2013年11月4日月曜日

私室の常用アンプ 12BH7A-PP

趣味ですることだから、いろいろ思案するのも楽しみのひとつ。たっぷり楽しむつもりです。

 ここしばらく、家じゅうのアンプをつなぎ替えて鳴らしてみています。それもそろそろ一巡しました。

 鳴らし比べが一巡して、常用の12BH7A-PPアンプに戻りました。回路自体は6BX7-PPアンプと似ているのですが、各部が倹約設計になっています。いちばん倹約なのが出力トランスで、特注品なのですが・・・200V:5V1Aの電源トランスにタップを出してもらったという物。普通にアンプに使えているあたり、カットコアの威力でしょうか。(その後普通の出力トランスに交換しました。)

 
 12BH7は、本来はテレビの偏向回路用です。パルス回路用として電流は取れますが、オーディオ出力用としてはプレート損失で制約されます。このあたり、テレビでも設計上の注意点だったみたいですが。定格は1ユニットあたり3.5Wですが、元々はパラでの動作を想定していないらしく、同時使用では5Wという資料もありました。これに従うならば、A級アンプの場合は片側2.5Wで設計しておく必要があり、きちんと守るとあまり出力が取れません。AB級の場合はいくらか緩和されますが、それでも合計5Wを越えないようにするとかなり辛いです。このアンプの設計はこれを越えていますが、管はずいぶん長持ちしています。昔に見たテレビセットでは1ユニットで5Wを越えるような物もありましたから、もう少しは無理が利くのかもしれません。古い時代の管と末期の管を見比べると微妙に違っていますから、定格オーバーの使用に対して真空管メーカー側が対策したのかもしれません。いずれにしろ、オーディオ出力用で使う場合は配慮が必要だと思います。


   今度の6CA7-PPアンプで使用するつもりの6CG7/6FQ7も本来はテレビ用の管です。12BH7が垂直偏向回路向きなのに対してこちらは水平偏向回路。 おそらく無理が少ないからでしょうか、この6CG7はカットオフ付近まで良く特性が揃っている事で知られていました。
 この管はA級出力用に使うと損失よりも電流で制約されてしまいます。元々の6SN7はGT管で、ある程度高い電圧で使う設計のようです。これをMT管にしたらしいすが、その際にプレート電圧の定格が低く規定されました。テレビセットではそれほど高い電圧で使う事は無いので、定格を下げたのでしょう。カソードのエミッションには余裕がある(元々パルス回路用だ!)はずなのですが、やはり出力用ではないから仕方ないです。