2014年1月16日木曜日

6CA7 PP : 試運転中

最後は一気に進んで予定よりもすんなり完成しました。

 ここ毎晩聴き慣れた音楽をかけています。最初は妙に低音と高音が目立って聴こえてしましたが、だんだん落ち着いてきました。低音は柔らかく響く感じですが、高音はくっきりちょっと硬く聞こえます。パソからmp3を再生すると、同じデータでもパソによって音に違いがありす。以前から気になっていたのですが、このアンプではその差が目立って感じられます。そして、大出力アンプの余裕という事なのか、多少ボリウムを上げてもあまり音量が増した感じがしません。
 各部の電圧を再確認しました。ドライバ段の真空管はすべて取り置きしてあった中古から適当に選んだ物ですが、支障なく作動しています。出力管も安定して動いているようです。バイアス電流を正規に調整しなおしました。バイアス電圧の調整範囲がかなり偏っていたので、抵抗1本を交換して修正しました。その後、内部の配線を整理してビニル紐で括り直しました。これでひとまず完成です。中古部品を使った電源部のブロックコンも支障なく使えています。これは適当な物に巡り会ったら交換したいと思います。

配線を整理して括りなおしました

 シャシーの通気が良いうえに定格からかなり抑えた動作という事もありますが、真空管まわりはあまり熱くならずにすんでます。冬に部屋で使うにはほどよい程度。大きくて重いので扱いが大変ですが、しばらくの間このまま鳴らそうと思います。まあ、押し入れを整理しないと片付けるスペースが無いという問題もあるのですが。

2014年1月14日火曜日

6SN7 PP : 回路を考えてみる

様子をみながら少し大きめの音で音楽をかけながら、その合間にもうひと遊び。

 しかしSPICEってたいした物です。ササっと回路らしき物を作って、適当に抵抗値とか決めて、とりあえず走らせて、各部の電圧とか電流とかグラフに描かせて 、バランスみながら回路を修正して。本当はもっと緻密な設計に使われる物のはずたけど、とりあえずゲーム感覚で遊べます。なんせ、フリーでソフト代が無料。もちろん試作の部品代も不要。ゴミも出ないし部屋も散らからない。

 アルテック型のポイントは、ゲインも振幅も初段でまかなって、2段目は反転に徹する潔さ。5極3極の複合管なら1本で済みます。 しかし初段は100倍以上のゲインと数十ボルトの振幅が要ります。半導体化しようとすると、単体では難しいけれど、カスコードという合わせ技を使えば2SK30でも可能。反転段は高い電圧に耐えて振幅さえ取れれば何でもよし。という具合でSPICEを使って適当にでっちあげてみました。
 いいかんじで正負の出力が出ます。綺麗にバランスしていてますが、初段から来る歪みが気になります。歪みの点では差動アンプの打ち消しは効果的。半導体なら2段差動にして性能を上げるのは容易。初段のJ-FETはモード変換に徹して、次段のトランジスタで振幅とゲインを稼ぐというのがひと昔前の大出力DCアンプの常套手段。しかしここまで来ると完全に石アンプの設計です。SPICEで試さなくても動くのは判りますし、この道を進んでも「全然おもしろく無さそう」。しかも実際に作るとなると(DCが帰還されないので)ドリフト対策とかSPICEでは追いにくい問題がたくさん出て来るのも判ってます。
差動1段位相反転回路 半導体版

 あらためてカスコード接続2組で差動1段回路を作ってみました。やはり2SK30ではgm不足でゲインが取れません。ネットでメーカーの製品リストを拾って、その中からSPICEのデータが見つかった物を選びました。ネット通販を調べると比較的安価なようです。カスコードにすると、6AU6あたりよりひとクラス高gmの5極管相当になります。所要のゲインと振幅を得るには負荷抵抗は低目で電圧も低くて済みます。カソード(ソース)を深く引けないので、ここは定電流回路を入れて・・・と考えていて気づきました。カスコードアンプ全体では高い電圧で動いていて、バランス上はその分深く下へ引かなければならないようですが・・・FETについては上のトランジスタで低い電圧に抑えられているので、実際はバイアス電圧程度から抵抗で引けばそこそこバランスしそうです。
 電源トランスのあまったヒーター巻き線を整流して正負の電圧を得るものとして、適当に回路を作ってみました。上下のアンバランスは数%で、部品の誤差に吸収される程度。 歪みも少なくて、けっこういいかんじです。

2014年1月13日月曜日

6CA7 PP : 動作チェック

部品を盛り付けたラグ板を配線。ラグ板配線は仕上がりが速いです。

 狭い中で配線のとりまわしに苦労しました。ラジペンとニッパーをてこのように使って被覆を剥くという昔会得した技を駆使して作業。使い慣れた鉗子も大活躍。引き回してあった線のうち、長さが足りなかったのがありましたが、まあだいたい予定どおり。

 念のため、あちこち抵抗とか測って確認。どうやら致命的な間違いは無さそう。という事で、(管は挿さずに)おそるおそる電源を入れました。火花も煙も無し。大急ぎで各部の電圧を確認。なんせ、電源まわりが大がかりですから。ひととおりそれらしい電圧が出ているので、ドライバ段の管を挿しました。直結段が無いので1段づつ確認できます。プレートもカソードもほぼ予定の電圧。ちゃんと動いている? 思い切って初段の管も挿してみます。やはり電圧は予定の範囲内。ACを確認すると・・・何か拾っているのか電圧が出ています。発振か?? 今回は「オシロ」という武器があります。押し入れから引っ張り出して波形を見ると、60Hzの交流波形。ハムを疑ったけど、どうも違うみたい。どうやらどっかから誘導を拾っているらしいです。グリッド付近の線を整理してみると少しレベルが下がります。やはり電源トランスと管が近いのが問題のようです。間のあたりに金属物を入れるとレベルが下がります。シールド板追加も検討。

裸ゲインは約200倍

 とりあえずそのまま発振器を入力に繋いで、レベルを上げてゆくと・・・ドライバの出力に波形が出ます。上下でちゃんと逆相になっています。当たり前なのかもしれ ないけど、拍子抜けするぐらいアッサリと。振幅もじゅうぶん振れます。いきなり動かれると、なんとも不思議な感じです。入力と出力のレベルをオシロの目盛りの読みで比較すると約200倍。SPICEが出した裸ゲインどおり。しかし、SPICEってたいした物です。

 出力段のバイアス電圧が出ていることは確認済み。あとは出力段の動作だけです。その前に、製作したアンプ自体を利用して出力管の選別をおこないました。手元には中古の6CA7が合計9本あります。これに電圧をかけて、電流がちょうど良くなるグリッド電圧を測ります。1本だけ変な値が出ましたが、他はほぼ似た値。その中からほぼ同じ値のペアを作りました。

 イザ、出力管を挿して動作チェック。波は出ています。発振しているような様子はありません。このままいける?? いちど周囲を片付けて、入力に音楽ソースを繋ぎ、用心のため実験用のスピーカーを繋いで、スイッチオン。微かにブーンとザーが聞こえます。ボリウムをゆっくり上げるとちゃんと音が出ます。少しノイジーな感じですが、ちゃんと鳴ってます。ここまで来たらあとは最後の仕上げ。NFの線を繋ぎます。ノイズがすっと消えて静かになりました。念のためDC電圧とAC電圧を確認。発振もしていません。ボリウムを上げると当たり前のように音楽が聞こえます。一応用心のつもりでバイアスを少し深目に調整しました。馴染んでから再調整するのが良いでしょう。

 しばらく様子を見ても異常が無いので、常用のスピーカーにつなぎ替えました。古い真空管がまだ馴染んでないからでしょう。低音も高音もちゃんと鳴っているけど、何かバラバラの感じ。しばらく様子見です。

2014年1月10日金曜日

6SN7 PP : 動作と位相反転回路

足りない部品があります。買い出しに行くまで作業は停滞です。別に急ぐ事ではないので、遊びます。

 で、6SN7でパズルゲームの続き。 8KΩのトランスを強引に2倍で使うのも考えましたが、探すと比較的安価で16KΩというトランスがありました。最近はやりのミニアンプ用でしょうか、3Wというのも手頃です。ゲームにリアリティが出て来ました。

 MT管の6CG7は1ユニット3.5Wで2ユニット計5Wの制限がありますが、バルブが大きい6SN7にはありません。ピーク耐圧が高いので、負荷抵抗を高目にして高目の電圧で使う方が良さそうです。古い規格の管も使うのでB電圧を300Vほどで考えます。6Z-P1アンプに使ったのと同じ中古の電源トランスが1個余っていますから、ちょうど良さそうです。

 カットオフ付近の特性の良い管ですから、AB級でバイアスは深目にしても良いと思います。無難な所で線を引くとバイアスが11Vぐらい。プッシュプルですから、22V-PPのドライブです。これで約1.2Wの出力です。そうなると、出力段のゲインは約1/3倍。さすがに3極管です。
 わが家基準に揃えるとすると、仕上がり利得が約15倍。ドライブ段の設計では振幅よりもゲインが厳しくなります。軽くNFをかけるとすると、ドライブ段で60~90倍ぐらい必要です。 真空管であれば、前が5極管のP-K分割か、3極管-3極管のカソード結合型でしょうか。アンプの規模を大きくしないためには5極-3極複合管でP-K分割でしょう。6BL8は手持ちに余裕がありますが、これを使えば6BX7-PPアンプとまったく同じになってしまいます。全然面白くありません。

 やっててふと思いだした事。普通カソード結合型の位相反転段は3極管ですが、ここは3極管である必然性は無いのです。ただ双3極管が簡単で便利なだ け。5極管を使えば、ゲインが増して平衡度を高く取れます。ここで必要なゲインを稼げれば前段の利得が不要になります。つまり差動1段。片入力の差動アンプなのでゲインが1/2になりますが、ハイゲインの5極管なら足りそう。高価な5極管を使うけど管の数は同じ。差動の打ち消しが働いて歪みも少なくなるはずです。
5極管差動1段ドライブ回路

 そこでSPICEを活用。5極管を2本使って差動アンプにしてみます。差動アンプとして平衡度を上げるには高い抵抗で深いマイナスに引くのがいちばん。とりあえずB電源の1/3ぐらいで引いてみます。真空管に6AU6を選んで抵抗値をちょっといじると、すんなり正負の信号が出ました。ゲインも片側120倍ぐらい得られますから、5極管で10Wクラスのアンプに使えばほど良くNFがかかります。そしてハイゲインの威力で、正負のアンバランスは数%以下に収まりました。けっこういい感じ。

 しかし私室で常用するなら、あまり大げさなのは困ります。前述のトランスを使うとなるとヒーター電力も抑えたいです。やはり半導体とのコラボでしょうか。

2014年1月7日火曜日

6SN7 PP : アンプに必要な出力

足りない部品の代わりに使える物がないかと押し入れの箱を捜索。


 部品の買い忘れがありました。動作を測って値を変更という事もありますから、とりあえず代用しておいて後で付け替えという道もあります。実験に使った余りとか解体物とか無いかともおったけれど、そう都合の良い物はありませんでした。そのかわり、買い込んであった真空管がひとまとめ出て来ました。物は6SN7で、今度の6CA7アンプに使う6CG7の元になったGT管です。

 6SN7は足の接続が6BX7と同じです。興味半分に特性を見たら、自作の6BX7プッシュプルのアンプにそのまま差し込んでも定格内でした。試しに差し替えて鳴らしてみると、あきらかに出力は不足でしたが、それは綺麗な音がしました。当時の知人はこの音を聞いてMT版の6FQ7をパラにしてプッシュプルアンプを製作し、サブアンプとして鳴らしていました。
 これが元で、なんとなく出会った物を買っていたらしいです。6SN7は昔は全然高価な管ではなかったです。あちこちのメーカーの管が2本づつ。せっかくだからこれも活用してやりたい。そうなると、パラでシングルか片側づつ使ったプッシュプルでしょう。これで常用できるアンプになるかしら。

 必要なアンプの出力はスピーカーや聴く距離などで大幅に違って来ます。居間に常駐している6BX7-PPアンプは約5Wの出力。私室で普段働いている12BH7A-PPは約2.5Wですが、先日作った6Z-P1シングルでも不足は感じませんでした。実はお正月を挟む時期、6Z-P1のアンプを居間で鳴らしていました。音質の点では予想以上の大健闘で、普通に聴く分には全然支障無しというか、むしろ気楽に聴ける感じの音でした。ただ、音量がぐっと大きくなる部分ではちょっと詰まって音がダンゴになる感じがしました。やはり1Wあまりの出力では居間では力不足のようです。しかし逆に見れば、私室で普通に聴く分には1Wでも全然支障無いと考えられます

 昔試した時には差し替えて定格を越えない事を確認しただけでした。 あらためて、特性図から出力管として使う場合の動作を探ってみます。許容損失が大きいと言っても元々は電圧増幅管。本物の出力管とは流れる電流が違います。6BX7のアンプは8KΩのトランスですが、これでは小さすぎ。どうやら最適負荷は18KΩぐらいのようです。この場合は1.2Wほどの出力になります。先の知人はパラにして6AQ5用だったと思われるトランス(10KΩ?)を付けていました。単ユニットでは20KΩ相当ですから、これは良い動作点です。単ユニットで無駄なく働かせるにはトランスがカギになりそうです。

2014年1月3日金曜日

6CA7 PP : ボンネット

内部の作業が進む間に新しい展開が。

 ひと昔前の市販の真空管アンプのほとんどは通気性の良いカバーで上面が覆われていました。自作用にボンネットカバー付きのシャシーも売られていました。しかし最近の真空管アンプにはボンネットカバーが無いです。飾って真空管の灯りを眺めるにはそれで良いでしょうけど、部屋で実用しようとすると、万一の事故が怖いです。やはり何かカバーが必要。そう思って探しても現在市販のシャシーでカバー付きというのほとんど無いです。

 ナマのシャシーを買う替わりに入手したLUXのMQ-60のジャンクのシャシー。故障品を解体して使えそうなトランス類など外した残りらしいですが、ボンネットカバーがありませんでした。 MQ-60のシャシーはコンパクトなOY-15トランスにぎりぎり合わせたようなサイズ。ひとまわり大きなトランスなどを載せてボンネットを被せられるか、正直ほとんど無理と思っていました。だから後で管の部分を覆うカバーのような物を自作するしか無いと思っていました。
 実際にシャシーにトランスなどをあてがって見ているうちに、なんとかある程度の余地を取ることができました。内側の支障する部分を削れば、本来のMQ-60用のボンネットを使えそうです。シャシーのジャンクがあるなら、ボンネットのジャンクもあるのではないかしら。パンチング板など使って製作するにしてもそれなりに費用がかかります。思いついて探すと、都合良くボンネットのジャンクも出ていました。

ボンネット被せました 後ろ側の様子

 ボンネットはシャシーの穴に嵌るだけでしっかり固定される構造ではありません。出力トランスと干渉する内側の部分を削りました。外観はまったく変えずにうまく被さるようにできました。しかし微妙な歪みからガタツキがありますし、ボンネットがシャーシー上面に直接当たるのも気分的に良くないので、 薄いゴム片を挟んで少し浮くようにしました。

 背面の部品はほとんど元のまま使っています。電源コードは傷みがあったので新品交換しています。スピーカー端子は、元の物が使いにくいので、手持ちの物と交換しました。30Wを連続で使うには頼りない物ですが、どうせそんな使い方はしませんから使い勝手優先です。この点ではスピーカーのインピーダンス切り替えスイッチはあきらかに容量不足。こちらは交換を考えたのですが、そうすると元のツマミが使えなくなるので当面はこのままです。
 ボンネットは背の高いOY-15(95mm)を覆う高さがあります。本来の6C-A10はずんぐり太短い(高さ83mm)のに対して6CA7は背が高い(98mm)ですが、支障無く収まります。ちなみにSW-30の高さは85mmで、新しい電源トランス(90mm)よりも低いです。

6CA7 PP : 電源回路の配線

電源が真ん中に左右対称の配置。配線の引き回しもこれに従って左右対称。

 出力管のプレートとG2は別電源です。これに差動段のマイナスが加わって、電源回路は3組あります。バイアス回路の電圧はマイナス回路から分圧して作ってます。そしてヒーターバイアスはプラス電源から分圧して。差動段が2段ですから、これに行くプラスが2本とマイナスが2本。繋がる線の数はたいへん多いです。往復で変なループができないように、電源部からアース母線に沿わせて左右へ。
 真空管はドライブ段と出力段が変な形に折れ曲がった配置になっています。このあたりも混み合っています。とにかく狭いです。引き通した線を仮に括ってまとめて、また解いてくくり直して。
(完成後に写真と入れ替えました)

 電源部を配線したので、管は無しで試しに通電。火花も煙も無しでひとまずこの段階はクリア。真空管のソケットまわりを配線。半分ソケットに被さる位置に部品を盛り付けた平ラグ板が付きますから、最後はかなり狭い所での配線作業になります。
 部品配置が左右対称なので、平ラグ板の盛り付けも左右対称になります。これがたいへん面倒。片側を先に作って、それを見ながら反対側を組み立てる。その過程で、頭の中で左右を反転させるのですが、油断するとここで間違えてしまって付け直したり。

 今回は詳細な部品表は作りませんでした。SPICEで試した回路から値を拾って買い出しメモを作ったのですが、やはりいくつか見落としがありました。足りない部品を買いに行くまで、しばらくの間はたいした事はできません。