2013年11月21日木曜日

6Z-P1 Single : 昔に作った物を見直す

ゆっくり潮は流れはじめていますが、もう少し寄り道を。

 注意:12Z-P1のヒーターは12.0Vです。12.6Vではありません。

 居間の本気アンプ私室の常用アンプも本来は音声用では無い管。でも本職の音声出力管を使ったアンプもあります。そのひとつが6Z-P1のシングル。ただ、これは実用品ではなく装飾品。
 音声出力用と言っても、6Z-P1はラジオ用。それも、元は戦時中の倹約設計ラジオ用の『国民球』12-ZP1。47の劣化コピーという評もあるような管。ラジオ少年の標準の6AR5と比べても格下。だから作ったアンプから出る音が良くなくてもそんな物と変に納得していました。しかしあらためて見直すとけっこういいかげんな作りです。ちゃんと作ってやればちゃんとした音が出るんじゃないかしら。

 ネット時代ってありがたいです。探すとちゃんと特性図も出てきました。定格を確認すると、プレートが250VでG2が180V。プレート損失が4Wとあるのですが、1枚の特性図には3.5Wの所に点線が描かれています。当初は3.5Wであったのかもしれません。
 元々の用途が電灯線を双2極管で倍電圧整流したトランスレスラジオ用。プレートもG2も180Vの動作がこの条件でしょう。 この場合は1Wちょっとの出力。、定格いっぱいの電圧で使って出力が1.5W。ただしこの動作だと4Wには収まりますが3.5Wは超過しますし、歪みも多いです。あらためて特性図に12kΩで線を引いてみます。少し電圧を下げて220Vぐらいで使った方が良さそうです。出力が少し低下しますが歪みは減ります。
 フルスイングするにはP-Pで20Vぐらい必要です。これで出力が1.5Wですから、終段のゲインはなんと0.5倍しか無いです。プレート電流が15mmAでG2電流が2.5mmA~4.5mAですが、G2の許容損失が0.6Wですからけっこうぎりぎりです。

昔から使っている電子電圧計 デジタルよりも直感的で使い易いです

 作った際にはあまりきちんと測った記憶がありません。昔から使っている電子電圧計を出したので、アンプを実測してみることにしました。終段のプレートは250VでG2が180Vで、カソード電圧は10Vで規格どおり。NFを外して、発振器の信号を入れてみると、グリッドを5Vで振ると出力トランスの2次側に約1.5V出ますから辻褄は合っています。
 このアンプのドライブ段は、デザイン的な理由もあって、FETを普通の5極管のように使っていますが、ありものの石をおおざっぱに使ったのであまりゲインが取れていません。仕上がりゲインを普通ぐらいに設定したので、実測するとNFが約3dbしかかかっていませんでした。もっとゲインを取ってNFに回してやらなきゃダメですね。しかしそうなると、超貧弱な出力トランスを何とかしなきゃいけなくなりそうです。