2014年2月5日水曜日

真空管と出力トランス

そろそろ季節が春になって来ました。暖かくなって、その後は暑くなる。

 しかし真夏に大型管のヒータの熱はけっこううっとおしいでが、寒い部屋では赤いヒーターの灯りの暖かさが気持ちよいです。暖房をかけた部屋で真空管アンプで音楽を聴き、春のお出かけの予定とか考えながら、引き続きパズルゲーム。

 手もちの6BM8はすべて中古です。来歴もさまざまでプッシュプルでは使いにくいです。6BM8で遊ぶことを考えました。6BM8は私が子ども時代に作っていじって遊んだもの。あらためてアンプを作ってもいいんじゃないか。3結でも良いけど、子ども時代にはULはやっていませんでした。K-NFといった知恵も無かったです。やりたくても使えるトランスがありませんでした。しかし今なら小型で良質なトランスが新品購入できます。再来した真空管人気がいつまで続くか判りません。作るなら、今でしょ?
6BM8 いろいろ

  当時の6BM8は定番の6AR5よりは高性能で立派(価格も高かった)でしたが、6BQ5とかに比べると格下扱いでした。メーカー製アンプ等にも使われていましたが、システムアンプとかレシーバーとか電蓄とかやや価格を抑えた家庭用が主でした。6BM8の元々の用途から考えれば、電圧200Vぐらいで使うのが良さそうです。軽く使って2Wぐらいの出力。できればULかK-NFにしてみたい。ほど良いトランスが見つかるか。

 トランジスタ以前の時代、アンプには出力トランスが必須でした。当時のラジオ少年の知る上物のトランスは「タムラ」を筆頭に「ラックス」「サンスイ」「タンゴ」といったところ。雑誌の作例はこれらを使っていました。SEL(菅野電機)やATOM(浅川電機)も雑誌広告に載っていました。部品屋へ行くと INSTANT(大阪高波)とか格下っぽい銘柄もありました。そして無銘のおそらくテレビか電蓄かの余剰品。子どもが小遣いで買えたのはちょっと怪しい安物だけ。

 家庭用のラジオがトランジスタになり、電蓄やステレオもトランジスタになり、最後にテレビがトランジスタになって。真空管が使われなくなればトランスも不要になります。気づけばほとんどのメーカーが(特別な高級品や大型の物を除いて) 製造を止めていました。在庫品が売り尽くされジャンク物もじきに枯渇しました。しかし、その真空管用のトランスが最近また新しく作られています。
 トランスという物自体は電源用とか需要がありますし、材料や基本的な技術は共通です。もう少し空白期間が長ければ(すでに適した機械など廃棄されたり経験ある技術者が退職された会社も多いようです。)難しかったかもしれませんが、細くて高圧のかかる線を巻く機械と技術を持った人材があれば(適切な設計が必要ですが)少量生産が可能です。

 幸い今はネット情報の時代です。量販するほどの需要は無くても、少量づつ作って通販や直販で売れば求める人はいます。6Z-P1アンプで使ったのは「春日無線変圧器」製、今度の6SN7-GTのは「(株)イチカワ」製です。このほか、「ノグチトランス」とか、「東栄変成器」とか比較的小型の出力トランスを出しています。かっては専業中堅メーカーが得意にしていた分野ですが、今は一種の隙間市場です。(もっとも、これらがいつまで続くかは判りません。)

追記:ノグチランスは2018年9月で廃業。販売は「ゼネラルトランス」で継続されていますが、この後は不透明です。

メモ : 6BM8のヒーターはグランドに落とすなら4ピン側と書かれた資料がありました。理由は書かれていませんでしたが、グリッドへの管内の配線が4ピン側に近いからでしょう。