2013年10月4日金曜日

6CA7 PP : 出力段の確認


行き先は決まったものの、進路が定まってません

 とりあえず、古い本を引っ張り出して、頭のリフレッシュ。真空管の回路なんて、ずいぶん長く遠ざかっていますから、すっかり忘れています。面倒な計算無しで済ませたいけど、今回はちょっと面倒そうだし・・・

ネットで入手できる真空管の資料
同時に、検討用に資料を収集しました。ネット時代って有りがたいことです。出力管の6CA7については、数社の電子化されたマニュアルが見つかりました。さっそくプリンタで印刷。ここに出力トランスの6kΩのロードラインを引いて、動作を見ようという訳。

 併せてMQ60の事を調べていると、同じラックスのMQ70というアンプの情報が出てきました。 どうやら、A3700のシャーシーを流用して新規設計のトランスを載せた物のようです。6CA7プッシュで45Wを出しています。出力トランスを見ると、A3700はA3500と同じ5KΩですが、このMQ70はさらに高い6.5kΩです。電源電圧が微妙に高いとかK-NF付きとか多少違いはありますが、なんとも奇妙。
 そこで、6CA7の特性図をじっくりと眺めます。この管、どう見ても肩の特性が酷いです。普通なら肩を避けて歪みを下げるように負荷を小さく(電圧の低い所まで使わない)するのでしょう。玉の損失が増えますが、出力も取れます。メーカー推奨の負荷抵抗はこの値に近いです。一方、グリッド特性から見ると、B電圧にかかわらずバイアスが浅くなると急に特性が悪くなっている事が判りました。見方を変えると、入力をフルスイングさせずにバイアスの深い所だけ使えば、意外と直線性が良いことになりそうです。試しに-5Vまで振るとして計算してみると、出力もけっこう取れています。このあたり、オーディオメーカーならではの着想点なのでしょうか。この動作点では、特性が寝て電流は小さくなっていますが、 それでもけっこう大きいです。プレート電圧をいくらか低く取っても、30Wのトランス(本来7591用とすると、あまり電流を流せないかもしれない)には負担が重そうです。やはり、SGの電圧を少し下げて電流を抑えるのが良さそうです。

元の電源トランスの取り付け穴の大きさ
探すと、このMQ60を改造して(シャーシーを流用して)いる方の作例がいくつか見つかりました。それによると、どうやらこのシャシーの電源トランスの穴に、そのままあるいは小修正程度で載せられるトランスがいくつかあるようです。これらを使って、必要な電圧と電流を得られるかどうか検討することになります。どうやら、どれも素直には使えそうにありません。現行品はやや役不足。力的には良さそうなのは廃品種。費用的には今回の計画最大の買い物になりますから、たいへん悩ましいです。

 ドライブ段についても少しづつ検討を進めています。内部の部品配置を考えると、あまり凝ったことはできません。差動段のマイナス電圧が電源トランスの巻き線とも関係して来ますが、妙な事は考えずに素直に差動2段をC結合というのが無難そうです。