2013年11月13日水曜日

6CA7 PP : 出力トランス SW-30について

急いで作らなきゃいけない訳は無いです。せっかくだから、いろいろ楽しみたいです。

 古い雑誌とかひっばりだして見ると、製作記事とか広告とか、けっこう面白いです。ネットも漁って資料探して、古い回路とか眺めたり。

 SW30-6の資料は見つかりませんでしたが、ラックスのOY-15の資料は出て来ました。推奨容量34Wで、やはり本来は30W級のトランスです。-5について見ると、許容電流が120mA(片側)で不平衡が1.9mAと。インダクタンスを高く取ってコンパクトにまとめた反面デリケートで余裕の無い物になっているように思います。用途の欄には6CA7も書かれていますが、これはある程度軽く使った場合の想定でしょう。A3500のように40W取り出す動作は定格オーバー。MQ60でも全然余裕がありません。
 そう思って考えて見ると、学校放送用のアンプにはごっついトランスが載っていました。もっとも規格は規格で、実際の限界に対してある程度余裕があるのが普通です。自社製品のトランスだから、このへんのマージンも見込んで製品化したのでしょう。高級オーディオメーカーのアンプと出力がクリップするような負荷で働かされる業務用のアンプでは考え方自体大きく違うのは判りますが、少しの異常動作でも大きな事故の引き金になりかねません。ラックスのアンプについて、回路を追ってみると、真空管も耐圧とか定格オーバーで使っているのが見あたります。メーカーとしてテストして確認したり選別品を使ったりしていたと思うのですが、保守状況が悪い中で長く使われる事を想定すると、やはり無理は禁物だったと思うのです。

6CA7の大きさ
  私は6CA7って格好良い管だと思っています。特に松下の管は、ガラス管がステムの径ぎりぎりまで拡大されていて、頂部が平らで、他には無い手間のかかる作りです。規格の寸法の中で最大の容積を確保しようという誠実な努力。
 一緒に写真に写っているのは6BX7で、これはごく普通のGT管。ヒーターは2ユニットで1.5Aですから、1ユニットあたりでは6CA7の半分。その上の12BH7は0.6Aですからさらにその半分以下。プッシユプルで比較すると、6CA7は3結で20Wほど出るのに対して、12BH7で2.5Wほど、6BX7で6Wほど。垂直出力用の管は働きの割に大飯ぐらいのようです。