2013年11月10日日曜日

6CA7 PP : ドライバ部について

先を急ぐ訳ではないので、調べ物から脱線して寄り道

今度のアンプのドライブの回路は差動2段と決めています。
 真空管アンプで悩ましいのが位相反転。現代のトランジスタアンプでは常識のコンプリメンタリが使えないので、プッシュプルの両側は逆相で駆動する必要があります。

いちばん単純明快なのがP-K分割回路。
 トランジスタの場合はベース電流が微妙に気になるのですが、真空管のグリッド電流はごく僅かです。3極管のカソードとプレートに流れる電流は同じ。等しい値の抵抗には同じ電圧で逆相の電圧が生じます。考え方はシンプルですが、大出力が尊ばれる?高級オーディオアンプではあまり好まれない感じです。インピーダンス的に不均衡と言われますが、実際の影響は無視できる(多量の負帰還がかかっているのと同じ)ほどです。前段が5極管ならゲイン不足の心配も少ないでしょう。欠点は振幅が半分(以下)になる事と、カソードフォロワーと同様に発振の心配があるぐらい。

ミュラード型の反転回路の説明はいろいろありますが、私は(不完全な)差動アンプと考えています。
 逆相の信号が得られる回路のひとつが差動増幅器。平衡入力を増幅して平衡で送り出す。入力が不均衡ならば、その差が出力に平衡で出るので、片側づつみれば逆位相の信号が得られます。平衡度が十分であれば、片側入力を接地すると位相反転回路になります。しかし真空管の1段では(次段を考えると)平衡度を高くできません。そこで上下のゲインを変えて小細工する。昔からなんとなく怪しいく感じていました。今でも好きになれません。

 最大の問題はこの段が片入力だという事。片入力なので裸ゲインが半減します。もし入力が平衡であれば、この段では前段の不平衡の分だけを相手にすれば良くなり、μの低い球でも平衡度が取れてゲインも取れる。それには前段で位相反転させて来る。前段にP-K分割を置けばウィリアムソンアンプに似た感じ(なぜウィリアムソンアンプは差動にしなかったのか不思議です)になります。前段も差動にするともっと簡単になり、差動の片側に負帰還をかけることができます。この場合の注意点は前段が同相入力(ただし振幅も電流も小さい)で動くことぐらいでしょうか。

 トランジスタアンプでは差動増幅が普通ですが、これは負帰還をうまくかけて安定させるのが主目的。コンプリメンタリーの出力回路には差動のドライブは不要(入力は同相ですから)でなので、片側からのみ出力を取っていて、反対側は遊んでいます。


 私室のアンプは、普通のオーディオアンプとはずいぶん違う入力を与えられています。部屋で聴く程度の音量ならば、アンプのゲインで十分という事で、普段はプリアンプがわりにセレクターが繋がっています。セレクターの入力は5つ。パソが2台とCD/DVDプレーヤーとFMラジオが繋がっています。パソではmp3やAVIやいろいろ再生しますし、CDやDVDをかける事もあります。
 絶対にプリアンプが必要になるのは、レコードの再生。盤の減りと針の減りが気になるので、そうそう気楽に使えないのが現状。プレーヤー自体の定位置は居間なのですが、しばらく前にレコード盤の何枚かをCD化する際に持って来たまま居着いていました。部屋の片付けでこれを居間に戻すので、その前に少しの間鳴らしてみました。

調べ物のついでに見つけた事のメモ
12AT7のヒーターに関して、片側を接地する場合は、12V点火の場合は5ピンを接地、6V点火の場合は4・5ピンを接地すると。理由は不明です。