2014年1月14日火曜日

6SN7 PP : 回路を考えてみる

様子をみながら少し大きめの音で音楽をかけながら、その合間にもうひと遊び。

 しかしSPICEってたいした物です。ササっと回路らしき物を作って、適当に抵抗値とか決めて、とりあえず走らせて、各部の電圧とか電流とかグラフに描かせて 、バランスみながら回路を修正して。本当はもっと緻密な設計に使われる物のはずたけど、とりあえずゲーム感覚で遊べます。なんせ、フリーでソフト代が無料。もちろん試作の部品代も不要。ゴミも出ないし部屋も散らからない。

 アルテック型のポイントは、ゲインも振幅も初段でまかなって、2段目は反転に徹する潔さ。5極3極の複合管なら1本で済みます。 しかし初段は100倍以上のゲインと数十ボルトの振幅が要ります。半導体化しようとすると、単体では難しいけれど、カスコードという合わせ技を使えば2SK30でも可能。反転段は高い電圧に耐えて振幅さえ取れれば何でもよし。という具合でSPICEを使って適当にでっちあげてみました。
 いいかんじで正負の出力が出ます。綺麗にバランスしていてますが、初段から来る歪みが気になります。歪みの点では差動アンプの打ち消しは効果的。半導体なら2段差動にして性能を上げるのは容易。初段のJ-FETはモード変換に徹して、次段のトランジスタで振幅とゲインを稼ぐというのがひと昔前の大出力DCアンプの常套手段。しかしここまで来ると完全に石アンプの設計です。SPICEで試さなくても動くのは判りますし、この道を進んでも「全然おもしろく無さそう」。しかも実際に作るとなると(DCが帰還されないので)ドリフト対策とかSPICEでは追いにくい問題がたくさん出て来るのも判ってます。
差動1段位相反転回路 半導体版

 あらためてカスコード接続2組で差動1段回路を作ってみました。やはり2SK30ではgm不足でゲインが取れません。ネットでメーカーの製品リストを拾って、その中からSPICEのデータが見つかった物を選びました。ネット通販を調べると比較的安価なようです。カスコードにすると、6AU6あたりよりひとクラス高gmの5極管相当になります。所要のゲインと振幅を得るには負荷抵抗は低目で電圧も低くて済みます。カソード(ソース)を深く引けないので、ここは定電流回路を入れて・・・と考えていて気づきました。カスコードアンプ全体では高い電圧で動いていて、バランス上はその分深く下へ引かなければならないようですが・・・FETについては上のトランジスタで低い電圧に抑えられているので、実際はバイアス電圧程度から抵抗で引けばそこそこバランスしそうです。
 電源トランスのあまったヒーター巻き線を整流して正負の電圧を得るものとして、適当に回路を作ってみました。上下のアンバランスは数%で、部品の誤差に吸収される程度。 歪みも少なくて、けっこういいかんじです。