちに出番が来るかしら。
 6BX7は双3極管で、1本でプッシュプルなのですが、2ユニットの特性が揃っていて、ステレオなら2本あるのが望ましいです。ジャンクで片ユニットがへたりぎみの管とか、1本だけとか、シングルアンプでなければ出番が巡って来ないところでした。


2014年6月25日水曜日

6BX7 Single : トランスを購入しました

昨年から真空管アンプをいくつか作って来ました。予定した物があとひとつ。そろそろまた作業再開です。


 春からお花の時期はあちこちお出かけする所があります。でもそれも一段落。夏の旅の時期までしばらくまたお部屋でごそごそします。まずは、準備しかかって中断していた真空管アンプ製作のつづきです。
 順番的には6BM8シングルより先に作るべきだと思ったけど、部品の揃い具合で後回しになってしまっていた6BX7のシングルアンプ。やっと部品が揃いました。

部品が揃いました


 最後になったのは電源トランス。電圧と電流がちょうど良さそうで小型であまり高価でない物という規準で探して、選択したのは「東栄変成器」のP-70という物。ヒーターが3Aと2AでB巻線が220Vの70mA。 6SN7-PPアンプに使っている物と定格は同じですが、縦横高さともひとまわり大きく、これなら容量いっぱい取り出しても大丈夫そうです。
 入手が遅くなったのは、東京のお店へ行って買ったから。ネット時代の恩恵で商品情報は簡単に得られても、実体物の入手はまた別。ネットショップでカード払いだと簡単なのですが、そうでない所もあります。特にこの東栄変成器は実店舗販売が中心で、通販は電話で問い合わせとかなり面倒。送金料と送料も考えて、東京へ行く用事のついでに買って帰ることにしたのです。ちなみに、出力トランスはイチカワ製ですが、こちらは店舗販売は無しで通販のみのようです。

※ その後東栄変成器もネットから通販できるようになりました。

※ イチカワは真空管用トランスの製造販売を2022年1月で終了しました。

2014年5月12日月曜日

真空管のウォームアップ

真空管の動作は熱電子によるもの。だから熱くならなきゃ動作しない。スイッチを入れて暖まるまでの時間は真空管らしいひととき。

  真空管にはウォームアップタイムというものがあります。スイッチを入れてヒーターが点灯して、カソードが暖まって電子が出る。それまでの時間がウォームアップタイム。
 オーディオアンプの場合、スイッチを入れて少し待つと、微かに音が出だして、だんだんそれが大きく聞こえだします。逆にスイッチを切ると、しだいに音が弱まってかすれて消えてゆきます。 真空管時代のテレビでは、暗い絵が出て、だんだん明るくなるとか、真ん中に小さく(あるいは細長く)絵が出て、これが画面いっぱいに拡がるとか。

注意:トランスレス用でない真空管のヒーターを直列にしてはいけません。起動時の温度のばらつきでヒーター断線の危険が増します。

 真空管式のテレビでは、(磁界で輝線が揺れるのを嫌って)トランスレスが普通でした。ヒーターは直列にして100Vで点火します。直列にするのでトランスレス用の真空管は暖まり方が規定されていました。普通のレス用は11秒となっています。正確にはヒーターの温度が上がるまでの時間で、定常動作に至る時間ではありません。

 うちのアンプの真空管たちはと見ると、12BH7Aがテレビ用です。12BH7のウォームアップタイムを調節したのが12BH7Aです。ドライバの6BL8は元々は欧州のテレビ用の管で、姉妹の4BL8や9A8はレス用です。6BM8も原型はテレビ用のレス管です(6BM8はレス用ではない)。
  6SN7-GTに対して6SN7-GTBはウォームアップタイムが規定されていますが、名前程度の違いしか無いのかもしれません。差し替えて比べてみるとどちらも大差無い時間で音が出てきます。

石アンプ : アンプ部と保護回路部

  トランジスタアンプはヒーターがありませんから、スイッチを入れるとすぐに動作を始めます。前段が安定動作する前にいきなり出力段がオンになった場合、スピーカーからボコっと音がでる事があります。逆に電源が切れた瞬間に不安定になる事もあります。アンプが大出力になるほどこの問題は深刻になります。ひとつの解決方法が「保護回路」。スイッチ・オン後しばらくたってからスピーカーをつなぎ、電源喪失時にはすみやかに切り離す。
 出力回路自体の工夫でこの働きをさせる方法もありますが、いちばん簡単確実なのは電磁リレーで物理的に切断すること。自作の石アンプでは異常動作で出力にDCが漏れるような場合も切断するようにしてあります。アンプ部はオペアンプICのμA749を使っていますが、保護回路はすべてディスクリートで作りました。まだこの頃はICを信用していなかったためです。

2014年3月27日木曜日

12BH7A PP : 真空管の寿命

真空管って消耗品と言われます。でもその寿命はかなり差があるようです。

 真空管の動作は完全に金属電極の間の物理的な物。使ううちに徐々に状態が変化します。徐々に消耗してゆき、特性が劣化してゆきます。テレビでは、偏向回路とかでは同期がかからなくなったり振幅がたりなくなったりと限界が"見える"場合もありますが、ノイズとか輝度とか我慢すればどうにかなる場合もあります。オーディオ用のは場合も、どこまで使うか判断が難しいです。
 定格内でも劣化が早い管もあればいつまでも変わらずに働く管もあります。無理な使い方でもある程度耐える管もあれば、すぐに弱る管もあります。同じ管でも使い方によってずいぶん寿命が違うようです。12BH7Aはテレビの偏向回路ではかなり無理な使い方をされていたようです。現役当時は劣化の心配がある管でしたが、どうやらかなりしんどい使い方をされていたようです。中古の管を見ると片ユニットだけへたっている物がかなりありました。

12BH7A と 6BL8 どちらもテレビと縁のある管です

 ふりかえって見ると、このアンプは20年ほど働いています。私室でBGMをかけたり、DTMのモニタとしても働き、ビデオやテレビの音声もここから出していました。休日は朝から晩まで点けっぱなしの事も多く、時には切り忘れたりも。普通の家庭のテレビよりも稼働時間の割合は多いかもしれません。ややA級に近い動作で、無信号でもけっこう発熱しています。それでも管はずいぶん長持ちしました。12BH7Aはすべてテレビなどの中古の管で、この管で3代目。6BL8は2代目。これらは新品も含めて手持ちがかなりありますから、管が無くなって使えなくなる心配は無いでしょう。