2015年1月12日月曜日

6AQ5 : 真空管の大きさと発熱量

閉め切った部屋で少し大き目の音で音楽聴いています。パソの掃除とか、お部屋でもいろいろする事があります。その合間にゲームの続き。

 かたづけものをしていると、全然関係無い箱の中から見た目かなりくたびれたような真空管が1本出てきました。 25E5は欧州系の水平偏向用ビーム管で、許容損失が12W。国産管の12G-B3なども同じ管形で、ほぼ同じ許容損失です。音声用の6L6-GTはほぼ同じ大きさで損失 がひとまわり大きいです。12G-B3の改良型で許容損失が6L6と同程度の12G-B7はひとまわり管が太くなっています。6V6の許容損失12Wは25E5などと同じですが、管は少し小さいです。ヒーター電力の違いやオーディオ用とテレビ用の違いも考えると、熱的な厳しさはほぼ同じぐらいでしょう。
 こう考えてみると、6AQ5がMT-7ピンの小さな管で12Wというのは相当無理をしていると思えます。おそらく自動車ラジオ用として、寿命よりも小型化を第一に置いたのでしょう。当時は真空管は消耗品であり、振動の大きな使用環境では電気的な寿命よりも機械的な故障が多かったでしょう。
 6AQ5同じ管形の管について見ると、やはりヒーター込みで10Wぐらいのものが多いです。今回の設計では、プレート損失を7W以下に抑えることにします。

古い真空管がみつかりました。25E5はTVの水平偏向用です

  6AQ5のプレート電圧は275Vに抑えられています。狭い管内で耐圧をとれないという事もあるでしょうが、プレート損失の点でこれ以上の電圧は無意味という判断もありそうです。いずれにせよ、今回は無理せずに使います。
 まずゲームとして、A案についてSPICEで試します。プレート損失を抑えるためにG2の電圧を下げて電流を小さくします。6Wに抑えるとすると、250Vの場合は24mAとなり、200Vなら30mAです。この条件のG2の電圧は、それぞれ160Vと185Vで、バイアスが10Vと9V。データシートの動作例ではプレートとG2が180Vでカソードが8.5Vで電流が29mAとなってますから、かなり近い値です。自動車用ラジオ(DC-DCコンバータを使う)のB電圧が200Vぐらいですから、6AQ5をMT7ピンの管に入れたのは妥当という事になります。
 このあたりの動作で見ると、6AQ5って意外と高性能です。出力が2~3Wでゲインは約2/3倍。ラジオ少年定番だった6AR5と比べると、出力は少し大きい程度ですが、感度がぐっと高いです。6BM8だと出力ひとまわり大きいですが感度は同格。悩ましいのは出力トランス。最適なのは6Kぐらいですが、5Kを使うか7Kを使うか。

 かなり感度が高いのですが、わが家規準の入力感度にするとなると、電圧増幅部のゲインが24倍ぐらい要ります。12AX7を無理なく使って約40倍ぐらい、無理して60倍ぐらい。じゅうぶんなNFをかけるには不足です。ここで6BM8アンプの時の手法でK-NFをかけるとすると、ゲインは約1/2倍になります。12dBのNFをかけるとすると電圧増幅部のゲインは120倍ぐらい。
 6Z-P1アンプのように半導体使えば簡単なのですが、広々としたシャシー上にちびっこい管が2本だけでは見掛けが良くないです。やはり電圧増幅部にも管を使わなきゃ。
  • A1案 12AX7を1本使って普通の2段NFアンプとし、不足するゲインを前置アンプで補う。
  • A2案 12AX7の前にFETかトランジスタを1石足して3段NFアンプとする。
  • A3案 12AU7を2本使って3段NFアンプにする。
確実に性能を狙えるのはA1案。楽に作れそうなのはA2案。面白そうなのはA3案でしょうか。A3案は部品配置に苦労しそうです。