2013年10月6日日曜日

6CA7 PP : 出力段の設計

海図の無い航海のようで、まだしばらく手探り状態です。

 普通は管の定格と特性から動作点を求めてトランスを決めます。昔のアンプの製作では出力が大事。真空管メーカーの動作例もこの方向で書かれています。昔の雑誌などの製作記事を見ると、とにかくどれだけ出せるかが関心だった事が判ります。それも、できれば簡単で安い回路で。

6BM8 と雑誌の製作記事
  今日は実家へ。箱にしまってあった昔の部品の中に活用できる物がないかチェック。抵抗とかコンデンサとか今となっては好んで使うような物は全然無かったのですが、真空管はいろいろ出て来ました。ちょうど真空管の終了する頃、あちこちの放出品やジャンク玉とか、何かに使えるかと集めていたようです。6BM8は私が最初にアンプを作った管。何本かありましたから、この6CA7の後で余力があれば使ってやろうかしら。

決定事項から逆に計算してみることにしました

 今回はトランスが決まっているので、ここから逆に真空管の動作を決めてゆくことにします。6KΩのトランスで入力30Wですから、素直に計算すると、振幅300Vで200mAです。引き残りを2割ぐらい見込むとB電圧は375Vぐらいになります。グリッドをフルスイングさせずに-5Vぐらいまでとすると、SGが250VでIpが150mAぐらいになります。クロスオーバーを50mAとすると、案外いい感じかもしれません。もう少し電流を小さくしても歪みは大差無さそうです。6CA7にとってはずいぶん軽い動作てすね。ちなみに、このまま電圧を上げて(SGも上げる)6CA7の定格いっぱいの動作になるように計算して見ると、ちゃんと45W以上出ます。例のMQ70の動作点がこれなんでしょうね。6CA7で45W出すだけならば、負荷抵抗を小さく取って電流を流せばもっと低い電圧で済みます。アマチュアやコストに厳しい電器メーカーはこちらを選ぶでしょうが、トランスも製造している高級オーディオメーカーとしてはコストとは違うメリットを感じたのでしょう。
 以上から、電源トランスは、B電圧として350Vぐらい、SG用に250Vぐらいが必要です。電流は、フルパワーを考えると300mA以上要りますが、いわゆるミュージックパワーで考えると200mAぐらいでしょう。SGの電圧は変動を嫌うのでB電圧から抵抗で落とすのでは具合が悪いです。やはり別のタップから取る必要がありそうです。具合の良い電源トランスがあれば良いのですが・・・