2014年1月19日日曜日

6CA7 PP : 慣熟運転中

しばらく鳴らして、真空管も部品もすっかり馴染んだようですが・・・

 最初は高音も低音もバラバラの印象でしたが、しばらく鳴らしているうちになんとなく落ち着いた感じになってきました。本当は定格ぐらいの音量で鳴らしてみたいのですが、狭い家では当然無理。dしかし、毎日この新しいアンプの音を聴いているのだから、こっちの耳の方が馴染んだという事もあり得ます。あらためて私室で常用している12BH7Aプッシュのアンプに繋ぎ替えました。
 やはりかなり音楽の印象が違って聞こえます。長く聴き慣れたアンプは(当時の製作意図でもあったのですが)ごく普通でぼんやり聴いてちょうど良いぐらいのの音。まったり癒し系とも言えるれど、新しいアンプの気合いの入ったの音と比べるとずいぶん「もっさり」して聞こえます。
 思いついて、先日作った6Z-P1のアンプも引っ張り出しました。意外なことに、小さな音ではいちばん貧弱な6Z-P1のアンプと大型の6CA7アンプの音が良く似ています。どちらも5極管ですが、それ以外は全然似てもにつかないアンプ。あと共通点があるとすれば、回路の設計の詰めにSPICEを使った事ぐらい。そこで、物は試しと、12BH7Aアンプのドライバ段までの回路をSPICEに入れてみることにしました。幸い6BL8のパラメータもありました。グラフを描かせて見ると、あまり良くない動作になっていました。このアンプを作ったのはもう20年以上前。その時には、前に6BX7アンプを作った時の計算書きを基に適当に値を加減した(テヌキした!)ように記憶しています。当時はまだマイコンがパソコンになったばかりの頃で、シミュレータはアマチュアが使えるようなものではありませんでした。そして、その6BX7アンプを作った70年代半ばは電卓の時代。
 アンプの設計と言っても昔はけっこういいかげんでした。アマチュアの製作では、メーカ公表の動作例そのままとか、略算式で計算したままというのが普通でした。理屈は抜きでここは○倍とか×Ωぐらいという慣習も多く、雑誌の製作記事でもそういった手法が解説されていました。入出力の容量やインピーダンスとかは都合良く忘れて、時定数はとんぶり勘定。さすがにトランジスタの時代になるとこの手は通じなくなりました。オペアンプなんて癖の悪い物も出て来て、丁寧に計算して確認しなければいけなくなりました。一時の徒花に終わりましたが、4chステレオなんてのもありました。先の6BX7アンプ製作の際には、当時の手法で真空管回路を見直そうとしました。今ならパソのSPICEで数秒もかかりませんが、計算尺(まだ関数電卓は持っていなかった)と集計用紙を使って夜な夜な計算を繰り返しました。

 という事で、居間のアンプも持って来ました。繋ぎ替えて、同様にちょっと大き目の音で鳴らし比べ。やはり設計した時代からでしょうか、帯域の取り方が狭い感じで、低音や高音の響きが少し物足りないですが、気になっいた「もっさり」感はありません。中域は新しい6CA7アンプと良く似ていますが、ボーカルの生々しさでは若干こっちが上。何事も細部まで気配りして丁寧にやらなきゃダメという事のようです。
 SPICEに入れた回路の定数をあちこち加減して、それなりにバランスの良さそうな値が求められました。計算も速いし、画面で波形を見ながら電圧配分とか考えられるのはたいへん楽です。回路はそのままで、抵抗やコンデンサをいくつか交換すればかなり改善しそうです。はたしてSPICEの効き目がどのぐらいなのか、やってみなきゃいけなくなりました。