なにごとも余裕がかんじん。ゆったり考えると思いつくことはあります。思いつきを形にするにはまた余裕が必要。
先日の思いつきの、ドライバに6AU6を使う案をSPICEで検討。規格表の小さなグラフ相手に悩むよりも早くて簡単です。これと合わせて、A案の出力段の動作も詳細に検討。
ビーム管らしく、肩まで使うならロードラインは低く平らに。当然小細工無しで素のビーム管動作。プレート損失を6Wに抑えると、250Vでは24mA。出力トランスに7KΩを使うとして、最適そうな動作点を考えます。振幅が肩まで行かないうちにカットオフぎみになります。プッシユプルならこれでも全然問題無いのですが、今回はシングル。肩まで振ってもカットオフしない程度に電流を流すなら、220V~230Vぐらいまで下げべき。実際のスピーカー負荷では高域ではインピーダンスが上がりぎみになりますが、普通は振幅が大きくなるのは低域。このあたりは微妙です。
SPICEによると、この時のカソードは約8Vで、G2の電圧は165V。 このG2電圧から前段の電圧を作ります。真空管が暖まるまでの間に前段あたりのコンデンサに高い電圧がかかるのを避けるため、いくらか分流して下に引きます。
B電圧は240~250Vぐらい。G2電圧は抵抗で落として作りますが、3~4mAほど分流してやれば大出力での低下を5Vぐらいに抑えられそうです。前段が1mAあまり使いますから、分流抵抗には2.5mAぐらい流せば済みます。
6SN7-PPアンプ 位相反転部の出力波形 |
次は初段の計算。所要ゲインは約100倍で振幅は±8V。G2の電圧からデカップリングで1割ぐらい落とすとして150Vほど。余裕を見て、G2の電圧を1/3ぐらいにすると、プレート電流が0.9mAほど。所要ゲインからプレート負荷を82KΩとすると、プレート電圧が1/2ぐらいに来ます。けっこういいかんじ。この方向で進めそうです。
[ これをやってて気づいたこと ]
6AU6って、今まで電圧増幅に使ったことが無かったので動作例とかノーチェックでした。使い慣れた6BL8の5極部が6AU6似と言われてそう思い込んでいたのですが、あらためて見直すとかなり違っていました。もともと出自が違うのですから当然のような気もします。
[ ついでに見つけたこと ]
6AQ5にはレス玉の5AQ5があり、テレビに使われてるのを見たことがあります。データシートを見ていると、用途に垂直偏向出力が載っていましたが・・・・そのデータは3結にして使う場合。6AQ5はG2が弱いので3結やULは不向きと言われたのをそのまま信じていましたが、ピーク電圧や電流の大きな(そのかわり損失は小さい)偏向回路で使って問題無いなら、やはりこれは発熱が大きな使い方が問題だったのでしょう。