2014年1月20日月曜日

6CA7 PP : ドライバ段の回路

昔よく聴いた曲とかかけながら使った資料など片付けています。

 製作した6CA7アンプのドライバの2段差動はかなり初期から考えていたものです。出力トランスを譲り受けた頃の回路案の走り書きが出てきました。一応は計算したらしく、抵抗値が入っています。選球は常識的?に12AX7と12AU7です。深いマイナスを使うのではなく、1段目は-40Vと中途半端な電圧から引いていますが、バイアス回路用のマイナスを流用しようと考えたようです。直結は避けて2段目は自己バイアスにしています。
 2段目に300Vがかかっていましたから、出力段は350V程度加えて約40Wぐらいの出力という普通の動作を考えていたようです。この時のドライブは片側30Vぐらい(60VP-P)になるはずです。(この動作ではSW30-6は使えません。)
初期に考えていた差動2段ドライブ回路 2段目が自己バイアス

 トランジスタアンプでは当時でも差動回路はほとんど常識でした。しかし真空管アンプの回路としては特殊な部類で、初段に双3極管を使っても2ユニットをパラというのが一般的でした。2段差動は位相反転回路としては理想的で、全体では部品点数も多くないのに、あまりにももったいない。深いマイナス電源が要るから? それなら自己バイアスという手もあります。(2段目は差動入力なので自己バイアスでも影響は少ない)

 遊びついでにSPICEに入れてみました。組んだまま電源を入れる感じで、そのまま実行。あっさり動いてしまいました。ゲインは約250倍。振幅もじゅうぶん取れています。抵抗値を見ると、ゲインが高くなりすぎるのを抑えようとしたようです。意外としっかり考えていたようです。もっとも、この回路は裸では歪みが多い感じです。動作点もゲイン配分も詰めがあまいですが、初段をあまりマイナスに引けていないので、初段の平衡度が低くて歪みの打ち消しが効いてません。

 (注:ムラード型の原型は段間が直結でなかったらしいです。)